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日記ロワイアルコミュの磁石

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「先週から腰が痛くて、身体が異常にだるいねん」


日曜日の夜、

飲みかけの缶ビールをグッと飲み干し
私は嫁さんに言った。


先週から私を襲った体調不良。

今まで大きな病気をしたことはなかったが、今回ばかりは覚悟した。


腰と言っても内臓に鈍痛が走る。

明らかに何らかの病気だと確信していた。


「腫瘍でもできてるん違う?

保険入ってるから、まあええけど」



その言葉に私は、今すぐ保険受け取りの名義を

「グッピーのメソポタミアくん」

に変更してやりたかった。


メソポタミアくん達に餌をやりながら、嫁さんは言葉を続けた。


「まあ

明日ちゃんと病院行きや」


このツンデレが〜(はあと)

心配なら心配だと言えばいいのに。


嫁さんのツンデレに萌え

「今晩、抱いてやるよ」

と痛い腰を擦りながら、声をかけた。


『はあ?
体調悪いんやったら早よ寝たら?』


どこまでもツンデレの嫁さん。

私はデレを待っていたが、一向にやる気配はなかったので

腰を押さえながら、その夜は一人枕とティッシュを濡らした。



〓〓〓〓〓〓〓〓



困った時の大西医院

近所に名医と言われる、小さな病院がある。

大きなダミ声で、元気よく診察してくれる姿は
安心感に包まれる。

私は朝一番から、そこに向かった。


診察が始まり、詳しく説明する。


「どのへんが痛いんやっ?

そうかそうか。
腸結石かもしれんな。

ならCT撮って、血液検査しとこか」


CTなど撮ったことがない。

やはりそれほど深刻なのか?



三谷幸喜に似た助手らしき人に、採血室に案内される。


採血室はまるで老人ホームのようだった。

おじいさん・おばあさんでごった返し

元気に井戸端会議をしながら点滴をしている。


あなた達、点滴必要ないっしょ?


そう思いながら、老人に混じり私は採血される。


「注射は右か左かどっちがいいですか?」

と、若い看護師さんに言われたので普段なら


「真ん中で」

とパンツを脱いで、点滴の棒でポールダンスでもしてやるのだが、

いかんせんそんな気分にはなれない。


そんなことよりもオシッコがしたい!


実は診察前から我慢していた。

三谷幸喜に

「トイレ行っていいですか?」
と聞くと


「CTは尿が溜まってるほうがいいんです」

と吐き捨てるように言った。


「有頂天ホテルかっ!」

意味不明

と叫んでやろうかと思った。




そして初のCT。


ガンダムのような機械に寝かされ
音声の指示に従った。


常にブォンブォン背後で言っており

今すぐにでもゲルググが攻撃してきそうで怯えた。


そんなことよりオシッコ!


「では、息を止めてください」

真面目な私は、窒息寸前まで息を止める。

気分はリミットオブ海猿。

何度かバティを呼びたくなるくらい、窒息しかけたが


「では、楽にしてください」

の絶妙なタイミングに助けられた。


「では、検査結果が出るまでお待ちください」


三谷幸喜が丁寧に言ってきた。


「もうトイレ行っていいっすか?」

はちきれんばかりの膀胱を必死でなだめながら、聞くと


「ああ
いいっすよ」

と軽く言われ、眼鏡をぶち割りたくなった。



ザ・マジックアワー
のように予期せぬ展開にならないよう祈るばかりだ。




〓〓〓〓〓〓〓


「○○タカシさ〜ん。
どうぞ〜」


ドキドキしながら待合で待つ私。

突然呼ばれ

「うひゃい〜」

と秘孔を突かれたような返事をしてしまった。


そろりと入った診察室では、大西先生が渋い顔でパソコンを見ていた。


「ああ
お疲れさん。

じゃあ座って」


心なしかいつもより真剣な表情だ。


まさか・・・

鼓動が早くなり
かすかに全身が震える


私は何の病気なのだろうか!



「あんな〜


こりゃ

死亡やわ!」




えっ・・・


私は愕然とした。

頭が真っ白になり、全身に寒気が走る。
何とも言えない感覚に襲われた。


どこか他人事のような
現実的でない夢の中のような感覚だ。


唖然とした私に大西先生は急いで言葉を続けた。



「あっ


脂肪やで脂肪。
脂の脂肪。

その死亡ちゃうで。

あはは」



えっ?

尚も愕然とする私。
状況が飲み込めない。


「見てみい

このコレステロール値。

内臓脂肪がえらいことなっとるで。

こりゃ脂肪肝やな。
身体がだるいのはクーラーのせいちゃうか!

まあロキソニン出しとくわ」





結果

「内臓が肥えすぎ」

でした・・・


私の喪失感を返してくれっ!

なぜか関係ないのに、
後ろでぼ〜っとアホみたいな顔して立っている三谷幸喜に、無性に腹がたった。

それと同時に
大した病気じゃない安堵に包まれた。


さっそく私は嫁さんにメールする。


「診察結果はな・・・」

ちょっと心配させてやれ。

あえて意味深なメールを送る私。


それに対して返ってきたメールはこれだった。




『晩御飯の買い物して帰ってきてや』



診察結果はスルー!!!!

ガチで心配してなかったんかっ?


晩御飯の買い物をしていると、嫁さんからまたメールが来た。


やっぱり心配で仕方ないんだな。





『牛乳も』

私は3.5くらいローファットな気持ちになった。



検査をし、晴れ晴れした私はすき焼きの材料と牛乳を買い、帰宅した



〓〓〓〓〓〓〓


この一週間

私はいろんなことを考えた。


もし、重い病気だったらどうしよう。

もし余命1ヶ月とか言われたらどうしよう。


そんなことばかり考えた。


健康な時は微塵もそんなことは考えない。

むしろ「自分は大丈夫」

と根拠のない自信を根底に

他人事のように振る舞っていた。



しかしながら、

健康の大切さ
生きることの感謝

を改めて実感した。

それと同時に

死への恐怖
死後の状況

を考えた。




対義する事柄はいつも隣合わせだと思う。


まるで磁石の、S極とN極のように。


嬉しい
悲しい


楽しい
苦しい


好き
嫌い


優しい
厳しい







そして


ツン
デレ


対極にあるはずなのに
それは常に隣り合わせにある。


磁石のように吸い寄せられ

また離されていく


一歩間違えば失敗してたかもしれないが、成功した。


楽しいのに、些細なことで一瞬にして悲しくなる。


そんなことは誰しも経験しているだろう。


つまりは生と死

も常に隣り合わせ。


いつ、どこでどうなるかは解らない。



三歳の我が子のこれからの成長も見れなかったかもしれない。


せめて息子の結婚式までは生きたかった。


どんな大人になるんだろう

立派に育ってくれるのだろうか



何よりも

もう二度と息子をこの手で

抱くことができなくなるかもしれない



そんなことを考えると、涙が止まらなくなった。




だからこそ

大したことなく今までどおり暮らせることに、心から感謝した。



貴方は愛している人を大切にしていますか?


後悔ないように接していますか?


もっと優しくしとけば良かった
もっといろんな話をすれば良かった


どんなに後悔しても

どうしようもないことがある。



だからこそ私は常日頃から

周りの人達を大切にしようと改めて思った。




家に帰り

嫁さんに診察結果を報告。


「ちょっと食べ物気を付けるわ」


そう言いながら、冷蔵庫にあるビールを開け

すき焼きを作る私。


『そのビールがあかんねんで。

もう禁止やで。

まだまだ死なれたら困るしな。』


相変わらずツンデレの嫁さん。


ツンとデレは磁石のように、常に隣り合わせ。



『でもまあ

一本だけにしときや。

大したことなくて

本当に良かったわ・・・』



幼い我が子を抱きかかえながら、ビールを飲む私に


嫁さんは優しく呟いた



夫婦もまた磁石


たまに寄せあい

たまに離れる


しかし思いやる気持ちが少しでも伝わるならば



磁石の支柱の鉄のように

崩れることはないのかもしれない・・・




コメント(135)

素敵なはなし(;_;)
周りの人への感謝の気持ち
忘れないようにします
一票♪

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