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外国から見たニッポンコミュの騒音との戦い

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人間は、年齢を重ねるにつれて、騒音に対して敏感になるのかもしれない。

おととし三月末に私は、JR渋谷駅西側の交差点で、横断歩道の信号が変わるのを待っていた。

信号待ちをしているたくさんの歩行者のすぐ横に、日教組の宣伝カーが駐車し、組合幹部と思われる男が、教育基本法の改正について抗議するための演説を行っている。

大型スピーカーから、ヒトラーの獅子吼のような演説がガンガン鳴り響き、脳髄の奥まで突き刺さってくる。

この場所の騒音の源は、けっして日教組の宣伝カーだけではない。周囲のビルの壁に取り付けられた巨大な宣伝用スクリーンから、ロック音楽や歌謡曲が豪雨のように、人々の頭の上に降り注いでくる。

道玄坂に沿った商店からも、客引きの放送がたえず大音響で流れ出してくる。

信号が緑になり、人々があらゆる方向に一斉に歩き始めると、私は群衆と騒音の洪水のダブルパンチで、身体がふらつきそうになった。

東京に長年住んでいるドイツ人Uくんも、同じ理由で「渋谷だけはちょっと苦手だ」と言っていた。

日本では暴力をふるうなどして、突然キレル子どもたちについて、ときおり報道されるが、この種の騒音に常にさらされることは、人間の神経にとって大きなストレスになるのではないだろうか。

渋谷駅前の騒音は年々ひどくなっているが、この公害は東京の新宿や吉祥寺などの繁華街ばかりではなく、神戸・三宮のような地方の盛り場にも広がりつつある。

日本の都市には、スピーカーのない場所は、あまりないのではないのだろうか。商店街から海浜公園の駅前まで、至る所で音楽が鳴り響いている。

「うるさい日本の私」などの著書がある哲学者・中島義道氏は、駅の構内放送、けばけばしい広告看板から、店員の紋切り型の言葉づかいにまで、抗議したり文句をつけたりすることで知られている。

彼は著書の中で、日本の繁華街の騒音についてしきりに苦情を述べているが、JR渋谷駅前は、中島氏にとって最大の宿敵であるに違いない。

日本では「癒し」という言葉が一つのキーワードになっているが、癒しを重視するならば、都会での宣伝放送や街頭演説の音量について、規制を強化してはどうだろうか。

地方自治体は騒音防止条例を持っているはずだが、渋谷や新宿へ行くと、この条例は全く効果を上げていないことがすぐわかる。

ヨーロッパも日本に比べると色々問題はあるが、大きな利点は静けさと、人口が適度に分散していること、そして都市の中にも自然があることだろう。

イラクに50億ドルの復興資金を払うのも良いが、納税者が都会でより快適な暮らしをできるようにお金を使うことも、重要なのではないだろうか。

戦後の日本を焼け跡の中から再建した、お年寄りの方々が、騒音と雑踏のために都会の繁華街へ行きたくなくなるとしたら、残念なことである。

(文・熊谷 徹 ミュンヘン在住)

筆者ホームページ・http://www.tkumagai.de

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