あれはまだ私がウィッキーさんとサンコンの違いが良く解らなかった22歳の夏！
朝トイレで踏ん張ってると血が！
コリャえらいことだ。とすぐ近くの個人病院に。
診察でメガネをかけたおっさんに説明すると
「潰瘍性大腸炎ってのがあるんだが。
まだ若いからねー。
内視鏡とかやらせてもらえたら」
私「あっ。それお願いします。」
いつになくアグレッシブなおれ。
なぜならサンコンとウィッキーさんの違いが解らないのに内視鏡が何なのか解るはずもない。
とにかく潰瘍性なんたらが怖くて安易な返事を。
「えっ。いいの？」
おい。
何だその「とりあえず告ったらOKもらった」みたいな、言ってみるもんだ的な反応は。
かすかな不安を抱きながら後には引けず内視鏡を受けることに。
「じゃあこれ朝飲んできてね�戞�
と怪しげな水を２リットルわたされて家に帰った。
おっさん（医者)の、恋人と明日デートみたいな見送りは気になったが腹をくくった。
次の日・・・
「腸菅洗浄剤！」
とマジックで書きなぐられた怪しげな水。
ひたすら飲む。
乾電池の味がする。
とにかく不味い。
飲むと出る。
出すと飲む。
飲むと出る。
おれのお尻はマーライオンみたいだ！
トイレが一瞬にしてシンガポール！
こんな繰り返しのルーティーンに嫌気がさし半分で飲むのを断念。
お尻の耐久も限界でカプサイシンみたいになっていた。
そしていざ病院へ。
行くとすぐガウンに着替え。
このガウンは股関部分にだけ穴が空いている。
チ〇ポもタマキンもケツの穴も丸見えだ。
もう全裸でいいじゃねえか！！
といささかガウンに疑問を持ちながらベッドへ。
おっさん（医者)にローションをぬりたくられ挿入！
あん
と声は出なかった。
結構大丈夫なもんだ。
しかし大事な何かを奪われた。
そんな夏の日の1993だった。
「じゃあ行ってみようか」
だから何だよ。
その軽い感じは。
まるで遠足に行くような面持ちでカメラは進む。
「君。腸綺麗やねー」
何だか嬉しいぞ。
まさか腸を褒められるとは。
ある意味顔面を褒められるより嬉しいかも。
やっぱり男は中身だな！
ちょっといい気分だ。
「君。全部飲まなかっただろう。
ほら。ウ〇コまみれだ」
すいませんねー！
外身も中身もウ〇コまみれですよ！
一気に褒められたのが台無しだ。
「腸は問題ないね。
ちょっと胃まで行ってみるか！」
おい！
だから何でそんなに軽いんだ。
仕事帰りにちょっとコンビニでピノ買って帰るか！
みたいな！
もっと労れ。
おれの内臓はローソンか！
ついでにカラアゲ君も買っていきやがれ！！
「胃もきれいだねー」
問題なしだ。
ほっとした。
が今度は社会見学が始まった。
「ここが直腸で・・・」
「この裏っ側が・・・」
明らかに私に言ってない。
横の看護師がうなづきながら聞いている。
患者そっちのけだ。
私は模型なんだ。と自分に言い聞かせた。
お願いだから早く抜いてくれ。
大丈夫なら抜いてくれ。
同情するなら金をくれ。
by安逹祐実
プチ人体の不思議展も閉館だ。
「ウ〇コ残ってたから見にくかったよ」
もう余計なこと言わなくていいよ。
それ言う必要なくない？
「はい。
問題ありせんでした。あとオナラ出たら帰ってね。」
「あっ。すごいのかましてってね」
だから余計なこと言わなくていいって・
私は院内に響き渡るオナラを三発ほどかまし病院を出た。
30センチは体が浮いてたはずだ。
もうそのまま空飛んで帰るくらいの勢いだ。
軽く舌打ちをしながら、病院を出ると外の看板にこう書いてありました。
「木曜日は内視鏡の研修のため休診」
練習台かよっ！
私、モルモットにされました。
森本医院でした。
モリモットにモルモットにされました！！！
こんな独り言をつぶやきながら私は自転車で帰路についた。
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