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日記ロワイアルコミュの繋ぐ未来。

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オレの仕事は保育士


保育士になってもう8年になり


いろんな子ども達と出会った


元気な子 やんちゃな子 
内気な子 真面目な子 
オチャメな子 おもしろい子


多分今までで、200人以上の子達と出会ってきた


その子達から、オレはいろんな大切なことを教わってきた




その中の1人


まーちゃんからも大切なことを教わった




今まで聞いたことのない病気




全身の筋肉が常に緊張している状態になってしまっていて、身体をうまく動かせず


走ることができず、歩くことがやっとの状態で


階段を上り下りするのが大変で、転んでしまうと自分で起き上がることができない






それなのに




ものすごいイタズラっ子で


オレの着替える部屋の鍵をこじ開けるのが得意で


ドアをバーン!って開けられてオレ何回パンツ一丁で「ギャアァァ!」て叫んだか分からないくらいだし




オレのジャージのズボンを脱がせるのも得意で、気配を消して忍び寄る


ズボッ!ってズボン降ろされるたびにオレ何回「ギエェェ!」ってパンツ一丁で叫んだか分かんない




オレをパンツ一丁にさせる事に情熱を燃やす男


【若干変態】それがまーちゃんだ




病気のこともあってか、まーちゃんはとにかく心を開くことがなくて


外に出ると体調が悪くなるし、疲れちゃうから、いつも部屋の中で一人で黙って遊んでいる子だったらしい




今年になってオレが幼児クラスの担任になって、まーちゃんと遊ぶようになったら、まーちゃん見事にドカンとはじけて、毎日オレのズボンを脱がそうと、逃げるオレを追いかけて部屋を飛び出し園庭にいるまーちゃん




ズホンを脱がしたお詫びに、とオレの肩をもみはじめ


スキあらば鋭いカンチョーを放ち、ヒクヒク悶絶するオレを見てゲラゲラ笑っている




まーちゃんの担任の先生もまーちゃんのお母さんも、このまーちゃんの変わりようにはビックリしてて


まーちゃんが保育園でこんなに生き生きしている姿を初めて見たって、まーちゃんのお母さんは泣いていた






2009年、季節は秋


運動会が近づいていた


まーちゃんは年長クラス



保育園での最後の運動会



身体を十分に動かせなくても、まーちゃんができる事を運動会で精一杯やらせてあげたいって職員全員で決めた




年長はとにかく種目が多い



かけっこ

玉入れ

年長の競技

年長の遊戯

年長の親子競技

応援合戦


他にも年中、年少の種目のお手伝いをしなければならない



それだけでもまーちゃんには十分すぎるどころか、まーちゃんの体力が持つのか心配なとこだった


でもまーちゃんはものすごく頑張っていて


『疲れた』『休みたい』と言うことなく、進んで練習に参加していた



そして年長クラスとしての最高の見せ場である




紅組白組対抗のリレー




まーちゃんは白組に決まった



年長の子達はまーちゃんの病気のことは分かっているけど、それでもやっぱり勝ちたいっていう気持ちがあるから


まーちゃんが白組になったのを白組の子達はイヤがった



他の子ども達だって保育園での最後の運動会だから、それは当然のことであって


それを責めることはできなかった




でも、まーちゃんにも運動会を絶対に楽しんでほしい




なぜなら…






まーちゃんと話をした


「まーちゃん、リレーどうするよ?」


『オレ、リレーやりたいなぁ。』


「そうだよね。リレーやりたいよね。」






『だって、これがオレの最後のリレーになると思うから。』






あぁ、まーちゃんは全部分かってるんだ




卒園したら、自分は養護学校に行くことを




養護学校には色々な子がいるから、リレーなんてできないんだってことを




このリレーがまーちゃんにとって、最初で最後のリレーになるんだってことを




全部、分かってるんだ






『去年の運動会のリレーを見て、オレもリレーやってみたいなって思ったんだ。リレーをするのがオレの夢なんだ。』


自分に言い返すかのようにまーちゃんがつぶやく


『リレー、やりたいんだ。絶対負けなくないんだ。走りたいんだ。』


掌を握りしめてまーちゃんが言う




『でも、オレがリレーに出たら、白組、負けるよね…』




まーちゃんは自分の全てを受けとめていて、友達の気持ちも全部分かっていて




それでも、リレーに出たいんだ…






「分かった!まーちゃん!リレーに出ようよ!」




『でも、オレがリレーに出たら、白組負けちゃうでしょ?』



「大丈夫だよ!2人で作戦考えようよ!」






まーちゃんはリレーを走りたい


でも走ることができない


でもなんとか走らせてあげたい






オレが考えたのは、まーちゃんをリレーの第一走者にして、半周をまーちゃんが走って、もう半周はオレがまーちゃんをおんぶして走るという作戦




「こういうの、どうかな?」



『うん!いい!オレ、リレーやりたいよ!』




まーちゃんの夢を叶えるために年長の先生と相談した




まーちゃんが半周走る間に多分3人はまーちゃんを抜かすだろう


だから白組に走るのが早い子を集めよう


そうしたらいい勝負になるかもしれない




でも絶対まーちゃんに無理はさせないで




年長の先生のゴーサインをもらえた




「ありがとうございます!」


オレは地面に顔がつくくらいにお辞儀をした




まーちゃんの夢を叶えてあげたい




でもオレはまーちゃんに、このリレーを夢の終着点にしてほしくなかった


この夢を叶えることで、まーちゃんに、これから先、新たな夢を見つけてほしいと思っていた








その日は天気予報で100%の確率で雨が降るだろうって言われた日


奇跡が起きたのかって思うくらいの雲一つない秋晴れの空の下で




運動会が始まった




リレーは1番最後の種目で


それまでにたくさんの種目があって、それを一つ一つ、まーちゃんはこなしていく




種目を一つ終えるごとに、まーちゃんの身体から力が抜けていく


まーちゃんが肩で息をしているのが分かる




「まーちゃん!大丈夫か!?まだリレーやってないよ!」


鋭いカンチョーをまーちゃんに決める



『大丈夫!オレ絶対リレーするんだから!!』


えぐられるようなカンチョーをまーちゃんからお返しされて



オレとまーちゃんで何度もVサインをして笑いあった






いよいよその時が来た




最後の種目


年長クラスの紅白対抗リレー






まーちゃんがバトンを持って、スタートラインに立つ




半周したところにオレが立つ








『よーい!


 ピーーーッ!!』






笛の合図と共に、まーちゃんはバトンを持って懸命に走り出す




例え周りから見たら歩いているようにしか見えないかもしれないけど


まーちゃんは全力で走ってるんだ




「頑張れ!まーちゃん!」


喉が枯れそうになるほどまーちゃんに声援を送る




「まーちゃん!あと少しだよ!」













ドンッ!













コーナーを曲がるところでまーちゃんが転んでしまった




「まーちゃん!!」


オレは一目散にまーちゃんの所に走る



まーちゃんは、自分で立ち上がることができないんだ




まーちゃんを抱きかかえて起こそうとすると






『…じょ…ぶ…』




「まーちゃん!?」








『だいじょうぶ…




 オレ、一人で立てるよ…』






そう言うとまーちゃんは手と肘と膝と足を地面にグッと張って




ゆっくりと立ち上がった






『先生、バトンだよ…

 受け取って!!!!』






想いのつまったバトンを受け取って、まーちゃんをおんぶして全速力で走った






バトンはどんどん繋がれていって




紅組と白組の差が僅差になったところでアンカーに繋がれていき






ゴール!!








『只今の勝負




 紅組の勝ち!』




アナウンスが鳴り響き、会場は歓声で盛り上がった








まーちゃんのいた白組は負けた










『ごめん…』




まーちゃんが呟く





『みんな、ごめん…オレが白組でごめん…ころんじゃってごめん…走れなくてごめんね…』




肩を震わせて泣くまーちゃん








『泣くなよ!負けたのはまーちゃんのせいじゃないよ!』


『オレだって走るの遅かったし!』


『アタシだって、バトン落としちゃったもん!』






『まーちゃんのせいじゃないよ!!






 オレ達みんな友達だろ!!』








白組のみんなの言葉を聞いて、まーちゃんは空を見上げて




『ありがとう…!』と呟いた






その時ポツポツと雨が降り出した






年長の子ども達全員が抱き合って泣いていた




雨は、その涙を消すかのように強く激しく降っていった












まーちゃんの夢はまだ終わっていない




まーちゃんは養護学校ではなく普通の小学校に入りたいと言うようになり、今それに向けての準備を進めている




小学校でみんなと一緒に動けるように、苦手だった階段の上り下りの練習をして




小学校の運動会でリレーをするために毎日園庭を走っている








これから先、まーちゃんにはたくさん大変な事が待っていると思う




でもまーちゃんの姿を見ているとそんな不安な気持ちは微塵も感じない








まーちゃんが笑って言う






『大丈夫!オレには、みんながいるから!!みんな友達だから!!』










オレがまーちゃんから教わった大切なこと。






夢は、未来に繋がっていくってこと。




そして未来は無限大に広がっていくんだってことを。



コメント(355)

大人は子供の夢を叶える手助けをしないといけないなと改めて感じました。
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