jacques ジャック　マイヨールコミュの26　　　　名古屋で開催されたCMASの総会で

その日僕は、友人3人と共に、食堂の片隅の一角に朝食のため座っていた。
船内のそこは、全国から集まってきていたダイビング関係者で座る場所もないくらいいっぱいだった。ざわついていた食堂内が一瞬シーンと静まり返ったと思ったら、まもなく何処からともなく拍手がホール全体に鳴り響き、まもなくジャックマイヨールが入ってきた。彼は辺りを見回すように顔を左右に振って誰かを探しているような仕草をしたかと思うと僕らを見つけ、片手を挙げながら真っ直ぐにテーブルに歩いてきた。
そして、諸先輩のいる中、わき目も振らず近づいてきて、「なりーた！」といっていきなりハグをしたのだ。そういう挨拶になれていない僕は、それだけで頭の中が真っ白になった。照れくさかった。
2年ぶりの再会であったが、依然として僕は言葉が苦手だった。幸いなことに、
僕のテーブルには、英語の堪能なスタッフの與田幸子と友人の井上剛毅氏、それとつくば大の野村武男助教授(当時)がいたので、会話には不自由しなかった。
朝食後も我々の船室まで来ていろんな話をした。
世界水中連盟の総会に、ジャックはゲストとしてこの場所に来ていたのだが、話はもっぱら“カリブ海のタークス＆ケイコス諸島の中のサウスケイコスに土地を買って、今家を建てている”という。“一度来い！”というのである。そしてさらに、“目の前の浅い湾内にイルカのリハビリセンターを作りたい、だから一度近いうちに、サウスケイコスに来い！”と、何度もいう。それを聞いて、僕の頭の中はすっかりカリブの海に馳せてしまっていた。、