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GGP Seminar at GinoコミュのGGP Press 旅〜時・空間の超越

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久々の3月は17日(土)に開催されたオープンゼミは、私・ペペオが前週(3月5〜9日)に中国・上海への出張を機に、それまで思索を廻らしてきた「旅」について、話題を提供しようということで急遽日程調整がなされ、加えてM& Kの昇任祝いも兼ねてという発案もあって会場を長与町の居酒屋「りらく」で、ということになった(すなわち、公然とアルコールを交えながらのオープンゼミに・・・・・いつもギネスを口に含みながらの参加である私にとっては、状況はそれほど変わらずであるが、やはり居酒屋という雰囲気でヒートはアップしがちである)。

さて、「旅」をテーマに用意したパワーポイント資料(居酒屋のテーブルにノートパソコンを広げ、スライドを飛ばしながら、話題は四方八方に飛び交う)のテキストは、下記の通り。その他にも関連文献を数冊持ち込んだが、開くこともなく手記に漂う個々人の記憶(データベース)に委ねながら、議論の共通基盤を形成していく。なお、下記のスライドも用意はしたものの、お蔵入りの話題もあることを付記しておく。その場で交わされなかった更なる議論の呼び水となることを願って!

「旅」〜時・空間の超越

GGP セミナー in Café de Gino

話題提供者:ペペオ



(スライド1)吉田健一『 旅の時間』

► 「人生の中で時間が流れていく」ということの意味を考え現代文明の偏見を脱して捉われのない自由な自分となる。(『時間』昭和51年4月、新潮社)

► 『旅の時間』(昭和50年9月、河出書房新社)

§飛行機の中

§昔のパリ

§大阪の夜

§英国の田舎

§東北本線

§ニュー・ヨークの町

§ロンドン

§神戸

§京都

§航海



(スライド2)司馬遼太郎『 この国のかたち』

►あたりまえのことだが,他国については,自国の尺度で見ればすべてまちがう。国,あるいは社会または民族というものに二つのものなど存在しないのである。

►これもあたりまえのことだが,そういう多様さがありつつ,最後には「人間」という大きな均質性で締め括られるところが,この世のたのしさといっていい。

►さらにいえば,他国を知ろうとする場合,人間はみなおなじだ,という高貴な甘さがなければ決してわからないし,同時に,その甘さだけだと,みなまちがってしまう。このあたりも,人の世のたのしさである。

(スライド3)司馬遼太郎『 この国のかたち』

►一つの国,あるいは民族は,自然およびあらゆる歴史的条件の巨細とない集積の結果である。街頭でみる小さなできごとがいかに珍妙にみえても,それらはすべて歴史的事情からでている。不意にそれをさとったときのうれしさは,ちょっと名状できない。

►歴史的事情というのは,むろん社会科学の用語ではない。強いてその言葉をつかうと,その事情は,無量ともいえるほどに,多量かつ多様な破砕群であって,一つの文化のなかにありつつ,たがいに矛盾しあってもいる。

►その矛盾を整合し,また偶然の混入物質や,あまり本質的でない枝葉などをとりはらって原形のようなものをとりだせないか,という衝動がつねに私の中にある。

(「原型について」『この国のかたち 六』所収)



(スライド4)夏目漱石『 倫敦塔・幻影の盾』

1900 (明治33 )年秋から2 年間の英国留学(33 歳〜)

► 「ロンドン塔」・・・イギリスの歴史を題材に幻想を繰り広げる



(スライド5)長谷川如是閑『 倫敦! 倫敦?』

►1910 (明治43 )年渡欧の特派員によるロンドン紀行(35 歳〜)

§ シベリア鉄道経由で渡欧

§ 帰路はナポリから航海路で



(スライド6)河上肇『西欧紀行 祖国を顧みて』

►1913 年10 月、34 歳でヨーロッパに旅立つ



(スライド7)藤原正彦『遥かなるケンブリッジ〜一数学者のイギリス 』

►若き数学者のアメリカ (1977年 ) ・・・日本エッセイストクラブ賞

►数学者の言葉では (1984年 )

►父の旅私の旅 (1987年 )

►遥かなるケンブリッジ― 一数学者のイギリス  (1991年 )

§ 父:新田次郎『 強力伝』 『 縦走路』『 孤高の人』『 銀嶺の人 』 ・・・『 アラスカ物語』

§ 母:藤原 てい『 流れる星は生きている』



(スライド8)アルフォンソ・リンギス『信頼』

► 「わたし」の核と核を結ぶ精神の旅(書評・小池昌代)

§信じることは― ―目ではっきり見えるもの、あるいは事実や証拠となる明瞭で首尾一貫した事例を信じること――知識から帰納的に導き出される。信頼は、信じることと同じくらい強い力を持つが、知識からは生まれない。信頼するとき、人は部分的、あるいは不鮮明にしか見えないもの、漠然と、あるいは曖昧にしか理解していないものをかたくなに支持する。その言葉や動きを理解できず、その理性や動機がわからない人に固く心を寄せる。(93〜94頁)

§・・・ひとたびだれかが彼に信頼を置けば、その信頼はかならずさらなる信頼を生む。だれかが彼に置く信頼の力が、彼が自分自身に寄せる信頼を支配的な力に変え、彼の不安と迷いを消す。

§信頼は人と人をより深く結びつける。(95頁)



(スライド9)ジョージ・オーウェル『パリ・ロンドン放浪記』

►1927 年から3 年にわたって自らに窮乏生活を課す。その体験をもとにパリ貧民街のさまざまな人間模様やロンドンの浮浪者の世界を描いたデビュー作。

人間らしさとは何かを問い続ける



(スライド10) 孫悟空の西遊記とピノキオ

► 旅を通じた人格形成



► 『 たのしい川 べ』

► 一万年の旅路(フロンティアの起源〜ノルディック)



(スライド11) 英国の冒険物語

►ピーターパン(ジェームス・マシュー・バリー)

§1904年に戯曲「ピーター・パン 大人になりたがらない少年」(3幕)執筆、1928年戯曲『ピーター・パン』5幕版を出版、エジンバラ大学卒

►ガリバー旅行記(ジョナサン・スウィフト)

§1726年に発行、ダブリン大学卒

►ロビンソン・クルーソー(ダニエル・デフォー)

§1719年に『ロビンソン・クルーソーの生涯と冒険を刊行(第1部)、続編(第2部)、ロビンソンは再び航海に出て、以前暮らした無人島やインド・中国などを訪れる。さらに1720年にロビンソンの反省録と称する書(第3部)を刊行。



(スライド12) 「千と千尋の神隠し」と「不思議の国のアリス」

►異次元(時間の空転)への旅

その入り口は

§ 穴(hole )と鏡(mirror )

§ 川(三途の・・・、川向うの〜)

►境界認識の違いは世界観を反映

►現実が投影された異次元の世界から現実世界を窺う



(スライド13) 現実の異次元空間との出会い

► 『水木しげるの日本妖怪紀行』

§日本は妖怪天国(橋の下、川原、海、大木、宿)

►小沢昭一『珍奇絶倫 小沢大写真館』

§昭和の「色」の世界

►なぎら憲壱『東京酒場漂流記』

§おかしくもかなしい酒場さすらい記



(スライド14) 車窓の旅〜移動空間と移動時間を楽しむ

►世界の車窓から― あこがれの鉄道旅行

§カナダ大陸横断鉄道

§シベリア鉄道

►もう一つのネットウォーキングとしての鉄道の旅

§小池滋『英国鉄道物語(新版)』(晶文社,2006年)

§関川夏央『汽車旅放浪記』(新潮社, 2006年)

§八木慶男の『カナダ大陸横断鉄道の旅―ナイアガラの滝からロッキー山脈まで』(健友館,1982年)

§NHK取材班『シベリア横断鉄道―赤い流星「ロシア号」の旅』(NHK出版, 1982年)

§宮脇俊三『シベリア鉄道9400キロ』(角川文庫, 1985年)



(スライド15) 海外旅行パックと「地球の歩き方」

► 産業社会における「旅行」・・・観光・旅行産業の隆盛

§ 名所旧跡のたどる旅・・・知識(教養)としての経験

► 情報社会における「旅」

§ 自分の足跡作りとしての「歩き方」

► 「いまや世界中どこにでもいる日本人」のウソ

§多くの若者がいるのは、「地球の歩き方」という世界の上だけ(星野博美『謝々!チャイニーズ』)・・・安全神話にどっぷり浸かって疑うことも戦うことも忘れた去勢された日本人の姿(書評:米原万里)



(スライド16) 「旅」は何処にいったのか・・・「情報化のパラドックス」

►人類は知恵を用い、知識を開発し、情報を収集・散布しながら高度の技術を開発して巨大な富を創造してきた。市場は拡大し、貿易のネットは地球を完全に包んでいる。しかしその過程で、われわれの視野は狭くなり短期化し、互いの信頼感を弱めるような風土をつくり上げてしまった。(猪木武徳)

►Google Earth に見る世界

§cf. 「産業化のパラドックス」:行き過ぎた分業の進展や市場の拡大は、人々を単純な作業に集中させ、思考範囲と視野を狭くするため、人間を愚かにする(モンテスキュー、アダム・スミス)

(猪木武徳「競争と統治とモラル」日本経済新聞社編『資本主義の未来を問う―変貌する市場・企業・政府の関係』日本経済新聞社, 2005年, 13〜27頁を参考)



(スライド17) 更なる思索の旅へ

►中島義道『時間論』(ちくま学芸文庫)

§時間とは、<いま>が次々に姿を現しては過去へと消えていく流れである――「一般常識」(西洋哲学)・・・「現在中心主義」

§想起の対象としての過去との対比で、初めて<いま>が成立する・・・「過去中心主義」

►内井惣七『空間の謎・時間の謎ー宇宙の始まりに迫る物理学と哲学』(中公新書)

§ライプニッツの「時空の関係説」から

►マイケル・モーガン『アナログ・ブレイン―脳は世界をっどう表象するか』(新曜社)

§脳は空間を無数の地図でモデル化するアナログ・コンピュータ



なお、上記テーマの議論に先立ち、「たもあみ」さんからはケネス・グレーアム作『たのしい川べ』についての興味深い示唆を得ました。その内容は「たもあみ」さんに付言いただくとして、書店にこの本を探しに行ったら、訳者である石井桃子氏の100歳記念フェアの中に版を重ねた同書を見つけることになった。柳田先生がオープンゼミで持参した『たのしい川べ』は先生が幼少の頃読まれたもので、定価は500円と記されていた。現在では2,000円となっている。ここに児童文学の時空を越えた世界が広がっていることを感じさせられもした。

また、海外旅行の産業化について議論した際、Mさんからはトーマス・クックの存在を指摘され、目から鱗の思いであった。そういえば、最初の海外旅行(カナダ横断&ニューヨークへの独り旅)ではトーマス・クックのトラベラーズ・チェックにお世話になったものである。

さらに、「まさおき」さんが手掛けるドキュメンタリー番組の題材にかかわり、鎖国下で国禁を犯して日本を出た女性の墓石をマカオに発見する話から、歴史の複線、故郷を後に境界を越えていった人類の歴史に思いを馳せるとともに、今日の国際問題としての「移民政策」にも議論が及び、海岸させられる思いであった。

参加者(そして本ブログの読者)の皆様にあっても、自分の海外旅行(商用の出張を含む)の経験から、「旅」がもたらす自空間のちょっとして位相のずれを思索してみては如何でしょうか。

コメント(1)

訂正:海岸させられる>開眼させられる

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