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関西小劇場・劇団−思想する客席コミュの舞台批評・感想

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「関西にある劇団」トピックで紹介した作品を観て来ました。

・燐光群 「上演されなかった『三人姉妹』」      

 「CVR」や「ときはなたれて」といったセミドキュメント劇を上演し「だるまさんがころんだ」ではに現代の戦争状況を笑いの要素も巧みに盛り込んで批評してみせた坂手洋二は今最も脂が乗っている劇作家・演出家でもあり、その坂手さ率いる劇団「燐光群」は20年を越える歴史があり、精力的に海外ツアーも敢行するなど主宰者と集団は最高の劇作状況を築いている。

 今回の新作「上演されなかった『三人姉妹』」を7月22日、兵庫県立ピッコロシアター・大ホールで観た。

 見所はやはり何といってもその演出力の見事さを挙げたい。初め、「大ホール」で上演することを知らなかった私は、関西公演ではAI・HALLを使用していることから「小ホール」でやるのだと決め付けていた。

 席に着くと舞台には大きな暗幕が掛けられており、
見えなくなっている。
そして前から3列目までは空席になっており、
観客は座ることができない。この空席の意味は何? なんてことをぼんやり考えていると客電も落ちずに
俳優が一人、一人とやってきてぽつぽつ語る。
内容は「三人姉妹」を上演していた劇場に突然、
反政府ゲリラが乱入し場内を占拠したことを証言する、
観劇していた観客の回想であった。

 その後、暗幕が落ちるとオーリガ・マーシャ・イリーナが
現れ台詞を話す。すると突然、サイレンが鳴り響き、
反武装ゲキラ達が客席後方からも舞台袖からも
多数やってくる。この舞台は約3年前にロシアで
武装派勢力がモスクワの劇場を占拠し、
多くの観客が犠牲となった事件が下敷きとなっているのだ。

 ここで全ての設定が了解する。
つまり前列3列の客席は最初に回想台詞を喋った
観客役の俳優のためのものであり、
立派な舞台装置として扱っているということ。
それと同時に私たち「本物の観客」も反武装ゲリラに
扮した役者達によって包囲され、
逃げることができなくなった事実。

 虚構のゲリラ達によって母国から軍隊の撤退を
要求するために占拠された「本物」の劇場と「虚構」の役を
演じる俳優、そして「本物」の観客。
それと呼応するかのように、
チェーホフの「三人姉妹」を演じながらこの現実状況も
同時に重ね合わせて劇は進行する。
劇設定と劇内容の2つが虚実入り混じり展開されるため、
嘘が嘘でなく真実に反転し、頭がこんがらがる。
芝居を理解しようと集中している自分が、
いつしか劇場を本物のゲリラに占拠されているために
生命の危機を感じ、生きるか死ぬかの瀬戸際に
立たされているために混乱しているかのようだった。

 それほど、この舞台は入れ子構造が複雑で、
「三人姉妹」をある程度理解していないとはっきり言って
分からない。
かく言う私も一回しか読んでいなかったため、
どう絡んでいるのかが完全に理解できなかった。
やはり事前に読んでおくべきだったと後悔する。

 大劇場で見事に観客を占拠させ、
固唾を飲んで舞台に釘付けにさせた導入の演出は見事だ。

 坂手洋二が芸術と社会、戦争と人間を追及し続けてることに大きな「意志」を感じ取った。

コメント(67)

劇評:維新派 『ナツノトビラ』

『週刊マガジン・ワンダーランド』にて掲載。
メルマガ購読はhttp://www.wonderlands.jp/index.php?itemid=492まで。

創刊号目次・・・・・・
◆ 創刊のことば「はじめの一歩、おわりの一歩」(北嶋孝・本誌編集長)
◆ 第1回百万ウォン演劇祭(韓国)
 各都市劇団が巡演する壮大な企画 来年からAlice Festivalと交流へ
 西村博子(新宿Alice Festivalプロデューサー)
◆維新派「ナツノトビラ」
 自然への親和力喪う芸術作品に 果てしない世界を覗く無垢な感覚を
 藤原央登(「現在形の批評」主宰)
◆劇団・神馬「12人の怒れる学校へ行こう!」
 ダルダル感いっぱいのファンタジー 不条理と情熱の高校異次元世界
 青柳舞(共立女子大大学院)
劇評:「TOKYO SCAPE」−bird's-eye view『girl girl boy girl boy

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200608110000/
劇評:少年王者館 『I KILL』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200608230000/
BATIK 『SHOKU』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200609030000/
前田司郎作・演出 (演劇計画2006) 『ノーバディ』


『週刊マガジン・ワンダーランド』にて掲載。
メルマガ購読はhttp://www.wonderlands.jp/index.php?itemid=492まで。

【目次】
◆庭劇団ペニノ「アンダーグラウンド」
「庭」が可能にするリアルな妄想の感触(木村覚)
◆前田司郎作・演出「ノーバディ」(演劇計画2006)
 この舞台はちょっと凄いぞ 身体表現の新次元を開示(藤原央登)
◆蜻蛉玉「へ音記号の果物」
 果実の香り立ち上る 五感で描く女と生命の姿(葛西李奈)
劇評:チェルフィッチュ 『体と関係のない時間』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200610050000/
劇評:マレビトの会 『アウトダフェ』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200610150000/
宇宙堂 『夢ノかたち 第二部 緑の指』
唐ゼミ★ 『ユニコン物語 溶ける角篇 (台東区篇より)』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200610290000/
AI・HALL+岩崎正裕 『ルカ追送〜中島らも「ロカ」より〜』
『現在形の批評』にて掲載。

http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200611160000/
上品芸術演劇団 『まじめにともだちをかんがえる会の短い歴史』

『週刊マガジン・ワンダーランド』にて掲載。
メルマガ登録http://www.wonderlands.jp/index.php?itemid=492まで。
デス電所 『夕景殺伐メロウ』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200611240001/
辻企画 『世界』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200612110000/
清流劇場『鬼の顔』AI・HALL。
作・演出:田中孝弥。

http://kogure.exblog.jp/4781159/

こぐれ日乗より。
久しぶりに2000字以上の観劇レビューを書きました。
書いているといろいろ見えてくることもあるので、書かなくちゃ、と思うんですけど、なかなか遅筆になってしまっています。こぐれん
ポツドール 『恋の渦』

『現在形の批評』にて掲載。
その1 http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200612170000/
その2 http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200612200000/

ちと長めの劇評になりました。
ニットキャップシアター 『お彼岸の魚』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200701080000/
オリゴ党『虫のなんたるか。』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200701250000/
桃園会『月ト象ノ庭、或いは宵の鳥、三羽』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200702010001/
流山児★事務所『浮世風呂鼠小僧次郎吉』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200702140000/
MONO『地獄でございます』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200702230000/
dots 『MONU/MENT(s) for Living』
『週刊マガジン・ワンダーランド』にて掲載。
メルマガ登録http://www.wonderlands.jp/index.php?itemid=492
烏丸ストロークロック『漂白の家〜白波荘をめぐる半年〜』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200703190000/
悪い芝居 『イク直前ニ歌エル女(幽霊みたいな顔で)』

『wonderland』にて掲載。
http://www.wonderlands.jp/index.php?itemid=652
黒沢美香&大阪ダンサーズ 『jazzzzzzz-dance』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200704180000/
劇評:アルディッティ弦楽四重奏団+ケージ+白井剛 『アパートメントハウス1776』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200705240000/
劇評:南河内万歳一座 『滅裂博士』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200705310000/

演劇ユニット 昼ノ月 『顔を見ないと忘れる』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200706140000/
桃園会 『a tide of classics』 
兵庫県立ピッコロ劇団『場所と思い出』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200706250000/
劇評:庭劇団ペニノ 『笑顔の砦』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200707110000/
劇評:デス電所 『輪廻は斬りつける(再)』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200707200000/
劇評:地点 『かもめ』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200708110000/
劇評:遊劇体 『天守物語』

現在形の批評にて掲載
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/diary/200709020000/
劇評:悪い芝居 『ベビーブームベイビー』

『週刊マガジン・ワンダーランド』にて掲載。
メルマガ購読はhttp://www.wonderlands.jp/index.php?itemid=492まで。

◎最注目集団
劇評:KIKIKIKIKIKI 『おめでとう』

『現在形の批評』にて掲載
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劇評:花嵐+相良ゆみ 「オンナのカラダの<今>がある」

『Corpus(コルプス)身体表現批評』誌No.3(書苑新社)に掲載。


短評:遊園地再生事業団 『ニュータウン入り口』

『wonderland』に掲載。
http://www.wonderlands.jp/index.php?itemid=737
劇評:デス電所 『残魂エンド摂氏零度』

『現在形の批評』にて掲載。
http://plaza.rakuten.co.jp/playplace83/
短評:前田司郎・演劇計画2007『生きてるものはいないのか』

『wonderland』にて掲載。
http://www.wonderlands.jp/index.php?itemid=749
劇評: 南河内万歳一座 「大胸騒ぎ」


http://mixi.jp/view_diary.pl?id=656492128&owner_id=221046

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