日記ロワイアルコミュのじゅうとうほういはん

先日の早朝、

王子へと向かう京浜東北線の中

私はものすごい腹痛に襲われ

おなか痛いおなか痛いと繰り返しながら

座席で丸くなり同乗の友人を困らせていました。

そんなおなか痛いに襲われていた私の耳に

｢彼ら｣の会話が突如として飛び込んできたのです。

それはおなか痛いも吹っ飛ぶほどの

ぶっとんだ会話でした。

恐らく１３、４歳くらいだと思われる３人組の彼らは

赤羽から乗ってきました。

見るからに育ちの良さそうな私立中学生です。

空いたスペースに三角形に陣取った彼ら。

電車が発車して少し経った頃、

少年Ａが突如としてそわそわし始めました。

足元に置いた鞄の側にしゃがみこみ、

しきりにあたりをきょろきょろと見回します。

私とも数回目が合いました。

最初はおなか痛いに耐えきれず

完全にくの字に折れ曲がっていた私を警戒しているのかと

もっぱら被害妄想に陥っていました。

が、

どうやら違う模様。

Ａはひとしきりきょろきょろすると

鞄の中から素早く何かを取り出し

それをこれまた素早く口に放り込みました。

この間約コンマ５秒。

その動きたるやまさに疾風迅雷。

ウサイン・ボルトもビックリな身のこなしです。

凡人の私では、とても目で追うことが出来ませんでした。

なにか偉業を成し遂げた風の少年Ａは

それでも何事もなかったかのような素知らぬ顔で

すくっと立ち上がりました。

しかし、それを見た少年Ｂと少年Ｃは

端から見ても分かるほどにサッと顔を強ばらせました。

まさしく顔面蒼白、というやつです。

一瞬の緊張の後

ＢとＣは揃って声を震わせながら言いました。

Ｂ「おい・・・おまえまさか・・・」

Ｃ「・・・飴、くったのか・・・？？」

もはやこの世の終わりのような顔。

飴で。

そんな２人に対し

Ａ「ああ、まあね。おまえらも食うか？」

と得意気ににやり。

ＢとＣは頭をぶんぶん横に振り、強い拒否反応。

Ｂ「お前、飴はやばいだろ・・・」

Ｃ「持ち検されるぞ・・・」

飴で。

ＢとＣは今にも泣き出してしまいそうです。

Ａ「大丈夫だって、うまくやるよ。｣

Ａはふふんと言い放ちました。

Ａ｢それよりさ・・・

この間、２組のアマノのやつ

なに持ってきたと思う？？」

声をワントーン落としたＡの言葉に

ＢとＣは揃って顔を見合わせます。

Ｂ「え・・・？なんだよ？」

Ｃ｢知らないな・・・。｣

Ａ「あいつさ・・・」

ここで意味ありげにもったいぶる少年Ａ。

Ａの焦らし作戦にまんまと焦らされた私。

なに！！

アマノのやつが一体なにを持ってきたの！！

私の気持ちを代弁するかのように

Ｃ「おい、アマノが一体何を持ってきたっていうんだよ！！」

Ｂ、Ｃ、そして私がＡの言葉を待ちます。

ＡはＢとＣの顔を交互に見比べ

一段と低い声で言い放ちました。

Ａ「・・・ワックスだよ。」

Ｂ｢わ、ワックス・・・？！？！｣

Ｃ「ま・・じかよっ・・・！！！！」

(※私の認識が正しければ

ワックス＝整髪料、ヘアワックスの略、です。)

ＢとＣの声が裏返ります。

２人の反応に満足げなＡは流れるように話を続けます。

Ａ「それがまじなんだよ。

それでアマノがヤナギ先生に呼び出し食らってさ

焦って俺にワックス預かっててくれって頼んできたんだけど

・・・さすがに断ったよ。」

Ｂ「お前それは正確だよ・・・」

Ｃ「さすがにワックスはやばすぎるだろ・・・」

Ａ「だよな。あいつもとんだバカだよ。」

飴はマリファナかなにかですか？

ワックスは拳銃かなにかですか？

アメリカでは拳銃を学校に持参する許可を得るための

法改正を求める運動が進められていると聞きます。

どこかの州では帯銃許可がなされたとかなされないとか・・・。

そんな中、飴やらワックスやらの

もはや日用品すら厳しく取り締まる日本と

その規則を恐れる中学生達。

日本の未来は明るいですね。

気づけばおなか痛いは完治していました。

ありがとう、少年ＡＢＣ、そしてアマノ。