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日記ロワイアルコミュの憂愁の街

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少し長いのでリンクを貼っております。









【1】 






「金山駅の南口に30分後。
 44歳主婦で120分コース。いけるか?」

携帯電話の向こうから聞こえる抑揚なく低く掛けられた問いに、
おれは手帳を開きながら頷く。

「時間厳守な。着いたらこの番号に電話してやってくれ。名前はミキ。
 090☆☆☆☆8543。30代の背が高くて痩せてる男希望。
 お前がぴったりだと思ってさ。金もってそうだ。うまくやってくれ」

切れた電話をコートに仕舞い、「金山ならホテルが近いな」と独りごちる。

時間を潰す夕刻の街のカフェは、甲高い声を上げて笑う、
日曜日なのになぜか制服の女たちの甘黒い匂いが充満していた。
尻が見えそうなほど短いスカートから除く張り裂けそうな腿が
人は若いというだけで、十分に美しいという通俗を語りかけているようだ。

ここのところ主婦の客が多い。
女子高生の群れを眺めながら、
たまにはこんな若い女の相手をしたいと思いながらも
客を選ぶことができないのはこの仕事の常だと黙諾をした。

飲み干したコーヒーカップを返却口に返し、
セオリーのマフラーを首に巻く。
街路の木枯らしを頬に受けながら、薄藍色の街で手を挙げた。
せわしなく停車したタクシーの後部座席は、
どこか都会の湿り気を帯びている。
運転手に「金山まで」と告げると、不機嫌そうにハンドルがきられた。

ショッピング帰りのカップルの渋滞の中、
金山までかかる時間は15分ぐらいであろう。

早いものだ。
おれがこの街で女性用のデートクラブの仕事に就いてから、
もう2年の月日が流れた。
仕事で抱いた女は数知れない。
与えた快楽。崩した欲望。
その代価として手にした金の数だけ、
その分だけ、おれの身は汚濁していく。
金にまみれたひとときの擬似恋愛。
快楽のためだけのセックス。

ここでは都会の路地裏の片隅の、歪んだ風景について語ろう。
人間が産んだ醜い景色だ。
醜さに触れたくない者は、この先は見ないほうがいい。

都会の片隅へ向けて、おれを乗せたタクシーが走っていく。
ぼんやりと車窓の流れを見た。

おれは思う。
なぜだろう、最近、街の色がひどく褪せて見える。







    








                            【To be continued】







続きです。

【2】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=329619571&owner_id=331938
【3】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=330653934&owner_id=331938
【4】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=331536650&owner_id=331938
【5】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=332441527&owner_id=331938
【6】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=333433624&owner_id=331938





 

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