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カナダの歴史と政治コミュのブレンダと呼ばれた少年

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デビッド・レイマー(1965−2004)

 カナダのウィニペグで双子の兄として生まれた彼は、ブルースと名づけられた。生まれてすぐ割礼手術の失敗でペニスを失い、性器形成手術やホルモン療法などにより女児として育てられ「ブレンダ」と名づけられたが、それはマネー医師による「性の自己認識は環境によって決定される」という自説を裏付けるための実験であった。というのも彼が双子の一方だったからである。ブレンダは成長するにつれ男性的行動を取るようになり、女性であることに違和感を抱いた。14歳のとき過去の事実を知って男性として生きることを決意し、デビッドと名乗り、結婚して妻の連れ子の父となった。
 2000年、ジョン・コラピント著「ブレンダと呼ばれた少年」が出版される。彼は自分と同じ犠牲者が今後出ないことを願って、自らの経験と名前を公表したが、その後妻との別居、事業の失敗、弟の自殺などが重なり、2004年猟銃で自殺した。

写真左:12歳のブレンダ・レイマー。
写真右:18歳のデビッド・レイマー。

コメント(1)

 日本では米国版と同じ2000年に無名舎から邦訳が出版されたが、翌年同社が出版事業から撤退し絶版となった。ところが2005年、扶桑社によって再版されることになる。これは、八木秀次(「新しい歴史教科書をつくる会」当時会長)、山本彰(元世界日報ワシントン支局長)ら保守勢力による反ジェンダーフリー運動の一環であった。八木はこの再版で「ジェンダーフリーの“嘘”を暴いた本書の意義」とする解説をつけ、レイマーの事例は「男らしさ・女らしさ」が生得的に決定されている証拠であり、それらを「社会的につくられた」とみなすジェンダーフリーを誤りだと述べている。

 ところが小山エミは、週刊金曜日2006年9月22日号で「悲劇の意味をすり替えたジェンダー叩き勢力 『ブレンダと呼ばれた少年』の著者J・コラピント氏に聞く」と題して、著者コラピントの見解を発表した。


──あなたの本は米国でも保守系団体によって「ジェンダーは生まれつきである」という主張の根拠に援用されているようですがどう思いますか?

JC かれらがわたしの本の趣旨や意義を歪めて自らの政治的アジェンダを推し進めようとしているのにはうんざりしています。本が出てすぐにワシントンで講演に呼ばれたのですが、その場に着いてかれらの前に立つまでそれが過激な右翼グループの集会だとは気付きませんでした。うっかりクリントン大統領(当時)について好意的なことを言ってしまった時は、襲われるのではないかと思ったくらいです。

──『ブレンダ』の日本版は保守系出版社から出ており、第二次大戦中の南京大虐殺や「慰安婦」に対する強制売買春の存在を否定する団体の会長(当時)が書いた、デイヴィッドの件は男女共同参画政策の見直しを迫るものだとする「解説」が追加されていますが。

JC それは本当に困ったことです。はっきり言って、もし予めそのようなおかしな出版社であると分かっていれば、日本版を出してはいなかったでしょう。もちろん、翻訳さえ正確であれば良識ある読者は本文を読んで何を言わんとしているのかちゃんと理解してくれると思いますが、そうと言っても非常に腹立たしいです。出版エージェントに連絡して、その出版社から版権を引き上げられないか調べてもらっているところです。

──最後に、日本の『ブレンダ』読者に対して何かメッセージがあればどうぞ。

JC 本文以外に日本におけるこの本の出版社やその代理人が勝手に追加した部分は全部無視してください。この本をきちんと読んだ読者には、この本が性とジェンダー、同性愛、インターセックス、そして医療における患者の自己決定の権利に関して、寛容さの必要性を訴えていると伝わることを願っています。

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