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ただすのもり環境学習研究所コミュのCOP13ニュース4

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気候ネットワークよりの情報を転載しています。

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Kiko COP13/CMP3通信 No.4 ◆バリ◆
2007 December 13
http://www.kikonet.org/
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気候ネットワークは、地球温暖化対策に取り組む市民のためのネットワークで
す。「Kiko」は、温暖化問題の国際交渉の状況を伝えるための会期内、会場から
の通信です。

○Kikoバックナンバー、PDF版はこちらから
http://www.kikonet.org/theme/kiko.html
○気候ネットボランティアによる、バリ会議滞在記はこちらから
http://www.kikonet.org/blog/journal/


■バリ会議大詰めへ。世界の期待に答えて!

 12日から閣僚級会合が始まり、世界各国から多くの大臣が集まってきた。閣僚
級会合の開会では、潘基文国連事務総長やインドネシアのユドヨノ大統領、オー
ストラリアのラッド首相などもかけつけてスピーチを行った。そして今日はノー
ベル平和賞受賞者アル・ゴア前米副大統領も到着する。これまでのCOPでは考え
られないハイレベルの会合となり、マスコミの注目度も高く、世界の期待値の高
さがうかがえる。
 しかし、バリで繰り広げられる交渉を目の当たりにしていると、世界の期待の
高さと現場の交渉との隔たりがあまりに大きいことに戸惑いを禁じ得ない。現実
の交渉では、アメリカやサウジアラビアが交渉を妨害するだけでなく、日加など
の先進国がIPCCの知見の記述を盛り込むことに反対したり、一部の途上国が今後
も先進国の削減のみに限定すべきとの強い主張をしたり、と、10年前とおよそ変
わらないやり取りが延々と続けられている。
 気候変動問題がこれほどまでに世界にとって重要で深刻で緊急な議題になって
いるにもかかわらず、そして、今ここで行動しないと世界中の全ての国、企業、
人々がとてつもない不利益を被ることが分かっているにもかかわらず、そのため
の決断をする責任が託されているはずである一部の国の政府担当者は無責任な姿
勢をとり続けている。これは、落胆という域を超え、もはや犯罪的である。
 中でも日本は、交渉を前に進める妨害的な役割を果たしている。京都議定書10
周年という記念すべき日を迎えたにもかかわらず、日本への批判の目は極めて厳
しい。
もし日本が、バリでの「失敗」を招くことを望まないのであれば、合意へ向け建
設的な妥協の用意をするときだ。
 残り2日となっているが、交渉の進展は芳しくない。本来なら大臣がこれまで
政治決着すべき論点について紙が整理されてもいいところだが、12日現在までで
その作業も十分にできなかった。

 特に、COPの下での新しいプロセス作りについての交渉は、論点の集約も十分
にできないまま大臣級に報告されることになってしまった。

主要な論点は次のようなこと。
◆次期枠組みについて、IPCCの知見である、2020年に1990年比25〜40%削減の必
要性、今後10〜15年にピークを迎え減少すること、2050年に半減、といった今後
の目標数値をどのように書き込むか、あるいは書き込まないか。(日本は米国・
カナダとともに全面的に反対:途上国は一部賛成、一部反対)
◆先進国の削減の取り組みについて、絶対量における排出削減義務の性質を明確
に位置づけ、米国には枠組みを別に位置づけるか(しっかりとした中身を維持し
ながらブッシュ政権の間だけの米国の場所を作る案。質を保ちつつ米国を巻き込
む妙案だが、日本はこれにも反対)
◆途上国の測定可能な・報告可能な・検証可能な取組みをどこまでどのように求
めるか(途上国の立場は様々)
◆技術移転について、新しい基金(資金の移転の仕組み)を作る方向にするの
か、しないのか(日本・カナダは反対。技術移転の問題は結果的に合意できず、
今回の扱いについてCOP議長とコンサルテーション中。バリ・ロードマップにき
ちんと位置づけられるのか不明)
◆森林減少について、次期枠組みで何をどう含めるのか(森林の劣化も、あるい
は森林保全も?はたまた森林吸収も!?)
◆適応について、資金供与を含めてバリ・ロードマップにしっかりと位置づけら
れるか。 
バリ・ロードマップは、方向性なきままプロセスさえ始めればいいというもので
はない。上記のような内容をパッケージとしてしっかりと合意すべきなのである。



◆日本政府の問題
 「全ての国が参加する枠組み」は、ある意味で正論である。次期枠組みにはア
メリカも参加し、主要途上国もしっかりと貢献するものでなければならないこと
に、"全く"異存はない。しかし、だからといって、まもなく消え行くブッシュ政
権を相手に「全ての国が参加」することを最優先し、そのためには重要な中身を
何でもかんでもそぎ落としてしまおう、というのは正しい戦略だろうか。
 これは明らかに間違っている。日本は、ブッシュ政権が受け入れられることを
追求することで、結果としてブッシュ政権と同じポジションを取り、それを代弁
しているに他ならない。つまるところ、ブッシュ政権に便乗して、京都議定書の
核となる総量排出削減義務という性格を捻じ曲げてしまおうというのが本音では
ないか。そして、一部の目先の利益だけを追求する経団連が国別目標に反対して
自主的な取組みを求め続けていることを代弁し、日本の世論を無視しているのだ。
 次期枠組みがどの方向へ向かっていくのか、またどういう性質のものにしてい
くのか、ということについて、今回しっかりとした中身を備えておかなければ、
次期枠組みは、自主的で各国が自国の都合に応じて好きな目標を設定できる、と
いうような10年以上前の仕組みに逆戻りする可能性を拡大させてしまうだろう。
 日本政府からは、日本は立場の違う国々の仲介役として交渉に貢献するといっ
た説明がされているが、これも実際とは違う。次期枠組みをしっかりした中身を
備えてスタートさせることに反対する「抵抗勢力」となっているのが、現実だ。
 対話をする十分な努力をしないまま、中国に対する批判ばかり繰り返す姿勢も
全く建設的ではない。次期枠組みに中国を巻き込みたいのなら、ここで対立を深
めるのではなく、交渉を始めるためにあらゆる手段を講じて、手を取り合う方策
を模索するべきである。



■鴨下大臣、セクター別の目標設定を打ち出す

 12日午後、鴨下大臣は閣僚級会合で、2013年からの次期枠組みは、現在の京都
議定書よりも大きく前進したものにと述べ、約束期間の間に空白期間を設けない
ために2009年までに作り上げなければならないとも述べた。
本当にそう考えているのであれば、IPCCが政治に投げかけた先進国の2020年の削
減目標(90年比25~40%削減)や今後10~15年のうちに排出のピークを迎えるべき
との要請に応えた日本や世界の取り組むべき方向について、より具体的に語るこ
とが必要だろう。
 しかし、日本は、次期枠組みで、数値目標を示さなかっただけでなく、「総量
削減目標を受け入れる意思」すら示さず、バリでの最も重要なことは「主要大規
模排出国が参加する条約のもとでの新しい国際交渉のグループを立ち上げ、2009
年その工程表をつくること」と述べただけだった。さらに、「工程表ができなけ
れば、バリ会議は失敗である」とさえ述べた。
 これまでの日本政府の発言をあわせると、日本政府がバリで求めているのは、
「何でも呑み込める交渉プロセス」以外の何者でもない。京都議定書を前進させ
るという言及も、世界で2050年に半減などを指示する途上国への資金メカニズム
を創設するとの文脈の上だった。
 実際、鴨下大臣が「排出削減目標の設定方法」として掲げたのは、国際的競争
力問題に対応するものとして、生産量当たりのCO2排出量のような原単位指標に
よるセクター別アプローチだけだった。ブッシュ政権は来年1月から頻繁に主要
経済国会議(MEM)を開くとしている。ブッシュ政権もセクター別の原単位目標
を主張している。
 日本はMEMのプロセスやG8洞爺湖サミットの結果をCOPのプロセスに反映させる
意思も明らかにした。もちろん、これは例示だろう。しかし、バリで、日本が自
らの総量削減目標設定に言及しないまま、日本が求める「うわばみ」のような交
渉プロセスが合意されるにとどまるならば、経団連などは、次はG8議長国日本
の立場を最大限活用しようとするだろう。鴨下大臣のバリでのステートメント
は、バリ以降、日本は本当に京都議定書の精神を守るのか、G8サミットはどこへ
行くのか、が問われ続けることを予告したものといえるだろう。



■京都議定書、10才、おめでとう!

 12月11日は、京都議定書の10才をお祝いする様々なイベントが行われ、会場は
お祝いムードに包まれた。
気候ネットワークをはじめとする日本のNGO主催の「京都議定書10才の誕生日
パーティー」も、条約事務局のパーティーとジョイントする形で、国際会議場隣
のウェスティンホテルプールサイドにて盛大に行われた。
パーティーには、京都議定書の産みの親とも言えるマイケル・ザミット・クタ
ヤール初代条約事務局長、COP3のホスト国、そして、来年G8でのリーダシップが
期待される日本の鴨下一郎環境大臣や、2009年のCOP15ホスト国デンマークのコ
ニー・ヘドガード気候エネルギー大臣など、国際交渉のキーバーソンがお祝いに
駆けつけた。
 また、スペシャルゲストとして、潘基文国連事務総長が来場。潘氏は、
「Kyoto Protocol Our Future」と書かれた大きな京都議定書を、その誕生の地
で活動する気候ネットワークの浅岡美恵代表から受け取り、京都議定書を未来へ
ずっと引き継いでいくという願いを込め、将来を担う若者に手渡し、会場は多い
に盛り上がった。
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・・・ところが、来賓の一人、日本の鴨下大臣は、翌12日の閣僚級会合で行った
スピーチの中で、条約事務局主催の誕生日パーティーに参加したと述べた。大臣
は、日本のNGO主催のパーティーであることをご存知なかったのだろうか? この
10年市民の側から地球温暖化問題に取り組んできた日本のNGO主催のパーティー
に大臣として参加するのは、そんなに隠すことではないと思うのだが・・・


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Kiko COP13/CMP3通信 No.4
2007年12月13日発行
発行/編集 気候ネットワーク
浅岡美恵、川阪京子、平田仁子
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気候ネットワーク 京都事務所
京都市中京区高倉通り四条上る高倉ビル305
http://www.kikonet.org/

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