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まずはリレー小説。コミュのカオル【本文】

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ここでの登場人物:佐々木拓巳

<プロローグ>

目覚ましの音で目が覚めた時、僕は夢を見ていた。
目覚ましの音は 覚醒するその瞬間まで、女の軽やかな笑い声だった。
・・・どんな夢だっただろう?
上半身を起こしながら考えたが、思い出せなかった。

日付は1月4日。
今日は仕事始めだ。
いつもなら憂鬱な朝も 今日は違う。
僕は見覚めた時の女の笑い声を思い出した。
あれは僕の声だったかも。
顔がにやける。
女の声なんて笑っちゃうけど、あれはきっと自分の声だ。
鼻歌交じりに身支度を整える。
鏡に移る自分の顔も完全ににやけてる。
「駄目だ、駄目だ〜!これじゃ すぐばれちまうぞ。しっかりしろ拓巳。」
そうつぶやきながら しかめっ面を作ってみる。
「渋いぞ。これで行こう。」
めずらしく朝食なんぞ食べながら、僕は大晦日の興奮を思い出していた。
クリスマス前に彼女に振られ、勢いで(?)10万円分買った宝くじが当たっていたのだ。
前後賞合わせて3億。
どんな冷静な奴だって興奮するだろ♪
「そうだ そうだ。今日は銀行行かなきゃな〜。3億は使い出があるぞ〜♪」
僕は当たりくじがしまってある引出しを開けた。
「・・・・。・・・・・・?」
そこには 婚姻届(http://www.moj.go.jp/ONLINE/FAMILYREGISTER/5-2-1.html)が1枚、これ見よがしに入っていた。
自分の名前と、そして「かおる」と書かれた婚姻届。
明らかに僕の筆跡で書かれた僕のデータと、知らない筆跡で書かれた相手の名前。苗字は書かれておらず、見たことのない住所とかおると言う名前だけ。
「・・・・・・・・・・・・誰?」

そしてそこにはメモが付いていた。
”拓巳さんへ
 宝くじの方は私が預かっておくね。
 一緒に銀行と区役所に行きましょうね。
 家で待ってます。 かおる”

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・誰?」

僕は顔面蒼白になった(と思う。)。
「嘘だろ?!」
声が上ずる。
大晦日、宝くじの抽選会のテレビを見た時は一人だった。
その後、飲みに行こうと数人の友達に電話したが、既に泥酔してるかはじめから電話に出ず とりあえず一人で家を出た。
真夜中だったけど大晦日と言う事で地下鉄が動いていたのをおぼえている。そして それに乗って
「どこまで行ったっけ?」
思い出せない。
正月をどこで迎えたのだろうか。
いや、2日も、3日も。
今朝目が覚めるまで 俺は何をしていたんだろう。
僕は鞄と婚姻届をつかむと、会社ではなく その用紙に書かれた住所に向かって家を飛び出した。


*続きよろしく〜♪

コメント(6)

第二章「かおるの嘘。」


美大を出たものの、私のセンスに時代がついてこない。
10年もすれば「表紙イラスト:KAORU」の時代がやってくるだろうよ。

だからとりあえず今は探偵社勤めで人生の時間稼ぎ。
と言いつつ、5年もこのオフィスで不味い茶をすすってるのだが。


地球には男と女しか居ないわけで、やはり浮気調査が一番需要がある。
楽しい。しかし、アホらしい。


数々の修羅場を目の当たりにすると「恋愛なんてするもんじゃねーな」と思う。
「彼氏居ない歴=年齢」の私には格好の理由付けとなり、気持ちもラクだ。



年の瀬は探偵社だって繁忙期。
その日は先輩達もみんな出払っていて、オフィスには私ひとりだった。


ウトウトと居眠りしかけた昼下がり、突然ドアチャイムが鳴った。
まぁドアチャイムはいつも突然だがな。


アポなしで相談に来たその女性は、私とは正反対なニオイがした。

               *****

20代後半。石田ゆり子的。ランチは青山、趣味はお菓子作り。
コイツ、絶対にちっさい犬っころ飼ってるだろ。
首輪は無条件でヴィトンだな。

               *****

相談内容のカルテを書かせている間、
そんなコトを勝手に想像しながらお茶をすする私に
彼女は「彼が危ない仕事をしているようなんです」と切り出した。


付き合って3年。そろそろ結婚?という二人らしい。
商社に勤めるサラリーマンだが、この1ヶ月、夜の行動が怪しいのだと言う。
クスリの売人でもやってるのではないかと。


やった!久々浮気調査以外の案件じゃないか!心が躍る。
マルタイ「佐々木拓巳」─。
この上野かおるにお任せ下さい。



・・・と張り切って動いたものの、全然怪しくない。
3週間みっちりつけ回したが普通の男だ。

申し訳ないが、部屋には盗聴器も仕掛けさせて頂いた。


仕事を終えて20時には帰宅、自炊して夕食をとり、シャワーを浴びて、暫くネットして寝る。
そんな毎日。どこが怪しい?

強いて怪しい点を挙げるならば、未だにglobeを好んで聴いている。
あんな金切り声に耐えられるなんて怪しい男だ。


かおるの結論。
怪しいのは彼じゃない。
彼女の精神が怪しい。オカシイ。イッちゃってる。
そうとしか思えない。


さらにオカシイことが起こった。恋をしてしまった。この私が!
マルタイである“拓リン”に…。



【調査結果】
危ない仕事はしていませんでした。しかし、マルタイ佐々木拓巳には妻子が居ました。



クリスマスを前に、彼らは別れた。
というか、半狂乱になった彼女が一方的に怒って振った。


これじゃ探偵というより「別れさせ屋」だな。
嬉しい。これで拓リンはフリーになった。


あ、茶柱─。
第三章 「依頼」

拓巳は婚姻届と住所の書いてあるメモを握りしめ
新宿行きの電車に駆け込んだ。

拓巳は考えた...
かおるとは誰か?3億円の行方?そして大晦日からの消えた
記憶。

不安や恐怖心が湧き上がってくる。

「駄目だ...全然思い出せない...まいったなぁ〜...」

自分が何をしてきたかがまったく思い出せない

「まさか犯罪なんか....?」

※次は新宿、終点新宿になります。お忘れ物ないようにご注意ください。

アナウンスで我に返った拓巳は新宿駅の南口に向かった。

メモに目落とした。
「新宿区XXXX-XXX-XX-Xか?記憶ないな。」

拓巳は駅にはうとい。特に新宿は。
どこになにがあるのかさっぱり解らない。だから南口にしかでれないのだ。

人込に揉まれながら出口を目指す。

※Im,fallin,love〜♪Im,fallin,love〜♪

携帯だ。
拓巳はglobeの大ファンなんだ。

「もしもし」

「佐々木か?何やってんの?仕事始めに無断欠勤はまずいだ ろ?」
同僚の前田一樹からだ。
拓巳は今、起きている説明のつかないことで頭がいっぱいになていたので会社のことはすっかり片隅に追いやられていた。

「寝坊か?」
前田の明るい声で仕事のことを思い出したのだ。
「ヤバ!忘れてた。」
「おいおいそれは無いだろ?何処いるんだよ?まだ遊んでるのか?」

拓巳は今の状況を話そうか迷ったが前田は信用でるやつで入社以来の”ダチ ”でもある。思い切って話すことにした。

「実はな何かマズイことになってるんだ」
「マズイってなんだよ?気になるじゃない」
「前田、おまえ今日外回りだよね?今、新宿なんだ。こっち来れないか?」
「しょうがねーな!ダチの頼みじゃ!」
すぐに行くからまってろ!と頼もしい一言で電話が切れた。

〜  〜  〜  〜  〜  〜  〜  〜  〜

「ふ〜ん。 彼女とはなんで別れた?連絡ぐらいくれよ。」
「知らないよ!一方的だよ!結婚だか、子供だか何だかよく解らないこと言ってた。それに連絡したらベロベロに酔ってたじゃん。」
「まぁ〜!佐々木に限って変なことするとは思えなしな!それで3億とかおるちゃんは?」
前田は楽しそうに言う。
「何だか楽しそうだな?こっちの身にもなってみろよ!記憶がないとか病気だろ?」
「落ち込むなよ、とりあえずそこの住所に行ってみようよ?」
「正直、怖い...記憶もなくって婚姻届って。朝は勢いでこっちに向かったけど考えると...」

拓巳は何もかも投げ出したい気持ちをなんとか押さえ前田の回答を待った。

「そっか、そーだよな!たしかに俺も怖い...じゃー一つ方法を教えてやるよ!」
「方法ってなんだよ?」
「いーかよく聞けよ?  ”探偵 ”を頼むんだよ!」
「探偵?探偵かぁ」
「俺の知り合いでここから近くの探偵社に勤めてるやつがいるんだよ!社名なんだっけな?」
「でも金かかるだろ?大金なんてないぜ?」
「3億あるじゃない!かおるちゃんが誰で3億も見つかって支払いもできる一石二鳥じゃん」

そんなこんなんで俺達は探偵社へと向かった。

前田に相談してよかったと思っている。
まさか探偵に相談するとは思いもしなかったが...

場所は新宿の駅からほんの10分のところにあるさほど大きくないビルの3階にあった。

"新宿田辺探偵社"

エレベータで3階まで上がりドアを開けた。

そこには不味そうにお茶を飲んでいる女性が一人おこちらをずっと見ていた。

新規登場人物
前田一樹
新宿田辺探偵社
不味そうなお茶の女性。

あんま上手くないですが続き(フォロー)をお願いします。
第4章「前田の機転」

拓巳達は衝立で簡単に仕切られた応接コーナーに通された。
どうやら この女性一人しか居ないようだった。
もう何時間も温め続けたようなコーヒーが出てきた。
”ミ、ミルクくらいねーのかよ。”拓巳は一口飲んで それ以上口を付けるのをやめた。
女性は、拓巳の顔をじっと見続けていた。
”眉間にしわ寄せて・・・なんなんだよ。感じ悪い女。”
「ご相談はなんでしょう?」
女は席につくと、ため息混じりに聞いてきた。
拓巳は内心むっとした。
”それが客に対する態度か〜?!”
そんな拓巳に気付いてか、前田が話し始めた。
「ある女性を探しているんです。」
前田は”宝くじ”の事は隠して、それ以外の情報のみをうまくその女に説明した。
拓巳は、前田に頼んでよかった、と心底思いながら 横で話を聞いていた。

「わかりました。かおると言う女性をお探しなんですね。」
「はい。」と前田。「なっ、拓巳?」
「あ、はい。」
女は また眉間にしわを寄せて拓巳の顔を見た。
”・・・な、なんだよ。”
「その女性の事、本当になんにも覚えてらっしゃらないんですか?」
「え。・・・ええ。、まあ、・・・そうです。」
”くそっ。どうせ どうしようもない男だと思って・・・悪かったね。”
女は、またため息をついた。
「わたくし、上野と申します。名刺は・・・ちょっと切らしてるので、すみません。
とりあえずこの住所で調べてみます。結果は随時ご報告致しますので。」
女はそう言うと、さっさと帰れと言わんばかりに 席を立った。
仕方なく拓巳と前田も席を立った。

ビルを出ると、拓巳はネクタイを緩めた。
「あ〜感じ悪い女だったな!」
「そうかあ?俺、結構好みだったけど。」
「前田って ああ言うのが好きなのー?へえ〜!渋いねー。」
「なんか、馬鹿にしてる?」
「いやいやいや。いいんじゃない?蓼食う虫も好きずき。」
「おまえはオヤジか。」
前田は時計を見た。
「お。俺 こらから新年の挨拶に三友金属に行かなきゃなんだよ。」
「あ、そうか。今日はありがとな。本当 助かったよ!」
「ばーか、大変なのはこれからだろ?」
「ははは まーね。・・・とりあえず 今日は、会社に顔だけでも出すかー。」
「あ、倉橋部長に『佐々木はノロウィルスにやられました。』って言っちゃったよ!今日は家でゆっくりしろよ。」
「さすが!前田って本当に気が利くよな。」
「まかせろ!じゃあな。」
「おう!」
拓巳は家に帰ることにした。

−1時間後、新宿田辺探偵社。
ドアの開く音がして、かおるは顔を上げた。
そこには 前田が一人立っていた。
「何かお忘れ物ですか?」かおるは抑揚のない声で聞いた。
「ええ まあ。」
「応接コーナーはそこですから、勝手にどうぞ。」
かおるは また顔を机に戻した。
前田はかおるのすぐ側に来ると「上野かおるさん。」と言った。
かおるは驚いて前田の顔を見た。
「あいつは気付かなかったみたいだけど・・・ホワイトボードにフルネームで書いてあるよ。」前田はくすりと笑った。「フルネームってのも 珍しいね。」
かおるは固まった。
「さっきさー、俺 あの住所の所に行ってみたんだよ。あれ、上野さんの部屋でしょ?」
前田は楽しそうに くすくすと笑った。
第5章  「裏切り」

もしこの世から法律が無くなれば...
...人間は簡単に犯罪を犯すだろう。

もしこの世に交通規則がなければ...
...青信号も危なっかしくて渡れやしない。

もし大金が手に入るとしたら...
...人間は人を簡単に裏切る?

俺の場合はYESだ。

〜   〜   〜   〜  〜  

「前田君、前田君」
部長の倉橋の嫌味ったらしい声がオフィスに反響する。
「はい」
「佐々木君、佐々木君はどうしたかね?」
二度続けて名前を言うのは倉橋の癖だ。
「佐々木ですか?今日はまだ見かけていませんが」
「見かけてないって君ね〜!連絡を取りたまえよ。今日は仕事初めだよ〜。」
「は..はい」
なんで俺がそこまで面倒みなきゃならない。
正直、拓巳のことは嫌いではないが好きでもない。
いつも俺の先を行く...ノルマや人間関係...

住金商事
拓巳、前田が勤めている会社だ。
そんなに大きい会社ではないが、それなりに自社ビルも持っていて得意先もそれなりに大きいそれなりの会社。だが商事と言っても用は下請会社だ。上の会社に頭を下げ仕事を貰いに行く。
そんな仕事に嫌気がさしていた前田は何か面白いことがないかを模索していた。

そんなところに拓巳の話が舞い込んできた。

謎の女かおる? 3億円? 記憶喪失?

まったくもって意味がわからない!そんなバカな話ある訳がない。

*「そっか、そーだよな!たしかに俺も怖い...じゃー一つ方法を教えてやるよ!」
「方法ってなんだよ?」
「いーかよく聞けよ?  ”探偵 ”を頼むんだよ!」
「探偵?探偵かぁ」

探偵を紹介したのもたまたま同級生がそこで仕事をしていると友達から聞いたからだ。同級生と言っても友達ではなく単なる知人、知っているだけだ。
面倒に巻き込まれるのも御免だ。

厄介払いで教えたはずの探偵社で思わぬ収穫があった。

*「わたくし、上野と申します。名刺は・・・ちょっと切らしてるので、すみません。
とりあえずこの住所で調べてみます。結果は随時ご報告致しますので。」

上野とか言う女の後ろにあるホワイトボードに目をやった時、前田は閃いた。
上野かおる...?
ホワイトボードには探偵社全員の名前の書いてあり上野かおる内勤と記してあった。

上野は一人しかいない。まさかこいつが例のかおるか?態度もおかしい。

....3億

前田に頭に過ぎった...

探偵社を出る前に婚姻届の住所を覚え、拓巳を適当なことを言い家に帰らせた。

婚姻届の住所は新宿田辺探偵社から電車で30分のところにあり同じ新宿でも下町っぽい風景だ。

前田はこじんまりとしたアパートの集合ポストの表札を見た。

「上野、上野、上野...ビンゴ!」

前田は集合ポストに上野かおるを見つけたのである。前田は確信した。あの女が3億か?その足で意気揚々と新宿田辺探偵社に向かった。


〜   〜   〜   〜   〜   〜

家に着いた拓巳はまだ上野の態度の悪さに腹が立っていた。
「あれでよく客くるよな〜!腹立ってしょうがない。」
気持ちを落ち着かせようと冷蔵庫から缶コーヒーをだし明日の予定の確認をする為に背広から手帳を出そうと内ポケットに手を入れた。

「あれ?ない。」

探偵社に落としたのである。

できれば上野に会いたく気持ちがあったがあの手帳がないと困る。

ため息をつきながら拓巳は新宿田辺探偵社をに向かった。


 
6章 「契約」

「よーし!今度、あんな態度取ったら文句言ってやる」
気合を入れた拓巳は探偵社のドアを開けた。

そこには....

忙しそうに電話対応をしている男が居た。
「はい。えー。はい。分かりました。伝えときます。」

拓巳は電話が終わるの待ち声をかけた。
「あのーすいません?」
男はこっちを見たがまたしても電話に邪魔をされ先に進まない。

「はい。お世話になりますー。え。今日はお休みなんですよ」
男が電話対応をしている時も電話はなりっぱなしだ。
ここは人足りてるのか?さっき行った時も上野しかいなかったぞ!不安を感じた拓巳は依頼をしたことを後悔していた。

「え。あっ!少々おまちくださいね。」
男は電話口を手で押さえ
「ちょっと電話出てくれるかな?早く早く」
いまいち状況が把握できない拓巳は再度、聞きなおした。
「え?え?どーゆうことですか?」
「いいから早く出てよ! もしもし、すいませんーお待たせしました。」
拓巳は理解が出来ないがしょうがないく電話に出ることにした。
「は、はい、し、新宿田辺?社 あっ。探偵社です。」

〜  〜  〜  〜  〜  〜  〜  〜  〜  〜

「いや〜悪かったね。お正月明けで明日休日でしょ?みんな連休取って誰もいないんだよ〜」

探偵社の応接室である。

男はお茶を注ぎながら辰巳に状況報告をした。

「別にいいですよ。」
本当は全然よくない!ガッツリ文句を言ってやりたいが辰巳は小心者なのだ。職業病でもあるかもしてない。

「で、今日はどんなご用件で?あっ自分はこう言う物です。」

辰巳は名刺を受け取り名前を見た。
安藤宏
年もそんなに離れていないだろう
なんかムチャクチャなやつだが名前は普通だ。
なんだか憎めないやつだ。

「えー。先ほどですね、依頼をしましてその時に忘れ物をしましてね。」

「あーもしかしてこれですか。手帳?」
安藤はポケットから手帳を取り出した。
「いや〜ね。殆ど書いてない手帳だったんで」
貰っちゃうとこでしたと安藤は笑顔で言った。

「か、返してくださいよ。」
しかし...いい加減だ!いいのかこのいい加減さは!

安藤が話を切り出した。
「さっきはお昼で自分はいなっかのですが...少々お待ちください。」と席を立ち、デスクに向かい資料を持って戻ってきた。
「えー人探しの依頼ですね?」
「えーまぁー」
早く帰りたい辰巳は曖昧に返事をした。
「どー言った関係の方ですか?まさか本当に知らないの?」
ビンゴである。まったく知らないのである。尚且つ記憶もないのである。
辰巳は話は全て上野さんにしてあります。上野さんに聞いてください。と言い席を立とうとした。

「いやーね。上野が出かけちゃってね、話がわかないんですよ。あるのはこの資料だけ。」
まーたくよーこんな忙しい時に男と出かけやがってよ〜と安藤は文句を言った。

「大丈夫ですか?」
「えー僕は全然、大丈夫ですよ!」
違う、心配しているのは安藤ではなくこの探偵社が大丈夫なのか心配しているのだ。

「いや〜でもね。佐々木さん?女には気おつけた方がいいですよ!あなたも探している方は女性でしょう?」
安藤は井戸端会議している奥さんのように話を続ける。
「さっきもね〜久々に友人に会ったんですよ!偶然にもしかもここで!いや〜ビックリしましたよ!もっとビックリしたのが上野とは初対面の筈なのに二人でもーっどっか行っちゃいましたからね!」
最近の子って怖いですね〜と話終えた安藤はなぜが満足そうな顔をしていた。

※「俺の知り合いでここから近くの探偵社に勤めてるやつがいるんだよ!社名なんだっけな?」

拓巳の頭を過ぎる。

「前田....」

「およ?前田のこと知ってるんですか」
安藤が目を丸くして聞いてきた。

まさかと思うが前田はさっき、あいさつ回りがあるからと言っていたしここに戻るはずがない。

「前田一樹ですよ?知ってるんですか?」
「前田一樹...なんでここに?」
「いや〜世間って狭いですね〜!」
安藤はニコニコしながら辰巳に問い掛けたが辰巳はそれど頃じゃなかった。

なぜ前田が....ここに戻ってきた?
わからない?

「佐々木さん?どーなさいました?」
心配した安藤は辰巳に問い掛けた。

信頼しているだけに心配だ。
辰巳は悩んだが賭けてみることにした。

「安藤さん...話聞いてもらっていいですか?」

安藤も察した用で仕事の顔つきになっている。
辰巳は自分の記憶がないこと、3億円のこと、謎の女性かおるのこと前田の紹介でここにきたこと
全てを打ち明けた。

その間の安藤はなかなかの聞き上手だった。仕事柄流石である。

「安藤さん、あなたに依頼します。」
「はい、どうぞ。」
「なぜ前田がここに戻ってきたか探ってもらいたい、それと上野さんにも依頼しましたがカオルと言う女性も誰か調べてもらいたい。」
「了解しました。」

「それと....」

〜  〜  〜  〜  〜  〜  〜  〜  〜  

「ふ〜今回はかなり厄介な仕事になりそうだ。」
安藤は辰巳が帰ってから資料を読み返していた。

前田がなぜここに戻ってきたかは問題ではない
いずれわかることだ。

今回、厄介なことは二つある。

一つ、同僚を調べるのは余り好きじゃないが資料の婚姻書を調べる限り間違いなく上野かおるの住所だ。

二つ、これが一番厄介だ。

※「それと....」
「それと?なんですか?」
「自分の記憶を探してもらいたい」

厄介だぁ〜
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
新規キャラ 安藤宏
いい加減だが仕事はかなり出来るやつです。
第7章 「金」

かおるは自分の部屋の前で、ドアを開けることを 躊躇していた。
「上野かおるサン、どうしました〜?」
かおるの横で ドアが開くのを待っていた前田が、ふざけた口調で言った。
うつむいたまま 鍵穴に鍵を指したままのかおるは、意を決したように「あの」と前田の顔を見た。
「はい?」
前田は営業スマイルでかおるを見返した。
「・・・部屋が散らかってるから、話はすぐ側のファミレスじゃ だめかしら?」
「・・・・。」
前田は何か違和感を感じた。「駄目だよ。3億円の話なんて ファミレスで出来ない。ましてや、キミはねこばばしようとしてるんだろ?」
「・・・・。」
かおるはまじまじと前田を見た。
「・・・俺は共犯だけど♪」
「違うわ!
違う!
私はねこばばなんてしない。」
「じゃあ どうする気?」
「私は!私は・・・」かおるは前田を睨み付けた。
「・・・早く 鍵あけて。」
前田が言った。
「・・・・。・・・わかったわ。」
かおるは前田から顔を背けると、一気に鍵を開けドアを開いた。

「へえ〜、散らかってるどころか センスのいい部屋だね。」
前田は部屋の中を見回しながら言った。
「居間以外は散らかってるの。
あまり動き回らないで。」
かおるは愛想のない声で返した。
「そう言われると・・・」前田はそう言いながら 居間から他の部屋に続いてるであろうドアを開けようとした。
かおるが慌てて、前田の腕をつかんだ。
「やめて!」
前田はかおるの顔を見た。
「なんで?」
「なんでって、・・・」
かおるは目をそらした。「寝室なの。ずかずか入らないでほしいわ。」
「じゃあさー、・・・その髪型はなんで?」
「は?」
「その化粧の仕方は?その服装は?」
「な に?」
かおるは困惑した。
「ねえ、なんで きれいに見えないような髪型や服装や化粧をしてるの?」
かおるは前田をつかんでいた手を離した。
と、同時に 今度は前田がかおるの両腕をつかんだ。
「わざとだろ?」
「離して。」
「何か違和感を感じるんだよ!おまえ なにもんだ?」
「なに言ってるのよ!離して!」
「おまえ どうやって佐々木と知り合ったんだ?」
「ちょっ、痛いっ。離してよ!」
「だいたい接点なんてねーだろ 佐々木となんか。」
「仕事でよ!たまたま 彼の事を調べていたのよ!」
「なんで?!」
「い、依頼内容は話せないわ!こっちだって一応プロな、うわっ!」
もみ合っているうちに、二人は開きかけていたドアを押し開け、隣の部屋に倒れこんでしまった。
そして 倒れこんだと同時に、床一面に散らばっていた1万円札が舞い上がった。
「うわっ!」
今度は前田が悲鳴のような声を上げた。
「な、なに?」
困惑した前田はきょろきょろと周りを見回した。
部屋中 束になってるものや ばらけた1万円札が散らばっている。
かおるは舌打ちした。
「おい!3億 もう換金してたのか?!」
前田は怒鳴るようにかおるに聞いた。

「・・・え?」
かおるは はっとした。
笑みさえこぼれそうになった。
「あ、ああ、ええ。まあね。」
「すげー・・・。」前田は かおるの表情にまったく気付いてない様子だ。
かおるは、内心 ほっとした。
「・・・しょうがないわね。ここの全部持って行っていいわっ。」
わざとぶっきらぼうな口調で言ってみた。
「・・・全部・・・?」
ほうけたような顔の前田がかおるを見た。
「ええ。ここにあるのは1億よ。丁度 3分の1。いいでしょ、それで。」
「あ、ああ。・・・そうだな。3億を3人で山分けかぁ・・・。」
前田はつぶやきながら それらを掻き集め始めた。
かおるは奥から 大き目のかばんを出してくると、前田に渡した。「はい、あげるわ。」

前田がアパートから出て行くと、かおるはほーっと、深い息を吐いた。
「偽札なのに、馬鹿な男。
・・・でも もたもたしてはいられないわ。
警察が来るのも これじゃ時間の問題だし・・・」
かおるは、自分の目ぼしい財産と思われるものをカバンにつめ始めた。そして引出しからは まだ換金していない3億円の当たりくじを出した。
「あーあ、このアパートともお別れね。」
それほど多くない荷物を持つと、アパートを出た。

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