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カナダの歴史と政治コミュのカナダ、TPP交渉参加を表明

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 ホノルルで開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議に参加したハーパー首相は、11月14日にアメリカのオバマ大統領と首脳会談を行った後、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉への参加を表明した。また同日、NAFTA(北米自由貿易協定)加盟国のメキシコも参加を表明した。日本・カナダ・メキシコの3か国が参入すれば、世界のGDPの35%をも占める巨大な自由市場が形成されることになる。
 カナダとメキシコの参加表明について、オバマ大統領は「日本・カナダ・メキシコのTPP交渉参加を歓迎する。アメリカで数万人の雇用を創出する画期的な出来事だ」と評価した。高い失業率に悩むオバマ大統領にとって、2012年大統領選での再選は厳しい。彼は貿易拡大による雇用創出に、勝機を見出そうとしているようだ。ハーパー首相は参加に転じた理由について、「オバマ大統領から極めて強く参加を求められた。12日の大枠合意の内容も、カナダは容易に適合できる」と説明した。
 実はカナダは、2010年10月にもTPP交渉に参加しようとしたが、酪農を保護するカナダはニュージーランドの乳製品を警戒し、関税撤廃の例外品目に指定するよう求めたため、参加を拒否された経緯がある。エド・ファスト国際貿易大臣などは2日前に、「TPPがカナダの国益になると確信できたときにのみ交渉に参加する」と述べ、無関心を装っていた。

 カナダの唐突な参加表明は、各方面で様々な憶測を呼んでいる。ナンヤン理工大学(シンガポール)のデボラ・エルムス教授は、こう推測した。
「ホノルルで何があったのかは、いまだ不透明なままだが、私の考えは、アメリカが単独で日本と交渉することを望まなかったということだ。それでアメリカは、カナダとメキシコに参加を要請した。オバマ大統領は、酪農・養鶏業を保護する障壁を維持できる何らかの保証をカナダに与えたのではないか」。
 カナダの元外交官コリン・ロバートソン氏は、「キーストーンXLが転換点だったかもしれない」と説明した。
 アメリカは10日、アルバータ州の原油をテキサス州などの製油所に運ぶ「キーストーンXL」パイプライン計画の凍結を一方的に発表した。するとジム・フレアティ財務大臣は11日、パイプライン計画凍結によって、カナダは石油市場をアジアに求めることになるだろうと述べた。
 だがカナダで生産される石油と天然ガスは、その100%がアメリカに輸送されている。またカナダの輸出の75%が、アメリカ向けのものである。成長著しい中国への輸出は、わずか3.3%にすぎない。ロバートソン氏は「地理的条件を変えることはできない。アメリカは依然として、カナダ最大の市場である。カナダはアメリカを捨て去るわけにはいかない」と語った。

 オタワで酪農を営むピーター・ルイターさんは、次のような見通しを語った。
「アメリカは、綿花の保護を望むだろう。日本は、米の保護を望むだろう。どの国も保護したい何かがあるから、カナダの酪農業もきっと生き残れるはずだ。」
 カナダは、穀物・油料種子・牛肉・材木・パルプでは強みがあるが、乳製品と鶏肉は例外品目としたい。いっぽう日本が死守したい品目は、米・牛肉・簡易保険である。特に米は、関税率が778%にものぼっている。ところがカナダの自動車関税率は6.1%と、アメリカの2.5%に比べ高いものになっていることから、カナダのTPP参加は日本にとって悪い話ばかりでもなさそうだ。カナダが日本と協調して、アメリカに関税撤廃の例外品目を認めさせる展開も十分考えられる。
 経団連の米倉弘昌会長は15日、「カナダ・メキシコに先駆けて、日本が参加表明できたのは非常に良かった」と評価した。日本の参加表明によってTPPの意義は格段に大きくなり、早期に参加しなければ巨大市場のルール作りに参加できなくなり、参加が遅れればすでに作られたルールを一方的に押し付けられることになるからである。

 TPPは2005年、「P4」と呼ばれるブルネイ・チリ・ニュージーランド・シンガポールの4か国によって形成された。カナダも参加を要請されたが、この時点では世界のGDPの0.9%でしかなく、参加を辞退した。
 2010年、TPPはアメリカ・オーストラリア・マレーシア・ペルー・ベトナムの5か国が参加したことによって、世界のGDPの27%を占める巨大市場に拡大した。カナダもこのとき参加を表明したが、拒否された。
 そこへ日本・カナダ・メキシコの3か国が参入すれば、世界のGDPの39%を占める市場が形成されることになる。さらに、韓国とフィリピンも参加するものと推測されている。
 カナダは韓国とのFTA(自由貿易協定)締結に失敗しており、TPPはアジア市場に手っ取り早くアクセスできる頼みの綱である。
 カナダは国民皆保険制度を敷いており、NAFTA締結後もそれを維持している。国民皆保険制のカナダが参加を表明したことで、「日本がTPPに参加すれば国民皆保険制は瓦解する」という反対論は、その論拠を失うことになる。

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「チャイナ・シンドローム」
地球の裏からコンニチハ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120410-00000303-newsweek-bus_all
 カナダのスティーブン・ハーパー首相は昨年11月、ホノルルで開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議に際し、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加に関心があると公式に表明した。
 カナダの姿勢が180度転換したことを示す発言だった。それまでカナダはTPPを遠くから冷ややかに眺めるだけで、前提条件をのまなければ参加できないような交渉には加わらないと明言していた。
 カナダはこれまで、TPPの重要性を認識していなかったのだ。TPPは当初、経済規模の小さい4カ国で細々と発足した(ニュージーランド、チリ、シンガポールに加えて、土壇場でブルネイが参加)。08年にペルーで開かれたAPEC首脳会議を契機に拡大交渉が始まった。
 アメリカが交渉参加を決めたのは、ジョージ・W・ブッシュ大統領の時代だ。議会の批判をかわすためにも貿易交渉で成果を挙げる必要があったブッシュ政権は、将来的なアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構想も視野に入れながら、TPPの拡大交渉に参加。これを機にペルー、オーストラリア、ベトナム、少し遅れてマレーシアが参加を表明した。

■日本の意思表示に便乗
 それでも、少数与党だったカナダの保守党は、自国の将来にとってアジアが意味するものが大きいということ(もしかすると北米やヨーロッパよりも大きいこと)を認識していなかった。だがここ2年ほどで、TPPは無視できない存在になった。
 アメリカがバラク・オバマ大統領の下でTPP交渉に本腰を入れる意向を示し、09年から交渉が活発化。昨年11月のAPEC首脳会議の際には、交渉参加9カ国が「野心的で21世紀型の協定」の大枠の合意に達したという声明を発表し、12年中の最終妥結を目指すという工程も示された。
 TPPが現実味を帯びるなかで、カナダは蚊帳の外に置かれていることに危機感を抱き始めた。そこでTPP交渉参加の可能性についてアメリカの意向を探ったが、オバマ政権の反応は素っ気なかった。
 第1に、交渉参加国が増えれば、ただでさえ厄介な交渉がさらに難航しかねないという問題があった。参加国にはオーストラリアやニュージーランドといった先進国もあれば、ベトナムのように政府の主導によって経済の舵取りをしている新興国もあり、各国の経済的利害はそれぞれ異なる。
 第2の理由は、アメリカが目指す野心的な合意の成立に、カナダが積極的に貢献するかどうか分からなかったこと。カナダの知的所有権関連法は「ざる法」であることで知られる。映画など広範な「文化産業」を自由貿易交渉から除外するよう要求してもいる。
 さらにカナダは、酪農・養鶏分野で時代遅れの供給管理制度にしがみついている(これはアメリカよりニュージーランドにとって重要な点かもしれない)。そのためこの分野で、外国製品はカナダ市場から事実上締め出されている。
 ひとことで言えば、カナダはあまり歓迎されていなかった。しかし、誰もそれを表立って言いたくなかったし、カナダも参加を明確に表明して拒否されるリスクは避けたかった。
 こうして昨年11月のAPECサミットがやって来た。日本は会議に先立ち、TPP交渉参加に関心があると表明した。日本が参加すれば、交渉の流れは大きく変わる可能性があった。日本の経済規模が大きいためだけでなく、貿易交渉で農産物分野などの市場開放を拒み続けてきた日本の姿勢が、大きく変わることを意味するためだ。
 日本が参加の方針を示したことで、カナダ(とメキシコ)も意思表示をしやすくなった。アメリカとしては、日本を歓迎する一方で、NAFTA(北米自由貿易協定)のパートナーであり、最大の輸出相手国でもあるカナダの参加を拒否するわけにはいかなくなってきた。
 オバマはカナダ(とメキシコ)がTPP交渉参加に関心を示したことを「歓迎する」と語った。ただし、交渉参加には厳しい条件が付くと強調することも忘れなかった。
 カナダ当局は活発な働き掛けを開始した。エド・ファスト貿易相はTPP交渉参加への支持を取り付けるため、マレーシア、シンガポール、ブルネイを歴訪しており、今後すべての交渉参加国を訪問する予定だ。マレーシアはこれまでの合意事項を受け入れるという条件付きで、カナダ(とメキシコ)の参加に支持を表明した。
 カナダとアメリカの事務レベル協議も始まった。米政府はこの場でカナダの交渉参加に関する米産業界の意見を伝えた。ファストによれば「わが国のTPP参加を支持する意見が91%を超えていた」という。
■「蚊帳の中」に入りたい
 APEC加盟国で第4の経済大国であるカナダのTPP参加は、確かに経済的には意義がある。しかしカナダがTPPの「ドレスコード」(丸裸同然の市場開放)をのむ用意があるかどうか、包括的で大胆で多分野に及ぶ協定に同意する用意があるかどうかは分からない。
 ハーパー政権は新しい著作権関連法の制定にようやく近づいた。投資規制の緩和(特に通信分野の規制は悪名高い)にも乗り出す意向だ。
 カナダの酪農・養鶏業界は、経済的な重要度に見合わない大きな政治力を持つ。ハーパー政権がその圧力に抵抗できるかどうかは疑問だが、TPPが誘因となってカナダ産業界の構造改革が進む可能性もある。
 交渉参加国にはそれぞれに守りたい利害がある。どのような交渉でも、それらを擦り合わせる過程で互いに譲歩が必要になる。船に乗りたいのなら、カナダは急いだほうがいい。
 途中から新たに3カ国が加われば、交渉がさらに紛糾するのは明らかだ。それでもカナダは参加を望んでいる。今からでも「蚊帳の中」に入ったほうがいいと気付いたからだ。
 交渉に参加している国々がカナダの参加にメリットがあると判断するかどうかは分からない。それでもカナダは、TPPという名の聖杯を追い求める。その杯が「奇跡」をもたらしてくれることを期待して。

(ニューズウィーク日本版3月14日号掲載)
●カナダの農業が崩壊したですって?
http://blog.livedoor.jp/clj2010/archives/65582850.html

カナダの農業がNAFTAでひどいことになったからTPPはだめだとか言う意味のわからないTPP反対論が出てきているらしい。
本当に、既得権益を守るためにわけのわからない主張をいろいろするもんだとあきれてしまう。笑
実際にはカナダからアメリカへの輸出額は3倍に増えている。
●NAFTA10年の農業政策がカナダの農業に与えた影響
http://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokusei/kaigai_nogyo/k_syokuryo/h16/pdf/h16_america_03.pdf
 ハーパー首相は6月19日、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉に参加する意向を表明した。これにより、TPP交渉のメンバーはアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、ベトナム、シンガポール、ブルネイ、チリ、ペルー、メキシコと併せて11か国となった。
 日本よりあとに参加表明したカナダが先に交渉入りできたのは、北米自由貿易協定(NAFTA)でのキャリアが評価されたようだ。一部では、日本の出遅れを懸念する声もあがった。
 ハーパー首相は「新市場の開放や新事業の機会創出は、すべてのカナダ国民にとって雇用、成長、長期的反映につながる」「TPPの合意は、アジア太平洋地域の貿易を強化し、カナダ国民と企業にさらなる経済的機会をもたらす」と述べた。

 カナダは、アジアではどの国とも自由貿易協定を結んでいない。TPPは当初は小さな枠組みだったが、2011年11月の日本の参加表明により、人口5億1000万人・GDP17兆6000億ドルの巨大市場が形成される見込みとなると、カナダもあわてて参加を表明した。だがカナダにとっては、酪農・養鶏業と知的財産権はアキレス腱である。ケベック州の酪農家を中心とするカナダ酪農生産者連盟は、圧力団体として経済力以上の政治力を行使しており、カナダは供給管理制度と関税割当制度を実施してきた。
 交渉入りに当たりハーパー首相は、酪農・養鶏業で譲歩する用意があると示唆したという噂も流れている。彼は記者の、交渉では何を譲歩するのかという質問には答えず、「貿易交渉にあっては、あらゆる産業の利益を保護することを目指しているし、当然ながら、カナダ経済というより大きな立場の利益を促進することを目指している」と語った。
 保守党は歴史的にケベック州で嫌われてきたが、与党である現在もわずか5議席しか有していない。この数字は歴代政権中最低だが、ケベック州に痛みを伴う政策を採っても、ハーパー政権が失う議席は多くないということになる。
 カナダがTPP交渉に参加すると、アメリカ・オーストラリア・ニュージーランドは、カナダの乳製品に関する輸入障壁を撤廃するよう要求し始めた。
 米国乳製品輸出連盟と全米生乳生産者協議会は「アメリカ乳製品に対する、カナダのすべての貿易障壁は撤廃されなければならない」という声明を発表した。またアメリカ乳製品輸出協会のトム・スーバー代表は、「アメリカ乳製品の、カナダ市場への完全に自由なアクセスなしには、いかなるTPP条約も支持しない」とアメリカ政府に通告した。

 カナダの酪農業は、供給管理制度を採用している。酪農家が乳牛を増加するには、他の酪農家から割当(クオータ)を購入しなければならない。1クォータの定義は「乳脂肪を1キログラム生産できる1日当たりの生乳生産量」であり、乳牛1頭を飼養する権利に等しい。1クォータの価格は、2007/08年度の全国平均で28205カナダドル(約231万円)であり、カナダの酪農生産者の平均飼養頭数は72頭であることから、72頭の乳牛を飼養するためには、飼育する権利を72×28205=2,030,760ドル、なんと1億7千万円で購入する必要がある。つまりは、乳牛72頭規模の酪農業を新規に起業するためには、土地や乳牛そのものの費用とは別に、飼育する権利を1億7千万円分も購入しなければならないが、既存の酪農業者が離農のためクォータを売却すれば、1億7千万円を手にすることができることになる。しかしこれも割当制度が続くかぎりの話であって、これが撤廃されれば、クオータの価値は消滅することになる。
 乳製品にかかる関税は最大で315%もあり、NAFTA(北米自由貿易協定)締結後もこのような貿易障壁が維持されてきたことは驚くべきことである。カナダはかつて乳製品の輸入規制を行ってきたが、1995年のWTO発足により、現行の割当制度に差し替えられた。アメリカは同年これをNAFTA協定違反として提訴したが、翌年合法と裁定されている。カナダのTPP参加をアメリカが許容したのは、NAFTAの再交渉を狙っているという見方が強い。

 カナダのマッティアス・ブリンクマンEU大使は、カナダとEUの双方が、供給管理制度の撤廃よりは是正を志向していると語った。それはたとえば、カナダがチーズ輸入を増やすかわりに、EUは牛肉輸入を増やすというようなものである。貿易の専門家や他のTPP参加国も、カナダの保護貿易主義的な供給管理制度が一朝一夕にして撤廃されるとは考えていない。かつて外務及び国際貿易省に務め、現在はクイーンズ大学非常勤講師であるジョン・カーチス氏は、最大で315%もある関税には譲歩の余地が非常に大きく、30から50%程度切られたとしても、まだなお輸入障壁として十分機能すると指摘した。
 圧力は、海外だけにとどまらない。 マケイン・フーズ社やサプト社などのカナダの食品メーカーは、アジア市場に売り込みを図りたいが、現行制度下では競争的価格を維持するには、カナダ国内で酪農成分を買うことが難しい。また供給管理制度のためカナダの消費者は、乳製品や鶏肉に年間30億ドルも余分に支払っている。

 アザラシ製品は2009年EUに禁輸措置を取られ、世界有数の産出量を誇ったアスベストも、健康被害から2011年採掘中止に追い込まれた。世界第2位の産油国であるカナダが命運を賭けたキーストーンXLパイプラインも、原油漏れが指摘され計画は凍結された。カナダは手詰まりの中で、アジア市場に打開策を見出そうとしている。そのために、自国の保護貿易制度を多少の犠牲にさらすことは、想定内であろう。TPPにまつわる極論が多く喧伝されているが、いたずらにオール・オア・ナッシングの議論に陥ることなく、日本もカナダと同様、冷静に条件闘争すべきである。
 カナダのジェリー・リッツ農業・農産食料相は12月6日、同国のケベックシティで講演し、乳製品や鶏肉などの供給管理品目について「供給管理品目を守る姿勢は変わらない」と述べた。ニュージーランドで始まったTPPの第15回拡大交渉から同国が参加しているのを受け、会場の酪農家が「政府は私たちの産業を守ると信用していいのか」と質問したのに答えた。
 ただリッツ農業・農産食料相は、TPP交渉で供給管理制度を守る確約が米国など相手国から得られているかどうかや、具体的な対策には触れなかった。カナダではTPP交渉で乳製品などをどう守るかが大きな課題で、今後の動向次第では同国でも大きな論戦が起こりそうだ。
 講演は、ケベック州生産者連合(UPA)が開いた年次総会で行った。同州はカナダ全体の加工原料乳生産量の約半分を占め、供給管理制度が維持できないと生産者は大きな打撃を受ける。
 供給管理制度は、低関税の義務的な輸入数量枠を設ける代わりに、それ以外には高い関税を設定して輸入量を抑制し、国内の生産量管理と合わせて国内生産を守る制度。カナダは乳製品と鶏肉、鶏卵などで供給管理制度を実施している。
 リッツ農業・農産食料相は「バランスの取れた態度で交渉に臨まなければならない」と述べ、乳製品などとは別に、TPP交渉で豚肉などの輸出拡大に意欲を示した。
 ハワイ州ラハイナで開催されたTPPに関する12か国の閣僚会合は、大筋合意できずに7月31日閉幕した。次回の閣僚会合の日程は決まっていないが、8月中の開催は厳しく、早くとも9月以降とみられている。
 カナダが交渉の遅れをもたらしている原因は、知的財産権と酪農の供給管理制度で譲歩できないことにある。日本の甘利明TPP担当大臣は「12か国全体での合意が大事だが、どうしても間に合わない国があれば、後から参加してもらう選択肢もある」と述べ、名指しは避けたもののカナダを婉曲に批判した。
 交渉が秋に長引くなら、アメリカは大統領予備選シーズンを迎える。民主党支持者はヒラリー・クリントン氏にTPPを潰せと迫り、共和党支持者も彼らの候補にオバマを妨害しろと迫り、レイムダック化したオバマ大統領は進退窮まるだろう。
 そんな中ハーパー首相は8月2日、下院を解散し総選挙に打って出た。彼は記者団に「カナダは選挙運動の期間中、交渉のテーブルにとどまるし、そうすることが重要だ」と語った。
 カナダの酪農家のかなり多くは、ケベック州にある。同州のジャン・シャレー元首相(カナダ進歩保守党元党首でもある)はそれを認識したうえで、世界第3位の経済大国日本との貿易で利益を得るために、カナダはTPPには絶対に参加する必要があると説く。
「カナダはTPPに参加しなければ、孤立する。」
「農家ははっきり二手に分かれている。牛肉・豚肉生産者は、TPPをより大きい市場に参入する機会として見ている。」
 カナダにとって日本は、アメリカ、中国、イギリスに次ぐ4番目に大きい輸出市場である。日本との自由貿易協定がまとまれば、年間27億米ドルの対日輸出増につながり、カナダ経済にとって38億ドルの拡大が見込まれる。

 カナダで2番目に多くの議席を有するケベック州は、総選挙最大の激戦地でもある。新民主党は長年ケベックで支持されなかったが、前回総選挙でケベックの最大勢力となった。とはいえその基盤は、磐石とはいえない。前回までの最大勢力ケベック連合は、失地回復のため新民主党にターゲットを絞り鋭く批判している。ケベック連合から分離した民族主義の新党「力と民主」は、差異化を図ろうとケベック連合と新民主党を攻撃する。自由党はかつてのケベック支配者であり、失った支持を取り戻そうと懸命だ。
 貿易問題でやり損なえば、有権者に見捨てられ奈落の底に落ちることもありえる。新民主党は乳製品の市場開放に強く反対しているが、与党保守党も供給管理制度の維持をアピールしている。
 ウィルソンセンター・カナダ研究所のローラ・ドーソン所長は、TPP交渉は進展しないだろうとみている。
「誰だって選挙期間中に票を失うようなことはしたくないでしょう。ハーパー首相は農業分野で妥協することになるでしょうが、可能な限り交渉を遅らせるでしょう。」
 だがシャレー元首相は、ハーパー首相が選挙期間中にTPPの大枠について交渉をまとめ、その結果を有権者にアピールするのではないかと予測した。
 貿易問題が争点になった選挙といえば、北米自由貿易協定(NAFTA)が争点になった1988年が思い出される。これを推進したマルローニ首相は、反対票が自由党と新民主党に分散したため勝利した。古い例ではローリエ首相が、アメリカとの自由貿易を訴え1911年総選挙で大敗している。
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/world/20151021-567-OYT1T50027.html
 オバマ米大統領は20日、カナダの次期首相に就任する自由党のジャスティン・トルドー党首と電話で会談した。
 米政府の発表によると、両氏は大筋合意に達した環太平洋経済連携協定(TPP)の締結を目指すことを確認した。
 トルドー氏率いる自由党は19日に行われた総選挙で大勝した。トルドー氏は選挙中、ハーパー政権が進めたTPP交渉に対して「全容が明らかにならない限り、賛成できない」として賛否の明言を避けていたが、支持を明確にした格好だ。
 電話会談でオバマ氏とトルドー氏は、TPPを発効させ、両国の経済成長と雇用創出を進める必要があるとの認識で一致した。
 5月25日にトルドー首相がトランプ大統領と交わした電話会談で、両者が激しく言い争い、1812年戦争でのホワイトハウス焼き討ちにまで言及したと、CNNが6月6日に報じた。
 アメリカは5月、カナダの鉄鋼・アルミ製品に「安全保障上の理由」で関税を課した。これに対しトルドー首相が、同盟国カナダに関税を課すのにどのような「安全保障上の理由」があるのかと問いただしたところ、トランプ大統領はこう答えたという。
「あなたたちは、ホワイトハウスを焼き払いませんでしたか?」
 1812年戦争で、カナダ(当時はアッパー・カナダ植民地)に侵攻したアメリカ軍は1813年4月、首都トロントを焼き払い議会議事堂を焼失させた。イギリス=カナダ軍はその報復として、1814年8月にワシントンのホワイトハウスを焼き払っている。
 大統領の発言についてトルドー首相は、次のように述べた。
「私は『軽口』にはさほど注意を払わなかった。」
「我々がアメリカに対する安全保障上の脅威であるという考えは、率直に言って、侮辱的で受け入れがたい。」
 トランプ政権の国家経済会議委員長を務めているラリー・カドロー氏は、多少の緊張は認めたが、両国の関係は非常に良好なままだと考えていると語った。
「短期的には意見の相違が起きることはあっても、アメリカとカナダが確かな友人であり、同盟国のままであることへの疑いは、私にはない。」
 カナダのクリスティア・フリーランド外務大臣は、CNNの番組で次のように問いかけた。
「カナダに大勢いるアメリカ人の友だち全員に、私は大真面目にききたい。NATO同盟国であるカナダが、あなたにとって安全保障上の脅威だと本気で信じますか?」
 アメリカのボブ・コーカー上院外交委員長は、大統領の「安全保障上の理由」発言に疑問を呈した。
「自動車産業に関税を課すために、この条項を使う理由がない。これは選挙に先立ち内政への影響を意識したものか、あるいは貿易交渉に関するほかの処理のためにやっているのではないか。」

 最初にアメリカは、カナダ・メキシコ・EUに鉄鋼とアルミニウムの関税を免除したが、後に取り消した。アメリカは現在、カナダの鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の関税を課している。これに対しカナダは、アメリカの芝刈機やトランプやフェルトペンに至るまで、165億ドル相当の新しい関税を課した。
 トルドー首相は4月、大統領は中国から輸入した安価な鉄鋼とアルミニウムを安価にアメリカに輸出されることを懸念しているのではないかと考え、国境警備の厳重化を発表している。大統領はこれに満足し、カナダに永続的に関税を免除するのではないかと、首相は考えたようだ。しかし大統領は、アメリカの鉄鋼業が国防総省に納入する体制に深刻な脅威を与えていると考えたかもしれない。
 関税は、1962年通商拡大法232条に基づいている。これは大統領が「安全保障上の脅威」と認定すれば、関税率の引き上げや輸入割当枠の導入など幅広い制裁措置を発動できるものであり、アメリカ史上、1979年のイラン産原油と1982年のリビア産原油の輸入禁止の2度のみ発動されている。
 トルドー首相は、232条発動は「アメリカ軍とともに戦って死んだ、幾千人ものカナダ兵に対する侮辱だ」と指摘した。


図左:アメリカ人の考え:アメリカに突撃を命じるカナダの指揮官。服装が1812年戦争。
図右:カナダ人の考え:マクドナルド、スターバックス、ウォルマート、ターゲット、バドワイザー…アメリカ企業の侵略を必死に食い止めているカナダ。
https://www.sankei.com/world/news/180607/wor1806070020-n1.html
>トランプ氏はカナダ軍が“主犯”だと言いたかったようだが、実際には、米英戦争の渦中に、英軍が建物に火をつけたのが歴史的事実。トランプ氏は「誤って歴史を引用した」(CNN)

当時のカナダはイギリスと同じ国で、カナダ人も戦争に参加しているので、誤ってはいない。

https://edition.cnn.com/2018/06/06/politics/war-of-1812-donald-trump-justin-trudeau-tariff/index.html
>Trump made an erroneous historical reference

CNN日本語版では、なぜかこの部分が抜けている。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180607-35120467-cnn-int
>英国によるワシントンへの攻撃は、後のカナダ領であるオンタリオ州ヨークを米国が攻撃したことに対する報復とされる

「オンタリオ州ヨーク」は、現在で言うトロントのこと。私は1993年、トロント市の隣のCity of Yorkに住んでいたが、この市は後にトロントに吸収された。19世紀のヨークと20世紀のヨークは、意味が異なる。

>後のカナダ領

カナダ連邦が成立するのは1867年だが、1812年戦争の時点ですでに「アッパー・カナダ植民地」になっていて、ヨークはその首都である。「連合カナダ植民地」が成立するのは、1841年。

>ワシントン焼き打ちをめぐっては、当時の大統領夫人だったドリー・マディソンがジョージ・ワシントン初代大統領の肖像画を避難させたとする逸話も有名だ

1849年4月25日、カナダ植民地の首都モントリオールで暴徒が議会議事堂に放火したとき、サンドフォード・フレミング(世界標準時の考案者)がビクトリア女王の肖像画を避難させたエピソードも、たまには思い出してやって下さい。これが原因で首都がトロントに移転します。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=1611536&page=1&id=13312288 の6を参照。
11月30日、北米自由貿易協定(NAFTA)を発展的に解消する「アメリカ・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に、3か国の首脳が署名した。各加盟国の批准後に有効化される。
NAFTAは、USMCA発効まで存続する。


図:かつて「YMCA」をヒットさせたビレッジ・ピープルが歌う「USMCA」。

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