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日記ロワイアルコミュの父のお弁当。

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私には母親がいない。










私が小学校に上がる前に交通事故で逝ってしまった。



それ以来、父が一人で私を育ててくれた。



決して裕福ではなかったが父は私のわがままを聞いてくれて、何不自由なく暮らしていた。



でも、私が大きくなるにつれて父との関係も悪くなっていった。








私の中学には給食がなくお弁当を持ってくるというものだった。



友達はみんな色とりどりでキレイに装飾された母親の手作り弁当だった。



だけど、私のは父が作った汚いおにぎり。



持つとご飯粒がポロポロとこぼれるおにぎり。



たまに主食の他におかずがあったが、色彩なんか全く気にしていない真っ黒なおかず。




友達の前でお弁当を開くのが嫌だった。



友達の哀れむような目が嫌だった。




そのうち父の作ったお弁当は学校に行く途中にゴミ箱へ投げコンビニのパンを買うようになっていった。



この時期から父の事が大嫌いになった。



家に帰らなくなった事も、髪を染めた事も、たばこを吸い始めた事も全部父のせいにしていた。




私を恥ずかしい目に合わせるからだ。と



次第に父の娘であることも恥ずかしく思えた。



それから段々と学校にも行かなくなり家にも帰らなくなった。



警察に捕まる事も何回もあった。



その度に父は迎えに来てくれた。





お前はあのお母さんの子供なんだから絶対優しい心を持っているはずだ。信じてるぞ。




毎回毎回この言葉を聞かされた。



それからは高校にも行かず、ただただ友達の家とホテルを行ったり来たりしていた。

















18の時だった。


どこで調べたのか親戚のおばさんから電話が来た。




父が死んだと。





遺体となった父はひどく痩せていた。それに背が縮んだようにも感じた。







葬式が終わって1週間くらい経った頃、近所のおばさんが父に線香をあげたいと家に来た。



この人は母親の知り合いで小さい頃、よくお世話をしてくれた。





ごめんなさいね。知らなかったもので。



私は黙ったまま携帯電話に目を向けていた。



おとうさんね、あなたが中学生くらいの頃かしら?うちによく来ていたのよ。




おばさんが私に話しかけてきた。


このおばさんは自宅で料理教室を開いている。




なんでも、娘の中学校はお弁当だから料理を覚えたい。って言ってね。娘の友達はきっと母親が作るおいしそうなお弁当だろうからそれに負けないようなお弁当を作ってあげるんだって。



ふふふ。でもね、なかなか上手くいかないのよ。やっぱり男性なのよね。飾り付けが真っ黒になっちゃうの。それでも毎回娘がお弁当を空にして帰ってきた〜って喜んでたのよ。









空だったのは食べたからじゃない。捨てていたからだ。



父がそんな事をしていたなんてこの時初めて知った。



そんな想いでお弁当を作っていたなんて知らなかった。



知っていれば一緒に作ることが出来たかもしれない。





私は涙を止めることができなかった。

















それから私は毎日父にお弁当を作っている。




これまで父にした事は許してもらえないかもしれない。




けれど、私は父にお弁当を作っていく。




まだまだ下手で真っ黒なお弁当だけど。




これからうまくなっていくね。




でも、うまくならないかも。





だって私はあなたの娘なんだから。

コメント(247)

親孝行したい時に親はなし…
よ〜覚えとく。
一票。
今日は父の日だけど恥ずかしくて何もしないでいようと思ったけど、この投稿を見て、
「いつもありがとう」って言おうと思います。一票

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