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日記ロワイアルコミュの◆◇ 霊感 ◇◆

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「霊感」
聖職者や預言者、僧などの宗教家が修行や悟りの結果として得られた神仏からの啓示、または人の祈りに対する神仏からの反応のことを指す言葉。
また、これから転じて、インスピレーションinspiration のことを指し、芸術家や哲学者、科学者などが得た「ひらめき」のことを言うようになった。
しかし、世間一般では霊ブームなどで、「霊能力」の意味にも用いられるようになり、霊が見えたり、話せたりする能力のことを指して用いる場合が多い。

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私は子供の頃から、霊感が強い少女だったように思う。
大好きな伯母が突然尋ねてくるのが分かったり、近所の人の死を予知したりしたことがある私だったが、成人したと同時に霊感は体から離れていってしまったのか、自分は霊感が強かったことなどはすっかり忘れてしまっていた。

3年前の夏に突然、肺がんで父が亡くなった。
父はとても穏やかな性格で子煩悩だった。
そんな父が大好きだった私は、父が亡くなってから丸一週間、泣き続け、くる日も来る日も泣き明かした。

8日目の朝方に突然父の夢を見た。
父は生前と同じで私に無言だが優しく微笑みかけてくれ、私は嬉しくて嬉しくて、たまらなかった。
その日から月に一度くらいの間隔で父は私の夢に現れた。
最初は父は完全な`夢の中の人物’だったが、一年も経ったころには明け方の私の寝室の枕元に現れるようになっていた。
母にその話をしても、夢の中に現れた父の存在は信じてもらえるのだが、枕元に現れて私と話をする父のこととなると、作り話と笑い飛ばされるだけであった。

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その日は母は高校の同窓会があり、朝からいそいそと身支度に余念がなかった。
私も家に帰ってから自分の夕食を作るのが億劫なので、外食にしようと思い会社のそばの小ジャレたオープンカフェへ向かった。
残業もなかったので、そのお店には5時半過ぎに着き、口コミで評判のふんわりオムライスとミモザサラダを注文して食べ始めると、なぜか、それまで腹ペコだったのに、突然お腹が空いた感覚がなくなり、家に帰りたくてたまらなくなった。
一口二口で、オムライスを残して家路へ急いだ。

家の玄関の前までたどり着いたのが午後6時半過ぎだった。
玄関の鍵を開けようとすると家の中から電話の呼び出し音が鳴っていた。
家の中に入り電話に出ようとすると呼び出し音が止まった。

私の部屋は2Fなので着替えに階段を駆け上がると、私の隣の母の部屋のドアが開いていた。
母は几帳面な性格なので、どんなに忙しくてもドアを開けっ放しにしたりはしない。
不思議な気がしたので、母の部屋へ入ってみた。
びっくりした!
母がベッドの上に下向き加減で座っていた。ベッドの横の窓は開けてある。
「どうしたの?同窓会は?」と言うと
「いいのよ・・・・」母は蚊の鳴くような小さな声で呟いた。

「何だか、顔色悪いんじゃないの〜?どうしちゃったのよ〜?」

と私が言うと、玄関でまた電話が鳴っている。

私は階段を下りて電話の受話器を取った。
すると・・
『川上朝子さんのお宅ですね?朝子さんのご家族に緊急連絡です。川上朝子さんが午後5時45分に大島町交差点付近で自動車事故に遭われ重体です。午後6時25分に一時、心肺停止状態でしたが蘇生いたしました。大島町の共成病院のICUまで至急おこしください』

(何かの間違いだ!!だって、お母さんは・・・・)
2Fの母の部屋に走った。

今しがたベッドに腰掛けていた母の姿はそこにはなかった。
(どうしよう・・落ち着かなくっちゃ)

すると、母のベッドの隅に霞みたいな白い煙がぼんやりかかって、その奥に父が微笑んでいた。

「助けて!お父さん」と私が泣き叫ぶと父は
「大丈夫だよ、明日香。落ち着いて!お母さんは大丈夫だから」

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タクシーで病院へ急いだ。
父は・・・
お父さんはタクシーの中でも私のそばにいてくれて、そっと私の肩を両腕で支えてくれていた。

病院のICUに着くと母がたくさんの機械で体中をがんじがらめにされて、ベッドで横たわっていた。
医師の説明ではとにかく出来る限りのことはやり尽くしたので運を天に任せるのみです・・・
悲しい説明だった。

私は母の体をゆすって大声で母を呼んだ。
「おかあさーーん!!ダメ!死んじゃダメだぁーー」

すると、私の耳元で大きな声が響いた。
「朝子、来ちゃダメだ!帰れーー!明日香のところへ帰れぇー」
父の罵声だった。。。。


母は2日間、生死の淵をさ迷ったのだが、奇跡的に命は取り留めたのだった。

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私は一週間後の母の退院を控え、職場と病院との往復で忙しい日々を送っている。


「あの時、ほら、最初事故に遭って病院に運ばれて死にそうだった時・・・
お父さんの声がしたのよね〜、‘朝子、こっちへ来ちゃダメだ、来るな〜っ’てね、アレ夢だったのかなぁ?」

ふと、母が呟いた。




私は思わずにっこり微笑んで母を見つめてしまった。





あの日以来、父は私のところへ姿を現してはくれない。



【終わり】





コメント(147)

猛烈感動、僕もその霊感がほしいです涙
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