つまり、イギリスでは公共医療制度では国民1人1人は1人の GP(一般医、ホームドクター:とりあえずまずこの GP の診察を受けてから、必要に応じて専門医が紹介される仕組みです)にしか登録できませんし、その GP がいる医院 (surgery) が小規模で1人のGPしかいなければそのGPにまず診察を受けることから医療行為が始まります。もっとも surgery の規模が大きければ、複数の GP がいるので自分の登録していない GP の診察を受けることも普通です。
ところで市民病院のようなものというのが実は私にはイギリスとの比較でよく分からないのですが、イギリスにももちろん大中規模の病院はおそらく日本並みにあります。決定的な日本との違いは何度も繰り返すことになりますが、そこに GP の紹介なしに患者が直接診察を受けに行くことができないということです。そしてその予約のために恐ろしく長期間にわたって待たされることも日常的だということです。また、<306>でも書いたように GP が複数いる大きめの surgery は日本でいえばそこそこの規模(中規模)の病院のような感じでもあります。という意味では「市民病院」らしきものとそれを言ってもいいのかも知れません。ここでも、また、ただしとなりますが、それはあくまで病院ではなく、surgery ですので専門医がいるとは限りません。やはり、必要に応じてそこから専門医のいる病院を紹介される訳です。primary care と secondary care がかなり厳密に分かれているということです。
自殺を予防する自殺事例報道のあり方(じさつをよぼうするじさつじれいほうどうのありかた)は、2000年に『自殺予防に向けた学校の教職員のための資料』(Preventing Suicide, A resource for teachers and other school staff)と同時に発表された自殺防止を目的にした世界保健機関(WHO)の勧告である。