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日記ロワイアルコミュの料理は愛情

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「ああ、ああ、分かった。じゃあ夜に伺うよ」

 友人から電話があり、「彼女が手料理を振舞うから遊びに来い」、と食事の誘いを受けた。

 ああ・・・、とっても嫌な予感がしてならない。

 友人から聞いた話では、同棲生活三年、彼女が料理をしている姿どころか、食器を洗っている姿さえ見たことがないらしい。

 友人よ、何故誘う。

 まさか、日頃の恨みを込めて、俺を毒殺でもする気なのだろうか?

 夜になり、一抹の不安を抱えながら、俺は友人宅へと向かった。



**********************************



「ピンポーン」

「あら、きくさん、いらっしゃい」

 インターホンを鳴らすと、友人の彼女が待ち構えていたかのように出迎えてくれた。

「もうすぐご飯出来るから、彼とゆっくりしててね!」

 勢いあまって思わず「お構いなく」なんて失言をするところだった。

 中に入ると友人が横たわりテレビを見ていたので小声でそっと聞いてみる。

「おい、一つ聞いていいか?」

「おう!何でも聞け」

「お前の彼女、料理出来んのか?」

「んー、そうだなー、知らん!」

「何故に俺なんだ?大丈夫か、俺は?」

「大丈夫、胃薬の準備はしてある、準備は万全だ」

 とりあえず、だいじょばないことは大まかに伝わった。

 キッチンに目をやると、難しそうな顔をして、何度も首をかしげる彼女の姿があったが、あえて見なかったことにしておこう。

「よし、出来たー!」

 どうやら執行の準備が出来たらしい。

「二人とも、早く席に着いて、さ、早く!」

 すっごく嬉しそうにそう言う彼女を見て、色々な事を覚悟しながら俺達は足を進めた。



**********************************



「それじゃあ、いただきまーす!」

 彼女の合図で晩餐は始まった、これが「最後の晩餐」にならないことを祈るばかりだ。

 しかし、俺は箸を進める勇気が出ず、友人のリアクションを様子見てみることに。

「え!?う、美味いじゃん!いける、いけるよコレ!」

 と言い、友人は料理をバクバクとたいらげていく、まったく予想外のリアクションだ。

「でしょ〜?見た目は良くないかもしれないけど味の方はなかなかでしょ?ウフフ」

 彼女は誇らしげにそう言った。

 ほうほう、そうなのか、人間と一緒で見た目で判断しちゃいかんよな、どれ俺も頂くとするか。

 大皿に盛られた何かの炒め物を口に運ぶと、





 激塩





 一瞬で血管がブチ切れるかと思うくらい血圧が上がった。

 友人よ、さっきのフェイクはどういった経緯で入れた?

 というより、まさかとは思うが、俺の味覚がぶっ壊れているのだろうか?

 彼女が俺の反応をじっと見ていたので思わず、

「あ、あ、あ、ああー、個性的な味付けで美味いよー」

 なんて気の効いたセリフを吐いてみた。

「わぁ、嬉しいなぁ、ちょっとお茶入れてくるね」

 彼女はそう言い残し、キッチンに向かった。

「すまん」

 彼女が席を外すと友人が小声で俺にそう言った。

 やはり俺も友人も、味覚はまだ正常だったらしい。

「なんで?」

 と聞いてみた。

「実はさ、彼女まともに料理するの生まれて初めてなんだよ」

「マジか!?」

「美味しい料理を作れる奥さんになりたいんだって、だから今日はどんな料理が出てきても、『美味しい、美味しい』って言って食べようと思ってたんだ」

 確かに、ハナっからダメ出しなんてされたら料理するの嫌になっちゃうだろうしな。

 だが、そういうことなら、やぶさかではない、俺も乗ってやるか。

「お待たせ〜」

 彼女が帰ってきたので、大皿に持ってあった激塩の炒め物を友人と二人、美味い美味いと勢いよくたいらげる。

 そんな俺達を見て、彼女の顔には安堵と少しばかりの自信が表れているようだった。



**********************************



「今日はどうもごちそうさま、とりあえず二人とも、体に気をつけて」

 玄関先で寄り添う二人にそう言い、友人宅を後にする。

 彼の為に努力する彼女と、彼女の努力を暖かく見守る彼。

 なかなか良い組み合わせじゃないか。

 大切なのは味や見た目ではない、「料理は愛情」とはよく言ったものだな。

 そんな二人をちょっとだけ羨ましく思いながら、自販機で買ったミネラルウォーターで乾いた喉を潤した。



コメント(64)

愛情とは相手を思いやることかと思います。
配慮のカケラもない自己満足の塊のクソマズイ物が出てきたら
「自分で食べてごらん、ご馳走様」と言ってあげるのも優しさかも
一票
その後が気になる!!
上手くなってますように・・・
執 行
ΩÅΩ;

一票!!お疲れさまでした。
それに付き合ってあげるのがいいひとw

一票
美味しいって言われたら、次はもっと美味しいの作ろう!って頑張れるもんなぁ(*^^*)
1票
1票

彼女さんはしょっぱくなかったのかな?
料理うまくなるといいですねほっとした顔
メシマズ嫁にはなるまい!という決意
1票
味見しない意味がわからない

彼氏さんに一票
私も料理しないから、頑張ろうと思った
一票
彼氏に一票☆
優しくアドバイスしていけばきっとうまくなる!
彼氏に一票☆
優しくアドバイスしていけばきっとうまくなる!

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