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カナダの歴史と政治コミュのハーパー首相、上院改革へ乗り出す

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上院改革を公約に掲げていたハーパー首相は、首相として初めて上院委員会に出席し、上院議員を直接選挙で選出する法律を成立させる考えを示した。上院議員は75歳定年制で、欠員が出ると首相が指名する制度となっている。上院議員は選挙区ではなく州を代表する建前となっていて、カナダの州・準州に居住し、国王に服従し、30歳以上で、4000カナダドル以上の純資産を有することが条件。同首相は定年制を「時代遅れ」と評し、6〜9年の任期制にする考え。首相は、上院がこれらの法案通過を阻止することがあれば、解散・総選挙をも辞さない構えである。

前回総選挙で保守党の選挙参謀を務めたマイケル・フォーティエは、議会に議席を持たないにもかかわらず、ハーパー内閣の公共事業大臣に任命された。フォーティエと同じモントリオール選挙区の保守党政治家からは不満の声が上がったが、ハーパー首相は彼を上院議員に指名して、体裁を取り繕った。マニフェストで上院議員指名制を批判した首相のこのような手法に、国民の多くは疑問を呈している。

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上院議席は地域別で同数割り当てられており、その内訳は西部24(ブリティッシュコロンビア、アルバータ、サスカチュワン、マニトバ各6)、オンタリオ24、ケベック24、マリタイム24(ノバスコシア10、ニューブランズウィック10、プリンスエドワード島4)である。このほかニューファンドランド&ラブラドル6、準州のユーコン1、ノースウェスト1、ヌナブート1がある。憲法上、4つの地域の議席バランスは人口比とは無関係に等しくなければならず、その結果大きな一票の格差を生じている。議員一人当たりの人口格差が最も大きいのは、プリンスエドワード島の3万2千人に対しBCの54万7千人と実に17倍にも達する。また東部4州の議席はオンタリオより多い。
アルバータ州政府は1982年、州任命型上院改革案を公表した。これは、「選挙された(Elected)」、「平等な(Equal)」、「実効的(Effective)」の頭文字をとってトリプルE型上院と呼ばれた。

1987年発効の憲法改正試案であるミーチレイク協定は、その序文において「上院の任命に関して提起されている改正が発効するまで、上院の欠員を補充するために任命される人物は、欠員が生じた当該州政府によって候補者リストが提出され、枢密院に認められた人物が選ばれる」と述べていた。そこでアルバータ州政府は、この規定を利用し1989年、上院議員「選挙」を実施した。州が独自に州民による選挙を行い、これに信任されたただ一人の上院議員候補のみをリストに掲載して、連邦首相に提出したのである。そしてマルローニー首相が、「選挙」に勝利した改革党のスタン・ウォーターズを上院議員に指名し、こうしてカナダの歴史上初めて「民衆によって選ばれた上院議員」が誕生したのである。

このアルバータ州の実験的試みは、以後の憲法論議において上院改革をも主要な争点としたという意味において重要であった。1992年のシャーロットタウン協定では「トリプルE型上院」は、ケベックの「独自の社会」規定、先住民自治と並んで重要な争点の一つとなったのである。だが同年国民投票によって同協定は否決され、上院改革は再び暗礁に乗り上げる結果となったのである。
現在の上院勢力は定数105に対し、保守党23、自由党64、進歩保守党3、新民主党1、無所属4、欠員10である。
上院議員は首相が指名する制度なので、政権を獲ったことのない新民主党とケベック連合は、上院の廃止を主張している。しかしマーチン前首相は、任期中は3分の1以上を野党から指名すると公約し、進歩保守党から2名、保守党から2名、新民主党から1名を指名した。なお新民主党の1名リリアン・ディック上院議員は、同党が上院制度に反対しているため公式に党の代表として認められていない。また進歩保守党は2004年カナダ同盟と合併して消滅したにもかかわらず、この合併に納得しない旧来の議員が「進歩保守党」の院内会派を自称しているものだが、政党条件を満たしていないばかりか党が法的に存在していないため、問題視されている。
上院が下院の決定に反する決定を行うことはめったにないが、そのめったにないことが起こり、存在が無意味と思われていた上院が白熱したことが1990年にあった。
GST(連邦消費税)法案は、与党進歩保守党が多数を占める下院で4月に可決されたが、野党自由党が多数を占める上院では滞っていた。そこでマルローニ首相は、国王の同意を得て上院の定数を8名まで拡大できるという憲法上の特権を行使し、与党議員を追加指名して過半数を獲得した。この特権は過去に一度も行使されたことのないもので、1874年アレクサンダー・マッケンジー首相もこの特権を行使しようとして、ビクトリア女王に拒否されている。
首相がこの特権を行使するや、上院議場はバトルグラウンドと化した。自由党議員は質問中にナショナル・ジオグラフィクマガジンを朗読したり、マクドナルド元首相の演説を朗読したり、フットボールの名場面を語るなどの露骨な議事妨害策に打って出たのである。机を叩く音や怒声が鳴り響く中、法案は12月13日ついに可決、十分な周知期間もないまま新しい消費税は翌年1月1日から施行された。
法案が成立するには上下両院の可決が必要だが、上院が民主的に選挙された下院の決定を覆すことはほとんどない。
下院は、憲法改正についての上院の拒否を無効化できる。予算案は下院にのみ提出される。また上院は内閣を不信任することはできない。これ以外については、上院は下院と同等の権限を有している。なお政府は下院に対し責任を負っており、上院に対しては負っていない。

1965年に英領北アメリカ法(旧憲法)が改正される以前、上院議員は終身その地位にあった。1965年以前に指名された議員は、現在も終身その地位を保持している。それ以降指名された議員は、75歳定年制である。
上院議員は、上院の会期を2回連続で欠席するとその地位を失う。また、反逆罪あるいは「悪名高い犯罪」で有罪判決を受けた者、ないし破産した者は失職する。
上院議員は4000カナダドル以上の純資産を有することが必要とされる。この額は、1867年の旧憲法制定当時に換算すると約20万ドルとなり、上院が貴族院の流れをくんでいることを示すが、今日では低すぎて問題にされていない。それでも1997年、清貧の誓いを立てたカトリック修道女ペギー・バットが上院議員に指名されたとき、物議を醸した。なおこの問題は、修道会の土地を彼女の名義に移すことで解決している。
詳細な記事、興味深く拝見させていただいております。
下院というものは、どこの国も有権者の直接公選と
決まっているのに対して、上院は実にさまざまな
選出方法があり、ある意味で「民主主義の欠陥を補う」役割が
期待されているのだと思います。
日本の参議院改革などでも、大いに参考になりそうですね。

参考に他国の例を挙げますと、
ドイツ…州政府代表。州政府がその都度、任免。
インド…州議会が単記移譲式比例代表により選出。
    任期6年。2年ごとに3分の1ずつ改選。
フランス…自治体議員による選挙、任期9年、
     3年ごとに3分の1ずつ改選

いっぽうで日米伊は下院と同じ直接選挙ですし、
まぁいろいろな方法があるものだと思います…。
 カナダ連邦が成立した1867年に上院が設置されたのは、当時カナダにもイギリスにも貴族がいて、また普通選挙が実現していない時代に、下院だけにすると庶民の発言力が大きくなりすぎることを懸念したものと思われる。また諸州は、イギリス植民地のカナダ連邦に参入しその州になるよりも、イギリス植民地に留まっていた方が格上であると考え、参入に二の足を踏んだことから、連邦内で何らかの特権を州に与える必要があったと考えられ、オンタリオ・ケベックなどの大きな州に対し、小さな大西洋諸州に同数(24)の議席を配分したものと思われる。
 憲法はマリタイム・ケベック・オンタリオ・西部に等しく上院議席を配分することが規定されているが、当然ながら一票の格差(1議席あたりの有権者数)が問題視されている。
 上院は州あるいは地域を代表するという建前だが、現実には首相が指名しているので、この指名を州が行うべきとの議論は古くから存在するが、いまだ実現を見ていない。
 上院は存在そのものが無意味と考えられ、上院議員は名誉職と見られているが、党に多額の献金をした人物などへの論功行賞はどの国にもあるため、党役職や大臣のポストを経験のない人物に渡す危険性を考えれば、実質的に権限のない上院議員の議席は絶好の対象だといえる。上院が廃止されないのは重要ポストを守るためだと思うのは穿ちすぎだろうか。
 1984年総選挙における討論で、ターナー首相は保守党のマルローニ党首から、自由党のトルドー政権下における優遇人事について責任を問われた。「自分には権限がなかった」と弁明するターナーに対し、マルローニは「トルドー内閣の法相・財務相を勤めたあなたには止める権限はあったはずだ」と詰め寄り、ターナーの優柔不断さを浮き彫りにして選挙に勝利した。だがそのマルローニ自身が、縁故のある人物を所属省庁のない無任所大臣や上院議員に任命する優遇人事を行い、批判の大合唱の中で総理・総裁を辞任することになる。彼の政権下における閣僚数は、他の政権に比べ異常に多くなっていた。
●アンドリュー・トンプソン事件

 アンドリュー・トンプソンはオンタリオ自由党党首を務めていたが、交通事故で老婆を負傷させたことが原因で1967年党首を辞任し、上院議員に指名された。
 だが彼は議会にほとんど出席せず、最後の7年間はわずか12回しか出席していない。会期を2回連続で欠席すると失職するが、彼は注意深く2回連続では欠席していなかった。彼はまた医師の診断書を提出していた。75歳定年制で選挙のない上院は高齢者が多く、上院規則では医師の診断書を提出した議員は欠席とは見なされないのである。
 上院改革を主張し続けてきた改革党が、トンプソン議員の勤務実態を告発し、彼が常時メキシコに住んでいるという事実を指摘すると、自由党は1997年、彼を上院議員総会から締め出した。
 上院は1998年、トンプソン上院議員を、長期欠勤のため給与を支給せず停職にする決議をした。採決は賛成52、反対1、棄権1で可決された。議員の停職は上院130年の歴史で初めてのことである。反対票を投じた進歩保守党のテランス・ストラットン議員は、罰が軽過ぎるという理由で反対した。
 トンプソン議員はこれにより、6万4400ドルの給料と1万100ドルの諸用手当、さらに議会事務所と上院議員としての特権を失った。
 彼は予定された引退より1年8か月早く、1998年3月に辞任した。
今日放送の「太田光の私が総理大臣になったら」で、初めて知りました。
国会議員に定年があるのは、イランとカナダだけです。
イランは75歳定年、カナダは上院だけ75歳定年。1965年以前は、終身でした。
日本には議員の定年はありませんが、民主党は内規で公認内定時の年齢を新人は60歳未満、前・元議員は65歳未満とし、比例代表名簿登載は70歳未満と定めました。自民党も比例代表候補に73歳定年制を適用しています。いずれも当選し続ける限り、定年が適用されません。
 ハーパー首相は12月22日、欠員となっていた18の上院議席に、新たに18名を追加指名した。これにより上院勢力は自由党58、保守党38、進歩保守党3、〔無所属〕新民主党1、無所属5(定数105議席)となった。
 上院議員は選挙ではなく首相が指名し、任期は75歳までである。今回指名された議員の中には、オリンピック金メダリストのナンシー・グリーン=レインや、「マイク・ダフィー・ライブ」の人気キャスターを今月退いたマイク・ダフィーらがいるが、その多くは保守党の元議員や大口献金者などである。
 ハーパー首相は、改革党時代から上院改革を訴えてきた。首相に就任してからもそれは変わらず、上院議員の指名はわずか2名に留めていた。しかしその2名、マイケル・フォーティエとバート・ブラウン議員の指名すら、公約違反との批判を受けていた。そして首相は連邦議会に、州が上院議員を選出し任期を8年とする上院改革法案を提出していたが、今年9月の下院解散により廃案となっていた。
 マギル大学で憲法を教えるデスモンド・モートン教授は、今回のハーパー首相の動きについて、来年1月に召集される連邦議会で野党連合にいきなり内閣不信任されるおそれがあることから、公約も何もかもかなぐり捨ててなりふり構わず、首相としての指名権があるうちに欠員を満たしたものだと指摘した。連邦議会停会中の指名についても、法的正当性を疑う意見もみられる。
 今回の年末のあわただしい指名は、69日という史上最短政権であるチャールズ・タッパー首相が1896年、政権末期の土壇場で上院議員を指名して退陣した前例を彷彿させる。
 2009年にはさらに12名の議員が定年を迎えることになっている。上院の過半数は53議席なので、まだ3議席足りないが、首相は国王の同意を得て上院の定数を8名まで拡大できるという憲法上の特権がある。この特権は1990年、GST(連邦消費税)法案が滞ったときブライアン・マルローニ首相によって、歴史上ただ一度行使されたものであり、1874年にはアレクサンダー・マッケンジー首相がこの特権を行使しようとして、ビクトリア女王に拒否されている。
 1月15日、「〔無所属〕新民主党」のリリアン・ディック上院議員が自由党に移籍した。
 彼女は新民主党員だった2005年、野党からも上院議員を指名すると公約していたマーチン首相によって上院議員に指名された。だが上院廃止を主張する新民主党は、彼女を党の代表として承認することを拒否したため、「〔無所属〕新民主党」の会派を称していた。
 ディック上院議員は、次のようにコメントした。
 「このような経済の不安定な時期には、マイケル・イグナティエフ氏がカナダを率いる最適の人物であると確信しているので、今日自由党幹部会に加わることができてとてもうれしく思います。国民のためのより良い未来を築くため、私は上院で同僚の自由党議員とともに働くことを楽しみにしています。」
 これにより上院勢力は自由党59、保守党38、進歩保守党3、無所属5(定数105議席)となった。今年の終わりにはあと11人が引退することになっており、さらに11人の議員が指名されることになっている。
 ハーパー政権は5月28日、上院議員の任期を、再選なしの8年または75歳までのいずれか早い方とする法案を提出した。この法案は、昨年10月以降に指名された議員に適用される。
 ハーパー政権は、この種の上院改革案を過去に2度提出しているが、オンタリオ、ケベック、ニューブランズウィック、ニューファンドランド&ラブラドルの4州が難色を示し、議会の解散もあって実現しなかった。ケベックは特に強く反対し、上院改革を強行するなら連邦政府を告訴するとさえ主張した。
 上院改革には憲法改正が必要とする意見が多く、憲法改正には、10州のうち人口の50%以上を占める州かつ7州以上の同意を必要とする。人口比はオンタリオ州が38%、ケベック州が24%なので、どちらか一方の同意かつ他の6州の同意を必要とする。しかしスティーブン・フレッチャー民主改革担当大臣は、任期に関しては憲法改正は不要だと法律家が保証したと語った。上院議員候補者は有権者に「助言」を求め、最も多くの有権者が「推薦」した候補者を首相が指名することにすれば、憲法改正も州の同意も必要ないというのである。
 しかし、保守党のミシェル・リバール上院議員は、上院改革にはあくまでも憲法改正が必要だと主張した。
「私見では、法律を読む限りでは、憲法改正なしの改革は不可能であり、この経済危機のさなかにおいて憲法改正を論じている場合ではない。」

 上院で過半数を占める自由党はかつて、上院改革について最高裁に諮問すべきだと主張し、法案を吊るして廃案にした。彼らは今回の上院改革案について、任期を8年とするなら、下院の任期が最大4年であることから、再選され8年務めた首相は理論上、上院議員全員を指名できるという点を指摘した。またサージ・ジョイヤル上院議員は、ハーパー政権が再び上院改革案を提出したのは、赤字予算や自動車産業救済などに不満を抱く保守党支持者の目を逸らすためだと述べた。

 今年は11人の上院議員が引退するため、年末には保守党は上院で過半数を占めることが確実視されている。だが保守党は肝心の下院で過半数割れしており、年末まで政権を維持しているという保証はない。
 ハーパー首相は8月27日、欠員となっている上院の9議席について、新たな議員を指名した。
 指名されたのは、ダグ・フィンレー(保守党選挙参謀)、ドン・プレット(保守党幹事長)、キャロリン・スチュワート=オルセン(ハーパー首相通信ディレクター)、デニス・パタソン(ノースウェスト前首相)、クロード・カリニャン(ケベック州サンテスタシュ市長)、ジャック・ドメール(モントリオール・カナディアンズ元コーチ)、リンダ・フラム・ソコロースキー(作家・ジャーナリスト)、ケルビン・オジルビー(アカディア大学元学長)、ジュディス・セイドマン(健康評論家)の各氏。これにより上院勢力は保守党46、自由党53、無所属自由党1、進歩保守党2、無所属3(定数105議席)となった。

 ハーパー首相は前回に引き続き、今回も議会閉会時に指名した。彼は公認反対党党首時代に上院議員を指名しないと名言していたので、議会での追及を恐れているのだろう。
 今回の指名についてハーパー首相は、こう述べた。
「過去の政権によって指名された上院議員が国民の意志を妨げることは、容認できない」。
 だがCTVのロジャー・スミス記者は、こうコメントした。
「首相は上院を、首相を支持する仲間たちのためのゴミ捨て場だと言っていた。そして彼は今、自分を支持する仲間たちを指名した。」
 上院議員は法律上、75歳まで務めることになっているが、保守党の新しい上院議員たちは、ハーパー首相の上院改革案に沿うかたちで、8年間だけ務めることになっている。また彼らは、ハーパー首相の上院改革を支持することが条件づけられている。

 来年1月までには、自由党議員3名と無所属議員1名が定年退職する。そのとき自由党は50議席になっているので、保守党は欠員を自党議員で充たせば50議席となり、上院での劣勢を挽回できる。
 なお無所属自由党の1議席は、レーモン・ラビーニュ議員が議会の費用を私的に濫用し、2006年6月に自由党幹部会を除名されたものである。
 ハーパー首相は1月29日、新たに上院議員の指名を行った。指名されたのは、被害者権利団体代表のピエール=ユーグ・ボワブニュー(ケベック)、進歩保守党内閣元閣僚のボブ・ランシマン(オンタリオ)、ビマル・グループ総帥ビム・コチャー(オンタリオ)、ニューファンドランド&ラブラドル元監査長官エリザベス・マーシャル(ニューファンドランド&ラブラドル)、現ニューブランズウィック州会議員ローズ=メイ・ポイリエ(ニューブランズウィック)の5名である。現職州会議員ポイリエの指名は2月28日に有効となり、それ以外の指名は即時有効となる。
 これにより、上院勢力は保守党51(ポイリエを含む)、自由党49、進歩保守党2、無所属3(定数105)となり、ハーパー政権は発足以来初めて第一党となる。自由党は1997年以降続いた上院での過半数を失う。ただし進歩保守党は常に自由党に同調するので、無所属議員3名がキャスティング・ボートを握ることになる。今年の終わりにはあと3名(保守党1・自由党2)が引退する予定になっており、保守党政権は今年いっぱい存続するなら、年末には上院の過半数を獲得することになる。

 今回の指名について、ハーパー首相は次のように述べた。
「政府は、犯罪厳罰化に真剣に取り組んでいく。我々が政権を委ねられたとき、それは最も重要な案件の一つだった。新しい上院議員たちは、コミュニティの安全と正義のために奉仕する。私は、我々のコミュニティをより安全にし、家族を犯罪から守るために働くことを目指してゆく。」
 また新しい議員たちは、任期を8年に制限することを含む、より民主的かつ責任ある上院改革を支持することを誓った。ランシマン議員は、上院議員の指名制ではなく選挙制を長年主張してきた。彼はCTVの番組で「もしそのような機会があれば」上院議員選挙に出馬したいと語った。
 「狂犬」の異名を取ったランシマン議員はかつて、黒人の一部は警察に「既得権」があると発言して黒人の反発を買い、保守党から自由党に移籍したベリンダ・ストロナック議員を「計量棒」と呼んで女性たちを激怒させ、「ゲイは本質的に反家族主義で社会的無責任を促進する」と語るなど、失言が多い。
 いっぽうボワブニュー議員は、上院議員を4年間務めると宣言した。

 ハーパー首相は自由党を、国民が緊急かつ根強く要望してきた犯罪関連法案を、妨害し骨抜きにすることに上院での過半数を悪用してきたと批判した。だが実際には、連邦議会の最後のセッションで保守党政権が提出した17件の犯罪関連法案のうち、上院で吊るしに遭ったのは2件だけである。自由党のマイケル・イグナティエフ党首は、ハーパー首相は議会を停会し、首相自身が提出した犯罪関連法案を廃案にしたと反論し、もしも自分が首相になったら、上院議員の指名に先立ち諸州と上院改革について話し合うと述べた。
 新民主党のジャック・レイトン党首は「ハーパー氏は、選挙されない人々を指名しないと言って首相に選ばれた。しかし彼は公約を捨て、古い政治に成り下がった」と批判した。
 自由党のレーモン・ラビーニュ上院議員が、3年前から停職中にもかかわらず、2007年以降で70万ドル以上を費やしていたことが判明した。その内訳は、給与が38万8500ドル、旅費が13万5000ドル、その他が18万ドルであった。
 ラビーニュ議員は、議会の経費で旅行したため詐欺容疑で起訴され、停職処分となった。この事件は現在係争中で、11月12日に公判が開かれるが、有罪判決が出た場合、彼は失職する。

 この問題について、保守党のデビッド・トカチャック上院議員はこう述べた。
「彼はまだ有罪を宣告されてなく、現在のところまだ上院議員である。」
 ラビーニュ議員の事務所は、こうコメントした。
「レーモン・ラビーニュ上院議員は、カナダ上院の依頼により公務で全国を飛び回っていた。」
 だが新民主党のパット・マーチン下院議員は、これを一笑に付した。
「彼がカナダ上院のために、全国至るところでどんな可能な職務を遂行しているのか、私は知らない。彼の職務は上院にあり、そして今は停職中なのだから、職務などないはずだ。」
 与党保守党は下院では過半数割れしているが、上院では単独過半数を有している。保守党は11月16日、選挙で選任された下院を通過した温室効果ガス排出規制法案を、上院で廃案にした。すると野党は、上院改革について与党に協力しないと通告した。

 アンガス・リード社が1009人のカナダ人を対象に、上院に関する世論調査を実施したのは、その後のことである。
 ハーパー首相が長年上院議員指名制に反対してきたにもかかわらず、議員を指名したのは偽善的だと回答した人は、61%に達した。
 69%の回答者は、上院選挙制を支持した。63%の回答者は、上院任期8年制を支持した。
 また63%の回答者は、上院の将来を決定するための国民投票を実施すべきだと回答した。
 上院廃止を支持した回答者は、30%だった。
 なお35%の回答者は、上院議員が選挙制に変わることはないだろうと見ていた。
 レーモン・ラビーニュ上院議員は3月11日、オンタリオ高等裁判所で詐欺と背任の容疑につき有罪を宣告された。刑の言い渡しは5月10日に予定されているが、5000ドル以上の詐欺罪については14年以下の懲役、背任については5年以下の懲役に処せられる。
 上院はすでにラビーニュ上院議員を停職処分にしているが、14年以下の懲役のため自動的に失職することはない。彼は上院規則第141条の規定により、判決を言い渡たされた日からその判決が覆される日まで停職となる。ただし、上院が彼の除名を決議した場合は別である。また上院規則第138条・第139条により、彼は上院議員としての手当てを支給されず、上院議員に認められた特権も行使できない。

 ラビーニュ上院議員の犯罪は、2005年7月に始まった。彼は議員の職務とは何の関係もなく、業者を雇うと高くつくという理由で、秘書に自分の土地で木を伐採させた。やがて彼らは隣人の土地に入り、苗木を伐採して隣人に通報された。
 ラビーニュ上院議員はさらに、秘書たちへの給与はその期間は支払われていないという虚偽の報告書を送り、司法妨害でも起訴されたが、ロバート・スミス裁判長は、その時点では公式の調査はまだ行われていなかったという理由で、この件については無罪とした。
 ラビーニュ上院議員はまた、彼自身の同行なしに2人の秘書が車で移動した費用に関し、1万120ドル50セントを請求した。
 RCMP(連邦警察)のステファン・ボナン首席捜査官は、こう述べた。
「法を超越しその上にいる者は、誰もいない。」
「公務員には、一般人より高い基準が求められている。」

 ラビーニュ上院議員は、自由党の元下院議員で、2002年に上院議員に指名されたが、起訴されたため2006年、自由党幹部会を追放された。上院も2007年に彼を停職処分とし、手当ての支給を差し止めたが、議員の身分は残っていたため、給与を年間13万2300ドル受け取っていた。彼は停職となった後も給与38万8500ドルを受け取り、さらに旅費13万5000ドルとその他18万ドルを費やしていた。

 上院議員は選挙がなく、75歳の定年まで勤められるため、刑事事件で起訴されることはまれである。新民主党のヘイゼン・アーグ上院議員は、妻が自由党から下院選挙に出馬するための費用を公費から賄ったため、1989年に詐欺と公金流用で起訴され、起訴された最初の上院議員となった。だが彼は癌で寝たきりとなり、余命いくばくもないことが明らかだったため、起訴は1991年に取り下げられ、アーグ上院議員はその年に死去した。彼はかつて協同連邦党の党首を務めていたが、新民主党本部に掲げられている歴代党首の肖像画には、彼のものだけがない。
 進歩保守党のミシェル・コッガー上院議員は、実業家のギ・モンプチ氏が公共事業を落札できるよう口利きする見返りに、彼への支払いを免除させた斡旋収賄容疑で1991年に起訴された。1998年、罰金3000ドル・執行猶予1年の有罪判決と120時間の奉仕活動を宣告され、上院で除名を決議されたが、除名を回避するため控訴した。控訴は受理されたものの、彼は2000年に議員辞職を余儀なくされた。彼は裁判の間はほとんど議会を欠席していたので、上院から罰金2万3250ドルを科せられた。
 3月11日に有罪判決を受けたレーモン・ラビーニュ上院議員が、21日に辞職した。
 だが彼は、上院議員を9年間務めたため、年金を年間3万5000ドル以上受けることができる。それに加えて、1993年から2002年まで下院議員を務めたので、その分の年金と合わせて、年間およそ8万ドルを受けることができる。
 自由党のドミニク・ルブラン議員は「ラビーニュ議員に有罪判決が下ったとき、彼は辞職すべきだと思ったし、その決心がついたのは結構なことだと思う」とコメントした。
 ハーパー首相は下院選挙後の5月18日、落選したジョゼ・ベルネ、ラリー・スミス、フェビアン・マニングの各元下院議員を、上院議員に指名した。ラリー・スミス、フェビアン・マニングの両氏は、上院議員を辞職して下院選挙に挑み、落選を受けての再指名である。
 ところがジョゼ・ベルネ上院議員は、ケベック市のニーズを代弁するつもりはないと、ケベックの新聞「ル・ソレイユ」に語った。
「ケベック市は、与党議員を代議員とすることを望んでいません。」
 「ル・ジュルナル・ド・ケベック」紙コラムニストのジャン=ジャック・サムソン氏は、保守党議員をわすが5名しか当選させなかったケベック州に対し、彼女が意固地になっていると説明した。
 ベルネ上院議員はルイ・サンローラン選挙区において、現職の政府間関係大臣であるにもかかわらず、フルタイムで選挙運動していたわけではなかった27歳の無名の学生候補に敗れたのが、よほど悔しかったようだ。
上院議員は州の利害を代弁する建前になっているが、しばしば首相による論功行賞の具にされており、実際には党の利害を代弁しているにすぎない。
 上院に詳しいサスカチュワン大学のデビッド・スミス教授は、次のように述べた。
「彼女の言い分は、もっともである。彼女の任務は実際、ケベック市の利害を代弁することではない。彼女には有権者に説明する責任がない。」
 なお、今回の下院選挙でハーパー政権が過半数に達したことは大きく報道されたが、ハーパー政権が発足して7年以上経っており、自由党が多数を占めていた上院でも昨年、過半数に達している。
●パーソン訴訟

 カナダが初めて一部の女性に選挙権を認めたのは1917年、全ての女性に認めるのは1920年のことであった。
 ロバート・ボーデン首相は1917年、上院議員の候補リストを受け取ったが、その中には女性のエミリー・マーフィ裁判官がいた。首相は、女性は英領北アメリカ法で規定された「資格のある人」でないという理由で、彼女の任命を拒否した。すると、彼女は上院議員に任命されるべきだとする嘆願書に、50万人ものカナダ人が署名した。マーフィはアイリーン・マリアット・パールビー、ネリー・ムーニー・マクラング、ルイーズ・クラミー・マッキンニー、ヘンリエッタ・ミュア・エドワーズとともに、カナダ連邦最高裁に訴えを起こした。この5人の女性は「フェイマス・ファイブ」と呼ばれた。

 連邦最高裁は1928年、この訴えを退けた。理由の一つは、上院議員の資格を定めた英領北アメリカ法第23条が、主語を「彼」としていること。もう一つの理由は、そのうえで第24条が「総督は時に応じて、女王の名において、カナダの国璽を押印した文書をもって、資格のある人を上院に召集する。このように召集された者は、この憲法の規定に従い、上院の構成員となり、上院議員となる」と規定しているから、女性は「資格のある人」ではないということだった。
 「パーソン訴訟」と呼ばれるこの裁判は一般に、最高裁が「女性は人ではない」と判断した事件であるとされている。だが最高裁は、「『人(persons)』という語が女性を含むことに疑いの余地はない」と述べているので、これは誤解である。
 また裁判官らは、英領北アメリカ法が起草された1867年の時点から、女性の社会的地位は変容したと思料したにもかかわらず、起草者の意図はそうではなかったと判断した。1867年の時点では、女性には選挙権も被選挙権もなかった。それで裁判官らは、例外があるならばそのような条項が作られたはずであり、それがないということは、選挙権も被選挙権もなかった女性に、上院議員になる資格があるはずがないと考えたのである。
 だがこの時代、連邦最高裁はカナダの憲法問題の最終決定機関ではなかった。5人の女性は、イギリスの枢密院司法委員会に上訴した。そして1929年、枢密院司法委員会のジョン・サンキー大法官は、最高裁判決を覆した。
「全ての公務員から女性を除外したのは、我々よりも野蛮な時代の名残りである。」
「『人』という語がなぜ女性を含むべきなのかという問いに対する明確な回答は、『なぜ含むべきでないのか』であろう。」
「我々は、第24条にいう『人』という語が、男性と女性の双方を含むという結論に達した。それゆえ、女性はカナダの上院議員に任じられ、召集され、国王に助言する資格を有するといえる。」

 「パーソン訴訟」は、2つの意味において画期的であった。一つは、女性は男性と同等に、上院議員に任命される資格があると判断したことである。そしてもう一つは、「リビング・ツリー・ドクトリン」と呼ばれる、憲法は有機的なものであり時に応じて幅広く解釈されるべきであるとする見解が、示されたことである。
 マッケンジー・キング首相は1930年2月15日、ケアライン・レイ・ウィルソンを最初の女性上院議員に指名した。
 プロ・スポーツの一試合への賭けを可能にするC-290号法案が、3月に下院を通過したが、上院で廃案になる可能性が高まっている。
 C-290号法案をめぐる攻防は、大変奇妙である。第一に、この法案はジョー・コマーチン議員(新民主党)による個人提出である。法案は一般に、党の幹部会で審議され、賛成多数の場合は党議拘束がかかる。反対多数の場合は、党はその法案を支持しないことになるが、議員はなおも個人で法案を議会に提出することができ、この場合党議拘束がかからないので、自由投票となる。ゆえに個人提出法案が可決されるケースは多くはないが、C-290号法案は下院で全会一致で可決された。
 第二に、上院が下院を通過した法案を否決することは、非常に稀である。内閣を不信任しないことと、予算関連法案を取り扱わないことを除けば、上院は下院と同等の権限を有する。すなわち上院が否決すれば、法案は廃案となる。だが上院議員は選挙で選出されず、首相による任命制であり、上院は下院をチェックするためにあるので、下院を通過した法案を否決することは稀であり、1867年の連邦結成以来133回、最近の70年ではわずか8回にすぎない。

 コマーチン議員は法案の利点について、暴力団などによる違法な私営賭博に資金が流れるのを食い止め、公庫に入るようにすれば、公共サービスの充実につなげることができると説明した。だが真の理由は、彼がカナダ最大級のカジノを有するウィンザーを地盤にしていることに、深い関係があると見る向きもある。
 現行刑法は、複数のプロ・スポーツ試合への賭けを認めており、C-290号法案は一試合への賭けを禁ずる条文を削除するものである。一試合への賭けを認めれば、特定の一チームに働きかけて八百長が横行しかねないからである。NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)のビル・デイリー副コミッショナーは11月8日、一試合への賭けが八百長をひき起こす危険性を指摘した文書を、上院憲法・法案委員会へ送付し、法案への強い反対を表明した。
 アメリカでは、49の州で一試合への賭けが禁止されており、唯一の例外はラスベガスのあるネバダ州である。保守党のマイケル・チョン議員は、ネバダ州にはMLB(メジャーリーグ・ベースボール)もNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)もないという点を強調した。

 だが保守党のボブ・ランシマン議員は、一連の騒動について次のようにおどけて説明した。
「上院議員たちは、自分たちがまだ生きていて元気にやっているというメッセージを、国民に伝える絶好の機会だと思ってるんじゃないかな。」
(筆者注※上院議員は年寄りが多く、また下院の決議を覆すことはほとんどないため)
 上院議員は、首相が指名し75歳まで務められる。議員は州を代表する建前だが、首相が指名することから、実際には党を代表している。
 C-7号法案は、上院議員の任期を9年とし、議員の指名に関し首相は「州と準州で選出された候補者のリストから考慮する」と規定している。上院議員選挙を州と準州で行ったのち、その当選者を首相が指名するなら、憲法改正は必要ないからである。

 そこでThe Globe and Mail紙が、直近の州議会選挙の結果をもとに上院の105議席を割り振ったシミュレーション結果は、非常に興味深いものとなった。
 上院の最大会派は、進歩保守党の27議席で、その内訳はオンタリオ9、ニューブランズウィック5、ニューファンドランド&ラブラドル4、アルバータ3、マニトバ3、ノバスコシア2、プリンスエドワード島1である。サスカチュワン進歩保守党とサスカチュワン自由党が合併したサスカチュワン党(4議席)と、ユーコン進歩保守党が改組改変したユーコン党(1議席)も、おそらくこの会派に入るだろう。
 連邦進歩保守党と連邦カナダ同盟が合併して成立したカナダ保守党は、連邦組織だけで地方組織がなく、地方の進歩保守党と提携している。よって上院進歩保守党は、下院のカナダ保守党とともに与党となるだろう。このほかケベック未来連合(7議席)、ブリティッシュコロンビア自由党(3議席)、アルバータのワイルドローズ党(3議席)の3つの保守政党も、連立与党を形成するものと思われる。
 最も強力な野党になりえるのは自由党の20議席で、その内訳はオンタリオ10、ニューブランズウィック4、ノバスコシア3、プリンスエドワード島3である。
 ケベック自由党は、連邦自由党との提携関係を解消している。同党議員の8名は自由党会派に入る可能性があるが、いくつかの政策ではむしろ保守党に近いだろう。
 上院新民主党は21議席で、その内訳はオンタリオ5、ノバスコシア5、ブリティッシュコロンビア3、マニトバ3、ニューファンドランド&ラブラドル2、サスカチュワン2、ニューブランズウィック1である。新民主党議員団は、上院でもっとも結束の固い会派となるだろう。保守党と自由党に比べると歴史があまり長くなく、他党との合併を経験していないからだ。
 ケベック党(8議席)とケベック連帯(1議席)は、どの会派にも属さず独自会派となるだろう。この2つの分離主義政党は、連邦議会に議席を持つ意味がなく、謎の存在となろう。ノースウェスト準州(1議席)とヌナブート準州(1議席)はどちらも政党がないため、議員は当然無所属となる。

 カナダは州ごとに異なる組み合わせの二大政党制となっており、カナダでは伝統的に連邦議会選挙と州議会選挙で異なる党に投票する人が非常に多い。たとえば2011年連邦議会選挙では、カナダ保守党はオンタリオ州・プリンスエドワード島州・マニトバ州で最も多くの議席を獲得しているが、同年の州議会選挙において自由党はオンタリオ州とプリンスエドワード島州で、新民主党はマニトバ州で勝利している。
 2008年連邦議会選挙では、ニューファンドランド&ラブラドル進歩保守党が連邦保守党に造反し、“ABCキャンペーン(Anything But Conservative〔保守党以外どこでも〕)”を行って、同州の連邦保守党候補を全員落選させている。またニューファンドランド&ラブラドル進歩保守党とノバスコシア進歩保守連合は、2007年石油資源をめぐり連邦保守党を告訴している。
 カナダは東西に非常に広く、地域によって利害関係が異なる。よって同じ党名を称していても、州ごとに政策は微妙に異なり、また連邦党と対立することもしばしばある。そこで上院会派は、同じ党名を名乗る下院会派と対立することも大いにありえる。The Globe and Mail紙のシミュレーションは、あくまでもイデオロギーを軸に会派を想定しており、カナダ政治の重要なファクターである地域性は考慮されていない。
 上院で過半数を制する会派が成立することはほとんど考えられないし、成立したとしても連立がいつ崩壊するかわからない。党紀や党議拘束は、あってないが如しとなろう。
 現状の上院は、下院と同等の権限を持つ建前だが、選挙で選出されないため、下院の決議を覆すことはほとんどない。C-7号法案が想定する「州で選挙された上院」が下院と同等の権限を持つなら、連邦議会が何も決められない死に体となるのは必至だろう。そこで上院の権限を大幅に制限し、州の利害を代弁する上院が特定案件についてのみ拒否権を持つようにすれば、意味のある改革になるかもしれない。
 メリヤム・モンセフ民主改革大臣は12月2日、新政権の上院改革案を発表した。それによると、超党派による諮問委員会が「コミュニティに対する奉仕記録や専門知識に基づき」候補を推挙し、それに基づき連邦首相が議員を指名することにより、党派を超えた独立した上院に生まれ変わるのだという。
 委員会は5人のメンバーから構成され、その内訳は連邦から常任委員3名と、欠員が生じた州または準州から非常任委員2名を、今年中に選任するのだという。
 トルドー党首は2014年1月、自由党幹部会から全ての上院議員を除名し、無所属議員としていた。そのため現在の上院勢力は保守党45、無所属自由党29、進歩保守党1、無所属8、欠員22(定数105議席)となっている。モンセフ民主改革大臣は、トルドー首相が来年初めに5名の欠員を満たせるよう、5人の委員を早急に選出し、あとの17名については2016年までに補充するという。

 同じ日、保守党のジャック・ドメール上院議員は、党幹部会を離脱し無所属議員となることを発表した。2年前に同僚上院議員たちの不正経費問題が発覚したとき、彼はどこに行ってもそのことでからかわれ、非常に不名誉な思いをしたが、自分を指名したハーパー首相への義理があり、彼が党首のうちは辞職できなかったと説明するとともに、「ケベック州のための無所属議員として上院議員にとどまる」と発表した。
 これは、11月18日に党幹部会を離脱し無所属議員となったジョン・ウォーレス上院議員に続くものである。彼は、上院における独立した無党派性について、自分と党との間に「和解不能な違い」が生じたと語った。

 上院議員は首相に指名され、選挙による改選がなく、75歳の定年まで務める。そのため下院を通過した法案を否決することは稀であり、ここ70年ではわずか8回行われたにすぎない。上院はその歴史の初めから改革が叫ばれており、ある者は選挙による選出を、ある者は州による推挙を、またある者は廃止を主張してきたが、州間で合意に至ったためしがなかった。ハーパー前首相は上院廃止を目指したが、最高裁は抜本的改革には憲法改正が必要だと判断した。だがトルドー首相のプランなら、憲法改正の必要はなく、州の同意も要らない。

 モンセフ民主改革大臣の発表からわずか数時間後、ブリティッシュコロンビア州のクリスティ・クラーク首相は改革案を支持しないと発表した。
「本日の改革案は、上院は初めから間違っていたということに言及していない。」
 ブリティッシュコロンビア州は、人口比に基づく議席の再配分を主張してきた。上院の議席配分は連邦結成時の人口比に基づいており、東部に多く西部に少なく、人口当たりの議席数の格差は最大17倍にも達している。しかし定数是正には憲法改正が必要であり、しかも東部の同意を得られる見込みがない。また、憲法では上院議員は州を代表すると定義されているが、改革案では議員の指名は依然として連邦首相が行い、州主体とはならない。クラーク首相は、上院は改革するか、廃止するしかないと語った。
 いっぽう保守党の民主改革担当スコット・リード下院議員は、5人の委員が全て連邦首相によって任命されることや、ほとんどの上院議員が州外に暮らす委員によって選出されることや、候補推挙のプロセスが公開されないことを指摘し、トルドー政権による改革案を疑問視した。
「これは、透明性のあるオープンなプロセスにはほど遠い。」
 トルドー首相は3月18日、首相就任以来初めて上院議員を指名した。
 首相が公約していた「党派性のない上院」を体現すべく、トルドー政権によって選ばれた「独立した委員会」の推挙リストから首相が選んだ7名は、全員が自由党の元閣僚でも、落選した自由党候補でも、自由党への大口献金者でもない。首相は2014年1月、自由党幹部会から全ての上院議員を除名し、無所属議員としていたが、新たに指名された7名は全員が無所属となる。うち1名は、新民主党元議員・元閣僚である。
 上院はこれまで、政界引退者と大口献金者の「ゴミ捨て場」と言われてきた。2009年にハーパー首相によって指名されたアービング・ガースタイン元上院議員は、かつて「私は大口献金者として上院に来た。そのことを誇りに思っている。私は、保守党に資金を提供し続ける行為は必要なことで、敬われるべきだと考えている。政党が活動するには、お金が必要だ」と語った。
 シャンタル・プチクレール氏は、パラリンピック5大会に出場し21個のメダル(金14・銀5・銅2)を獲得した。マレー・シンクレア判事は、マニトバ州で先住民初(カナダでは2人目)の判事であり、先住民の児童を親元から引き離し寄宿舎で同化教育を強制した事件を究明する「真実と和解委員会」の主任コミッショナーでもあった。レーモン・ガニエ氏は、サン=ボニファス大学元学長である。ラトナ・オミドバール氏は、シリア難民を誘致する「ライフライン・シリア」の議長である。アンドレ・プラット氏は、仏語紙「ラ・プレス」の元編集長である。フランセス・ランキン氏は、オンタリオ新民主党の元閣僚・元議員である。ピーター・ハーダー氏は与党上院院内総務を務めるが、所属はあくまでも無所属となる。
 今回の指名で上院勢力は、保守党42、進歩保守党1、無所属45(うち元自由党26)、欠員17(定数105)となった。
 トルドー首相は先週の閣議に、ピーター・ハーダー上院議員を召喚した。
 トルドー首相は党派性のない上院実現のため、党首に就任した2014年に自由党の上院議員全員を幹部会から離脱させ、無所属議員とした。彼は首相就任後も、政党とのつながりを持たない人々を上院議員に指名しており、上院に与党議員はいない建前になってはいるが、自由党系の議員たちは「上院自由党」の会派を称している。ハーダー議員も無所属だが、2016年の指名時に、政府提出法案の速やかな成立を促すため、従来設置されてきた与党上院院内総務に替わるものとして「上院政府代表」に任じられている。閣僚でない者が閣議に出席するのは、異例のことである。
 総選挙は2019年10月までに実施しなければならないが、トルドー政権が成立してから、下院を通過した法案が上院で滞ることが多くなった。特に国歌変更法案とマリファナ合法化法案は、建国150周年にあたる2017年7月1日までの成立を目指してきたが、下院を早期に通過したにもかかわらず、上院で滞っている。上院は伝統的に下院の決議を覆さない慣例があり、審議にかける期間も短いのが通例であるにもかかわらずである。
 トルドー首相は1月12日、記者会見で次のように語った。
「我々は過去2年間、より党派心の薄い、より独立した上院の変化と改善を見てきたが、同時に、新しいやり方を見つける必要が確かにある。」
 彼は、法案に対する上院の反応は結構なものであるが、政府と上院議員は国民が期待する重要なものを届けるため、協働する必要があると述べた。

 ハーパー前政権時代には、審議にかける期限が予め設定されたことが100回近くもあり、それは歴代政権の3倍にも及んだ。だがハーダー議員は、期限切れで審議打ち切りにするようなやり方は好まないという。
 匿名の上院議員は、保守党の「ふざけた態度」が限度を越えて審議引き延ばしを謀るなら、政府はそのような手段を行使することもありえると語った。
 いっぽう保守党のラリー・スミス上院幹事長は、次のように述べた。
「我々は公式野党として、上院で持っている委任と義務を、責任をもって果たしていく。」
 ピーター・ハーダー上院政府代表は11月29日、今年中に職を辞すると発表した。
 ジャスティン・トルドー氏は自由党党首に就任すると、党派性のない上院を実現するため、2014年1月上院議員を自由党幹部会から離脱させ、無所属議員とした。ところがトルドー首相は、下院では過半数を握っていたため法案を通過させても、上院には自由党議員がいないため、しばしば法案が滞ることになった。そこで首相は、従来設置されてきた上院院内総務に替わるものとして、自由党系上院議員に政府への賛成投票を促す「上院政府代表」に、無所属議員のハーダー氏を任命した。だが「上院自由党」が改組改変され「進歩上院の会」となり、「自由党提出の法案を支持する義務はない」とする声明を発表したため、上院政府代表は意味を失っていた。また無所属議員でありながら自由党政権の役職に任じられたことは、保守党議員からしばしば批判された。

 ハーダー氏は記者会見で、次のように述べた。
「上院政府代表として議会で仕えたことを、光栄に思う。」
「これは、重要な変化と機関の現代化の区切りである。」
「私がこうするのは、不満からではない。」
「上院はこの4年間で、より党派性のない、より独立した評価を得たと考えている。」
「それは、より透明な説明できる機関であり、選挙された下院を補完する院としての役割を効果的に演じた機関である。」
「その証拠として、最後の議会において、上院は政府提出の88の法案を吟味し、そのうちの32において修正案を送付し、そのうちの29において政府は修正案の全部または一部を受け容れた。」

 上院政府副代表だったディアーヌ・ベルマール議員は、進歩上院の会が結成された14日に辞職し、無所属の会に入会している。グラント・ミッチェル上院政府副代表は、ハーダー代表とともに辞職する。彼は、上院改革の過渡期に働けたことは喜びだったと語った。
「我々が目の当たりにした改革は、必要であり、良いことであり、歴史的なことだった。」
 上院政府代表を辞したピーター・ハーダー上院議員が、進歩上院の会に入会したことがわかった。これにより上院勢力は、無所属の会49、保守党21、カナダ上院の会13、進歩上院の会8、無所属5(ジョージ・フューレイ議長、マルク・ゴール上院政府代表と副官レーモンド・ガニェとパティ・ラブカン=ベンソンを含む)、欠員9(定数105)となった。

 ニュースは、パトリシア・ボビー上院議員が8日に無所属の会を退会し、進歩上院の会に移籍した一週間後に来た。無所属の会は退会者が続出しており、さらに何人かがあとに続くことがありえる。
 上院委員会のポストは、会派の規模に応じて配分されている。無所属の会のユエンポー・ウー世話役は、退会を阻止するため、退会者から委員会ポストを剥奪する動議を通過させた。なお公式政党は9議席以上が必要なため、進歩上院の会は上院において正規の会派ではなく、彼は同会に委員会ポストを割り振るのを阻止しようとした。

 ハーダー議員は14日、上院で一党支配があるのは好ましくないと語った。
「上院において、全ての上院議員を平等に扱いたいくない1つのグループがあることを私は憂慮している。私はそれに与しないし、本当のところ、私はそれに対する障壁でありたい。」
「多数派主義が、新たな党派主義になることを憂慮している。そしてそれが、上院議員の平等と、他のグループの声に耳を傾ける重要性を尊重していないことを警告したい。」
 だがウー世話役は、会派離脱者の委員会ポストを再配分する動議には、全ての公認会派の代表が合意したことだと反論した。
「上院議員が会派を離脱したら、委員会ポストは所定の会派に戻るということは皆の総意だった。それは公式に記録されている。」
 またハーダー議員は、上院において公式野党の役割は保護されるべきだと語った。ウー世話役は2019年12月、党派性のない上院のため「野党」「野党党首」の役割を廃止する動議を提出した。それは全ての会派を同等に扱うことで、伝統的な二大政党対抗型の議会運営に終止符を打つものだったが、公式野党である保守党の怒りを買った。
●銃規制強化がカナダでできても米国では難しい理由
https://news.yahoo.co.jp/articles/a5d1532c8c6b0a7b84562e2a80ef62eb16db1fa1
>カナダの上院議員は任命制で、法案に反対することはめったにない
>米国の上院では採決を阻止するために議事妨害(フィリバスター)が行われることがあり、民主党は現在の勢力ではそれを突破できない。カナダの上院はこうした慣習とも無縁だ

確かにカナダ上院は任命制で、法案を否決することはめったになく、議事妨害も普通ないですが、[5]にあるとおり1990年にありました。

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