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日記ロワイアルコミュの出前一丁の思い出

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インスタントラーメン『出前一丁』

これを食べる度に思い出す事があります。











まだ僕が幼かった頃の話。

両親が共働きだった為に保育園から帰っても家には誰もいませんでした。
当時の僕には近所に親しい友達もいないし小学生だった兄も帰りは早くなかったけれど寂しくはありませんでした。

寂しくなったら『じーじ』の家に遊びに行けば良かったから。

じーじは実の祖父では無く近所に住むお爺ちゃんなのですが僕を凄く可愛がってくれていて僕もじーじが大好きでした。

遊びに行くとじーじは満面の笑顔で迎えてくれます。

じーじの家で僕は絵を描いたりその日の出来事を話したりしていました。

父や母は僕が頻繁に遊びに行くものだから恐縮していたようですがそんな両親をじーじが説得して遊びに来る事を認めさせていたそうです。

そんな優しいじーじと遊んでいて僕は不思議に思っていた事がありました。

じーじには片腕がありませんでした。

幼い僕は普通に聞いてみました。

『じーじは何で手が無いの?』

じーじは笑いながら言いました。

『じーじの腕は戦争で無くなったんだよ。戦争は怖いから二度と起きないようにしないとね』

僕はあまり意味が分からなかったけれど腕の事は普段からあまり気にしないようにしようと思いました。


じーじの家には『ばーば』もいました。

僕はずっとばーばはじーじの奥さんだと思っていましたが腕が不自由なじーじのお世話をする家政婦さんだったと後で知りました。

じーじもばーばも僕が来ると凄く喜んでくれました。
僕もじーじやばーばが大好きでした。

ある日にお腹が空いた僕にばーばは出前一丁を作ってくれました。

初めて食べた出前一丁はゴマ油の風味と相まって凄く美味しかったです。
大喜びで食べる僕をじーじとばーばはニコニコ笑いながら見ていました。

次にじーじの家に行くと段ボールに山ほど出前一丁が買ってありました。
じーじは『お母さんが帰ってくるまでにお腹が空いたらいつでも食べに来て良いんだよ』って笑いながら言ってくれました。

優しいじーじとばーばの家で食べる出前一丁は本当に美味しかったです。
古い家の中に立ち込めるゴマ油の香りは今でもハッキリと覚えています。




小学校中学年にもなると僕にも沢山の友達が出来てあまりじーじの家には行かなくなりました。
じーじやばーばよりも同世代の友人と遊ぶ方が楽しくなったのです。

たまにじーじの家の前を通る時に『じーじ元気かな?』と寄ってみるとじーじは変わらない笑顔で迎えてくれました。
色々と近況を聞いてくるじーじを僕は少し面倒だなって思っていました。

中学生になり高校生になり…引っ越し等もあり僕がじーじの家に行く事は無くなりました。

その頃の僕は毎日が楽しくてじーじの事を忘れていたのかもしれません。


社会に出て今の職場に来て暫く経った頃に母からじーじが施設に入った事を聞きました。
家政婦だったばーばは数年前に他界されたという事も聞きました。

父や母も引っ越してからは疎遠となり近況を把握したのは最近だったようです。

『じーじには身寄りが無いからお前が行ってあげたら喜ぶんじゃない?』と母に言われて初めて今までじーじの事を記憶の底に仕舞い込んでいた自分に気付きました。

あんなに可愛がってくれたじーじが身寄りも無いまま施設で暮らしている。
僕が寂しい時にいつも笑って可愛がってくれたじーじが寂しい思いをしている…今さらながら自分の薄情さに泣きそうになりました。

すぐにでも会いに行きたい!

しかし当時は休みをとる暇も無いほど忙しい日々で正直じーじに会いに行く余裕はありませんでした。


ようやく仕事も落ち着き母に連絡をして施設の名前や場所を聞こうと思っていた矢先…じーじが亡くなったと聞かされました。

目の前が真っ暗になりました。

何で忙しさを言い訳にして会いに行かなかったのか。

何で夜中に車を走らせてでも会いに行かなかったのか。

後悔した筈なのにまた後悔している…僕は最高に馬鹿でした。


晩年のじーじは痴呆症を患っていたそうです。
今の出来事は認識出来なくて過去の記憶の中に生きていたそうです。

若かった頃、戦争の辛かった頃、ばーばや僕と穏やかに暮らした頃に思いを馳せていたかもしれない。

そんなじーじの手を握って励ましてあげる事も自分はしてやれなかったのかと泣きました。
自分の馬鹿さ加減に大泣きしました。


仕事から帰ってきて晩御飯の出前一丁を鍋で煮る…ゴマ油の香りが部屋に広がる中でそんなストーリーを妄想をしてたら麺が伸びました。

コメント(154)

めっちゃ感動してしまいましたやんexclamation ×2

一票ですexclamation ×2
え!?妄想!? じゃあ、じーじはまだ生きているの?

一票
いい意味での裏切り

座布団 一枚

いゃいゃ 一票(笑)
家のインスタントラーメンも出前一丁が定番
1票

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