「何で年寄る」というむちゃくちゃな疑問形。しかも実際には、勿論秋でなくても人は年を取るわけです。 Why must I grow old ? なんていう問いに答えがあるわけはないのですが、それを知りつつ、答えのない問いをわざと問うのが芭蕉の常套手段のようです。雲に鳥、という脈絡のない唐突な提示。単に脈絡のないものを一緒に提示する、というだけならばシュールレアリスムなどと大差ないわけですが、芭蕉の俳諧の場合は、その無関係のものを音韻の力によって奇跡的にまとめ上げてしまう、というところに恐るべき価値があるようです。