日記ロワイアルコミュの大宮で栃木女が唱えた呪文

埼玉の大宮駅構内を歩いていると…声を掛けられた。

「だ～れだ？」と。

大宮という場所でなくとも皆目検討が付かない。

ひょいっと顔を出した男子に言ってあげられる言葉なんて限られている訳です。

『知らない』と首を傾げると…

「またまた～ホントは知ってるくせに～」とのこと。

パッと立ち止まり、顔を見た。

私の知り合いには…
八重歯の隣りの歯が無い男の子なんていた例がない。

『人違いですね、私、地元人じゃないですし』

「え～ホントに分からないの～？」

『知らないです』と歩き出すと、付いて来た。

「え～ウザイ～？ねぇねぇどこの人～？東京とか？」

『栃木』

「ぷッ。栃木って～」

県名を聞いて吹き出された。

何故…埼玉でこんな微妙な屈辱を味わっているのだろうか？

私の住んでいる所は、いい所だ。
頗る頗るいい所だ。

空気は澄んでいるし…
夜空には星だらけだ…

傷心中に見たら、きっと泣く。

虫にだって沢山逢えるし…
網戸には必ずカエルが張り付いている。
放し飼いになっているのは、牛や馬だ。

人口の少なさを舐めんなよ？

どこにあるかわからない県ナンバーワンだぞ!!

君の住所調べて毎日送り付けるよ？

…食べきれないほどの無農薬新鮮野菜を。

新幹線の券売機が目に入り…

『あ～もう分かったよ。で、あなたは誰なの？』と訊くと…

「はぁ～」と溜息を付き、やれやれといった表情で…

「運命の人で～す」とのこと。

マッチで～す!みたいな軽いノリで…
私の運命の人が現れた。

私が唱えるべきは…ルーラかい？
それともラリホーかい？

本当に送り付けるよ？

無農薬新鮮野菜。

呆気に取られつつも、運命の人に伝えた。

『・・・ガッカリです』と。

君の唱えるべきは…ルーラかい？
それともラリホーかい？

何だって受けて立とうじゃないか。

栃木の女を舐めんなよ!!
どこにあるか分からない県ナンバーワンだぞ？

白地図で栃木を指してみろ!!

そこは、大抵群馬だ。

もしくは茨城だ!!

泣きたいのは、こっちだよ!!

そんな抱えきれない程の思いで…新幹線の改札を通った訳です。
運命の人をその場に残して…

振り返ると…
運命の人はどこかに消えていました。

ルーラを使って…
運命の人は、どこに飛んだのでしょう？

それとも…
気付かぬうちにバシルーラを唱えていたのは、私でしょうか？