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カナダの歴史と政治コミュの強気のハーパー、弱気のディオン

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 グローブ&メール紙が2月17日までに実施した世論調査では、政党支持率は保守党が39%と、2006年1月の政権獲得以来最高をマークし、2位の自由党27%、3位新民主党12%、4位緑の党12%、5位ケベック連合10%を引き離したことがわかった。
 これを受けて、予算案採決を控えたハーパー少数政権は突如強気に出て、3本の信任動議を提出した。
 まず2月7日、下院で犯罪取締法改正案の立法化を迅速に行うことを要求する信任動議を提出。暴力犯罪取締法など五つの法案を包括するC-2号法案は昨年下院で可決されたにもかかわらず、その後議会がクリスマス休会に入り、野党自由党が優勢の上院で吊るしに遭っていた。これに業を煮やした保守党政権は「上院で3月1日までに採決すること」を要求する信任動議を提出したのだ。この法案は2月29日、無事に成立した。
 ハーパー政権は翌2月8日には、下院に「アフガニスタン・カンダハル地方へのカナダ軍派兵を予定の2009年2月から2年延長する」という信任動議を提出した。保守党政権は「カンダハル地方のタリバン勢力は依然として危険であり、復興の障害になっている」と、アフガニスタン国民とNATOに対する責任があると主張している。だが野党第一党の自由党は、延長する場合はカナダ兵を危険な前線の戦闘任務から外し、アフガニスタン復興に協力し、アフガニスタン国軍の強化・指導などに力を注ぐべきだと反論している。
 そして最も重要な予算案は2月26日に提出され、下院で202対7で可決された。
 予算と2つの信任動議は、いずれの一つでも否決されれば内閣不信任とみなされ、解散・総選挙が実施されることになる。2年以上も少数政権に甘んじてきた保守党が、ここに来て突如強気に出た理由は、原油高・カナダドル高を背景とした好景気が続く中、2年連続でGSTの引き下げを実施したことが有権者に好評で、今なら総選挙に打って出ても勝てると読んでいるのだろう。
 自由党は、シュライバー問題、犯罪取締法動議、予算、キャドマン・ゲート事件、オバマ・リーク事件、アフガニスタン派兵延長動議など、ハーパー政権を揺さぶるネタはいくらでもあり、野党3党が協力すれば内閣不信任は容易なことなのに、あらゆる口実をつけて解散・総選挙を避けているように見える。自由党は10月のハーパー首相所信表明演説でも、反対投票すると解散になるので棄権し、ディオン党首が議会で「負け犬!」と厳しい野次を浴びせられている。2008年度予算と犯罪取締法案については、反対では有権者の反感を買うおそれがあるので賛成に回り、アフガニスタン派兵延長の採決は3月13日だが、自由党は修正案を提出し最終的には賛成に回るものと見られている。
 3月17日にはバンクーバー-クォドラ(ブリティッシュコロンビア)、ウィローデール(オンタリオ)、ウェストマウント-ヴィルマリー(ケベック)、デスネテ-ミシニッピー-チャーチルリバー(サスカチュワン)の4つの選挙区で補欠選挙が行われる予定になっている。いずれも自由党の議席で、最初の3つは自由党の鉄板選挙区である。自由党は4議席全てを死守する目論見だが、果たしてどうなるか。


図左:各種スキャンダル売出し中のハーパー・ショップ。本日のスペシャル“Obama leak soup”は“leek soup”(ネギのスープ)にかけている。
図右:解散・総選挙のチャンスは何度もあったのに「総選挙が来るよ!来月だよ!」と叫び続けるオオカミ少年。タブは上から順に京都議定書放棄宣言、2007年度予算、シュライバー問題、犯罪取締法動議、アフガニスタン派兵延長動議、キャドマン・ゲート事件、オバマ・リーク事件、2008年度予算。

コメント(2)

●バンクーバー-クォドラ選挙区(ブリティッシュコロンビア)
1.ジョイス・マレー(自由党)10155
2.デボラ・メレディス(保守党)10004
3.レベッカ・コード(新民主党)4064
4.ダン・グライス(緑の党)3792
5.ジョン・ターナー(ネオ・サイ党)110
6.サミュエル・フランク(カナダ行動党)40

 ジョン・ターナー元首相の選挙区で、1984年から自由党が24年維持している鉄板選挙区。3人の女の戦いは際どい差で自由党のジョイス・マレー元BC州環境大臣が勝利したが、容姿ではUBCで政治学を学ぶ現役女子大生にして、日本で英語を教えていたという(ワーホリか?)レベッカ・コードの圧勝であった。
なお5位の「ジョン・ターナー」氏は元首相と同姓同名の別人で、今はなきサイ党から立候補していたが、今回はネオ・サイ党から出馬してまたも玉砕。話題をレベッカに奪われたようだ。


●ウィローデール選挙区(オンタリオ)
1.マーサ=ホール・フィンドレイ(自由党)13524
2.モリーン・ハークェイル(保守党)6864
3.ルー・カーカソール(緑の党)1325
4.リニ・ゴーシュ(新民主党)1084

 こちらも1988年から自由党が19年維持している鉄板選挙区。当選したフィンドレイ候補は、2004年総選挙でトロントのニューマーケット-オーロラ選挙区から出馬し、保守党のベリンダ・ストロナックに21818対21129と700票差で惜敗した。ベリンダがその後自由党に移籍したとき、フィンドレイは選挙区を譲ったため2006年総選挙に立候補できなかった。鉄板選挙区で今回が初当選である。


●トロントセンター選挙区
1.ボブ・レイ(自由党)14187
2.エル=ファルーク・カーキ(新民主党)3299
3.クリス・ティンドル(緑の党)3263
4.ドナルド・メレディス(保守党)2982
5.リズ・ホワイト(動物連合)123
6.ダグ・プランブ(カナダ行動党)97

 1993年から元外相・国防省のビル・グレアムが14年半維持したこちらも鉄板選挙区。自由党の候補者は、「あの」オンタリオ州元首相にして、2006年の党首選で惜敗したボブ・レイ。他を圧倒的に引き離して中央政界入りである。次に狙うは党首の座か。
 保守党候補は緑の党を下回る惨敗。予備選に勝利して候補者になるはずだったマーク・ワーナー氏が「レッド・トーリー(左寄り)」とみなされ公認をはずされると、保守党員の多くは選挙運動をボイコットした。


●デスネテ-ミシニッピー-チャーチルリバー選挙区(サスカチュワン)
1.ボブ・クラーク(保守党) 4,996
2.ジョーン・ビーティ(自由党)3,287
3.ブライアン・モリン(新民主党)1,839
4.ロビン・オール(緑の党)

 保守党と自由党が毎年接戦を繰り広げる激戦区であり、今回最も注目を集めた選挙区。前回2006年は自由党が保守党を10191対10124の67票差で下して議席を奪回した。三大政党全てが先住民を立候補させた今回も激戦だったが、保守党のクラーク候補が1709票差で際どく勝利した。
 2006年の自由党党首選で、サスカチュワンのデビッド・オーチャード氏はディオンの推薦人となり、150人の代表をディオン陣営に引き入れ勝利に導く重要な役割を果たした。彼はこの選挙区からの立候補を公言していたが、ディオン党首は予備選ではなく、新民主党の州会議員で元大臣のビーティ氏を一本釣りした。このとき自由党の候補者だったジム・ドローチャー氏はディオン党首に「もしもビーティ氏を候補に立てるなら、自由党は議席を失うことになるだろう」と忠告した。


写真左:当確に喜ぶボブ・レイ候補。
写真中:ジョイス・マレー右(右)とジャスティン・トルドー氏(左、トルドー元首相の子息)。
写真右:レベッカ・コード候補。
 ディオン党首は「自由党のための良き一日だった」と語った。4選挙区で3つの勝利、ビッグ・ネームであるレイ氏の中央政界入りと、見た目は大戦果を挙げたように見える。昨年のケベック州での3つの補欠選挙で、四大政党のうち自由党だけが議席を獲得できず、指導力を疑われていたディオン党首はほっと一息ついたというのが本音だろう。
 4つの選挙区は、もともと全部自由党の議席であった。ディオン党首は4議席獲得を目標に掲げていたが、うち3つは鉄板選挙区であり、勝って当たり前である。しかもバンクーバー-クォドラは僅差の勝利である。ここで負けたら責任問題に発展しただろう。
 そういうわけで、真に注目を浴びたのはサスカチュワン州のデスネテ-ミシニッピー-チャーチルリバー選挙区だった。ここは自由党・保守党・新民主党の3党が角逐しており、毎年接戦になるからである。ここで自由党が勝利すれば自由党は全勝で、上げ潮ということになる。実際には政党支持率1位の保守党は、まだ落ち目になっていないことを示した結果となった。今解散・総選挙を実施すればどうなるか、ディオン党首は勇ましい言葉とは裏腹に思い知らされたことだろう。
 真の勝者は3勝を挙げた自由党ではなく、価値ある1勝を挙げた保守党だといえよう。ディオン党首に何かあれば、次を伺うのは今回中央政界入りを果たしたレイ氏というのも、今回の選挙が未来を暗示しているようで興味深い。

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