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林檎亭 別館 『花林檎』コミュの枯れ井戸スコップと泥屋主水とグミの木 

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 林檎亭物語劇場です!

 皆さんの参加でお話が作り上げられていく
 ネバーエンディングストーリーです!

コメント(14)

ナンとでも2006年05月25日 01:18
工場長は、主のお願いを心よく引き受けてくれました。「但し、条件があるよ。その宝石の中で、君が一番好きだと思うものをこの工場に置いてってもらおう。いいかい、一番好きだと思うものを、だよ。」
主ははたと困ってしまいました。それらの宝石はどれもこれも美しくて、順番なんかつけられなかったからです。


さあ、どうする!?

ourin (雅号)2006年05月25日 02:39
主は、とても困りました。
宝石は、自分のために持って帰る為のものでは無かったからでした。
赤い宝石は可愛がっていた犬のお墓をつくるため。
青い宝石はお世話になった人たちへの今迄のせめてものお土産代わりに。
そして黄色い宝石は主の友だちの病で待ってる友だちへのおくりものでした。
主は困りはてました。どの宝石もけっして置いて帰るわけにはいかなかったからでした。何度考えても苦しくて、悲しくて出来ません。涙がこぼれて泣いていました。
そして、気がついたのです。
これらの宝石を井戸の外で待ってる人たちに届けることが出来るなら、主はこの宝石のかわりに自分の命でも置いていくからと告げました。


この続きは再びりりさんへお願いします。
りり2006年05月25日 11:21
むむむ・・むじゅかちぃなあ。

工場長は、にっこり微笑んでこう
主に告げたのです。


・・・・・続きはね。由良さん助けちくりぃ。

白羊妃2006年05月25日 13:28
「ほら、新しい宝石が生まれたよ」
主は、驚いて工場長の差し出した手の中を見ました。
キラキラと、その宝石は工場長の大きな手の中で輝いています。
「光にかざして、よく見てごらん」
主は、手渡された宝石を光にかざして見ました。

それは外のどの宝石とも違っていたのです。
様々なたくさんの綺麗な色が、光ながら踊っています。
少し手が動くと、その輝きの踊りはまったく違うものになりました。

その輝きの中に、一瞬、あの大切な犬の元気な姿が見えた気がしました。
なつかしい気持ち、温かい気持ちが胸いっぱいに広がって、主は悲しい気持ちも忘れました。
それはそれは不思議な輝きでした。

「この宝石は君の涙から生まれたんだよ。君の心や幸せな記憶が映るんだ」
工場長は、こう続けました。

「これは、君の一番好きだったあの犬との記憶が写っているね。君の命の欠片なんだ。君は命を置いていくと言った」

主は工場長の言葉を理解して、こう言いました。
「この宝石にします!この宝石を置いていきます!」

大きな拍手と喜びの声が聞こえてきました。
遠くから心配そうに見守っていた蛙達です。

工場長は、緑色の毛皮のポシェットを、主の肩に掛けてくれました。
ourin (雅号)2006年05月25日 23:29
地上へ戻る為に主は網を登り始めました。
井戸の底へ降りた逆です!どんどん登り鉱石のとれる岩山にさしかかりました。辺りを見回し乍ら行くと、ある白髪のお婆さんが畑らしいところで切り株に腰掛けてました。
主は、お婆さんに尋ねるのです!
「お婆さんこの畑は、何が育っているのですか?」お婆さんは、答えました「私の若いときの思い出じゃよ」
主はすこし驚いて、「その思い出はいつ収穫出来るのですか?」と聞き返しました。
「お前さんが、通りかかった今じゃよ」と答えるが早いかみるみる土から双葉が出たかといるやいなや大きな栗が実ったのです。

りり2006年05月26日 02:00
由良さん
 スッスゴイ・・・・
 言葉失いそう。
 出版しようよ、この絵本。
 素敵というありきたりな言葉でしか褒められないのが残念。
  
りんごちゃん
 ままま・また広げましたね。
 股ではないですよ。

白羊妃2006年05月26日 02:56
りりちゃん、ありがとう m(__)m

さぁ、続きはりりちゃん行ってみよう〜〜!

心に絵本を描いてそれを読む。
そうして言葉にするの。

主くんを、友達に会わせてあげなきゃ!
黄色い宝石を持っていかなきゃ!
あお☆2006年05月26日 08:23
初めまして♪
りりさんのところから来ました

写真も綺麗だし、みんなで繋げる話も素敵♪
みなさん素敵ですね、なんかカッコイイ♪

ourin (雅号)2006年05月26日 09:20
ようこそ! あお☆さん 
りりさんのお友だちですか!それはそれは、よく御出で戴きました。

ナンとでも2006年05月26日 10:47
ひゃあ。繋がってますね〜!由良さんもりりさんも素敵なお話です。林檎亭のご亭主、いかがなさる?

ourin (雅号)2006年05月26日 11:28
栗の実は、いがからはじけて沢山、土の上に落ちていました。その中にひと際りっぱな1粒の栗の実がありました。お婆さんは、主にその実を拾って手渡しました。手の上で栗の実は光に変わり眩しくて目を開けられません!辺り一面輝きに包まれそして主が目をこすり乍ら開けるとそこには、懐かしい生まれた当時の林檎亭の光景とにこにこ笑顔の祖母が立っているではありませんか。
主は、驚きと懐かしさと嬉しさで涙を落としました。
涙が土に落ちると、また辺り一面光景が変わりここに来たあの畑と切り株だけの場所に戻っていました。

ナンとでも2006年05月26日 11:52
お祖母さんはもうどこにもいません。しかし手には、一粒の栗の実が残っていました。そして、切り株には可憐な、若芽が一本伸びていたのです。若芽は、柔らかそうな、ほっそりとした芽をぐんぐん伸ばしていきました。主が見つめていると、それはいつのまにか、主が昇っていた綱にかわっていました。
主は肩にかけた緑の毛皮のポシェットに栗の実も入れ、またも綱を昇っていくのでした。

ourin (雅号)2006年05月27日 05:59
やがて、何だか賑やかな唄声とも笑い声ともつかぬ幸せに溢れた大きな城の入り口にたどり着いたのです!その入り口の門には、「蛙の王国」と書いてありました。そうです!毛皮工場での出来事を遠くで応援して拍手を送ってくれた蛙達の国なのでした。
門をくぐり、お城に向かって行くと大きな大きな湖とも池ともつかぬ美しい水をたたえた場所へさしかかりました。
その池とも湖ともつかぬほとりで主は立ち止まり、水面を覗き込みました。するとどうでしょう!水の底の方の深い深いず〜っと下まで見えるではありませんか!その水の中には、楽しげに踊りを踊る蛙や、賑やかに騒ぐ蛙もいるではありませんか。
まるで、自分達と同じ人間のようでした!その蛙達の中に何やら光るものが見えているのです。主は目をこらしてよ〜く見ると、それは銀色に輝く笛だったのです。その笛を蛙が吹き出すと水の中に不思議な事に七色の虹がかかったではありませんか!そして、銀の笛の音が金色や銀色に変わって水の中はさながら天国ではないかと思える世界になったのです。
ナンとでも2006年05月28日 00:14
主は水底の世界にみとれて乗り出しすぎ、チュポン!水の中に落ちてしまいました。蛙たちが優雅に泳ぐその水の世界は、笛の音色も鮮やかなリボンとなって水面へと立ち上ってゆくのです。蛙たちは水の中の主に、「けろけろ」と手を振ってくれるのでした。
主は蛙の振る手の方へ、リボンの立ち上る水面へ向かおうとしました。ところが、いくら水を掻いても掻いてもどんどんと水の底へとしずんでいくのです・・・!それも、頭を水の底へと向けて、緑のポシェットの口も、水の底を向いています。
「どうしてだ!?私は上へ戻らなくてはならないのに。」主は心の中で叫びました。ところが、心の叫びは、水の中では音になって響いてしまうのです。音になった主の心の叫びを聞いたのか、蛙たちが「けろけろ、けえろ」と鳴いています。その鳴き声は、主の頭の中に直接響く声になり伝わりました。「上ヘ行クニハ下ヘ沈ムコト」「ソレガ近道ダ」「ソレシカ元ノ世界ヘ戻ル方法ハナイ」
主は「まさか!」と叫びました。すると打てば響くように蛙の声。今度は肉声です。「まさか、さ。」「まさかさ」「まさかさま」「さかさま」「さかさま」・・・。
気がつくとそこは、

さあ、いよいよ大詰めですよ〜。どなたか締めて下さい!

白羊妃2006年06月06日 05:27
青空の広がるあの主の庭でした。

真っ赤なグミの実が風に揺れています。
明るい日差しは、庭の木々の葉をキラキラと照らしています。

主は大きく息を吸い込みました。
胸いっぱいに広がる庭の爽やかな空気に、
主は嬉しくなりました。

主は、ゆっくりと立ち上がりながら、
あのことは夢だったのだろうか?
と、考えました。

そして、ドキリとしました。
あの宝石は?
赤や青や黄色の宝石は?

主は肩にかけた緑の毛皮のポシェットに気がつきました。
「あぁ、よかった、本当だったんだ」

主は緑の毛皮のポシェットの中を見ました。
赤や青や黄色の宝石はちゃんとありましたし、栗の実もポシェットに入っていました。

けれども、奥にはまだ何か入っています。
取り出してみると、大きな大きなダイヤモンドでした。

それは主の涙から生まれたあの宝石です。

「工場長、ありがとう。。。」
主はつぶやきました。

お日様にかざしてみると、やはりあの時と同じように様々なたくさんの綺麗な色が光ながら踊り、その不思議な輝きはますます主の心を懐かしさや温かい気持ちで満たしてくれるのでした。

主は、井戸の中に大きな声でこう叫びました。

「みんなぁぁ。。。ありがとうぅぅぅ。。。」

枯れ井戸には、主の声が響きました。
すると小さく微かに「ケロケロケロ。。。」と聞こえたような気がして、
主はちょっとだけ泣きそうになりました。

「さぁ!忙しくなるぞ、みんなに届けに行こう」

真っ赤なグミの実は静かに静かに風に揺れていました。


*枯れ井戸スコップと泥屋主水*<そしてグミの実>

ourin (雅号)2006年06月06日 10:25
第1話 完結。

次は第2話に入っていきます!
ty!整理しときます。
 ・赤い宝石は可愛がっていた犬のお墓をつくるため。
 ・青い宝石はお世話になった人たちへのお土産代わりに。
 ・黄色い宝石は主の友だちの病で待ってる友だちへのおくり物
 ・林檎亭での祖母達との思い出の詰まった栗の実
 ・主の涙から生まれた大きな不思議なダイヤモンド


 
 

ourin (雅号)2006年06月06日 11:37
主には、幼い頃
『チビ』と云う名のうしろ足の片足が不自由な犬がいました。
主とチビは親友でした。毎日どこへ行くのにも一緒です。チビは、不自由な足で懸命に主のあとを追ってついて行きました。
時にはよその犬に追われ、いじめられそうになりながらもいつも遊んでいました。
やがて、チビは母親になりました。
小さい体でしたが、3匹の子犬を生みおとしました。その1匹を『ひち』と名づけて一緒に暮らしていました。ある日主がいない間に母犬のちびがいなくなってしまったのです。主は悲しくて、あちこち探して回りました。しかし、ちびは戻って来ませんでした。
ひちは、大きく成長して立派なメスの犬になりました。
幸せに日々は過ぎ、ひちは天国に召されました。ひちにも、『チャメ』と云うオスの子犬が育ちました。チャメはとてもけんかの強いしかしやさしい犬に成長したのです。
それから、幸せの日が何年も何年も過ぎやがてチャメは年老いてゆきました。そして、お別れの日がやってきました。チャメは主の顔をみつめ、ありがとうと云うかのように『くぅ〜ん』と一言啼いて天国に召されたのです。
チャメのお墓は、林檎亭の庭の片隅にそっとつくりました。
けれどそれは、土に還しただけのお墓だったのです。
主は、そこに1粒のグミのたねを播きました。

白羊妃2006年06月06日 13:18
グミのたねは、芽を出し双葉から本葉になりました。

主はなんだかチャメが帰ってきたような気持ちがして、毎日世話をしました。
水をやったり、肥をやったりと、主は楽しくてたまりませんでした。

朝、目が覚めると挨拶がてら様子を見に行きました。
「おはよう。今日もいい日だ」

日差しの強い時には日傘を、雨の降る日には傘を差してやりました。
「ぐみの木、大きくなるんだよ」
主は優しく話しかけました。

そんな主の気持ちが伝わったのでしょうか、ぐみの木はずんずんずんずん大きくなっていきました。

そうしていつのまにか主の背丈を越えて、緑の葉を茂らせました。

ナンとでも2006年06月06日 13:37
緑の葉は薫る風に揺られ、こもれびをあおく染めるのでした。その揺られ方はまた、チャメがうれしそうに振っていたしっぽみたいでした。
グミの木はたいそう立派になりました。しかしなぜか、実をつけないのです。チャメの分身のようであるだけに、実をつけないのは主には悲しいことでした。



ourin (雅号)2006年06月06日 14:16
その晩
主の夢枕に、昔飼っていたあの犬達が立ったのです!
片足の不自由なチビ、その隣にはチビとよく似たひちが生前よく遊んでた時のように人なつっこく舌を出してこちらに笑いかけてるようでした。そのまた隣には、ひと際立派なあのけんかの強くてでも主にはとても従順だったチャメがやはりこちらに何か言いたげな様子で立っていたのです。
その犬達のうしろに、何だか美しい景色の色とりどりの花畑を背にして、白い人影がうかんでくるではありませんか!
主は、夢の中で声をかけました。
『あの〜この犬達は昔僕が飼っていた友達です』白い影は、少しゆらいだように見えましたが何も答えません。
『こうして、この犬達がそろって会いに来てくれてとても嬉しいのです。』主は、揺らいだように見える白い影にむかいそう語りかけました。影の足元では、犬達も楽しそうにじゃれ合ったり時々こちらを見ては幸せそうに首を振っています。

ourin (雅号)2006年06月15日 03:44
白い影は、ゆらゆらと心地良さそうに揺らぎながら犬達と遊ぶかのように見えました。
また犬達もその揺らぐ白い影に、安心しきった表情を見せながら楽しそうにしています。
主は、それを見て涙があふれました。幼い頃から一緒に遊んだり、いつも一緒にいた家族同然の犬達だったからです。
こうして、夢のなかで会えそしてもう、ず〜っと昔に別れているはずの犬達があの頃のままの姿で居てくれたから何だか幸せとなつかしさで胸がいっぱいになったのでした。
涙をぬぐおうとしたその時に、目がさめました。主は、幸せなこころに満たされていました。しかし、あの白い影は一体だれだったのか?不思議となつかしさに包まれた心地良いさわやかさが、やさしさが今でも残っているようでした。
主は、朝日のなか庭に出てあのぐみの木のそばにやってきました。すると驚いたことに、きのうまで実を一つもつけていなかった緑の葉の一面に、まるで真っ赤な宝石のようにたわわになっているではありませんか。
その時どこからともなくやわらかな風がぐみの木を揺らしたのです。そして、『僕たちは、幸せだったよ。』『いつでも、一緒だよ今でも。』『だから、あの赤い宝石は何かに使ってね。』『このぐみの木が、僕たちのかわりだよ。』
そう聞こえました!
ナンとでも2006年06月16日 21:52
第二話終了、ですか?では。

主は赤いぐみの実を眺めながら、庭で焚き火をしていました。それは、完成しなかった絵や、全うできなかった書の数々でした。踊るほむらは、昼間の明るさの中では、ひ弱な、おとなしいダンサーのようでした。哀れな反古たちがほむらを踊らせているのを、主はものうく眺めていました。


ourin (雅号)2006年06月24日 05:47
と、一つのほむらが踊りながらその焚き火の中から飛び出しました。
その小さなほむらは主の周りをしゅるしゅるくねくね!と、まるでベリーダンスを踊るアラビアンナイトに出てくる踊り子のようでした。
しゅるしゅるくねくね小さなほむらは楽しそうに、しかしどこか悲しくも見える不思議な感じで踊るのでした。だんだん踊りはその速さを増して、明るく輝きながらその大きなほむらの輪は主を囲む形になりました。
そのほむらの立つ様子はまるでスクリーンのように何かを?映し出したのでした。
あたりがなにやら明るさをまして、それに少し暑く感じてきました!?
蝉の鳴く音がしています。ミ〜ンミ〜ンミ〜ン、ミ〜ンミ〜ンミ〜ン!そしてそこは、青い海です。向こうに小島が見えます。
きれいな水の透き通った波が押しては返し、返しては押し。白い泡のような波紋でくり返しています。
白い砂浜に一つのあかい日傘がとおくに見えます。ポツンとかげろうのなかでゆらめきながら。
主は不思議とこの場所にどこか覚えてるなつかしさを感じながらその赤い日傘の方へ歩いていきました。
左手に見える大きな島と、その向こうに少しかすむ小さな島かげが青い海の色にまるで浮かんでいる船のように思えました。
すると、どこからともなしに主に聞こえてくるメロディーがありました。頭の中なのかそれともとお〜くからしているのか。

ourin (雅号)2006年07月04日 06:14
このメロディーはなにやら英語の歌詞で、唄っているようにだんだん赤い日傘に近づくにしたがいはっきりしてくるのです。
青い海からの心地よい風に吹かれながら、赤い日傘にだんだん近づいきました。
そうして日傘をもつ白い手が見えてきます。メロディーを口ずさむ薄いピンクのくちびるも、やがて肩になびく少し茶色いやわらかな髪がみえています。しかし顔は、傘にかくれてて見えないのです。と、その傘のなかの女性らしき人が口ずさんでいた英語の歌を止めたのです。
そして、こちらに気付いたように軽く赤い日傘を上げて目をむけました。その目は青い青い美しい海のような輝きを放っていたのです。ふしぎなことに主はその人になつかしさを感じています。
その赤い日傘の女性はやさしくほほえんで主に語りかけました。「お帰りなさい!」主は思いがけずびっくりしてその女性の顔をまばたきしながら見つめました。
何度も目をこすりよ〜くその美しい女性に見入ると、心がやさしくみたされてゆきました。青い海はひときわその美しいエメラルドのような深い青にかわり、きらきらと光の宝石のつぶがたくさんまるで光の国にでもいるように輝きだしました。

ourin (雅号)2006年07月09日 05:43
そして、そこは今し方の風景ですが。すこし何かがちがうような気がしたのです。さっきいた赤い日傘の女性はいなくなり、そこには子供や大人やすもうとりまでもがいたのです。そして、みんなは海で楽しそうに泳いだり浮き袋につかまったりしながらさわいでいるのです。
砂浜では、大きなすいかを割ろうとしているタオルで目隠しをした子供やそれをはやし立てている大人や吠えている犬もいます。
少し遠くのところには、なにやらステージみたいな場所が見えています。そしてそのステージの上ではにぎやかな音楽に合わせてダンスが踊られそれを楽しく見たりいっしょに体をゆする大人や子供や赤ちゃんの姿も見えているのです。
と、一人の男の子が主に向かって『あの飛び込み台まで泳げるかい?』と聞いてきました。主は『遠くて深そうだね!?』と答えると『僕はうきわが無くても泳げるよ!』そして『ここで一生けんめい泳ぎを練習したんだ。』そう得意そうに、そして少しはにかみながら言いました。
主はこう言いました。『じゃあ、今からあの飛び込み台まで二人で泳いで行こうよ。』『飛び込み台に着いたら、一番上から飛び込むんだ。』男の子はうれしそうに『よーし、まけないぞー!。』と言うがはやいか海に向かって走り出しました。
そして、主と男の子は少し白い波立つ海を飛び込み台まで泳ぎ出しました。
あいかわらず、白い砂と心地よい風は浜辺ではしゃぐ人達をやさしく吹いていました。
ourin (雅号)2006年07月20日 05:18
波の間を二人は一生懸命に泳いでいきます。
すこし疲れたら仰向けになって波に体を任せ、まるでクラゲのようにふわふわと浮いてるだけで空を眺めていました。
かおだけが海面に浮かんでて耳もとは波の上と下に出たり沈んだりで、風の音や波のちゃぷちゃぷと心地よい音が伝わってきます。
青い青い空は白い夏の雲を輝かせるように、ひと際明るくまぶしいくらいに太陽と光を放っています。時おり白いカモメが風にのって、男の子と主の真上でホバーリングするかのようです。
波が耳にちゃぷんとあたるとそれはまるで子守唄のように心地よい感じです。目をとじるとカモメ達の声も聞こえます。
なにやら、話し声とも唄声ともはっきりしない何かが聞こえて来ます。『おかえりなさ〜い』『おかえりなさ〜い』だんだんはっきりと聞こえてきました。しかし辺りを見回してもそこは相変わらずの海の波のあいだなのです!主は不思議に思いながらまた、泳ぎはじめました。目の前には飛び込み台がずいぶんと近くに感じられる姿で現れています。ふと、男の子の方を見ると波の間を白い腕がボートのオールのように見えました。ちっちゃくて、ぎこちなくこぐようにしきりと動いています。頭がその間を見え隠れしています。すこし泳いだところで飛び込み台の大きな黒いはしごのような鉄塔のようでもあるような姿が見えてます。

ナンとでも2006年07月21日 01:28
鉄塔に見えたものは、近づいてみると、うろこのようなもので覆われ、風ではなく自分の意志でゆらゆら動いているのでした。「おかえりなさい」の声は今や音ではなく、直接胸の中に頭の中にひびいてくるのです。主は心臓を不意につかまれたように、不安になりました。(そうだ、男の子は?彼は大丈夫かな?)主は、この不気味な感覚の中で、一緒に泳いでいた男の子の身が心配になりました。主が男の子のいた方を向くと、男の子はいません。かわりに、青銅のようなつややかな肌の青年がいました。青年は、主よりもはるかに力強いフォームで目の前の鉄塔・・・いや、ウロコに覆われた不思議なものに向かっています。よくよく見ると、青年の肌と、ウロコの物体は、全く同じ色をしているのです。

ourin (雅号)2006年07月31日 07:09
少しして、その青年は飛び込み台とも鉄塔ともつかない!?ウロコの物体に登っていきました。
主もやっとそのウロコの物体に泳ぎ着きました。そして、その鉄の取手階段に手をかけ登り始めるのでした。すると、そのウロコ鉄塔はゆらゆらとまるで大男が体を揺らすように揺れるのでした。しかし、不思議と嫌な揺れ方ではなく何だかゆりかごみたいなやさしさでした。近くで見るとそのウロコ鉄塔は、かなり大きなものでした。浜辺から見ていたあのなつかしい飛び込み台には似ても似つかない大きな生き物のようなものでした。
主の登るその先には、青銅色したあの青年がゆっくりとこちらに振り向きながら登っています。その顔は、やはりあの少年にどこか面影があるものでした。しかし、一体この飛び込み台とも鉄塔ともつかないウロコの生き物のようでもあるのはどういうことだろうと主は考えながらいました。

ナンとでも2006年08月02日 02:47
主が鉄塔(のようなもの)の階段を、中ほどまで登ったときです。青銅色をした青年が、ふいに姿を消しました。主はぎょっとしました。姿を消したとき、同時に、鉄塔がビクンと脈打ったように思ったからです。主はそのまま、青年が姿を消した辺りまで登っていきました。そしてふと、海面を見下ろすと、海面がずいぶんと下のほうに見えるのです。「こんなに登ったかな?」主が首をひねっている間に、また一段と海面が下になったようでした。主は胸がざわめくようで、海面から無理やり目をそらし、鉄塔のウロコ様のものを見ました。青年が消えたちょうどその位置に主はいました。すると、そこのウロコは、主が覆い隠れてしまうほども大きく、他のウロコとは逆向きについているのです。さらにその大きな逆さまウロコは、海の色を溶かし込んだようなエメラルドがくっついていて、主の影を映しているのでした。主は信じられないことばかりが起こるので、不安は徐々にひいていき、かわってワクワクした気持ちがわいてきました。ワクワクした気持ちでエメラルドを見ていると、そのエメラルドは、逆さまウロコがドアだとすると、ちょうどドアノブのような位置にくっついていることに気づきました。

ourin (雅号)2006年08月09日 02:36
そのノブのようなエメラルドをにぎって主は手前にひっぱってみました。するとどうでしょう!逆さまウロコはやさしく開きまるで主をまねき入れるように入り口を開けたのでした。中は暗そうに見えるのですがよ〜く目をこらして見ると青くきらきらと輝くそれは美しい部屋のようでもありまるで教会の礼拝堂でもあるかのような広い場所でした。壁のようなところにはステンドグラスのような青い宝石や赤や黄色の輝く美しいものが無数にちりばめられていました。
少し進むと正面らしき壁の上にひと際大きく輝き光る宝石が見えました。その時主はふいにはっと心にある事を思い出しました。ここは、何故か以前来た事がある少し懐かしく悲しくそして幸せに包まれている。そう感じたのでした。あの青い宝石!枯れ井戸の底で手にして持ち帰ったお世話になった人達へのみやげの宝石!主は何故だか涙があふれてました。よろこびやうれしさやそんな何とも云えない幸せな懐かしい心に満たされていたのでした。気がつくとあたりにひとらしき影が見えます。静かになにやら音楽も流れています。チェンバロかパイプオルガンのひびきなのか心にしみいるひびきです。その時青い大きな宝石がひと際輝きあたり一面を青い光の粒でいっぱいに照らしました。そして、その輝きが少し目に慣れた瞬間あの人影ははっきりと現れたのでした。

ourin (雅号)2006年08月16日 04:06
その人影は、浜辺で赤い日傘をさしていたあの女性でした!
『おかえりなさい』そうやさしく言いました。主は、不思議とやすらいだ気持ちで自然に言いました。
『ただいま』自分でも不思議なくらいに、やさしさに包まれ口をついて出た言葉でした。
『あの〜どこかで、お会いした事がありますか?』
主は、その女性に聞きました。
『ええ』女性は、やさしくほほえんで答えました。
その微笑みが、主は見覚えがあるようでしかし思い出せないのです。
その時、どこからともなく音楽が聞こえてきました!すこし、聞いているとその曲は英語の歌詞なのか?だんだん耳に伝わってくるではありませんか。
そうだ!ビートルズの曲だ!こころの中で主は叫んでいました。
っと、その女性は青い目をしていた姿からベールを落とすように透明の何かが落ち、そこには見覚えのあるかおの女性が立っていました。

ourin (雅号)2006年08月31日 02:25
『みっちゃん?』
主は、少しおどろきながらよびました。その女性は、やさしくほほえみながら頷きました。
『おかえりなさい』今さっきまでの女性がどこかで会った事のある感じがしていた砂浜のあの赤い日傘のすがたで言ったのです。
主は思い出していました。
それは、幼なじみの病気がちの少女みっちゃんのことです。いつも部屋の窓から主のすがたを見ていて時にやさしくほほ笑んでいた白いねまきを着た少女です。みっちゃんは生まれつき体が弱く学校に行く事が出来ずに家の部屋で寝ていたのです。
主は窓越しに、春には田んぼのれんげ草を摘み花束にして彼女に届けていたのでした。彼女の家にはレコードプレーヤーがあり、いつも英語の曲が流れていました。あのビートルズの曲だったのです。みっちゃんは、病気がちの少し白い顔で静かにしかし少しだけ体でリズムをとりながら聴いていたのです。

ourin (雅号)2006年09月08日 04:55
いつも、学校の行き帰りに彼女の部屋の窓の下を通っていました。
学校であったその日一日の事を、話してあげるのがその当時の主の日課だったのです。
時々、主は学校の給食のコッペパンを食べずに持ち帰り。イチゴのジャムやマーガリンを添えて彼女へのおみやげ替わりにしました。
いつもみっちゃんは、弱々しい笑顔で『ありがとう』と言いながら少しだけ口にしていました。主にみっちゃんは、ある時こう話しました。
『わたし海がみてみたい、一度でいいの』
主は『そうだね、僕と一緒に行こうねきっと』その時主の心の中にはみっちゃんと主が、海の青い水平線や白い砂浜を笑いながら楽しくはしゃぐ姿がはっきりと浮かんでいたのでした。
砂浜で、砂のお城をつくり波にくずされたり。波打ち際で水しぶきを上げ、服がびしょぬれになるくらいにはしゃぐのです。夕陽が水平線に沈むまで笑いながらたのしく過ごすのでした。

ourin (雅号)2006年10月11日 06:51
夜には浜辺で花火をして遊ぶのでした。
色々な種類の花火をしていると時間をわすれてずうっといられたのです。花火の中でも線香花火は、みっちゃんの大のお気に入りでした。
ひとしきり遊んで花火が無くなる最後には、かならず線香花火をしながら少ししんみりと見つめるのです。
パチパチとか細い火花が最後の火玉を守りながら燃え尽き落ちるまで、じっと見つめているのです。まるでそれは自分の命を見守るような姿でした。時おり弱々しい笑顔を見せながら最後の火玉がおっこちないように大切に見つめているのでした。
『みっちゃん楽しかったね』主がそう言うと、少し寂しそうに弱々しく口元を開きながら『たのしかった・・・』そう告げるのでした。
『また来年もかならず来ようね』主はやさしくみっちゃんを見やって言いました。でも、主のこころの中では少し不安な感じがしていたのも確かだったのです。

月映2006年10月24日 04:59
『ほんとうに、今生でまた、逢えるのだろうか・・・』と。

月映2006年10月24日 19:50
みっちゃんは、優しい観音さまのような、慈愛を湛えたまなざしをして、見ていました。

ourin (雅号)2006年11月02日 06:23
そのとき不思議な事にみっちゃんの目から輝くものがこぼれ落ちたのです。涙なのかそれとも・・・・・
主はすこし不安ともたよりなさとも知れない気持ちでその落ちた光るものを探しました。
するとどうでしょうあの枯れ井戸スコップから持ち帰った黄色い宝石ではありませんか!きらきらと辺り一面に光を放ち輝いているではありませんか。それはまるで暗い森の奥で道に迷った時に出会った救いの女神様のようなあたたかいやさしさに満たされてゆくようです。
主はなぜだか涙が出て来ました。
自分でも解らないのですが次から次にあふれてくるのです。
主はみっちゃんの前で涙を流したりして男の子のくせに弱いところを見せたく無かったのです。
涙を腕でぬぐい何度も何度もまぶたをふきました。
そしてやっと顔を上げみっちゃんの方へ向けるとみっちゃんは居ないのです。
主はとてもあわてて辺りを見ていました。そして『みっちゃ〜ん』『みっちゃ〜ん』と暗くなった浜辺で呼んだのです。
もうすっかり暗い海は相変わらず波が寄せては引いてそのやさしい波音だけが響いていたのです。

月映2006年11月25日 07:07
どこへ行ってしまったのだろうか。それともすべては夢の中の出来事なのだろうか。海をずっとぼんやり眺めていたようです。

ourin (雅号)2006年12月22日 03:20
だんだん波音は遠のくように耳からうすれていきました。
そして主はぼんやりと眠気に誘われまぶたが重くて重くてならなくなりました。そしてまぶたを閉じてうっすら聞こえる波の音が頭と言わず主の体全体をまるで揺りかごで眠るように心地よく満たしていきました。
どのくらいの時間が過ぎたのでしょう。主はまぶたをゆっくりと開きました。
何やら眩しいくらいの美しい青い青い色がひろがっているではありませんか。
そしてだんだんとはっきりしてくる目に見えるのは大きな青い空だったのです。そして主はどうやらいい香りのする花や草に囲まれて大の字の形で寝ている事に気づきました。

ourin (雅号)2007年01月09日 02:43
主は夢から覚めたようです。
しかしみっちゃんはたしかに現実だったのか夢での事だったのかなんとも言えない気持ちがしていました。
しかしこの場所はいったいどこなのでしょうか。主はゆっくりと体を起こしゆっくりと深い息をひとつしました。
とっても気持ちがよくてみっちゃんの前で涙を流したり楽しく笑っていた事がなんだかずっ〜と遠くの思い出の中だけの事みたいに体を幸せな気分にさせてくれました。
そして主は辺りをゆっくりと見渡していました。
どうやら広い広い田んぼのような場所に一面れんげ草が咲いているではありませんか。赤い可憐な花の形です。どこまでもつづくように広がっているようです。空は青くとっても広く赤い花色と果てし無いように広がっているのです。
あたたかい良い香りのする風が心地よく主の顔をなでていきます。も一度主は体を花々に埋めてみました。今度は青い大空だけがどこまでもどこまでも見えていました。

月映2007年01月09日 10:23
さぁ、歩きだそう。
なにやら、身体の中を脈打つ様に駆け巡る、温かく力強いものを感じて、背筋をしゃんと伸ばしてみました。

ourin (雅号)2007年01月25日 02:14
青い空白い雲そして心地よいさわやかな風が行き過ぎていきます。
ただじっと主は身を任せるようにしていました。そしていつの間にやらじっとまぶたを閉じています。れんげ草が頬をなでるように揺れていました。
そしてどのくらい時間がすぎたのでしょう。主はまぶたを開きました。
っと、そこは見覚えのある天井が見えてきました。そして主はどうやらベッドに寝ているようでした。
そして何やらいい香りがしています。なつかしいお腹のすく香りなのでした。
そしてトントン、トントンという包丁がまな板を叩く音がします。主は今いるこの場所や耳に聞こえてくる懐かしい音で何かを感じながらだんだんと目覚めるように背伸びをひとつしました。
すると次の瞬間どこからともなく声がしました。
『熱は下がったみたいね』そして少しひんやりとした白い柔らかな手が主のおでこをさわっています。

ourin (雅号)2007年05月09日 05:13
『おかゆ作ったから食べなさい』
やさしい懐かしい声です。
主は何となくこの瞬間がいつまでもいつまでも永遠につづいて欲しいと強く願いました。そしてまたほんのちょっとまぶたを閉じていました。
すると相変わらずやさしい包み込むような声で促すのでした。
『うめぼしでいいの?』
『それともあなたの好きなしそだけにするの?』
どうやら主は風邪かなにかで寝ているようでした。
そうです、主はある時期の時間に戻ったのです。そしてその時間は主にとって最も幸せなものでした。

ourin (雅号)2007年06月03日 03:56
主は母と妹と祖母と犬達で暮らしていました。
林檎亭は地下から黒いダイヤを掘り起こしそのエネルギーで生活してる場所にありました。
外を見渡してみると石の山がそこかしこにそびえたっているのです。地下から黒いダイヤを掘り出しそのぬけがらをすててそびえ立ったものがボタ山と呼ばれるものでした。
主はよくこの山によじ登って遊びました。時々すべってすそ野のあたりまで転がりおちてしまったりもしました。
夜になるとこのボタ山の古い年老いたものはちろちろと不気味な炎をあげ燃えるのでした。その光景はまるで黄泉の国から誰かをむかえに来るおそろしいきつね火や妖怪の怪しいちょうちんのようでもありました。
主の祖父が生きていた頃にまだ赤ん坊の主にそんな少しこわい話をひとり言のようにあやすように語っていたそうなのです。

ourin (雅号)2007年08月17日 10:55
  ・・・・・・・過去の  話・・・・・・・

その当時林檎亭はまだ存在していなかった。
時代はいつ頃かはっきりしないが川には幾そうもの帆かけ舟が行き来し馬車には山積みの黒ダイヤがそこかしこを往来している・・・・・・・
日本のエネルギーは黒ダイヤという呼び名の石炭でまかなわれていたのだった。

地面に穴ぐらをほっては黒い石をさがしつづけひたすら大人達は働いていたのだった。その黒い石は松やにの火付けたきもんで紙に着火するとだんだんと燃えついていき寒さをしのぐ時や色んな料理にも役立てていた。
そのうちに大きな炭坑とよばれる地表にぽっかりと大きな穴をあけレールを敷き込みトロッコと呼ばれる荷積み箱形車を地の奥深くに差し込んでいた。その光景は蟻が地下の巨大巣を出入りする光景とどこか似ていた・・・・・・・・・

ourin (雅号)2007年08月28日 05:24
せわしくトロッコが出入りする坑口は大きく口をあけた地下帝国の巨人のようにも感じられた。
朝は日がのぼると人々はトロッコに乗り込み地下へと潜り込むのだった。複雑に張りめぐった坑道は暗く地上とは違ってひんやりとして少し不気味だった。つるはしを傍に置ききょうも一日日がな黒ダイヤを探し当て掘り続けるのだった。せまい坑道をつるはしで地底のお腹に突き刺してはボタと呼ばれる無駄石を掘り出し乍らずんずんと地底深くすすんでゆくのだった・・・・・・・
時には坑道が天井から落盤したり横腹から水があふれ出たりもしてそれはそれは命かけの作業だったのでした。
幾人も事故で亡くなる者もあり死と隣り合わせの大変な作業でした。地下に溜まっているガスもつるはしで石に突き立てた時に出る火花で爆発をおこしたりもして多くの還らぬ人々もあったのでした。

ourin (雅号)2007年09月27日 05:55
ある一人の坑夫が居たそうなのです。
その男はいつも地底に潜る時は傍に鳥かごをたずさえていたらしいのです・・・・
かごの中には美しい唄声で鳴くカナリヤが2羽いていつも男をなぐさめていて辛い坑内の仕事を癒してくれていたそうです。同じ坑内で作業する仲間達もカナリヤが唄う美しい鳴き声にはげまされ彼等は毎日暗い穴ぐらをひたすら掘り続け黒ダイヤを見つけなければならなかったのでした・・・・・。

ourin (雅号)2007年10月03日 17:32
いつものように坑夫はカナリヤかごとつるはしを持って地下深く潜って黒ダイヤを探し当てていました。カナリヤは美しいその唄声で鳴き元気に作業は続いていきました。そしてどのくらいか分からない時間がたっていて急にカナリヤがけたたましく騒ぎ始めました。
坑夫はハッとして思わず叫びました。
『ガスだ ガスが出たぞぉ〜』
その声は暗い坑道の中を地底深く幾すじにも張り巡らせてある隅々までひびいて伝わっていきました。坑夫はカナリヤかごを素早くつかみながら地上へと坑口を急いで逆戻りして行きました。その間にカナリヤはばたばたと騒いでいたのでしたが段々と力が無くなるように動きがおかしくなりました。坑夫は自分の命に危険がおそいかかって来てる事を改めて知り夢中で地上に走り続けました・・・・・
幾すじにも張り巡らされた坑道はこんな時にはまるで迷路のように坑夫をあざけ笑うように行っても行っても地上にたどり着く事が出来そうに無いまるでラビリントスのようでした。
やがて暗がりの中にぼぉ〜っと浮かび上がるカンテラの小さい灯りが遠くのかなたに見受けられました。
坑夫はその灯りに向って叫びました『おおぉ〜い誰かそこにいるのかぁ〜』
『居るんだったら 返事をしてくれ〜』
しかし灯りは小さく揺れているだけで今にも消えそうに時おり弱々しく細っているだけです。

ourin (雅号)2008年05月24日 10:01
坑夫はとにかく坑道を走り続けました。
カナリヤはぐったりとして一刻も早くこの暗い巨大な蟻の巣のような坑内から地上へと抜け出さない事には命が危なくなるのです。
息が苦しくなって来ました・・・・
なんだか頭もぼぉ〜っとして眠気が襲ってきます。そうですこれはガスが出て命のともしびを消そうとしているのです。危険が迫っているのです。
それでも坑夫は懸命に地上へ向ってカナリヤかごをしっかりとつかみ坑道を這うように進んでいきます。しかしだんだんと意識がうすらいでゆきどうしても眠くなってゆきます。やがて夢に落ちるような心地良い感じがして・・・・・・・・・・・・・・・・
いつの間にか坑夫は目を閉じてしまっていたようです。
そして時間がどれくらいすぎたのか果たして生きてるのかそれとも黄泉の国へ来てしまったのか不思議な感覚で目覚めるように気がつきました。
辺りが白いもやのかかった夜明け前の大きな川岸のような場所に立っているではありませんか。
目の前をゆっくりと流れている川は大きくて向こう岸がかすんでいてはっきりとしません。しかしもやの中目をこらしてよく見てると川の向こうになにやら赤い大きなかたまりのような形が浮かび上がるように浮かんできます。

ourin (雅号)2009年05月02日 07:52
しばらく見てると山のような大きなシルエットがとつぜんに表れてきました。
辺りのもやがだんだん晴れていくにしたがってはっきりと浮かび上がるようにそしてまるで生き物が悠久の眠りから目覚めて伸びをするかのように表れたのです。
それは赤い巨大な城のようです。
しかしそれはまるでタマネギのような形をしていていくつもの穴のような窓がありました。その窓からはねこのようなひげのある顔をして帽子をかぶった小さな小びと達がなにやらがやがやと話し乍らこちらを見ているのでした。
いったいここはどこなのか坑夫は少し不安になっていました。
そのいくつもの窓の中にひと際輝く窓がありその中に冠をかぶった赤い顔をして白いひげのある年老いた小人がいました。
そしてその小びとと並んでやはり赤い顔をして少し長い緑色の髪をした女の小びとがやさしく笑いかけているのが不思議なことに伝わってくるようです。
どこかで感じた事のあるなつかしい幸せな気持ちがわいてきて思わず手を振りました。

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