ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

日記ロワイアルコミュの浅草橋ヤング電器店

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
毎日毎日、こうも寒いと外出すらおっくうになってしまいます。

外出をしないとなると、仕事以外では他人と接することが無くなるため、服装やら外見も適当になるのは仕方ない事でしょう。


髭を剃るのは週に1度。不精ヒゲから出世し、見事に武将ヒゲになりました。

頭はボサノバ(ボサボサで伸ばしっぱなしの略)、ここ最近は美容室に行った記憶がございません。

眉毛はバルボッサ(ボサボサの最上級。パイレーツオブカリビアンの登場人物でもある)
もはや某公園前派出所の、金に汚い巡査の眉毛になりかけてます。


もうすぐ12月で、これから何かと物入りな季節。外出を繰り返し、浪費してばかりもいられないでしょう。


もしかしたら、クリスマス前に運命的な出会いがあり、彼女ができるかもしれない。

その彼女に『クリスマスは綺麗な夜景の見えるホテルに泊まりたいわ』などと言われるかもしれない。

そんなホテルに泊まったらそれ相応なプレゼントも用意しなければならないだろう。

エルメスの高価なバッグをねだられたらどうしよう・・・

彼女がセクシーなガーターベルトをつけてきたらどうしよう・・・

その場の欲情から、勢い余って、結婚まで話が進んだらどうしよう・・・

結婚式は誰呼ぼう・・・

子供が生まれたら何て名前にしよう・・・

お宮参りは生まれてから何日後だっけ・・?

『何ぃ?私立高校に行きたいだと・・?ならば、この父の屍を越えて行け!』

『・・・お父さん急でごめんなさい。赤ちゃんを授かったのでこの人と結婚します。』

『ミ、ミツ子・・・!』


ほら、やっぱりお金必要だ!

寒いからという理由だけではなく、外見を小汚くすることによって、『こんな格好で外出したくない』と思うようになり、自然とお財布のヒモも固くなっていくのではないでしょうか。


世界にその名を轟かせた偉大なる空手の神様、大山倍達氏は、数か月に及ぶ山籠りの修行の際、片方の眉を剃り落とし、わざと恥ずかしい姿になることで街へ逃げ帰るという甘えを断ち切ったという。

それならば、俺がやっていることも同じ。髭を伸ばし、髪を伸ばし、眉を放置し・・・言うなれば、山ごもり改め、引きこもり界の大山倍達。

門下生の募集も、そう遠くはなさそうだ。



そんな世間からはみ出た風貌の俺が、あろうことか久々に外出をせざるを得なくなってしまった。

マイルームのライフライン、加湿器が機関車トーマスよろしく、モクモクと悪い臭いのする煙を放出し始めたのだ。

さすがに、これは買い替えねばならないだろう。



俺は休日を利用して、大手の家電量販店(都合により、社名は控えさせていただきます)へと出向いた。

店内に入り、無精ひげをいじりながら加湿器コーナーを探していると、店員に声をかけられる。


『電気シェーバーをお探し・・・ですよね?』


自然な会話のように聞こえるが、残念ながらここはМP3プレーヤー売り場であり、電気シェーバーのコーナーでは無い。

普通ならば『何かお探しですか?』だろう。

最新機種のМP3プレーヤーでも、さすがにヒゲを剃る機能付きのモデルは無いと思うので、俺がヒゲだらけだからそのような言葉が出てきたに違いない。

かなり失礼だ。


ならば、太っている方には、

『ロデオボーイをお探し・・・ですよね?』

漢字が読めなさそうな方には、

『カシオの電子辞書をお探し・・・ですね?』

歯がヤニだらけで悩んでそうな方には、

『お客さまのような歯の黄ばみの方には、電動歯ブラシ、ブランカをお勧めします・・・よく取れると思いますよ、お客様の歯垢。』


こんな勝手な想像だけで、客の買うものを決めつけてるのは過剰接客もいいところだ。

俺は気分を悪くし、誰とも目をあわさずにプンスカと加湿器コーナーに向かった。




ピンからキリまである加湿器。俺は、6畳用、アロマオイルケース内臓の7800円の商品に目をつけた。

これに決めた理由は、これ以下の商品は使い物にならなそうなくらい、お粗末な出来だったからだ。

逆に、これ以上の商品は余計な機能ばかりついている上、とても高価だった。


しかし、7800円も決して安い買い物では無い。
ここでお金を使ってしまっては、クリスマスに彼女のねだったカバンが買えなくなるかもしれない・・・そう考え、その場の勢いだけで値切ってみることにした。


【交渉術その1 最初は吹っかける】

この電器店は“他店よりも1円でも高い場合は相談の上、その値段よりさらに値引きする”というサービスがある。
そこで俺は近くにいた店員に話を持ちかけた。

『この加湿器、コジマ電器で200円だったんですけど。』

店員は一瞬、ハトがマシンガンを食らったような顔をして、

『にひゃ・・ええ!?いくらなんでもそれは嘘でしょう。』

さすがに冷静さを取り戻したのか、すぐに嘘が見抜かれた。

『ホントは5000円でした。』

値段をちょっとだけ上げて言ってみたが、他店のチラシ、見積書、型番、品番などが完全に一致しているかなどの詳しい情報が無い場合は、値引きができないのだとか。思ってた以上になかなか厳しいルールのようだ。



【交渉術その2 相手に有益な条件を出す】

『来週、ここかコジマさんでパソコンを買おうと思ってるんですけど・・・』

パソコンは大きな買い物だ。おそらく成約となれば相手にとっても大手柄になるだろう。

『なので・・今回の加湿器はまけてもらえないですか?そしたらこちらで買いますから。』

自分ではうまく話を繋げたつもりだったが、相手は一枚上手だった。

『パソコンを買えば、ポイントカードに2万〜3万ポイントくらいつきますから、それで加湿器を購入されては?』

ごもっともだ。



【交渉術その3 相手の弱みにつけこむ】

棚に陳列されているその加湿器は、展示してある写真を見る限り、もともと真っ白だったはずなのだが、良く見るとちょっと黄ばみがかっていた。

しかも、“現品限り”の札が付けられている。

なかなかスキを見せない鉄壁の接客が崩れるかもしれない、その一筋の光。

これはいける!

俺は確信し、店員にその趣旨を伝えた。

『たしかに・・かなり黄ばんでます・・・ね。
現品限りですし・・・わかりました。お値段、引かせていただきます。えー、7800円を5000円で、ポイントもつけます。』

ポイント分含め、実質3000円強ほど値切れてしまった。




店員が梱包作業を行っている間、暇だったので店内の大型テレビに目を向けた。

50インチの大画面に、Мr.ビーンが映っている。

確かに、言葉が分からないながらに面白く感じたが、くどいほど無駄に働く表情筋と、かなりイレギュラーな体の動きを繰り返す50インチの彼に、乗り物酔いに近い吐き気を覚えた。

そしてふと、高校時代にビーンという裏のあだ名があった内田君を思い出す。

今思えば、確かに顔も動きも、よく似ている。
当時のクラスの名づけセンスが相当に高かったことを再認識し、同時に自分の裏あだ名が存在していたら・・・と、ちょっと被害妄想が膨らんでしまい、軽くへこんだ。




そんなビーンにまつわるエトセトラで5分程経ち、店員が俺のもとへ駆け寄ってくる。


『ごめんなさい!商品の箱がありませんでした!』


店員はまさに泣きっ面に蜂の表情。


勝機!フィニッシュブローの準備は整った。



『箱が無いなら買いません。箱が好きなんです。加湿器の。』



その後、さらに2000円を引いてもらい、かなり思い切った値下げの為、ポイントは無しということで話がつきました。




7800円の商品を3000円で買った優越感。

そして久々に感じた達成感により、帰り道は世界が違って見えた。

足取りも軽い。体も軽い。腰痛も治った。全国模試3位。




家に着き、普段は言わない“ただいま”を大きな声で言ってみた。

『おかえり。』

いつもは絶対にそんな口をきかない祖母も、優しい物腰に感じる。

家の中も心なしか明るくて、暖かい。


そして、そんな祖母のいる台所のドアを開けた。




『ちょうど帰ってくるころだと思って、赤飯炊いといたよ。』




何のお祝いの赤飯だかわかんないけどありがとうおばあちゃん。

コメント(144)

200えん…。


殴りたくなるだがそれがいい。一票。
関西人並みの値切り方に、

一票です!(笑)
一票。
赤飯!?めでたいこと重なった!

ログインすると、残り115件のコメントが見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

日記ロワイアル 更新情報

日記ロワイアルのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。