「あぁそーですかー、一杯ですかー、わかりましたー、はいどうもー」ガチャン
先日の夕方、僕は会社の隣のフロアの親会社様で調べものをしていた。
斜め前に座る主任さんが電話を切って、目があった僕に話しかけてきた。
「俺明日すごい早いじゃない？家からだと間に合わなくてさー」
じゃない？て知らんわい。
天然で有名な主任さん。
雑巾みたいな顔して、いい人だが不思議レベルは一流だ。
朝ベンチプレスやっててバーベルが持ち上がらないので遅刻しますと携帯から電話してきたり、
忘年会の締めの挨拶に指名されて、「〜皆様のご多幸とご健康を願いまして…」
皆が立って一本締めを構えた所で、
「乾杯！」
とまた皆を座らせたツワモノだ。
唐突だったがまあわかった。
明日早くから外出するから今夜は家に帰らずこの近くのホテルに泊まろうと。その予約の電話か。
ここは海浜幕張。ビジネスホテルも多いし、アパやニューオータニといったシティホテルも平日はビジネスプランとかがある。
どこだか知らんが一軒目は一杯だったらしい。
話しかけといて俺の返事も待たずに主任さんはまた電話をかけた。
「あーすいません、今夜は空いてますかねー？」
俺は黙って聞いていた。
…
「あじゃあ予約をお願いしたいんですが。…え？予約はやってない？」
…ん？
「そうですか、じゃあ行ってみて空いてればと？ああそうですか」
…？
僕の隣の女の子も聞いていたらしい。
顔を上げて、
随分横柄なホテルですね、
と僕に言った。
うーんそうだね…
「ちなみに広い部屋はありますかね？出来れば足を伸ばして寝たいんですが」
…んん？
周りの何人かも顔を向けてきた。
「リクライニング？それしかない…わかりましたー」
…おいおい、これはまさか…
「あの、泊まっても大丈夫なんですよね？…え？ナイトパック？」
…間違いない
皆仕事の手を止めて注目してる。
漫喫だ
漫喫だよな
漫喫に泊まる気だぞ
漫喫に予約入れようとしてるぞ
ザワザワしてきた
「ああなるほど。じゃあ伺いますんでーはいー」ガチャン
すかさず先輩が聞いた。
「どこに泊まるんすか？」
顔はもう笑っている。
「いやー俺明日早いじゃない？」
「いや知らないですけど、どこ泊まるんすか？」
先輩はグイグイいく。
皆笑いをこらえている。
なんて言うんだろ？
「あっ！」
「えっ？！」
「大事なこと聞くの忘れたよ！」
先輩の質問を無視したわけではなく、素でその思い出したことの方が大事らしく、すぐに電話に手を伸ばした。
と同時に電話がなり、
と同時に主任さんが受話器を上げた。
たまにある、かけようと思ったら出ちゃったパターンだ。
「やべっとっちゃった」
ガチャッ
「いやいや切っちゃダメでしょ！」
先輩のツッコミを意味不明の半笑いで流し、主任さんはすぐに電話を掛け直した。
「あっすいませんっ、先程電話した者なんですが…」
なんだ、何を聞くんだ？
料金か？
いやいやそんな普通じゃないだろ
予想も出来ない
もう皆ワクワク
皆仕事の手を止めて黙って経過を見守る
「先程聞きそびれたんですが…」
ゴクッ
…
…
「チェックインは何時ですか？」
ぶふっ！
隣の女の子の子が吹いた。
俺も吹いた。
期待以上だ。
笑いの渦が起きる中、主任さんは一人真顔で電話を切った。
「何時でもOKらしいよ」
優しい笑顔で何故かまた俺に一言言うと、主任さんは荷物を手にした。
「おいおいちょっと待て」
ここまで黙っていたボスが笑いながら呼び止めた。
「お前どこ泊まってもいいけどよ、せめて定時終わってから行けよ」
そりゃそーだ
「いや、一回家から着替え取ってきますんで」
「帰んのかよ！」
世界に名を轟かすこの親会社様だが、実態はこんなだったりする。
先日の夕方、僕は会社の隣のフロアの親会社様で調べものをしていた。
斜め前に座る主任さんが電話を切って、目があった僕に話しかけてきた。
「俺明日すごい早いじゃない？家からだと間に合わなくてさー」
じゃない？て知らんわい。
天然で有名な主任さん。
雑巾みたいな顔して、いい人だが不思議レベルは一流だ。
朝ベンチプレスやっててバーベルが持ち上がらないので遅刻しますと携帯から電話してきたり、
忘年会の締めの挨拶に指名されて、「〜皆様のご多幸とご健康を願いまして…」
皆が立って一本締めを構えた所で、
「乾杯！」
とまた皆を座らせたツワモノだ。
唐突だったがまあわかった。
明日早くから外出するから今夜は家に帰らずこの近くのホテルに泊まろうと。その予約の電話か。
ここは海浜幕張。ビジネスホテルも多いし、アパやニューオータニといったシティホテルも平日はビジネスプランとかがある。
どこだか知らんが一軒目は一杯だったらしい。
話しかけといて俺の返事も待たずに主任さんはまた電話をかけた。
「あーすいません、今夜は空いてますかねー？」
俺は黙って聞いていた。
…
「あじゃあ予約をお願いしたいんですが。…え？予約はやってない？」
…ん？
「そうですか、じゃあ行ってみて空いてればと？ああそうですか」
…？
僕の隣の女の子も聞いていたらしい。
顔を上げて、
随分横柄なホテルですね、
と僕に言った。
うーんそうだね…
「ちなみに広い部屋はありますかね？出来れば足を伸ばして寝たいんですが」
…んん？
周りの何人かも顔を向けてきた。
「リクライニング？それしかない…わかりましたー」
…おいおい、これはまさか…
「あの、泊まっても大丈夫なんですよね？…え？ナイトパック？」
…間違いない
皆仕事の手を止めて注目してる。
漫喫だ
漫喫だよな
漫喫に泊まる気だぞ
漫喫に予約入れようとしてるぞ
ザワザワしてきた
「ああなるほど。じゃあ伺いますんでーはいー」ガチャン
すかさず先輩が聞いた。
「どこに泊まるんすか？」
顔はもう笑っている。
「いやー俺明日早いじゃない？」
「いや知らないですけど、どこ泊まるんすか？」
先輩はグイグイいく。
皆笑いをこらえている。
なんて言うんだろ？
「あっ！」
「えっ？！」
「大事なこと聞くの忘れたよ！」
先輩の質問を無視したわけではなく、素でその思い出したことの方が大事らしく、すぐに電話に手を伸ばした。
と同時に電話がなり、
と同時に主任さんが受話器を上げた。
たまにある、かけようと思ったら出ちゃったパターンだ。
「やべっとっちゃった」
ガチャッ
「いやいや切っちゃダメでしょ！」
先輩のツッコミを意味不明の半笑いで流し、主任さんはすぐに電話を掛け直した。
「あっすいませんっ、先程電話した者なんですが…」
なんだ、何を聞くんだ？
料金か？
いやいやそんな普通じゃないだろ
予想も出来ない
もう皆ワクワク
皆仕事の手を止めて黙って経過を見守る
「先程聞きそびれたんですが…」
ゴクッ
…
…
「チェックインは何時ですか？」
ぶふっ！
隣の女の子の子が吹いた。
俺も吹いた。
期待以上だ。
笑いの渦が起きる中、主任さんは一人真顔で電話を切った。
「何時でもOKらしいよ」
優しい笑顔で何故かまた俺に一言言うと、主任さんは荷物を手にした。
「おいおいちょっと待て」
ここまで黙っていたボスが笑いながら呼び止めた。
「お前どこ泊まってもいいけどよ、せめて定時終わってから行けよ」
そりゃそーだ
「いや、一回家から着替え取ってきますんで」
「帰んのかよ！」
世界に名を轟かすこの親会社様だが、実態はこんなだったりする。
|
|
|
|
|
|
|
|
FC CROW 更新情報
-
最新のアンケート
-
まだ何もありません
-
