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memo メモ めもコミュのメモ 281108

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ヴィヴィッド・テクノロジー 建築を触発するデザイン 編著:小野暁彦、門脇哲也、乾陽亮 引用文 後半

06 ひらく 佐藤淳 試行の方法

(Iz House 設計:藤本壮介建築事務所)
すべてアクリルにしたら良いのですが、断然値段が高いです。だからアクリルは出来るだけ少なくしたい。また強度的にはガラスの方が硬く、ヤング率も高い=座屈に強いので、できるだけガラスを多く使いたいのです。
p.141

(ソレイユ・プロジェクト 設計:吉村靖考建築設計事務所)
一つのコンテナが1住戸になります。それを5段積み重ねて5階建てに、それが15列並んで1棟を形成します。その棟がいくつも並び、全部でコンテナを1500個積み上げるというプロジェクトです。ユニットは人件費や材料費の安いタイで、内装、外装の殆どを施行した上で海上輸送し、日本では積み上げて配管を通すだけの工法です。壁にはコンクリートパネルがはまり、内装、外装が貼られます。
p.143

私がエネルギー団子の図と呼んでいるこの絵は他の建物でも作ってみると、どこで壊れるか、全体で吸収しているか良く分かります。こういう感覚を身につけることが大切です。
p.145
*新たに身体化するためのツール、ある種のVRを触れて動かして、マウスにしろタッチスクリーンにしろ、数値入力ではない部分の作業領域を増やす?

(俯仰の切妻 設計:milligram studio)
たくさんの小さな部屋に分かれていて壁が多いのでクラックは非常に少なく、屋根も軽いので構造厚9cmで無理はありません。
p.146

(城下町ホール 設計:山本理顕設計工場)
HPシェル、〜。この方法なら歪んだ曲面形でも簡単に導きだせるので、エクセルで数式を作り、直線を規定する4点と、壁として切り出すラインを入力できるようにしました。このツールを山本さんの事務所スタッフに渡して、これを使って形を決めてくださいとお願いしました。
p.148

・コンピュータが可能にする膨大なスタディ
指を離した瞬間から、まず長期鉛直荷重に対する解析をやって、X方向Y方向の二方向の地震時の解析をやって、さらに長期と地震時を足し合わせた短期荷重を求めて、長期に対して部材が大丈夫か、短期に対してXもYも大丈夫かというようなことを全部材について算定して、安全率を計算して色を表示するという事を瞬時(1〜2秒)にしてくれます。
p.152
*環境も行動も計算するものを選べば、リアルタイムに答えを返してくるものかな?

はじめはイメージがあっても口では言い表せない状態です。構造の方も同じです。そこで、こちらからいくつか提案していくと、「それは違う」「これは近いけど、ちょっと違う」というやりとりが始まります。
p.153
*コミュニケーションの促進。

そういう構造家の特徴・癖・好みと、つきあっている建築家の好みが合っているのではないかと思うのです。
p.154
*判断、選別から見えて来るその人の癖、同じ定規、価値判断基準としてのスタディ模型、GAによって出て来る形態群。

☆☆☆
膨大なスタディが出来る事と、非常に細かく材を分割してたくさんの部材による形態を計算できるようになった事が大きいと思います。それによって、立体的に座屈解析が出来るところも重要です。
p.155
*この言葉が意味するところを少し探ってみよう。

☆☆
柔な構造への興味として、単純にラーメン構造を作る時でも、私の好みとしてブレースをあまり入れたくない感覚があります。
p.155
純粋なラーメン構造でもたせようとすると、なにか一工夫必要になります。その一工夫を考えだす事で、建物の形態に特徴が出たり、新しいものが生まれたりという事が面白いのです。そして、純ラーメンをさらに細かな部材でやってみようとすると、例えばメッシュ上の構造などへと展開していく可能性もあります。
p.156
柔な構造という点からいうと、アクリルを接着して積層すると、すごく柔らかい構面ができます。実際、<Iz House>で振動解析をしたとき、この小さな建物で固有周期が0.6秒でした。この小ささで0.6秒というのは、すごく長いです。だから、柔らかく、ゆっくり揺れる、そういう構造なのです。そういう柔らかい構造というのは、面を形成していても実は柔らかいという事が興味のあるところです。
p.156

門脇:山本理顕さん設計の<公立はこだて未来大学研究棟>もメッシュ状の壁ですが、部材の構成と溶接の仕方に構造的なデザインポイントが集約されており、無限に反復できる形までシステム化されています。それは、建築家が構想する空間単位と違う次元、構造自体で完結する別種のデザインように思うのですが。
p.158

佐藤:木村さんの打ち合わせの場で全部決めてしまうスタイルは、私も含め、木村事務所の先輩達に共通して引き継がれています。そこが、アトリエ系の構造事務所の特徴です。打ち合わせの際にいくつも案を出すのですが、その架構の部材寸法をその場で計算できないと建築家の方も判断できないと思います。
p.160

佐藤:昔の構造家は建築家からプランが出された後「そのプランならこういう部材です・・・」とお知らせする役でしたが、木村さんはその場で建築家と一緒に「どういう架構にするか」を考える事を積極的にやりました。
p.160
*架構という次元、構造家が考える架構という次元、それは構造家全般に当てはまる感覚なのかもしれない。架構のデフォルト選択、と自由形成、フリーにする部分とフィックスする部分

☆☆☆
佐藤:私の手法の特徴ですが、構造計算は全部自作ソフトで作っており、リアルタイムに形を操作して結果をすぐグラフィカルに見る事が出来ます。自分で自由にできるツールのバリエーションをたくさん用意できて、役に立っています。またやれる事が飛躍的に増えます。
p.161
*個人的にもつくるべきだ
佐藤:石上さんの<t project>でお見せしたソフトは、仕事の合間に2.3日で作りました。現在のプログラムをベースにして何か機能を追加するのは、数日で済む事が多いです
p.161

佐藤:自分で動かして、形を探る事が出来る事が面白いのです。佐々木睦朗さんが伊東豊雄さんに提案されている形態解析は、コンピュータのプログラム内で歪みエネルギーが極小値になる形を求める、というような理論を自動化しているシステムです。私がデコボコ操作しているものは、手動という事です。
p.161
*身体化した上で操作をしていくこと、それとリアルタイムという事。思考のみで形をつくっていくこと、身体から形をつくっていくこと、二つの違い、重なり。

木格子を計算するプログラム
p.163

07 みつめる 満田衛資 選択の方法

断面サイズ、スパン、階高、使用材料、荷重条件などを全部数値化して、その数値の組み合わせ(数値群)で計算した結果、それらの不等式を全て満足している組み合わせ(数値群)、それが許容解です。
p.166


まずはっきりさせておきたいのは、このように構造設計は不等式の世界を扱っているという事です。
p.167

(えいせい掛川 設計:祐島典光)

「力×変形量の和」を「コンプライアンス」と呼んでいます。日本語訳すると「柔性」です。形態が変化しても荷重はほど一定ですから、「力×変形量の和=W」の値が小さいという事は変形が小さい
p.182
ひずみエネルギーと呼ばれているものも、コンプライアンスと比例関係にあるので、それを基準量にしても同じ結果が得られますが、僕は学生時代からコンプライアンスになじんいましたので、コンプライアンスの方を用いています。
p.182

「初期解依存」
p.182

そもそも、こんな感じのドーム形状のものを作りたい、というところを初期解にしているわけですから、その近傍において優秀な構造形態を導くには非常に有用なツールです。
p.182

☆☆☆
<瞑想の森>の時は、僕は直接形態解析などを担当していたわけではなく副所長という立場で見ていましたが、佐々木さんが大局的に抑えてしまっているとはいえ、伊東事務所から水勾配や設備機械の寸法などに関連して形状変更の要求が後から色々出てくるのですね。当時のプログラムはその変更の度に初期解からやり直さなければいけないものでした。
p.183
*プログラム上での操作の可能性。制約条件の設定の有無。設定の仕方。

☆☆
本質的な問題はコンピュータに「何を計算させたか」ということになるはずです。
p.186

感覚的な部分もあっていいと思いますが、力学は数字で表現できてしまいますから、論理に則ってきっちり計算して解いたものは合理的だと思いますが、それと単に計算しただけのものとは一線を画しておいた方が良いと思います。
p.186

☆☆
意匠の要求を丸呑みして、無理矢理に解析モデルを組んで構造解析を実行し、その結果に基づいて柱や梁に鉄筋を何本入れておけば基準法を満足してますよ、ということを構造計算書の中で示せていたとしても、それは、その建物が合理的・論理的な構造であるかどうかという事は全く別の次元の事なのです。計算機が発達して何でも計算出来てしまう時代だからこそ、より多くの人がこのことを理解してくれると嬉しいですね。
p.186

☆☆
満田:<瞑想の森>の場合は佐々木事務所の担当スタッフが優秀で、制約条件を入れずにある意味、職人的な技で伊東事務所側からの要求に対して有効な初期値を見つけていましたが、やり直し方そのものを簡単にするものも一つの手です。
p.187
*職人という位置づけがあり続けること。要求される技術の開発、マニュアル化と効率化、コンピュータへの技術入力、生産の変化。

☆☆
満田:このような形態解析を行う場合、職人的な技で取り込む事と、<えいせい掛川>の場合のように最初からプログラムに制約条件を組み込む事の違いは大きいと思いますね。
p.187
*最適化する方法をどのように制御していくか、誰のためのツールか?職人のためのツール?素人のためのツール?たくさんの彫刻刀を使って彫るのか、一本の彫刻刀で彫るのか、作家性と道具の関係は切り離せない。

拡張ESO法
満田:拡張ESO法で、出てくるような、少しオドロオドロしい形が世の中のスタンダードになるとはあまり思えないし、追随していく労力も半端ではないので、自分が手を染める事は多分ないと思います。
p.187

☆☆☆☆
小野:以前「一つのプロジェクトにおいて制約条件が最初から最後まで同じであり続けるわけがないことを考えれば、制約条件を最初に規定してしまう多目的最適化問題が建築の設計には不向きな手法」であると指摘されています。
p.187

☆☆☆☆
続けて構造家はその時点の状況から最終的な目的地まで「ナビゲーション」をすることが役割だとも仰っていました。
p.188
*ナビゲーション 創造性と人の脳

満田:法律はある条件の中で成立する話であって、実際には物は物理法則で壊れます。だからまず物理法則をちゃんと理解する。
p.190

構造計算はその事をイメージできるように手助けするツールのようなものです。
p.190
逆に怖いと思うのは近似的にモデル化したものが実態を完璧には反映できないのにそれのみを信じてしまった時です。
p.190
構造計算で大事なのは、自分が設定している仮定条件に対し「ここにはこれくらいの応力が発生しているべきだ、これくらい変形しているはずだ」と予測し、その予測とコンピュータの計算結果がきちんと対応しているかを確認することです。インプット、アウトプットともに適した感覚を持っていなくてはいけないという事ですね
p.190

建築は与条件を整理して答えを見つける行為だと思うし、構造が答えの見つけ方を与える事もありますが、条件整理まで構造側で考える事は違うと思います。「条件を整理した上で基本設計の初期から」が一番可能性が多く残ってますね。
p.192


08 <テクノロジー史概観> 今村創平 ポスト9・11テクノロジー

規制緩和で得られる自由と自己責任が今度の重要なポイントとなる。
p.198

ファシズムはというのは色々な言い方ができますが、基本的には部分がない全体と言えます。個別解がない。簡単に言うと色々な作品を作るのではなく、システムしかない。完璧なテクノロジー・システムを作ろうというのがファシズムの思想です。
p.199

ナチというのは間違っていたかもしれないけれど、ある意味でテクノロジーの使い方をすごく良く知っていたと言えます。
p.199

ところが現在のテクノロジーは我々の要求とは別のところで発達しているように思います。例えば歯ブラシなども、こういう歯ブラシ欲しいなと自分たちが考えなくても、お店にいくと次々と新しい歯ブラシが売られています。

設計と実物化のプロセスが同時に行われる、つまり建築家が建物の絵を描くと同時に、その形が生産されるシステムに直結するテクノロジーです。それは前回の産業革命に匹敵するぐらい変化であると彼は指摘しています。
p.204

ベルナール・カッシュ
p.204

例えば僕が何か新しいものを発想しても、出来上がるまでに5年かかる事も珍しくありません。しかしそれが建築独特の文化を創ったとも言えます。図面という文化はそういうプロセスがあるから必要になったのです。
p.205
つまり発想したものがすぐにできるものであれば図面はいらないのです。
p.205


今村:ブランドビルを設計する際にはフランスの本社に行って会長とかに会うわけです。その時点で既にコンペみたいな状態で、アイディアを出さないと負けるんですね。つまり最終的にどうなるかが向こうは欲しいのです。しかも昔と違って世界中の情報をクライアントは持っているわけですね。すごいスピードで、今誰が何をやっている、レムが何をやっている、ジャック・ヘルツォークが何をやっている、という事を良く知っている。そういうなかで常に最新のものを出さないといけません。しかも建築には遅れがありますから、2年くらい後に出来た時にでも最新になるものを要求されます。
p.207
*遅いスピードと同時に早いスピード。現在の「知」のありかた。
こういうものができる。これが2年後に一番新しいものだということを1週間以内に答える必要がある。
p.208

今村:ただ、作る側の立場から言うと、僕がパッと指示したらその場で模型が出来ているのは便利かもしれないけど、ものづくりにおいて時間がかかるという事は結構役に立つんですよね。模型があってそこに一週間置いてあったり、一ヶ月置いてあったりする間にこっちの頭を整理したり出来る事もある。住宅設計をしていると、図面で説明しても、クライアントには図面を読み取る能力がないのであまりよく理解出来ないですよね。でも一ヶ月くらい経つとその住宅がどういうものなのか少しずつ解って来る。コミュニケーションっていうと信号がこっちからこっちに単純に移動する事のように思えるけれども、そこに思考みたいなものが入ると時間の遅れにも価値があるのだと思います。
p.208
*思考の速度と計算の速度の違い、思考の意味と計算の意味の違い。

原始人が「うー、うー」とか言ってコミュニケーションしていたのを、わざわざ言葉を使ったり文章を書いたりそれを定着する事によって人は文化を創って来たのだから、全部なくして脳波だけでコミュニケーションできるようになったら、それは進歩ではなく文化的に退化する可能性があると思います。建築もそういう側面があるかもしれない。
p.208-209

僕の脳の考えている事がそのまま自然にダイレクトに、都市にダイレクトに影響するようになる事は、いままでそこに関わって来た文化が失われる。例えば、心の問題は今まで芸術で表していたかもしれない。それを作るという文化が全部失われる可能性がありますから、一概にいいとは言えないだろうし、自分自身で考えてもぞっとします。
p.209
*聴覚文化、視覚文化と、メディアの問題。


09 ふみこみ 有馬裕之 関与の方法

私は、テクノロジーは卑屈な習慣だと思っています。現代社会でテクノロジーに支配され、それに従う事についてです。
p.214

つまりジュエリーの意味とは、人の意識なのではないかと。そのためのプログラム作りを約半年必死でやって<ジュエリー・チャーチ>という不思議なインスタレーションを実現しました。その会社のジュエリーはほとんどネット販売なのですが、あえてそれを受け渡す場所、すなわち人と人がそこで会ってジュエリーでコミュニケーションする場所を作ったのです。それも仮説で。場所を選ばず全世界あちこちの場所でやりたいからです。
p.216


10 まとう 木村博昭 白髪誠一 連続の方法


住宅では鉄板1枚の空間ではとても住めないですよ。でも外側に塗るペイントが住宅に使えるほど性能のいいものであれば1枚板でいくでしょうね。
p.244

一つは、白というのは「形が出る」からです。それと白は熱に対して問題が少ないですね。反対に黒く塗ってしまうと余計に暑くなってしまう。だから今までの作品ではシルバーか白にしています。今の技術では黒で鉄は出来ないと思います。ペンキの質など、黒を可能にする材料が出来たらやると思います。
p.247


11 ぶつかる 重松象平 矛盾の方法

実は関西都市圏には常に興味を持っていたんです。大阪、京都、神戸、奈良など個性の強い各都市が繋がっている状況は、関東と比べてた要請に富んでいて、シームレスだと思うからです。
p.250

「\€$体制」進行の波が世界に押し寄せて来ると、社会と深く関わる建築家という職業もその影響を受けて当然です。歴史的に見ても建築は信仰と密接に関わっているわけですから・・・。
p.253

つまりディヴェロッパーが施主とのインターフェイスとなり、建築家が実際のユーザーと接しフィードバックを得る機会を奪ってしまう。これでは建築の質より経済原理の方が優先されてしまいます。
p.253

建築家も建築を超えた次元で状況をコントロールする術を体得し、市場経済の番人に対して機転の利いた対応をしなくてはならなりません。AMOは、建築家が「\€$体制」の圧力下で自己の職能の幅を広げ、多角的な表現力を得るメンタル・トレーニングのようなものかもしれません。
p.253

AMOは建築家の職能への危機感を示していると言えます。
p.253

☆☆☆
30年前、建築家は明らかに建築を作るエキスパートでした。しかし昨今、建築家が専門家として携わる領域は明らかに少なくなってきています。規範や予算にもよりますが、CCTV本社屋の計画を例にとると、従来の1.構造、2.設備、3.ファサード、4.音響、5.防火対策、6.照明、7.エレヴェータ、8.防水、9.土木、10.防犯、11.駐車場、12.交通、13.ランドスケープ、14.環境保護、15.サイン計画、16.インテリア、17.見積もり、18.テレビスタジオ、19.IT、20.舞台装置、21.ヘリコプター発着場、22.キッチンなど実に20以上もの領域でコンサルタント(エキスパート)が関わって来ます。
p.254

ここまで細分化されたエキスパートがいて、技術的専門領域はすべて彼らに任せてしまうと、建築家はテクノロジーとの接点を失ってしまいます。
p.254

☆☆
建築家は社会においてヴィジョンを示す職能も持っていたわけですから、AMOには
その接点の数を増やし、社会における建築家の役割を進化させる意図もあるのです。
p.254
AMOが最適な乗り方かどうかは疑問ですが、乗り方がどうであれ、時代の転換期においてコールハースが建築家の職能を進化させようと格闘している事自体に私は好感を持ちます。
p.254

アイコン建築
p.254

ビルバオ効果かどうか定かではないですが、OMAも1999年の<ポルトのコンサートホール>以来、以前のようなプログラミング中心の内向的建築だけではなく、形態を意識した建築を作り始めました。定かではないと敢えて言ったのは、OMAのアイコン建築はゲーリやザハのように、要領よく同じスタイルを世界中で増産するのではなくて、一つひとつ状況によって違ったアイコンをつくるからです。
p.255

このように(ドバイのように)都市化の需要と供給の順番が逆転すると、都市も建築も必要以上に奇をてらい、世界中にその魅力をアピールし居住者を募らなくてはなりません。つまり都市も建築もアイコンと化していくわけです。
p.257

アイコンが茶番化した都市で、建築はもっとベーシックに戻る必要があるのではないか。
p.258

ディベロッパー主導の集合住宅は経済と建築が直結していて数学的なためにほとんど全ての建築的要素において自由度が全くないということです。
p.263

でも東京にはあまりアイコン建築がありません。また、そのような欲望も昨今あまり感じる事が出来ません。他の都市が個性を競い合ってその結果逆に均質化しているのに対して、東京は究極の均質化を独自に進めたおかげで、結果的に今新しい中立性へと到達しているのでないでしょうか。
p.266

しかし、世界的規模での都市化のお祭りを体験した後で東京の特徴のなさを改めて見ると、その優れて技巧的な抽象性はある意味とても自然な都市や建築の状態なのかもしれないなと考えるようになったのです。もしかしたら、東京や日本の抽象性自体に可能性を感じているのではなく、その抽象性が新しい個性だと感じる事が出来るほど世界が変化していることに驚いているのかもしれません。
p.266

設計のスピードの問題。
時間をかけてスタディして、デザインしてようやく形を決めるという方法をしていると、コンペなどでは、早めに形を決めて図面の精度を上げているコーポレイトな事務所にかなわないのです。それで、ある時点からなるべく早く形を決めるよう自分たちでそう促したのです。最初はやはり難しかったですし、そうやると決めたからできるものではないと思っていたのですが、最近はみんな段々とうまくなってきましたし、これが意外と慣れの問題である事がわかってきました。
p.267

これだけいろいろなアイディアを思いついたぞというのは逆に決断力のなさや、スタディの弱さを露呈するものです。こんな面白いアイディアがこういうコンテクストでできたんだぞというような確信と興奮と論理が入り交ざった感じのコミュニケーションが一番効果的だと思います。
p.267

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