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自家不和合性コミュの花粉管誘導と自家不和合性

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柱頭に花粉が付いた(受粉 / 授粉)だけでは、種子は得られません。花粉は花粉管を延ばし(花粉管伸長)、花柱の中を誘導組織にそって胚珠の方向へ進み、一つの珠孔には、たった一つの花粉管だけが到達(多精拒否)し、花粉管の内容物が正しい位置で放出されることで、やっと受精に至ります。

ここで、正しい方向に花粉管が伸長し、その中で珠孔に到達する一つの花粉管が選抜されるためには、雌性配偶体と雄性配偶体との相互作用が必要です。

花粉管誘導には、どのような仕組みがあるのでしょうか? 花粉管誘引物質とはどのようなものでしょうか?

花粉管誘導は雌性配偶体と雄性配偶体との相互作用によるものだとすれば、自家不和合性表現の候補になります。

少しずつ明らかにされつつある「花粉管誘導」とその際の雌性配偶体 - 雄性配偶体間相互作用について考えてみることにしましょう。

       http://www.jst.go.jp/pr/jst-news/2009/2009-06/page05.html

コメント(6)

多精拒否

「多精拒否」は、本来は動物の受精時に発揮されるメカニズムに対しての呼称です。花粉管誘導を話題にする時の「多精拒否」とは、珠柄を通って雌性配偶体に向かう花粉管の数が、1本だけに限られる現象のことを言います。

図は2000年の時点のもので、2つの多精拒否メカニズムが想定されて説明されています。図の左が受粉済みの柱頭、花粉管の束が通っている左右に伸びるものが花柱、花柱から雌性配偶体に至る柄の部分が珠柄です。

メカニカルモデルは、物理的に1本の花粉管しか通過することができない珠柄による多精拒否、走化性モデルは、動物の受精のように、1本の花粉管が雌性配偶体に到達すると、他の花粉管の到達を阻害する、もしくは、ただ1本の花粉管だけが到達するようなシグナリング(相互作用)による多精拒否です。

多精拒否の失敗は、すなわち花粉管誘導の失敗であり、せっかく途中まで上手く花粉管誘導がなされても、終盤で多精拒否に失敗すると後代を得ることができません。
magatama(maa)突然変異体

花粉管誘導に失敗する例の一つにmagatama突然変異体があります。magatama突然変異体では、雌性配偶体の成熟に異常が認められ、花粉管誘導に失敗します。magatama突然変異は、親でなく、雌性配偶体において発現するので、magatama突然変異体の親の雌性配偶体のうち、おおよそ半数は正常で、残りのおおよそ半数だけにmagatama突然変異体としての表現を見ることができます。

"magatama" は、胚珠の形が「勾玉」を連想させることに由来したもので、日本の研究者「清水健太郎」らによって命名されました。

1枚目の図のAが正常な雌性配偶体のもので、花粉管は、珠柄(f)に沿って伸長し、珠孔近くで向きを変えて、迷わず珠孔(m)に侵入しています。Bはmagatama1(maa1)突然変異が表現された雌性配偶体のもので、多精拒否に失敗して多くの花粉管がやって来てしまっている上、珠孔(m)に侵入できずに迷走しています。

2枚目の図は、多精拒否には成功したものの、珠孔に侵入できずに迷走しています。

3枚目の図は、magatama突然変異体の名前の由来となった「勾玉」です。
feronia(fer)突然変異体

FERONIA(FER)は、レセプター様キナーゼで、この突然変異体は花粉管誘導に失敗します。図のBは野生型(正常)のシロイヌナズナのもので、矢印のように、花粉管は雌性配偶体の助細胞に到達しています。Cはferonia突然変異体のもので、三角矢印のように2本の花粉管が雌性配偶体に到達してしまい、多精拒否に失敗した上、赤矢印のように、雌性配偶体に到達してもなお、精核を放出することなく、花粉管伸長を続けてしまっています。
MYB98

MYB98は雌性配偶体の助細胞において特異的に発現する転写因子です。MYB98をノックアウトしてしまうと、助細胞の特に繊形装置に異常が認められるようになり、この雌性配偶体は花粉管誘導に失敗します。

図は、花粉管ガイダンスの様子。Aは野生型(正常)の雌性配偶体のもので、花粉管(pt)は、珠柄(f)に沿って、珠孔(mp)に侵入しています。BはMYB98をノックアウトしたmyb98-1(イタリック)の表現型、花粉管(pt)は珠孔(mp)に侵入せずに迷走しています。Cはmyb98-1(イタリック)の表現型、pt1からpt4まで4本の花粉管が到達してしまった上、珠孔(mp)への侵入にも失敗しています。Dはmyb98-1(イタリック)の表現型、pt1は珠孔(mp)に侵入したものの、pt1からpt4まで4本の花粉管が到達してしまい、多精拒否に失敗しています。バーは25μm
花粉管誘引物質「LURE」の発見!

世界で初めて、日本の研究者によって花粉管誘引物質の1つが発見されました。このトピックの最初の記述でリンクした6月1日付JSTニュース記事がそれです。

雌性配偶体の助細胞特異的に発現するシステインリッチポリペプチド(CRPs)であるTfCRP1およびTfCRP3の2つがそれで、TfCRP1はLURE1、TfCRP3はLURE2とそれぞれ名付けられました。システイン(アミノ酸)に富むポリペプチド(アミノ酸の重合体、タンパク質もポリペプチド)には、生体情報分子として機能するものが多く、身近な所では、アブラナ科植物の自家不和合性における花粉側S因子であるSP11/SCRがまさしくそれです。

LUREは、花粉管の先端が雌性配偶体近傍までやってきた時、すなわち花粉管誘導の最終局面で重要な役割を演じます。

図は、合成LURE1およびLURE2を用いて、世界で初めて人為的な花粉管誘導に成功したものです。aはLURE2を用いたもので、00:16の時に*のポイントにLURE2が含まれたゲルビーズを滴下した所、約10分後の10:08には、見事にそのポイントに花粉管の先端が到達しました。さらに10:20に改めて別のポイントにゲルビーズを滴下した所、16:05にはそのポイントに花粉管の先端が到達しました。バーは20μm

dおよびeは、LUREの花粉管誘因効果の濃度依存性、特異性を表しています。LURE1およびLURE2には、それぞれ誘因効果を発揮するのに適した濃度があること、熱変性により失活すること、誘導組織に沿って花柱の中を伸長してきた花粉管にしか効果がないこと、別の種であるLindernia由来の花粉管に対しては誘因効果を発揮しないことを示しています。
5番目のレスで、ゲルビーズを「滴下」と表現しましたが、レーザーマイクロインジェクターによるものですので「射出」のほうがイメージしやすいかも知れません。「滴下」を「射出」に訂正させていただきます。

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