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ここが変だよ比較文化論コミュの捏造された「イエローキャブ」批判にみる差別と偏見

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 「イエローキャブ」はアメリカのタクシー会社であり、ニューヨークのタクシーは会社を問わず全て黄色に塗装されている。そこから転じて、「誰でも乗せる」を意味するアジア系売春婦を指す米語スラングとなった。
 日本では横須賀・横田・三沢・岩国・佐世保・沖縄各地の米軍基地や、六本木の外人バー周辺において、外国人男性を集中的に狙う「外専」女性が多く出没することから、これらの女性たちが在日外国人の間で「イエローキャブ」と呼ばれるようになったと考えられている。
 ニューヨークの日本人女性団体「イエローキャブを考える会」が、ニューヨークで200人を対象に電話調査を実施したところ、日本人女性の性的放縦を意味する語としての「イエローキャブ」を知っている者は一人も見つからなかったと報告した。「イエローキャブ」という表現が、日本人女性の性的放縦を嘲笑する語として北米社会で使用されているという誤解が広まったのは、家田荘子のルポルタージュ「イエローキャブ―成田を飛び立った女たち」が1991年に出版されてからである。なお家田が調査した女性たちがみな留学生だったことから、帰国した女子留学生たちが偏見に晒されるという現象も起きている。
 また芸能プロダクション「イエローキャブ」や作家山田詠美のように、「イエローキャブ」イメージを逆用する女性たちも登場した。さらに「イエローキャブ」の対義語として、アジア人女性専門(アジ専)の白人男性を“rice king”と呼ぶスラングも作られている。
 今日では、日本人女性が北米で「イエローキャブ」と嘲笑されているという事実はないことが判明している。にもかかわらず、日本人自身による「イエローキャブ」批判は今も続いている。これには、自称在日フランス人ポール・ボネ(本名・藤島泰輔)、自称在日オランダ人ヤン・デンマン(本名・斎藤十一)、自称在日ユダヤ人イザヤ・ベンダサン(本名・山本七平)らによる、在日外国人を装った日本人による日本人批判に通じるものがあるように思う。日本人は、白人からどう見られているかを過剰に気にするからだ。

 (1) 日本人の経済力
 「イエローキャブ」現象は、日本人男性が東南アジアへ買春旅行に行くことの裏返しでしかないと主張する者もいる。1980年代後半以降の円高進行により、日本人女性の海外における購買力は飛躍的に上昇し、生活苦に陥っている白人男性を養うことも夢ではないようだ。ある日本人女性は、外国人のボーイフレンドを「ペット」と呼んでいた。
 日本のヒップホップ・アーチストの姫は、「イエローキャブ」は日本人女性が運転席にいることを意味すると指摘した。

 (2) 日本社会からの逃避
 外国人、特にアフリカ系の男性と関係を持つ女性には、日本から社会的・経済的・政治的な解放を求める傾向が強いとされる。彼女たちが、旧民法時代から続く日本の家父長制度や、あるいは日本人男性そのものからの解放を求めることは、日本人男性にとって脅威であると受け止める意見もある。しかしそれらの女性たちの多くは、日本に帰国後は日本人男性と結婚しているという報告もある。

 (3) 人種偏見とパターナリズム
 外国人男性と日本人女性のカップルが成立する背景には、外国人男性には「オリエンタリズム」、日本人女性には白人特に英語を母語とする男性への憧れがあるとされる。
 家田の出版以降、日本人による「イエローキャブ」批評が行われるようになったが、これに関するテレビ番組は、特に黒人男性との関係について、AIDS感染の危険というステロタイプな視点からもっぱら報道されていた。
 私が初めてカナダに渡航した1990年には、すでにこの種の噂は存在していた。バンクーバーに暮らす二人の日本人女性が、不特定多数のカナダ人男性と関係を持った結果、AIDSを発症し、セント・ポール病院で死を待つだけの日々を過ごしているというのである。それから10年後、私はカナダ在住日本人の掲示板で、これとよく似た風説を読んだ。AIDSを発症すれば1年で死亡するから、同じ人物が10年もAIDSを患っていることは考えにくく、作り話であることはほぼ間違いないだろう。この話は、日本人女性が外国人男性と関係を持つことを牽制した説話めいたものであり、非常な作為を感じる。
 このように、日本人女性が外国人男性と関係を持つことを牽制しようとする発想は、どこから来るものだろうか。
 まず日本人には、舶来のものは高価だという思い込みがある。また、世界に普遍的に存在する白人優位主義の影響も受けている。そこで、自分が敵意を抱き仲良くできない白人と仲良くしている女性への敵意が、その女性への差別意識として投影されたり、白人男性を手に入れた日本人女性に対し、自分の価値を高く見ているのではないかという疑念を抱いていることが考えられる。
 さらに、白人は有色人種を差別するものだという被害者意識に加え、性行為は女性が捧げ男性が奪うものだというパターナリズムが結びつくと、平等な男女関係を信じることができず、外国人男性の態度を植民地収奪主義、日本人女性の態度を白人崇拝主義としか認識できなくなってしまう。

 (4) 自己反省なき一方的批判
 「三無主義」「新人類」など、年配者が若者を諷刺する表現は古くからあった。後藤和智はこれらを「俗流若者論」と命名した。それは自分より劣位にある者に対し、自己反省なしに一方的かつ高圧的に批判・説教を試みるスノビズムである。
 「イエローキャブ」批判も、社会的・体力的に劣位にある女性に対し、一方的に自分たちの理想である「大和撫子」幻想を押しつける性的抑圧ではないだろうか。ワン・ナイト・スタンド(一夜限りの関係を意味する英語の表現)は、実は日本人より圧倒的に白人の方が多いという事実は、日本人男性が日本人女性の性行動を牽制する文脈においては、見落とされているようだ。
 mixiに「白人好きのアジア女はブスばかり」(http://mixi.jp/view_community.pl?id=2137563)というコミュニティがある。日本人男性と交際・結婚する女性にブスがいないかどうかが同時に検証されていないのは、この言説の正体が、自己に都合のいい情報だけを集めて先入観を補強する「確証バイアス」であり、同時に、自己の所属しない集団は同質性が高いと見なす「外集団同質性バイアス」だからであろう。

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