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カナダの歴史と政治コミュの2015年カナダ総選挙

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 カナダのメディアは一斉に、ハーパー首相が週明けの8月2日か3日にも総督公邸を訪問し、下院の解散と総選挙の公示を上奏する見込みだと報じた。
 法律で、選挙は公示から投票まで最低37日以上なければならないが、最長限度は規定されていない。次の総選挙は10月19日までに実施しなければならないが、もし投票日が最も遅いこの日だと仮定すると、選挙期間は79日となり、カナダ史上最長となる。これまでの最長は、1926年総選挙の74日だった。
 資格を満たした公党には、政党助成金が交付される。昨年までは、選挙期間の長さは助成額に影響しなかった。ところが保守党政権が制定した新法は、選挙期間が37日を超えた場合、政党に1日超過するごとに37分の1ずつ、2500万ドルを限度として増額する。候補者には、1日超過するごとに2700ドル、10万ドルを限度として増額する。
 8月12日には、マイク・ダフィー上院議員(元保守党、現在は無所属)が経費を不正に受給した詐欺事件の公判が予定されており、ハーパー首相側近だったナイジェル・ライト前主席補佐官がこれを肩代わりして返納した件で、証言することになっている。このタイミングでの解散は、保守党にとって都合の悪い情報が選挙期間中に暴露される可能性を意味する。
 ダフィー議員のほか、パトリック・ブラゾー上院議員とパメラ・ウォーリン上院議員も不正受給容疑のため停職処分を受けているが、下院が解散された場合、連邦議会は上院だけとなり、彼らの停職は解かれることになる。

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 カナダは国土が東西に非常に広く、総選挙の開票は東部から順に行われる。中部2州の人口と議席が多いことから、西部では投票する前に結果は決まっていると言われる。
 1974年以降で12回の総選挙があったが、そのうち10回は、ブリティッシュコロンビアの行方に関係なく結果がすでに決まっていた。例外の一つは1979年総選挙で、ブリティッシュコロンビアの開票前では、保守党117議席に対し自由党113議席と接戦だったが、最後のブリティッシュコロンビアの開票で、自由党1議席に対し保守党が19議席を上積みし、勝利を確実にした。もう一つの例外は2006年総選挙で、ブリティッシュコロンビアの開票前では、保守党107議席に対し自由党94議席だったが、最後のブリティッシュコロンビアの開票で、保守党17議席に対し自由党9議席と、あと一歩及ばず逆転はならなかった。
 東部とケベックと中西部の3地域は、それぞれが三大政党の異なる一つずつを支持している。まず最初に東部が開票されると、自由党が頭一つ抜きん出る。それからケベックでは半数以上の議席が新民主党のものになり、オンタリオでは三大政党が三つ巴の混戦を繰り広げ、中西部では大多数の議席が保守党のものになる。かくして今年の総選挙の命運は、ブリティッシュコロンビアに委ねられることになる。
 最近の世論調査に基づくと、新民主党は中西部の開票が終わった時点で約150議席を手中にしている。過半数まではあと20議席である。ブリティッシュコロンビアの定数が42で、新民主党の支持率を考慮すれば、それは決して無理な数字ではない。
 保守党は中西部の開票が終わった時点で、最大で155議席を手中にしている。その場合、過半数まであと15議席足りないが、2011年総選挙においてブリティッシュコロンビアで17議席を獲得したことを考慮すると、あながち不可能な数字でもない。
 自由党は中西部の開票が終わった時点で、最大で113議席を手中にしている。過半数は絶望的だが、少数政権ならありえないでもない。
 いずれにしても今年の総選挙は、ブリティッシュコロンビアが最後の鍵を握る選挙になるだろう。
 保守党のジェリー・バンス候補が、家屋施工業者だった3年前に顧客のマグカップに放尿していたことが発覚し、公認を取り消された。新たな候補は、まだ発表されていない。
 CBCテレビは2012年、悪質な家屋施工業者を糾弾する目的で、「マーケットプレイス」という番組を放送した。その中で、番組に登場した業者「ジェリー」は、CBCが用意したおとり主婦の家に訪問し、彼女が席を外している間に、隠しカメラがあることを知らず、キッチンシンクに置かれていたマグカップに放尿した(ペニスは映っていない)。彼はそれから尿をシンクに流し、マグカップを水ですすぎ、シンクに置き去りにした。この人物が、トロントのスカボロー=ルージュパーク選挙区に保守党から立候補しているバンス候補だという情報が9月6日に寄せられ、保守党は翌日、公認を取り消した。彼は2006年と2008年にも同じ選挙区から出馬し、2位で落選している。
 バンス候補は、「エクスプレス機器サービス」を25年間経営してきた。彼は声明で、次のように述べた。
「私がその日とった行動を、深く後悔している。私は仕事に誇りを持っている。その日起きたことは、私のプロとしてあるいは人としての評価を反映するものではない。3年前にとった30秒の行いは、私の人生をすっかり変えてしまった。」
「私には健康上の事情があり、緊急を要する状況にあった。」
 だが彼は、「健康上の事情」が何であるかについて、具体的に説明しなかった。そして立候補の辞退は、自主的な決定だったと強調した。

 事件は、ハーパー首相がトロントに遊説に入る前日に発覚した。翌7日には、トロント=ダンフォース選挙区のティム・デュトード候補が身体障害者を嘲る動画をアップロードした件で、公認を取り消された。ハーパー首相は7日にトロントに入ったが、この2人の候補についてコメントを求められ、こう答えた。
「我々は候補には非常に高い基準を求めていて、この2人はもはや公認候補ではないということだ。」
 レイバーデー・パレードのためトロント入りしていた新民主党のマルケア党首は、ユーモアたっぷりにこう述べた。
「これは、保守党からの予期せぬマグショット(※犯罪者の写真)だ。」
「これは、ハーパー首相のトリクルダウン(※したたり落ちる)経済理論に精通した人に違いない。」

 ツイッター上では、この「ピーゲート事件」をめぐり悪ふざけ投稿が相次ぎ、祭になっている。
「6歳の娘がパンツを穿いたまま粗相をしてひどく落ち込んでいたので、マグカップにしなかっただけましだよと慰めてやった」
「今後は、コーンフレークにおしっこしたのは誰かときかれたら、保守党候補だよと答えるのが適切な対応だ」
「こんなことが許されるのは、マイク・ダフィーのキッチンだけだ」
「カナダ保守党(Conservative)は、もはや進歩保守党(Progressive Conservative)ではない。バンス候補は『ラージP』なのか『スモールp』なのか、はっきりさせてもらおうじゃないか」(筆者注※「ラージC」は固有名詞としての保守党員で、「スモールc」は普通名詞としての保守系のこと)
などのほか、しまいにはJerry Bance's Mugを名乗る人物が現れ「インタビューに応じる用意がある」とつぶやく始末である。ほかにも、マグカップを持ったバンス候補とハーパー首相が並ぶ合成写真「マグショット」や、保守党の選挙ポスターのパロディで「ハーパーに投票しよう さもないとマグカップに放尿するぞ!」などの画像も作成された。


写真左:番組でマグカップに放尿する寸前のバンス氏。
写真中:「マグショット」。
写真右:「ハーパーに投票しよう さもないとお前のマグカップに放尿するぞ!」

●問題の動画
http://www.cbc.ca/marketplace/episodes/2012-episodes/when-the-repairman-knocks
23分40秒あたりに放尿シーン。
 ネイノス・リサーチ社による世論調査は、保守党には強い支持者が多いいっぽう、他党支持者や無党派からの票の取り込みは期待できないという。だが左派政党である新民主党と自由党の支持者は、保守党政権を打倒するためにはどの党に投票するのがいいか、思案している。
 ネイノス・リサーチ社のニック・ネイノス社長は、次のように述べた。
「支持政党のある有権者の半数が投票先を決めていないというのは、全く前例のないことだ。」
「全ては、誰が二番手かにかかっている。自由党が二番手の選挙区では新民主党からの票が集まり、新民主党が二番手の選挙区では自由党からの票が集まる。」
 これほど多くの有権者が投票先を自由党か新民主党か決めかね、最後まで様子見に徹しているとなると、当日の投票結果は全く予想がつかないものになるだろう。

 エドモントン・ストラスコーナ選挙区に住むエレノア・スチュワートさんも、投票を決めかねている左派の一人である。彼女はトルドー党首について知るため、9月9日にラディッソン・ホテルで開催された自由党の集会に参加した。そして、トルドー党首がシリア難民への対処を訴えたことには満足したが、先住民問題については言及しなかったのは残念だったと語った。
 彼女はこう述べた。
「地元に対してベストな候補か、国に対してベストな候補か、どちらを重視すべきかというジレンマがあります。」
 彼女は迷っている自分を決心させるため、両党の主張をもっと聞きたいと考えている。しかし最終的には、どちらの党が保守党政権を打倒できるかが決め手になるだろうと語った。

 自由党と新民主党は、ケベック州全域とブリティッシュコロンビア州の一部で激戦を展開している。だが勝負の趨勢は、大票田オンタリオで決まる。勝敗の鍵は政策よりむしろ、自党が相手より強いと有権者に信じさせることにかかっている。ネイノス氏は、自由党と新民主党のどちらかがか明確な優位を示すまで、左派有権者は態度を鮮明にしないだろうと予測する。
「膠着したレースを打開する一つの要因は、党首の重大な誤りだ。これほどの接戦が続くとき、各党首は間違いをしないように細心の注意を払うだろう。こんなときは、どの党も大きな得点を挙げにくいはずだ。」
 オンタリオ州バーフォードで農業を営むジョン・ラングスさんは、46エーカーのライ麦畑に100メートルの大きさの文字で“ANYBODY BUT HARPER!!”(ハーパー以外誰でも!!)と書いた。
 その文字はブラントフォード空港から約10キロ離れた位置にあり、上空を行き交う多くの自家用機から見えるように書かれている。彼によると、文字はトラクターを用いてわずか45分で完成したという。
 ラングスさんは「ハーパー首相は辞めるべきだ。彼はカナダのためにならない」と語った。
 ケベック連合は、1993年の最初の総選挙以来、一貫してケベックの第一党であり続けた。それが2011年総選挙では、わずか4議席に転落した。その後は内紛と離党が相次ぎ、解散時勢力は2議席しかない。
 ケベック連合候補に当選する可能性のある選挙区は、わずか15しかない。そのうち11選挙区は勝率1%未満であり、当選の見込みは最大で4選挙区しかない。最悪の場合、ケベック連合は1議席も獲れずに、連邦議会から一掃されることもありえる。
 最も当選の可能性があるのは、ベカンクール=ニコレ=ソレル選挙区の現職ルイ・プラモンドン議員である。彼は、ケベック連合が初めて戦った1993年総選挙で当選して以来、ずっと議員を務めている。彼の勝率は、26%と算出された。
 次に望みが高いのは、ガスペジー・マドレーヌ諸島選挙区のニコラ・ルッシ候補で、勝率は25%と算出された。
 アビニョン=ラ・メティ=マターヌ=マタペディア選挙区のケディナ・フルーリ=サムソン候補にも、当選する可能性が残されている。この選挙区の現職はジャン=フランソワ・フォルタン議員で、前回総選挙でケベック連合から立候補したが、後に離党して新党「力と民主」を結成した。泡沫政党党首の彼に当選の可能性はないが、フルーリ=サムソン候補が当選できるかどうかは、フォルタン候補がケベック連合の票をどれだけ奪えるかにかかっている。
 リッチモンド=アサバスカ選挙区は、ケベック連合・新民主党・保守党・自由党の4党が接戦を繰り広げる数少ない選挙区の一つで、オリビエ・ノラン候補にも当選の可能性はある。

 ケベック連合が連邦議会から一掃された場合、その未来はどうなるのだろうか。以下の3つのシナリオがある。
 (1) 泡沫政党としてこれまで通り存続
 片手で足りるだけの選挙区に細々と候補を立て、テレビ討論には招待されない。これが最もありそうなシナリオである。
 (2) ケベック連合は消滅し、新たな分離主義政党が結成される
 ケベック独立は依然として根強い人気があり、州レベルでは分離主義のケベック党が有力政党のまま存在している。これもありそうなシナリオではある。
 (3) ケベック連合は消滅し、新たな分離主義政党は結成されない
 世論調査は、ケベック連合支持者の第2の選択は、40%が新民主党、30%が棄権であることを示している。ケベック連合が消滅すれば、それらの票の多くを新民主党が吸収し、その支持率はケベックで50%にも達するだろう。その場合、70議席以上の獲得が見込めるようになる。
 CROP社が9月11日から14日の間に、新民主党の依頼で実施したパピノー選挙区有権者375人を対象とした電話世論調査が、17日にリークされた。これによるとパピノー選挙区での支持率は、自由党のトルドー党首35%に対し、新民主党のアン・ドーソン候補が46%となり、楽勝と思われていた選挙区でトルドー党首が11ポイントという途方もない差をつけられていることが示された。ケベック連合のマクシム・クラボー候補は、10%だった。
 このニュースはCTVテレビで報じられ、その後モントリオール・ガゼット、ラ・プレス、ル・デボワールなどモントリオール各紙でも報じられると、新民主党支持者などによりツイッターでも話題となった。

 だが、世論調査機関スリーハンドレッドエイト・コム社のエリック・グルニエ氏は、このデータに疑問を呈した。
 第一に、たとえ1選挙区であっても、対象者375人というのは世論調査としては異例なほど少ない。これは意志が未定でない281人の対象者にとって、プラスマイナス5.8%の誤差を生じることになり、最大で11.6%もの誤差は、両候補の差11ポイントよりも大きい。
 第二に、対象者が有権者に対し代表的でない。パピノー選挙区住民の50.1%が女性で49.9%が男性であるから、対象者はこの割合に等しく、男女がほぼ同数であるべきだが、この調査では男性対象者117人に対し女性対象者258人と、69%が女性であり著しい偏りがある。なお新民主党支持者は、女性が多いことが知られている。
 誤差が最大「プラスマイナス5.8%」とは、対象者がランダムに選ばれた場合の数字である。回答者のわずか14%が2011年連邦議会選挙で自由党に投票したと回答しているが、実際にはトルドー氏は38.4%の得票率で当選しているという事実は、対象者の抽出が代表的でなく不適切であることを示唆しており、対象者が新民主党支持者に偏っている可能性がある。
 カナダでは連邦議会選挙と州議会選挙で違う党に投票することは普通に行われており、4年前の連邦議会選挙でどこに投票したかを覚えていない人がいても不思議ではない。その後ケベックでは2度の州議会総選挙が実施されたから、混乱することはありえるが、ケベック自由党は2014年州議会選挙で勝利しているから、自由党の数字は実際より高くなることはあっても低くなることは考えにくい。パピノー選挙区は労働者が多く、住民の入れ替わりは激しいが、それを考慮してもなお、この調査の信頼性には疑問が残る。
 メインストリート・リサーチ社が17日、選挙区住民783人を対象に実施し、18日に発表した「2011年国勢調査に基づく、年齢・性別の偏りのない」世論調査は、トルドー党首41%、ドーソン候補36%、クラボー候補12%という数字を示した。この調査では、誤差は最大3.72%とされている。

 そもそも新民主党は、選挙区情勢を知るために内密に依頼した世論調査の結果を、なぜ公表する必要があったのだろうか。公表は、同日行われたグローブ&メイル紙主催の党首討論の直前に行われた。新民主党は何らかの理由で、トルドー党首が首相になれないかもしれないという情報をリークする必要があったのだろうか。新民主党は数多くの選挙区で同様の調査を行っていると考えられるが、自党に都合のいい情報だけをリークしている可能性についても考慮する必要があるだろう。
 新民主党のマルケア党首は、CROP社の調査結果についてこう述べた。
「この調査は、我々が現地で見ているものを反映しているものと考えている。我々には、本気でパピノー選挙区を獲得する意志がある。」
 同党のレベッカ・ブレイキー代表は、サポーターに「11ポイント」というタイトルの電子メールを送り、そこでこう綴った。
「世論調査は、トルドー党首の支持率が選挙区でこれほど下がっていることを示している。パピノーは自由党の鉄板選挙区だったが、流れは変わってきている。」
 いっぽうトルドー党首は、調査結果を一蹴した。
「何があろうと、私はパピノーで負けはしない。」
 メインストリート・リサーチ社のクイート・マギー社長は、パピノー選挙区での戦いの鍵となるのは、支持の強さだと指摘した。
「トルドー党首には強い支持者が82%もいて、考えを変えるかもしれない回答者は8%しかいない。いっぽうドーソン候補には強い支持者は61%で、考えを変えるかもしれない回答者は28%いる。これがトルドー支持者の特徴だ。」
e-mapleの選挙トピ
http://www.e-maple.net/bbs/topic.html?no=35064&rno=1

 9月17日に行われたテレビ討論で、ハーパー首相が「古株のカナダ人」と発言したことが、波紋を呼んでいる。
 ハーパー首相は「我々は、彼らに普通のカナダ人が受けるより良いヘルスケアを提供しない。それこそが、新しい者と既存の者と古株のカナダ人が同意できることだと思う」と述べた。
 ネット上では、この「古株のカナダ人」発言について「うちは3代前からカナダに住んでいるけど、古株なのかしら?」「アルコール濃度の高いビンテージものを飲むカナダ人のことか?」などと冗談交じりに話題にされた。
 ハーパー首相は翌日記者会見でこの件について問われ、移民へのヘルスケア・プログラムに関する定義づけだと釈明した。
「普通のカナダ人が受け取るよりも良いヘルスケアを、明らかに合法的でない人々に与えなければならない理由はない。」
「政策は、自身が移民であるカナダ人と、我々の残り、すなわち一世代以上前に移住した移民の子孫であるカナダ人によって支えられる。」
 首相はこう述べ、「古株のカナダ人」とは「一世代以上前に移住した移民の子孫」を意味すると説明した。
 多くの人々にとってこの「古株のカナダ人」発言は、今話題のシリア難民問題や、市民権宣誓式においてニカブ着用を禁止した規定についてイスラム系移民が告訴した問題にからみ、新参者を排除することを連想させた。
 自由党のトルドー党首は、ハーパー首相の政治姿勢を強く批判した。
「カナダ人がカナダ人であることに疑問を呈し、カナダ人のうちに異なるカテゴリーがあるという問題に、ハーパー首相は再びスポットを当てようとしている。再びカナダ人を分裂させ、恐れを政治に利用しようとしている事実は、彼がカナダの首相に値しないことを意味する。」
 新民主党のマルケア党首も、懸念を表明した。
「我々は皆カナダ人であり、そのように人々を分類するのは好きではない。」
 保守党広報のコリー・テネイック氏は、首相を擁護した。
「総理はその言葉に、侮辱や悪意をこめたわけではない。」
 EKOSリサーチ社の世論調査は、シリア難民の受け容れは無制限かそれとも常識的な数かについて、意見が割れていることを示している。また、市民権宣誓式においてニカブ着用は禁止されるべきかどうかについては、相当な人数が保守党政権の主張する禁止に同調していることを明らかにしている。
 保守系圧力団体「国民連合」でかつてハーパー首相とともに活動したジェリー・ニコルズ氏は、首相が保守党以外の支持者を取り込むため、「我々vs彼ら」のゲームをしていると推測した。


【動画】 ハーパー首相の「古株のカナダ人」発言。“ordinary Canadian”と言ったところで異論が出ていることに注意。
 新民主党のマルケア党首は9月21日、ハーパー首相の「古株のカナダ人」発言について「対立を生むゲーム」「犬笛政治」と批判した。
 EKOSリサーチ社のフランク・グレイブス氏は、「古株のカナダ人」発言を「いつもの犬笛アプローチ」と評する。それは彼の発する言葉が、大多数の人には相手にされないが、一部の人々には強く反応されるからだという。
 マルケア党首は、ハーパー首相の「犬笛政治」を批判した。
「彼は『古株のカナダ人』と言った。それこそがキーワードだ。彼は、自分が何をしているのかよくわかっている。」
「私は、恐怖と分割の政治は行わない。ハーパー首相は、いつもそれを行っている。彼は、カナダ人を分裂させる理由を見つけたら、それをやるだろう。」
 自由党のトルドー党首も、保守党政権を批判した。
「政府は、個人の権利や自由を制限するとき、理由を明確に説明する必要がある。今の政権はそうせず、分割と恐怖の政治を続けている。それは多様な国カナダにふさわしくない。」
 連邦控訴裁判所は15日、市民権宣誓式におけるニカブ着用の禁止を取り消すという下級審の判決を支持した。だがハーパー首相は、穏健なイスラム教徒と「カナダ人の圧倒的大多数」は政府を支持するだろうと述べた。さらに「可能なあらゆる法的措置を取る」と述べ、上告を示唆するとともに、総選挙で再選されれば100日以内に新たな法を制定すると発表した。

 新民主党が従来多民族なトロントやバンクーバーを基盤にしてきたことを思えば、ニカブ着用の擁護は当然だが、新たな基盤であるケベック州ではライシテ(公共の場での宗教禁止)の支持者が多い。世論調査は、相当な人数が保守党政権のニカブ禁止を支持することを示しているので、新民主党には難しい舵取りが求められている。
 ケベック連合は、ニカブ禁止に反対する新民主党の批判広告を放送している。24日にはフランス語によるテレビ討論が行われるが、ケベック連合は失った支持を取り戻すため、支持を奪った新民主党に的を絞り、ニカブ問題を追及してくることは確実だろう。
 イスラム教民族団体は、ケベック連合の広告について「イスラム教徒とケベック州民を分裂させ、イスラム教徒市民が外国人だという印象を与えようとしている」と評した。
 ネイノス・リサーチ社が9月28日から30日まで、1200人を対象に実施した政党支持率調査は、保守党32.8%、自由党31.7%、新民主党26.1%、緑の党4.1%という結果となり、3党伯仲レースから新民主党が脱落しつつあることを示した。
 レジェ・マーケティング社のクリスチエン・ブルク氏は、新民主党のケベックでの支持率は、選挙戦初期には45〜51%あったと指摘する。それが最近の10日間では、30%近くにまで下落した。いっぽう自由党・保守党・ケベック連合の支持率は、20%台中頃となっている。データは、失われた新民主党の支持の多くが保守党に行ったことを示唆している。
 ブルク氏は、こう述べた。
「新民主党票は、あたかも粉砂糖のように州全体に拡散し、4者によるレースを始め、保守党にケベック進出の道を拓いた。」
 新民主党の支持率下落は、ニカブ論争が取り上げられた、先週のフランス語によるテレビ討論の後に始まった。フォーラム・リサーチ社のローン・ボジノフ社長は、こう総括する。
「保守党はニカブ論争で、明確な得点を挙げたように見える。ニカブ論争は明らかにケベックで受け容れられ、瀕死の状態にあったケベック連合をも復活させた。」

 新民主党党内では、このままでは選挙を戦えないとして、ニコル・テュルメル前暫定党首やアレクサンドル・ブレリス議員などが、ニカブ擁護から距離を置く動きを見せている。
 テュルメル前暫定党首は、明確にこう述べた。
「私は、男女平等のためにずっと働いてきた。誰かがニカブを着ているのを見ると、落ち着かない。」
 ダニエル・ランドルビル候補も、新民主党の政策支持を繰り返し表明した後、こう述べた。
「フェミニストとして、ニカブ着用には苦痛を覚える。」
 10月に入り、投票日まで残すところあと半月となったが、最新の世論調査は、新民主党が主にケベックで支持を失いつつある「オレンジ・クラッシュ」現象を示している。
 レジェ・マーケティング社による10月2日の政党支持率調査は、自由党32%、保守党30%、新民主党26%となった。またネイノス・リサーチ社による10月1日の政党支持率調査は、自由党33.5%、保守党31.9%、新民主党25.9%となった。
 そしてレジェ・マーケティング社によるケベックでの支持率は、新民主党28%、自由党24%、ケベック連合24%、保守党21%となり、主要4党全てが20%台で並ぶことになった。新民主党はかつての圧倒的な支持を失い、一週間で支持率10ポイントを失った。
 レジェ・マーケティング社のクリスチエン・ブルク氏は、もしも現在の支持率が投票日当日にそのまま反映されたら、自由党はモントリオールとその周辺で議席を増やし、保守党はケベック市地域で議席を増やし、ケベック連合は2011年総選挙で新民主党に譲った地方の議席を回復することになるだろうと予測した。
「新民主党の転落は、ほかの3党を助けた。3党はいずれも、上に傾いている。」

 新民主党は8月末の時点では、ケベックで78議席中60議席を獲る勢いだった。選挙戦の緒戦では、「ハーパー政権を終わらせるには、新民主党はあと35議席、自由党はあと100議席を必要とするだけだ」と語っていて、この印象的なフレーズは功を奏したように思われる。それが3週間続いた低落の後、現在は50議席以上を獲得する見込みとなっている。支持率減少のわりに議席が減らないのは、失った票が分散しているからだ。
 新民主党は大雑把に見て、支持率を1ポイント減らすたびに1.5議席減らすことになる。それが、議席を譲る相手がケベック連合の場合はさらに悪く、支持率を5ポイント減らすと12議席減らすことになる。10ポイントの減少では、32議席減少となる。

 新民主党がケベックで支持を減らすことになった原因は、やはりニカブ論争だろう。多民族なトロントやバンクーバーで支持されてきた同党は、市民権宣誓式でのニカブ着用を擁護したが、保守党は調査でカナダ人の多くが、特にケベックではニカブ禁止が支持されていると知って、攻勢を強めている。
 新民主党には、ニカブ禁止に回ればトロントやバンクーバーで支持を失い、ニカブ着用を擁護すればケベックで支持を失うというジレンマがある。だが多くの批評家は、同党が総選挙に勝ち残るには、ニカブ問題への対応を改めるしかないと結論づけている。
ロイター通信の記事:
http://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2015/10/157253.php
>カナダ総選挙を10月19日に控え、新民主党(NDP)の失速が鮮明となっている。NDPは5月のアルバータ州選挙で予想外の勝利を果たし、支持率は一時1位に躍進したが、その後3位に転落。総選挙は事実上、ハーパー首相率いる保守党と自由党の一騎打ちになりそうだ。
>調査会社ナノスが公表した世論調査によると、保守党と自由党の支持率はともに32%、NDPは33%から26%に低下した。
>NDPは、アルバータ州での勝利に加え、有権者が敬遠していた極左色が薄まった結果、初めて与党の対立政党となった。だが同じ中道左派の自由党との差別化が図れなかったとみられている。
>また、イスラム教徒の女性が顔を隠すスカーフを着用することを支持したため、宗教を誇示することを嫌う住民が多いとされるケベック州の支持が後退し、苦戦を強いられている。


ニカブ着用問題は、あくまでも市民権宣誓式でのことですが記事はそれに触れてなく、あたかも一般論のようです。また記事は、新民主党が提示した均衡予算の影響について触れていません。大手通信社とは思えないほど内容のない記事です。
 ネイノス・リサーチ社が10月8日に発表した政党支持率調査は、自由党33.5%、保守党31.6%、新民主党24.2%という結果となった。選挙戦は自由党と保守党による伝統的二大政党の争いになることが明確となり、新民主党による政権奪取はほぼ絶望的となった。新民主党は9月24日の調査では支持率30.8%だったが、この2週間で約7ポイントも低下したことになる。
 批評家の多くは、新民主党転落の原因として、均衡予算の提唱とニカブ問題を挙げる。自由党も新民主党もともにニカブ容認を主張するが、ケベックにおける自由党の基盤がアングロフォン地域であるのに対し、新民主党の基盤はライシテ(公共の場での宗教禁止)を支持するフランコフォン地域であるから、新民主党は自由党よりもっと大きなダメージを受けているだろう。
 だがトロント大学で政治学を教えるネルソン・ワイズマン教授は、これとは異なる見解を提示する。
「この数字は、新民主党が野党第一党の地位を失うことを示している。これは、政権を目指す戦いではない。選挙戦はいまや、3党鼎立から1対1の戦いに変わった。」
 ワイズマン教授は、選挙戦の緒戦において、保守党によるトルドー党首へのネガティブ広告「まだ準備ができていない」が一定の成果を挙げたと見ている。その結果として、有権者は新民主党の旗のもとに集ったという。
 マルケア党首はテレビ討論に臨み、「トルドーを叩きのめす」と言っていた。だが実際にはそうはならず、むしろトルドー党首の強い態度が印象に残った。
 ワイズマン教授は、投票日まであと2週間もないが、新民主党はケベックの議席にしがみつく厳しい戦いになるだろうと語った。
 カナダ総選挙の行方は、3党デッドヒートから新民主党が1馬身脱落し、保守党・自由党の一騎討ちとなりつつある。投票日まであと10日、このような状況ではどの党も過半数を獲得できないだろう。
 各党は表向きは連立を公言しないものの、自由党と新民主党の左派両党は、水面下では保守党を政権から引きずり降ろすための連立あるいは政策協定を模索しているとも言われる。
 両党のベテランは、1985年にオンタリオで成立した「自由党=新民主党政策合意」を思い出す。総選挙の結果、進歩保守党52・自由党48・新民主党25(定数125議席)となり進歩保守党が政権を維持したが、自由党と新民主党は政策合意(連立協定ではない)を結んだのち、内閣不信任して政権を奪取した。小勢力だった新民主党は、自由党政権を2年間閣外から支えたのち、1990年総選挙に勝利して初の新民主党政権を樹立した。
 自由党の事情通は、1985年の選挙期間中には連立に関して何の公約もなかったことを強調した。つまりは、現在行われている連邦議会選挙でも連立は言及されてなく、ゆえに有権者の委託を受けたとは言えないが、制度上可能だというのである。
 新民主党の事情通によると、連立が成立するためには、数が偶然に揃わないといけないのだという。連立にとって最もいい条件は、自由党140議席・新民主党120議席(定数338)で、これなら関係はより長く、より深いものになるのだという。しかし自由党80議席・新民主党160議席の場合は、自由党が拒否するだろう。
 自由党にとって最悪のシナリオは、保守党150議席・新民主党130議席・自由党60議席だという。この場合、ハーパー首相が少数政権を築くことになり、彼はスローン・スピーチ(所信表明演説)にTPP合意を成果として盛り込むことになる。
 選挙戦では一貫して自由貿易を訴えてきたトルドー党首は、そのとき果たして首相を支持して賛成投票するだろうか。それとも、自由貿易を訴えながら反対投票するのだろうか。
 保守党は資金集めに苦労することはないため、保守党が少数政権を築く場合、数か月後にでも抜き打ち解散・総選挙を行い、疲弊した野党を一掃して過半数を取り戻すこともありえる。
 フォーラム・リサーチ社が10月8日と9日、1427人の成人カナダ人を対象に実施した電話世論調査は、
自由党37%、保守党31%、新民主党23%という結果となった。
 これをもとに選挙区ごとのシミュレーションを行うと、予想獲得議席数は自由党145、保守党116、新民主党69、ケベック連合7、緑の党1(定数338議席)となり、投票日まであと10日に迫っているが、自由党が過半数に25議席足りない強力な少数政権を築く見込みが示された。
 これについて、フォーラム・リサーチ社のローン・ボジノフ社長は「新民主党が今後の10日間で回復することはありそうにない」と語った。
 なお調査は、ほぼ3分の1にも及ぶ回答者が、新民主党をも選択の余地としていることを示している。
自由党と新民主党は、調査結果についてのコメントを辞退した。
 総選挙投票日まで数日を残すのみとなったが、各世論調査機関は政党支持率について、自由党を30%台半ば、保守党を約30%、新民主党を20%台前半と発表した。自由党は保守党を数ポイントリードしており、自由党少数政権誕生の可能性が非常に強くなっている。
 メディアはトルドー党首に、過半数獲得の見込みについて問い続けてきたが、彼は答えなかった。だが9月14日、オンタリオ州ハミルトンのモホーク・カレッジで開催された集会で、彼はついに過半数について言及した。
「私は、カナダ人に我々に一票を投じるようお願いしているのか? そうだ。私は、国中の人々に我々に一票を投じるようお願いしているのか? そうだ。私は、過半数政権のために一票を投じるようお願いしているのか? そうだ。」
 彼は選挙期間中、一貫して新民主党との連立や閣外協力の可能性を否定し続けてきたが、自由党少数政権誕生が濃厚となった今、改めてこれを問われると、こう答えた。
「カナダ人が望まないものは、裏取引をする政治家である。私は、カナダ国民を信じている。私は、カナダ国民が10月19日に本当に強い選択をすると承知している。」
 だがトルドー党首が過半数について言及したと聞いて、イノベーティブ・リサーチ・グループのグレッグ・ライル氏は驚いたという。
「私が彼の立場だったら、私はそれを言わないだろう。それは保守党に、攻撃のきっかけを与えることになるだろうから。」
 現に危機感を抱いた保守党は最近、自由党政権になれば増税され、マリファナや売春が合法化されるだろうと批判を強めている。
 選挙戦終盤となるここ数日、トルドー党首はオンタリオ南部の保守党と新民主党の現有する選挙区を集中的に巡った。それは、ハーパー政権に失望させられた旧進歩保守党支持者の票を得るためと、新民主党を支持する左派有権者の票を得るためである。自由党や新民主党を支持する左派有権者が、投票日当日にどちらに転ぶか、まだ予断を許さない。EKOSリサーチ社のフランク・グレイブ社長は、保守党は唯一の右派政党であり、票の分散がないため、展開次第では有利になるかもしれないと語った。
 トロント・ブルージェイズは10月14日、プレーオフの第1シリーズを2連敗後に3連勝して制し、アメリカンリーグ優勝決定シリーズに駒を進めた。これにより、総選挙投票日はシリーズ第3戦、地元トロントのロジャース・センターでの試合と同日となった。総選挙は例年にない接戦が繰り広げられているが、10月9日から12日までに実施された不在者投票は360万人にも及び、投票所では職員が食事も摂れないほどの事態となった。当日の投票率は、意外と低くなるかもしれない。
 ジェイソン・ケニー国防大臣は14日、苦戦が報じられている保守党(イメージカラーは青)を、ブルージェイズにたとえて演説した。
「青いチーム、彼らは後方から来た。そして、彼らは3連勝した。あたかも別の青いチームが10月19日に勝利するのと同様に。」
「それは勇気と信念を持ち、原則を守ることだ。それこそが、ジェイズが我々に教えたものであり、我々が来週の月曜日にカナダに見せるものである。」
 1993年の総選挙は、ブルージェイズが劇的な逆転サヨナラ3ランでワールドシリーズを制した2日後に実施された。当時のキム・キャンベル首相は、投票率の低下を懸念していた。進歩保守党は、キャンペーン・バスのフロントガラスに“Go, Jays, go!”のシールを貼っていた。
 2011年の総選挙では、モントリオール・カナディアンズがスタンレーカップのプレーオフに進出していたため、フランス語のテレビ討論の日程が変更された。
 総選挙の結果、自由党か保守党による少数政権が誕生する可能性が非常に強くなった。ケベック連合のデュセップ党首は、こう述べた。
「たとえハーパー氏が議会で最も多くの議席を得たとしても、彼は首相ではない。」
 首相の指名は、日本のように議会で首班指名選挙を行うのではなく、カナダでは総督の判断で行われる。第一党が過半数を獲得した場合は問題ないが、そうでない場合は規定がなく、慣習法の世界なので対応が非常に難しいことになる。以下は、考えられるいくつかのシナリオである。

●シナリオ1:自由党少数政権
 ハーパー首相は、最も多くの議席を得た党が政権に就くべきだとつねづね述べている。それは必ずしも正しいとは言えないが、保守党が第一党になれなかった場合、ハーパー首相は辞職するだろう。それからトルドー党首が総督公邸に招待され、組閣の大命が降下する。
 自由党が過半数に少し足りない強い少数政権を築く場合、緑の党との閣外協力に入ることが考えられる。そして過半数に大きく足りない弱い少数政権を築く場合、新民主党との閣外協力に入ることが考えられる。

●シナリオ2:保守党少数政権→内閣総辞職
 保守党が第一党になった場合、政権を続行できる。ところが自由党・新民主党・ケベック連合は、保守党政権を支持しないと明言している。そこで連邦議会が召集され、スローン・スピーチ(施政方針演説)が行われるが、その信任投票は否決される。これは内閣不信任と見なされるので、内閣総辞職か議会の解散・総選挙のどちらかになる。
 内閣総辞職になった場合、野党第一党の党首が総督公邸に招待され、組閣の大命が降下する。

●シナリオ3:保守党少数政権→憲法危機
 保守党は第一党となり政権を維持するが、連邦議会で内閣不信任される。そこでハーパー首相は総督に議会の解散・総選挙を上奏する。しかし前回総選挙から日が浅く、同じ結果に終わる可能性が高いと総督が判断した場合、これを拒否することは大いにありえる。そしてこれを拒否して野党第一党党首に組閣を命じた場合は、「憲法危機」となる。1926年、総選挙直後に進歩党の支持を失い少数政権となったキング首相が、ビング総督に解散・総選挙を拒否され、総辞職してミーエンが首相に指名されたかの事件の再来である。
 その結果、ビング総督は政治に干渉したと非難され、ミーエン首相も内閣不信任され、キングの自由党が総選挙に圧勝する。だが政治学者のかなり多くは、ビング総督の判断を英断だと評価している。
 ブリティッシュコロンビア大学で政治学を教えるマックス・キャメロン教授は、こう指摘した。
「カナダ国民が歴史上最も長く最も高額な選挙を経験した後ということを考慮すると、国民感情はそれを支持すると思う。」

●シナリオ4:保守党少数政権→時間稼ぎ
 保守党が少数政権を築く場合、連邦議会で即座に内閣不信任されるリスクがある。そこで時間稼ぎとして、ハーパー首相が党首と首相を辞任し、党首選を開催し新党首を選出するため、議会の開会を数か月遅らせることができる。
 議会の召集は6月までに行えばいいので、このシナリオは法律上は可能だとキャメロン教授は指摘した。議会の召集は通常は総選挙の直後に行われるが、彼は、ハーパー首相は過去に何度も慣例に反することをしてきたと強調した。
 ネイノス・リサーチ社が10月14日から16日まで、1600人の有権者を対象に実施した対面世論調査によると、政党支持率は自由党37.0%、保守党30.7%、新民主党22.6%、ケベック連合4.4%、緑の党4.7%という結果となった。
 1か月前には3大政党がほぼ同じ数字で競り合っていたが、ここ30日間で自由党は、29.6%の3位から37.0%の1位まで約7ポイント上昇した。いっぽう新民主党は30.4%から22.6%に後退し、約8ポイント減少させていることから、自由党は新民主党支持者の票を得たと考えられる。保守党は31.0%から30.7%と、誤差の範囲内だった。
 保守党を支持する被験者にとって最も多い次善の選択肢は「投票しない」で、44%だった。自由党を支持する被験者にとって最も多い次善の選択肢は新民主党で、56%だった。新民主党を支持する被験者にとって最も多い次善の選択肢は自由党で、54%だった。緑の党を支持する被験者にとって最も多い次善の選択肢は新民主党で、37%だった。ケベック連合を支持する被験者にとって最も多い次善の選択肢は新民主党で、52%だった。
 ブリティッシュコロンビアでは自由党32%、保守党31%、新民主党28%、緑の党10%と、相変わらず3党が競り合っているが、新民主党のかつての優位は消えうせている。
 中西部では保守党49%、自由党29%、新民主党17%、緑の党5%と、依然として保守党が強いものの、自由党も支持率を大きく上げ、11年ぶりの議席獲得が現実のものになっている。新民主党は、この地域でも支持率を下げている。
 ケベックでは自由党31%、新民主党29%、保守党18%、ケベック連合18%、緑の党4%と、新民主党によるかつての圧倒的支持は見る影もない。かわって保守党が、ニカブ論争などに乗じ支持率を上げた。
 東部では自由党52%、新民主党26%、保守党19%、緑の党4%と、自由党が大きなリードを保っている。
 大票田オンタリオでは自由党45%、保守党33%、新民主党18%、緑の党3%と、3党伯仲から新民主党だけ脱落した状態になっている。90年代には自由党が100議席を有していたが、その後自由党・保守党・新民主党の3党が競り合う激戦地となった。2006年総選挙では保守党が議席を上積みし、政権交代の原動力となった。2011年総選挙でも保守党が106議席中73議席を獲得し、過半数獲得の大きな力となった。
 トロント郊外は、2011年総選挙では保守党が18議席中17議席を獲得した。だが最近の世論調査によると、25議席中18から22議席が自由党の手に落ちそうで、残りの3から7議席が保守党の取り分となりそうだ。新民主党は、この地域では全く食い込むことができない。保守党はクリス・アレクサンダー市民権・移民大臣(エイジャjックス選挙区)、ジュリアン・ファンティーノ国防副大臣(バーン=ウッドブリッジ選挙区)らが落選する。
http://www.sankei.com/world/news/151018/wor1510180011-n1.html
>東部側に人口が偏っており、最大都市トロントを抱えるオンタリオ州が121議席、隣接するフランス語圏のケベック州が78議席と多い

人口が多いオンタリオ・ケベックは中部で、「東部」は人口が非常に少ないです。
私のブログによく似たブログを見つけました。
http://blog.livedoor.jp/m-68_91656/archives/52165776.html
「ケベック党」はParti Québécoisなので、ここでは「ケベック連合」(Bloc Québécois)の誤り。
史上最長の選挙戦は終わり、カナダではすでに投票が始まっている。あらゆる世論調査は、自由党がカナダの政治史上初めて第3党から政権奪取し、ジュスタン・トルドーが初めて親子で首相になることを示している。
スリーハンドレッドエイト・コム社は10月18日、8社による世論調査の結果から、各党の獲得見込み議席数を自由党137(118〜157)、保守党122(99〜139)、新民主党73(58〜92)、ケベック連合5(1〜12)、緑の党1(1〜1)、その他0(0〜1)(定数338議席)と発表した。
世論調査は、投票日当日に発表することは禁止されている。18日朝までに発表された8社による世論調査について、自由党は17回連続でトップに立った。そして1社を除く全社の調査で、自由党は誤差の範囲を超えて「有意な」リードを保っている。
選挙戦の序盤ではマイク・ダフィー上院議員の公判があり、保守党は支持率を下げ、かわって新民主党が過半数を獲得する勢いを見せた。自由党はこのとき、両党より少し遅れた3位につけていた。ところが選挙戦中盤にはニカブ論争が巻き起こり、ケベックで新民主党が支持を失った。その隙に、自由党はフランコフォン有権者を味方につけケベックで支持率トップに立ち、ケベックから締め出されていた保守党は議席を倍増できそうな位置につけた。そして議席獲得が絶望視されていたケベック連合は支持率を取り戻し、片手で足りるほどの議席を獲得し、組織を維持できそうだ。
オンタリオは、かつては自由党が100議席を保持した金城湯池だったが、近年は3党が接線を繰り広げる激戦地である。自由党はこのオンタリオにおいて、2011年総選挙ではかなり多くの選挙区で惜敗した。予想を超えたおびただしい数の取りこぼしは、保守党に過半数を許す原因となったが、ひとたび有利な風が吹けば、自由党がそれらの失地を回復することは難しいことではない。自由党は世論調査では、最大の票田オンタリオでも保守党に12ポイントの差をつけている。
自由党は主戦場の中部で支持率トップに立ち、苦手のアルバータでも11年ぶりに議席獲得できる勢いを示し、東部でも大きなリードを保っている。そして世論調査によると、有権者の3分の2が変化を求めている。自由党の政権奪回は、ほぼ確実な状況といえる。

だが、自由党の保守党に対するリードは7ポイントで、絶対的なものではない。最大の獲得見込み議席において、自由党は保守党を下回っている。
また高齢者ほど投票率が高く、高齢者に保守党支持者が多いと言う指摘もある。選挙管理委員会は、2011年総選挙において、55歳以上の有権者の70%以上が投票したと発表した。いっぽう35歳未満の有権者は、その半分以下であった。
一部の批評家は、今年イギリスの総選挙で予想に反し保守党に過半数を与えた「シャイ・トーリー」の存在を指摘する。それは、他人の評価を気にするあまり世論調査で本音を言わない保守主義者のことである。
だが自由党には勢いがあり、ここ3週間で毎週2ポイント程度支持率を上げている。いっぽう保守党は、支持率に変化が見られない。そして「誰が首相にふさわしいか」というアンケートで、トルドー党首はハーパー首相を大きく上回っている。
与党保守党はおそらく、総選挙に勝利できないだろう。できたとしても、内閣不信任を免れない。そしていずれの場合でも、ハーパー首相は党首を辞任するだろう。党首選が開催されことになるが、最も有力な後任はジェイソン・ケニー国防大臣である。ハーパー首相は後継者の育成を怠り、ジム・プレンティス氏、ピーター・マッケイ氏、ジョン・ベアード氏ら多くの側近を引退に追い込んだ。
カナダ同盟のハーパー党首と進歩保守党のマッケイ党首が2003年、保守合同(実は前者による後者の吸収)に合意したとき、新党の党首にはハーパー氏が就き、マニフェストは両党のものをつぎ足したようなものになった。ところがカナダ同盟の人々は進歩保守党に党を乗っ取られたと言い、進歩保守党の人々はカナダ同盟に魂を売り渡したと言って、不思議なことに両者とも不満をこぼした。両派の微妙な舵取りは、ハーパー氏が党首だったからできたことであり、党首が変われば再びカナダ同盟時代の極右に戻る可能性もある。カナダ保守党が与党たりえたのは、オンタリオに存在する膨大な数のレッド・トーリー(穏健保守)が、極右のカナダ同盟を嫌い自由党に投票してきたのを、カナダ保守党にスイッチしたのが原因であり、ひとたび極右の政策に戻れば、彼らは再び保守党を離れる危険性がある。現に、「最後の進歩保守党」マッケイ氏の引退により、保守党は東部での議席獲得が困難になっている。

今日、カナダで歴史が変わる。若いトルドーをリーダーに据えた自由党が、9年ぶりに政権を奪回する。その政権は不安定なものになるだろうが、保守政界の再編を誘う可能性を秘めている。
http://mainichi.jp/select/news/20151020k0000m030104000c.html
 カナダ総選挙(下院338議席)は19日、東部の大西洋側から投票が始まった。世論調査では中道左派で野党第2党の自由党が優勢で、政権に就いて約10年のハーパー首相率いる保守党が追走。政権交代もあり得る。即日開票され同夜〜20日未明(日本時間20日午前〜午後)に大勢が判明する。
 5日の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の大筋合意後、交渉参加国が臨む初の国政選挙。競争力の弱い自動車関連や乳製品の業界がTPPに反対しているものの主要争点ではない。ただ、最大野党の新民主党が反発しており、選挙結果次第で批准に影響する可能性もある。
 中東などから欧州に向かう難民の受け入れについても、9月にトルコの海岸で遺体が見つかり、世界的注目を集めたシリア難民の3歳男児の一家がカナダを目指していたため議論が盛り上がったが、現在は収まっている。
 国内的には右派的なハーパー氏の政策を総括する選挙。温室効果ガスを削減する京都議定書からの脱退や伝統的な国際協調路線から外れた外交、輸出を支えた原油価格の下落に伴って落ち込んだ経済の再生策などが主な争点になった。
 新民主党を含む主要3党を中心とした戦いで、8月の解散時、自由党の支持率は一番低かったが、元首相の息子トルドー党首の人気で最終盤になって混戦を抜け出した。
 自由党が過半数に満たない第1党になれば、トルドー氏の信任投票で新民主党の協力を得ながら少数与党政権になる公算が大きい。保守党勝利の場合、野党はハーパー氏の首相再任を認めない考えで、混乱しそうだ。
 前回2011年の総選挙は定数308で、カナダ放送協会(CBC)によると保守党166、新民主党103、自由党34の順だった。選管によると、有権者は2640万人。(共同)
                    ◇
 19日投開票のカナダ総選挙は、伝統を誇る中道左派の自由党が選挙戦最終盤になって優勢に立った。43歳と若く、人気が高かった元首相の息子でもあるジャスティン・トルドー党首の力が大きい。保守党の長期政権や景気後退で停滞感が漂うカナダに新風を吹き込んだ。
 笑顔を絶やさない。選挙戦最終日の18日、ハーパー首相の地元である西部アルバータ州に乗り込み、支持者の集会で「自由党の私が、ここで笑顔で演説することを誇りに思います」と訴えた。
 故ピエール・トルドー氏が首相在任中の1971年のクリスマスに、長男として首都オタワで生まれ、幼少時からカナダ全体で見守られるように育った。
 2008年に下院議員に当選。「若すぎ、経験なさすぎ、しゃべりすぎ、金持ちすぎ、気楽すぎ」。地元メディアの厳しい声もあるが、未知数の部分が逆に期待感となってプラスに働いている。
 重厚な雰囲気を醸し出した父とは違い、親しみやすさで遊説を重ね、支持率をじりじりと上昇させた。
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毎日新聞の記事が、新民主党の支持率低下を招いたニカブ論争に触れていないのは残念です。
 連邦議会総選挙の投票は、太平洋時刻の10月19日午後10時に締め切られた。判決で、市民権宣誓式と選挙の投票でのニカブ着用が認められたため、今回総選挙は、ニカブを含む、カボチャやウサギの被りものやスーパーの紙袋などで顔を覆いながら投票するパフォーマーの姿が全国的に見受けられた。
 CTVとCBCとグローバルニュースは、投票締め切りから15分以内に自由党勝利を報じた。現時点での各党獲得見込み議席数は、自由党187、保守党102、新民主党38、ケベック連合10、緑の党1(定数338議席)。
 開票は東部から始まったが、自由党は東部の全議席を獲得し、その後の躍進を予感させた。保守党はクリス・アレクサンダー市民権・移民大臣、ゲイル・シー水産大臣、ベルナール・バルクール先住民問題担当大臣が落選したほか、引退したピーター・マッケイ法務大臣のセントラル・ノバ選挙区をも失った。そこは1968年の選挙区創設以来、5年を除く42年間マッケイ親子が保持してきた鉄板選挙区だった。またオンタリオではジョー・オリバー財務大臣が、自由党候補にリードを許す苦戦を強いられている。
 自由党は、オンタリオの73選挙区で当選したほか、5選挙区でリードを保っている。ケベックでは78選挙区中36選挙区で当選したほか、10選挙区でリードを保ち、1980年以来35年ぶりにケベックの第一党に返り咲いた。そして苦手のアルバータでも11年ぶりの議席を獲得するなど、自由党は全国的に躍進し、過半数到達を確実にした。新民主党は、主戦場のケベックで11議席しか獲得できない見込みの惨敗を喫したほか、大票田オンタリオでも9議席にとどまる見込みで、野党第一党の地位を失った。保守党は、ニカブ論争に乗じケベックで議席を倍増させる11議席を獲得できる見込みで、オンタリオでも彼らの基盤である「905地区」などで33議席を獲得した。本拠地アルバータでも3議席を除く全議席、サスカチュワンでも3議席を除く全議席を獲得する見込みで、中西部での圧倒的な強さを示し、全国で3ケタ議席を獲得して面目を保った。ケベック連合は、当初議席獲得が絶望視され、党存続すら危ぶまれたが、ニカブ論争に乗じ10議席を獲得し存在感を示した。緑の党は、メイ党首が唯一の議席を守った。

 自由党は、「イケメン王子」トルドー党首が就任して以来高い支持率を誇ってきた。昨年12月まで、保守党はいつ選挙をやっても勝てなかっただろう。それが昨年秋、イスラム過激派のテロが続発すると、若く経験が浅く「お坊ちゃん」イメージのトルドー人気にかげりが見え始め、テロに強い態度を示した保守党が支持率を上昇させた。
 与党には解散・総選挙をいつでも実施できるアドバンテージがあるが、2015年に入ると各党は総選挙モードに入り、抜き打ち総選挙はできなくなった。2015年以降、保守党は世論調査を見ながら解散のタイミングを計っていたことだろう。トルドー党首はイブ・アダムス議員の入党を認めただけでなく、記者会見に同席さえしたが、結果は予備選敗退となり、党員と支部にNOを突きつけられた格好となり、指導力に疑問を抱かせた。保守党にとっては、これが解散の最後のチャンスだっただろう。最終的には、法律で定められた最終期限に総選挙を実施することになったが、選挙戦の最中にマイク・ダフィー上院議員の公判が開かれたり、シリア難民の幼児が水死したりする不運にもみまわれた。ハーパー首相は選挙戦の最中にTPPを合意に導いたが、有権者はあくまでも変化を求め、評価されることがなかった。

 予想に反し、自由党は過半数政権を築く。ハーパー首相は党首辞任を発表したため、保守党は党首選を行うことになる。新民主党は、ケベックの地盤を一瞬にして失い、元のオンタリオと中西部だけの党に先祖帰りした。消滅の危機に瀕していたケベック連合は、死の淵からよみがえった。ケベック連合の分派である「力と民主」は、議席を獲得できず消滅することになるだろう。カナダの新しい時代が始まる。
予想では3党とも過半数に届かないはずだったのに、保守党が第一党でも左派2党が倒閣して政権奪取する図式を、この漫画は巧妙に表現しています。
http://ai.2ch.sc/test/read.cgi/newsplus/1445310399/
2ちゃんねるニュース速報板のスレッド。大したことは書かれていません。
 10月19日に実施された連邦議会総選挙は、自由党184、保守党99、新民主党44、ケベック連合10、緑の党1(定数338議席)という結果となり、自由党のジャスティン・トルドー党首が、43歳という史上2番目の若さ(最年少はジョー・クラークの39歳)で首相に就任することが決まった。
 大多数の調査機関は、自由党の少数政権を予測した。スリーハンドレッドエイト・コム社は、自由党の最大限度を161、保守党の最少限度を99、新民主党の最少限度を58としていたが、結果はそれらの限度を超えたものとなった。このようなギャップを説明するには、有権者が投票日の2・3日前に、新民主党から自由党に雪崩をうってスイッチしたと考えるしかない。事実、セントジョンズ・イースト選挙区(ジャック・ハリス議員)、ハリファックス選挙区(ミーガン・レスリー議員)、ガティノー選挙区(フランソワーズ・ボワバン議員)、オタワ・センター選挙区(ポール・デュワー議員)、トロント-ダンフォース選挙区(クレイグ・スコット議員)、ウィニペグ・センター選挙区(パット・マーチン議員)など、新民主党は安全と思われていた選挙区を数多く失っている。

 オンタリオの投票が終わらないうちに東部で開票が始まると、自由党の「赤潮」が東部を席捲し、早くも自由党勝利が報じられた。低成長・高失業率のこの地域では政府の財政出動が求められているが、保守党政権は財政規律を重んじ、雇用保険を削減した。それは、景気刺激のために赤字財政に甘んじるとするトルドー党首とは、対照的だった。
 ニューファンドランド&ラブラドル州のダニー・ウィリアムズ元首相(ニューファンドランド&ラブラドル進歩保守党)は、ABC(Anybody But Conservative/保守党以外誰でも)運動で公然と保守党に叛旗を翻した。「最後の進歩保守党」ピーター・マッケイ氏の引退や、プリンスエドワード島に居住実態のなかったマイク・ダフィー上院議員の任命などは、この地域の人々を怒らせた。結果は、東部の全議席が自由党一色に塗りつぶされることになった。

 ケベックでは、選挙戦序盤をリードした新民主党が16議席の惨敗を喫し、ケベック出身のマルケア党首をリーダーに据えたにもかかわらず、ケベックの地盤を一瞬のうちに失った。自由党は40議席と、1980年のピエール・トルドー首相以来35年ぶりにケベックの第一党に返り咲いた。これは同時に、ケベック連合を支持し続け「万年野党」化したケベックが、27年ぶりに「キングメーカー」の地位に返り咲いたことをも意味する。
 保守党のクロード・カリニャン上院議員は、ケベック州民はニカブ問題を通して、新民主党は自分たちとは考えが違うと感じたと説明する。
「人々はレイトン党首の人柄に1票を投じ、その政策について注意を払わなかった。今回総選挙では、人々は新民主党が何を訴えているのかわからなかったのだろう。」

 オンタリオでは、保守党が反移民と思われる政策を採ったことが裏目に出た。重罪を犯した外来系市民から市民権を剥奪するC-24号法案の導入や、シリア難民受け容れの制限などである。選挙戦最終週には、ハーパー首相がロブ・フォード前市長とともに遊説するという致命的過ちを犯した。
 2011年総選挙では、保守党が得票率44%で73議席を獲得したのに対し、新民主党と自由党は得票率25%でそれぞれ22議席と11議席しか獲得できなかった。今回総選挙では、自由党は得票率45%で80議席を獲得している。保守党は今回、苦戦している選挙区でことごとく敗北した。彼らが2011年に過半数を獲得したとき、オンタリオで僅差で勝利した選挙区はことごとく失った。

 中西部では、保守党が相変わらずの強さを見せたものの、エドモントンの3議席・カルガリーの2議席・ウィニペグの8議席を自由党と新民主党に奪われた。

 ブリティッシュコロンビアでは、自由党は17議席を獲得し、1968年にピエール・トルドー首相が16議席を獲得した記録を上回り、47年ぶりに第一党となった。保守党は事前の予想通り得票率30.0%を記録したが、10議席しか獲得できず、得票率25.9%で14議席を獲得した新民主党をも下回った。
当コミュではこれまで、次期首相をフランス系のためフランス語読みで「ジュスタン・トルドー」と表記してきましたが、日本のメディアに合わせ今後は「ジャスティン・トルドー」と英語読みで表記することにします。あしからずご了承下さい。
おもしろい動画を見つけました。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45064
歴代首相はロースクール出身が多く、トルドー次期首相の父もそうでしたが、彼自身はそうではなく、元教師です。父ピエール・トルドー元首相は多くの女性と浮名を流し、現職総理として唯一結婚し唯一離婚した人物です。トルドー次期首相は首相官邸で育ち、父が有名人だったためカナダ人に常に見守られるように育ちました。エリートではないぶん親しみやすさがあり、選挙戦は支持率3位でスタートしましたが、数多くの人々にセルフィーを撮らせ、人気を上昇させました。
 複数のメディアが10月21日、ケベック連合のジル・デュセップ党首が翌日辞任すると報じた。デュセップ党首は22日の午後1時に記者会見を行う。
 デュセップ氏は2011年総選挙で4議席と大敗し、自身も落選して党首を辞任した。ところが新たに党首に就いたマリオ・ビュロー党首は内紛をひき起こし、議員の離党が相次いだため、6月にデュセップ氏が党首に復帰していた。
 デュセップ党首は2015年総選挙で10議席を獲得したが、公式政党資格である12議席に届かず、ケベックでの得票率は19.3%にとどまった。そして彼自身も、ローリエ-サン=マリー選挙区で落選した。
 ラ・プレス紙は、レアル・フォルタン議員が暫定党首に就くと報じた。
「総選挙ではしっかり支える」と助言し、デュセップ氏の党首復帰を促したケベック党のペラドー党首は21日、彼の党首残留を望むと語った。
「彼は非常に有能であり、党首に留まることを望んでいる。」
http://www.thestar.com/opinion/commentary/2015/10/21/job-options-for-citizen-harper.html
http://www.thestar.com/news/canada/2015/10/22/its-been-a-terrible-decade-under-stephen-harper-porter.html
トロント・スターといえば自由党びいきで有名ですが、あまりにひどい内容で読むに耐えません。
 総選挙の開票が始まると、新民主党はミーガン・レスリー副党首、ジャック・ハリス議員、ピーター・ストファー議員らの大物が次々と落選し、自由党の勢いが圧倒的であることがわかった。それでも東部は自由党の地盤であり、新民主党はケベックの開票が始まれば何とかなるだろう、何とか野党第一党には留まれるだろうと考えていた。
 だがケベックでの成績も、78議席中16議席と惨憺たるものであった。ケベックに築いた強固な基盤は跡形もなく、オンタリオの開票が始まる前に彼らが野党第2党の定位置に戻ることは明白となった。
 自由党は単独過半数を獲得し、あらゆる法案を単独で成立させることができる。新民主党には連立の申し込みもなければ、握るキャスティング・ボートもない。

 トルドー党首が高額所得者への増税、赤字予算を覚悟のインフラ投資、児童手当、マリファナ合法化など「最も革新的」な政策を掲げたのに対し、マルケア党首の説く均衡財政は、ひどく保守的に見えた。
 トルドー党首はこう訴えた。
「ハーパー首相はあなたを助けない。そしてマルケア党首はハーパー首相の予算に同意したので、あなたを助けられない。」
 彼の訴えは、ニカブ問題よりも効果的に新民主党を蝕んだ。「左で選挙を戦い、右で統治する」と言われた自由党は、「政権交代可能な建設的野党」の新民主党より、ずっと左寄りで大胆な政策を掲げており、「新民主党と自由党が入れ替わった」とさえ言われた。

 旧二大政党である自由党と保守党は、総選挙に2度敗れると党首は引きずり下ろされる。だが新民主党は万年野党だから、総選挙に敗北しても責任を取らされることはなかった。マルケア党首は現在、総選挙敗北の原因を究明するレポートを作成させているが、総選挙についてこう総括した。
「私は、党の歴史上2番目に強い議員団とともにここに留まる。」
 政権奪取の夢は打ち砕かれたが、新民主党にはまだ44人の議員団がおり、それは党の歴史上2番目の成績である。うちケベック議員団は16人で党内最大勢力となっているから、マルケア党首が下ろされる心配はなさそうだ。
 保守党のローナ・アンブローズ暫定党首は、「強力な公式野党」と称して99人の院内勢力を誇った。だが今の保守党は、歴史的に見てそれほど強力なのだろうか。
 保守党は、2015年総選挙で得票率31.9%を記録した。彼らは、自党にいまだに根強い支持がある根拠としてこの数字を挙げたが、それは2011年に新民主党が記録した30.6%や、2006年に自由党が記録した30.2%とほとんど変わらないものである。なお両党とも、次の総選挙ではさらに悪い結果に終わっている。
 議席率においても、保守党が獲得した99議席は、3桁に迫る数だが、定数が338議席にまで拡大したため、議席率では29.3%にすぎない。それは過去42回行われた総選挙のうち、28番目に大きな最大野党であるにすぎない。カナダの最大野党は平均して議席率32%になるが、今の保守党はそれに9議席足りない。
 2つの表は、総選挙に敗北し下野した与党の議席率と得票率を示している。(なおマッケンジー・キング首相率いる自由党は、1925年総選挙で第2党に転落したが、進歩党の協力で政権を維持したので、表から除外している。)敗北し下野した16の与党のうち、今の保守党は議席率で12位にランクしている。また敗北し下野した与党の議席率は、平均で30.7%となっており、今の保守党はこれをわずかに下回っている。なお、1993年におけるキャンベル首相の成績が際立って悪く、平均値を大きく押し下げていることには注意を払う必要があるだろう。
 2015年のハーパー首相より成績が悪いのは、キャンベル首相、ターナー首相、ベネット首相、マーチン首相、ミーエン首相だが、世界恐慌の真っ只中にいたベネットを除き、あとの4人は有権者の信託を得ず前任者の辞任によって政権に就いたことには、注目すべきだろう。
 保守党の得票率31.9%は、16例のうちの11位で、平均値の37.1%を下回る。なお、ランキングの上位5つのうちの4つが、1921年以前であることには注意する必要がある。というのは、それ以前は2つの党のみが議席を有した純然たる二大政党制であり、それ以降は3つ以上の政党が議席を有する多党制だからである。
 客観的に見て、今の保守党はさほど強力とはいえず、むしろ平均以下といえる。単に定数が増えたため、議席の数が多いというだけである。
 オンタリオ新民主党のシェリ・ディノボ州議が、連邦新民主党のトム・マルケア党首に退陣を要求した。
 マルケア党首を支持するグループは、2015年総選挙に敗北した原因として、ムスリム女性の文化を支持するという原則に彼が忠実だったからだと説明している。だがディノボ州議は、党員の多くはその説明に納得していないという。マルケア党首が選挙戦の序盤で、レイトン前党首より左寄りの保育プログラムを主張したことについて、彼女は好意的に評価した。ところが新民主党の支持率がトップに立つと、マルケア党首は政権獲得のため支持を広げることを意識し、革新の原則から外れ中道寄りの政策を志向したことを批判した。特に彼が主張した均衡予算については、「馬鹿げている」と一蹴した。
 彼女は、党首も党本部も敗北の責任を取ろうとしないと述べた。
「我が党はもはや、新しくはない。我々は全く、民主的でもない。そして、誰も党の責任を持とうとしない。」
 彼女は、同じ選挙区のぺギー・ナッシュ前下院議員と親しい。ナッシュ前議員は、2012年党首選でマルケア党首に敗れている。

 新民主党は4月、エドモントンで党大会を開催する。マルケア党首はそこで、リーダーシップのチェックを求められる。党則により、50%以上が党首選を要求した場合は、1年以内に実施しなければならない。
 マルケア党首は2015年11月、シリウスXMラジオでホストのエバン・ソロモン氏に「何パーセント以下なら辞任するのか」と尋ねられたが、具体的な数字に言及しなかった。ソロモン氏はその後雑誌「マクリーンズ」に、「75%以下なら辞任すべきだと言っている人がいる」と綴っている。

 議席を減らしたとはいえ、新民主党にはまだ44人の議員団がおり、それは党の歴史上2番目の成績である。うちケベック議員団は16人で党内最大勢力となっているから、マルケア党首が下ろされることは考えにくい。後継者として有力なぺギー・ナッシュ、ポール・デュワー、ミーガン・レスリーの各氏は全員落選している。2012年党首選でマルケア党首と戦ったネイサン・カレン氏は、今も議員を務めているが、マルケア党首を支持している。
「赤子を産湯といっしょに捨てるのは重大な誤りだ。トムへの支持は、党内にはまだ多い。」
 新民主党のトム・マルケア党首は2月12日、党首に再任されるための数字について具体的に「少なくとも70%」と初めて明言した。
 新民主党は党大会で2年ごとに、党首のリーダーシップについて党員に諮問する。党則では、50%を1票上回る支持があれば、党首は留任できる。マルケア党首自身は、再任に必要なパーセンテージを具体的に言及するのを避けてきたが、レベッカ・ブレーキー代表は11日「70%以上が必要」と明言した。
 彼女は「党首は通常、90%以上の支持を得るものだ」「70%以下の支持では、党首に留まることは難しいだろう」と述べ、進歩保守党のジョー・クラーク党首が1983年、66.9%の支持を得て再任されるはずだったにもかかわらず、わざわざ党首選を行い敗れた例を挙げた。ケベック党のベルナール・ランドリー党首も2005年、76%の支持を得たにもかかわらず辞任している。

 マルケア党首を支持するグループは、ニカブ問題でイスラム教徒のエスニシティを尊重するという党の原理・原則に忠実だったことが、総選挙に敗れた原因だと説明してきた。だが圧勝した自由党もニカブ着用を擁護したことから、党員の多くはその説明に納得していない。
 彼らは、不況の最中に均衡予算を提唱したことが敗北の原因だと指摘する。選挙戦の序盤で支持率トップに立ったことで、政権獲得を強く意識し、有権者に嫌われないよう自分たちが穏健な党だとアピールするため、大胆な財政出動を行い大胆な政策を訴えることができなくなった。新民主党はいわば、自分たちは自由党のようだと主張するかのようだったが、有権者は自由党のまがいものではなく、自由党そのものに投票した。新民主党が財政規律を重んじたのに対し、自由党は財政赤字を公言したうえで、より左寄りの大胆な政策を打ち出し、有権者の心をつかんだ。また新民主党は財政について、原油価格を1バレル=67ドルと評価していたが、実際には20ドル程度にまで下落していたため、有権者に信用されなかった。
 マルケア党首は12日「我々はニカブ問題で打撃を受けた。我々がムスリム女性を強く擁護すると発表した48時間後に、支持率を20ポイント以上低下させたというデータがある」と弁明したうえで、「多くのケベック人は、ニカブを女性抑圧とみなした。我々は『その意見は理解できるが、裁判所がひとたび人々の権利を擁護すると判断したら、それを尊重しなければならない』と訴えるべきだった」と自己批判した。
 彼はまた、新民主党が訴えてきた15ドルのデイケア(保育所)や全国的ファーマケア(薬代の補助)のような政策は、均衡予算提唱によって覆い隠されたと総括した。
 彼はさらに、CBCテレビ・CTV・Global TV主催のテレビ討論を、ハーパー首相が出演しないなら自分も出演しないとした判断も、誤りだったと認めた。彼はマクリーンズ誌・グローブ&メイル紙・ムンクディベーツ主催のテレビ討論に出演したが、視聴者は200万人に達しなかった。2011年のテレビ討論は、1000万人以上が視聴した。

 万年野党の新民主党は、選挙で敗北した党首を引きずり降ろす伝統がない。それでは党首の首がいくつあっても足りないからだ。歴代の党首たちは、自らの意志でその地位を退いてきた。ジャック・レイトン前党首も、2008年総選挙に敗北したにもかかわらず、89.25%の支持で党首に留任している。
 だがマルケア党首は、新民主党の歴史上初めて「影の首相」の立場で総選挙にのぞみ、一時は支持率トップに立ったにもかかわらず惨敗した。新民主党党首が、初めて総選挙の責任を問われるのかどうか、そして万年野党から脱却できるのかどうかが、問われようとしている。
 新民主党左派の間で、総選挙に惨敗したトム・マルケア党首を降ろす動きが活発化している。
 ジェイミー・ニコルズ、エレーヌ・ミショー、エレーヌ・ルブランの前議員3名と支部長らケベックの左派37名は、3月15日モントリオールの仏語紙「ル・デボワール」において、「新民主党員への公開書簡」を掲載した。
「新民主党は、道に迷ってしまった。我々は新民主党員として、そう感じる。
 我が党は、すべての国民にポジティブな変革をもたらす存在だった。社会民主主義、社会正義、経済的平等の促進のために我々は戦った。だが前回総選挙のマニフェストは、新民主党らしさを欠いていたと我々は感じている。
 党の存在理由と原則を忘れてしまったことに、我々はつまづいのだ。我々は、我々が守るべきマニフェストで戦わなかった。
 新民主党は、他党とは違う。我々は権力志向ではなく、国民にポジティブな変革をもたらすために戦う。
 新民主党には、誇り高い伝統の上に立ち続けていて欲しい。そのために我々は、党を刷新し、より革新的になり、より民主的になり、より透明度を高め、党員の声に耳を傾ける必要がある。対話は、国民の要望とプライオリティを我々の方針に結びつける手段であり、単に寄付を募るためではない。
 より公正な国家と世界を築くため、新民主党の原則を前に進めようではないか。今一度、新民主党員であることに誇りを持とうではないか。」

 新民主党の「社会主義幹部会」を名乗る左派グループは同日、トロントで記者会見を行った。バリー・ワイスレダー議長は、党があまりも民主的・社会主義的原則から外れてしまったと語った。
「前回総選挙で執行部が訴えた財政保守主義は、新民主党のいかなる大会でも幹部会でも承認されたものではなかった。」
 彼は、マルケア党首は前回総選挙で100万票と議席の60%を失ったため、報いられるべきではないと訴えた。
「問題は資本主義であって、タイタニック号のデッキチェアの処置ではない。」
「大きな変革は常に下から来るという事実を、忘れてはならない。民主主義的かつ社会主義的プロセスへの扉を開けるには、4月にエドモントンでリーダーシップ投票をするより、選択の余地はない。」

 コンコルディア大学とマギル大学の新民主党学生組織も同日、総選挙のマニフェストを非難し、社会的良心として党がその本分に戻るよう呼びかける声明を発表した。
「マルケア氏は尊敬すべき政治家だが、彼が社会民主主義者として我々と価値観を共有するとは思わない。」
「ケベック自由党員としての彼の長い経歴は、新民主党の源流ともいえる社会運動・組合活動・学生運動とはつながっていない。」

 2012年の党首選でマルケア氏に敗れたニキ・アシュトン議員も同日、記者会見を行った。彼女は、若年層の39%が非正規雇用に就いているという事実を憂慮した。
「このような緊急を要する事態において、我々には国民的指導力が求められている。」
 4月の党大会でマルケア党首を支持するかと問われると、彼女はこう答えた。
「我々の前には、多くの成すべき作業がある。リーダーシップ・チェックもその一つだ。」
 記者の一人が、回答を避けたのはマルケア党首を支持しないという印象を与えるがどうなのかと問いつめると、彼女は否定した。すると記者はなおも、彼女に詰め寄った。
「あなたはマルケア党首の続投を支持するのか、イエスかノーかで答えて下さい。」
 すると彼女は「我々がここにいるのは、若者たちが直面している深刻な問題について話すためだ」と答えた。

 オンタリオ労働総同盟のシド・ライアン元委員長は、アメリカ民主党の大統領候補バーニー・サンダース上院議員とイギリス労働党のジェレミー・コービン党首が、左翼的政策は決して「死の接吻」ではないことを実証したと語った。彼は、マルケア党首が新民主党の原則から外れ、不景気にもかかわらず均衡予算を公約したことを批判し、こう述べた。
「トムが次の総選挙でバーニー・サンダースになるとは、私は思わない。トムは歯を食いしばって辞任し、熱意を持った後任に道を譲るべきだ。」
 新民主党は今週末、エドモントンで党大会を開催する。現在の党首を支持するかどうかの投票は4月10日に行われるが、これとは別に、党が採択するアジェンダも重要である。
 リビー・デービス元副党首やクレイグ・スコット前議員らは、先住民の権利擁護・企業と富裕層への課税強化・軍事費削減などを盛り込んだ社会主義的色彩の強い「跳躍マニフェスト」を採択するよう迫っている。またケベックの左派は、新聞で「新民主党員への公開書簡」を発表した。だが党内右派のネイサン・カレン議員は、このような動きは「いつか見た光景」だと言う。新民主党は、西部とオンタリオの労働者のための党から、全国の全階層のための党として浸透してきた。その過程において、様々な階層の人々にアピールするためしばしば中道寄りの政策が採られてきたが、選挙結果が思わしくないと、原理主義的左派が「原点に回帰せよ」と訴えてきたのが同党の歴史なのだと言うのだ。
 オンタリオ州のチェリ・ディノボ州議も、その典型的な一人である。
「我々は原則と良心の党である。我々はその上に立脚して活動していける。バーニー・サンダーズとジェレミー・コービンはそれを示した。彼らはすでに勝利している。なぜなら彼らは、自分たちの主張に注目を集めることに成功したからだ。」
「我々は勝つことばかり考えていてはならない。我々は原則に忠実でなければならない。新民主党は長い間、マルケア党首以前から中道に寄り続けてきた。だが今こそトミー・ダグラス、J・S・ウッドワースの原則に回帰する時である。」
 彼女はさらに、地方の新民主党政権であるオンタリオ州のボブ・レイ政権とノバスコシア州のダレル・デクスター政権を指して「それらは、選挙に勝てないことなどよりも、原則の党として知られている我が党にダメージを与えた」と評した。
 だが2015年総選挙の結果は、新民主党の政策がカナダの有権者に浸透したという確証を得たと、カレン議員は語る。
「新民主党が従来主張してきたような公約を自由党が訴えたのは、まさに模倣であり、自由党は場合によっては、我々よりも新民主党的だった。」
「私の考えでは、議会の良心であることに自己満足していた新民主党は、もうすぐなくなる。」
「我々は経済問題に関して中道寄りになり、1950年代に唱えていた主張は放棄された。見解は変わるものだ。本当の革新とは、3世代前のものが現在とは異なるということだ。物事は変わるからだ。なぜ我々が、進化と変革を受け入れないなどということがあるのだろうか?」

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