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ここが変だよ比較文化論コミュのキラキラネームをつけるわけ:命名トレンドを考える

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(1) キラキラネームの分類
 このごろ子供に、難読かつ極めて個性的な命名をする親が増えているらしい。それらの名前を「キラキラネーム」または「DQNネーム」というそうだ。
 とあるまとめサイトでは、キラキラネームを以下のように分類した。
・漢字の読み方をぶった切りしている(心愛、大翔、光風)
・漢字の読み方を完全に無視している(十兵、紗冬、桜桃)
・漢字が悪い意味を持っている(憂、哀、未、倭、伽、汰)
・やたら難しい漢字を使っている(紫癒羅、純魅麗、楽瑠琥)
・熟語が別の意味を持っている(海月、心太、湯女、早世)
・一目で勘違いだと分かってしまう(王子、宇宙、星)
・語感が悪い、言いにくい(樹美羅、夏栄、莉瑠葉)
・外国語に無理して漢字を当てている(花紗鈴、英翔、海)
・アニメ・小説の登場人物(ハム太郎、月、美月&美新)
・食べ物・動物・モノ(賦鈴、栗、美音、らいおん)
・おこがましい(神王、天使、帝、天照)
・冗談にもほどがある(苺苺苺、たまてば子、奈々安寿絵里)
・悪意が感じられる(吾郎、ポチ男、カス美、大麻)

 英米は日本と異なり、名前の種類が限られている。イギリスの歴代国王を見るとリチャード○世・ジョージ○世・ジェームズ○世のように、同名が極めて多い。ゆえに英米では、非定型の名前は非常に目立つことになる。ところが日本の場合は、表意文字を使っているせいで命名が極めて自由であり、種類が豊富である。日本の歴代将軍に同名(諱)の人物は一人もなく、歴代首相で同名はタロウとタケオしかいない。なお「角栄」「権兵衛(ごんのひょうえ)」という珍名がいることに注意してほしい。日本は珍名をつけやすい文化だと言える。

(2) キラキラネームと経済格差
 黒人と白人の格差を研究する黒人経済学者ローランド・フライヤーは、少年裁判の被告にTemptress(痴女)という名の女の子がいることを知った。彼女は、不特定多数の男を家に連れ込んで関係を持ち、万引きなどの非行を繰り返すようになった。母親はテンペスト・ブレッドソー(Tempestt Bledsoe)にちなんで命名したが、綴りを誤って届けたそうで、名前の意味はあとで知ったという。フライヤーは、名前は性格に影響を与えないと結論づけた。Temptressが非行に走ったのは名前のせいではなく、親が貧しいからだと言うのである。
 日本でも、娘に「腥羅(せいら)」と命名しようとして役所に拒否された人がいる。第一に、「腥」は人名漢字ではない。第二に、「腥」は訓で「なまぐさい」と読む。親は「月と星がきらめいている」と考えたようだが、偏は「にくづき」であって月を表しているわけではない。
 これらの2つの例は、親の教育水準の低さが珍名を生じさせたことを示している。英米では正しい綴りを知らないこと、日本では漢字の知識がないことが原因となっている。
 フライヤーは経済格差と命名の関係について調査するため、1961年以降にカリフォルニア州で生まれた全ての子の出生証明書1600万通を入手した(アメリカは多民族国家のため、英語由来でない名前は除外した)。そこで白人の女の子の名前を、親の教育水準が低い順に並べると次のような結果が出た(数字は親が教育を受けた期間。カリフォルニア州の義務教育期間は12年)。
1.Angel(天使) 11.38年
2.Heaven(天国) 11.46年
3.Misty(霧深い) 11.61年
4.Destiny(運命) 11.66年
5.Brenda 11.71年
 あまり見られないような、やや誇大な名前が並んでいる。

 またフライヤーは、一般に考えられている「黒人と白人は名前が違う」という風説が、統計的に優位な差をもって示されたことを確認した。アメリカの黒人は白人に比べると、イスラム教徒の割合が多い。そのせいか、Sh-で始まる名や-shaで終わる名前は、黒人が多い。
 1970年ころまでは、アメリカの黒人と白人の名前には、差がなかった。それが1980年代になると、黒人女性によく見られる名前は、白人女性より20倍多かった。黒人女性に多い名前は順にImani、Ebony、Shanice、Aaliyah、Precious。白人女性に多い名前はMolly、Amy、Claire、Emily、Katie。黒人男性に多い名前はDeShawn、DeAndre、Marquis、Darnell、Terrell。白人男性に多い名前はJake、Connor、Tanner、Wyatt、Codyである。
 フライヤーは、黒人と白人の命名に差が生じた原因として、ブラックパワーを挙げる。黒人が自ら、白人との文化的差異を強調するようになった結果だというのである。ある年に生まれた黒人女性の40%は、白人に一人も見られない名前をつけられた。また黒人女性の30%は、同じ年に生まれた人に同名が一人もいない。意図的かどうかは不明だが、よくある名前の綴りを一部改変した名前は、黒人に多く見られる。
 また彼は、白人高所得者が多く命名する名前は、10年たつと低所得者に多い名前となり、そのころには白人高所得者は別の名前に乗り換えていることに気づいた。

(3) キラキラネームと劣等感
 日本ではあまり見られないが、歴史上の人物にあやかりその姓名をそっくり命名するケースがある。マーチン・ルーサー・キング牧師は、宗教改革を起こしたマルチン・ルターにちなんでいる。カナダのウィリアム・ライオン・マッケンジー・キング首相は、アッパー・カナダの乱を起こしアメリカに亡命したトロント市長である祖父ウィリアム・ライオン・マッケンジーにちなんでいる。
 アガサ・クリスティの「ABC殺人事件」は、Aで始まる場所でAで始まる人が殺され、Bで始まる場所でBで始まる人が殺され、Cで始まる場所でCで始まる人が殺される物語だが、真犯人はストッキングの行商人アレグザンダー・ボナパート・カスト(Alexander Bonaparte Cust)氏に目をつけ、わざと犯行地点で行商するよう命じ、犯人に仕立て上げようとした。カスト氏は親に過剰な期待をかけられ、誇大な名をつけられたが、行商人にしかなれず、名前に劣等感を持つ人物として描かれている。
 牧野恭仁雄は著者「子供の名前が危ない」で、珍奇ネームをつける親の心理を次のように指摘している。

それはいまの世に、「自分がやりたいように生きられない」という無力感をかかえた人が多く、日本全体が、逃げ場のない巨大な「先回り社会」になっているからです。先回り社会とは、言いかえれば「何もかも用意された社会」ともいえます。
珍奇ネームにこだわる人の心のなかには、「自分はこうでありたかった」「自分にはこれがない」という無力感が働いています。その結果、ことさら名づけの基本を無視して脱線し、「世の中の常識なんかに左右されない」「自分の個性を発揮して名づけをしている」という逸脱した形をとることになるのです。

 自分は夢を叶えられなかったから、息子には叶えて欲しいと願い「叶夢(トム)」と名づけた人がいるそうだ。

(4) 命名トレンド
 末尾に「子」のつく名前は、明治初期には上流階級のみに見られたが、明治末には一般に広く浸透した。1948年の名前ランキングでは、1位の和子から10位の啓子まで、女の子の名前ベスト10全てに「子」がついている。この時代の日本女性は、仮名で三文字・末尾が「子」が常道だった。ところが明治安田生命の調査によると、女児命名の「子離れ」は1960年代半ばからすでに起こっていたという。
 人気の命名は、60年代は男児では誠・浩、女児では明美・真由美・由美子。70年代は男児では誠・哲也・剛・直樹、女児では陽子・智子。80年代は男児では大輔・大介・健太、女児では恵・愛・裕子。90年代は男児では翔太・達也・拓也。女児では愛・彩・美穂・美咲。2000年代は男児では大輝・翔・大翔・海斗。女児ではさくら・未来・七海。2010年代は男児では蓮・颯太・大翔。女児では結衣、陽菜、結菜。
 こうして見ると、女児では80年代から「子離れ」が定着し、85年以降はベスト10から「子」のつく名前はほぼ消滅。94年生まれで「子」のつく女児は、わずか5%となった。代わって主流となったのは2音節名で、一文字名も増えた。男児では80年代から「太」「也」で終わる名前が増え、21世紀以降は「翔」の字に根強い人気があり、「翔太」は1998〜2007年、「大翔」は2003〜2013年の間ベスト10に入り続けている。
 「達也」人気は漫画「タッチ」、「翔太」人気は漫画「将太の寿司」と関係あるかもしれない。人気の漫画・人気の芸能人が世代によって異なるのは当然であり、その違いが命名の違いに反映することはありえる。
 コラムニストの河崎環は、近所のおばあさんが近所で生まれた女児の名が「あやか」だったことについて「やあねえ、芸者じゃあるまいし」と言ったと述べた。この年代だと「あやか」は源氏名のように響くようだが、現在では歌手の平原綾香、絢香、東京都議の塩村文夏など、普通に見られる名だ。
 時代を先取りしたような名前や、特定の著名人を連想させる名前は最近始まったものではなく、ほとんどいつの時代にもあったと思われる。それらの名前は、同時代の人々に多少の気恥ずかしさをもって受けとめられたが、10年もするとトレンドを形成し、10年前の人気ネームを駆逐するという法則性があるようだ。
 本居宣長は「玉勝間」に「近しきころの名にはあやしき訓有て、如何とも読みがたきぞ多く見ゆる」と綴っている。彼の門人には「稽古(トホフル)」「馴公(ナレキ)」「政要(マサトシ)」などの難読名があり、名簿に振り仮名を振っていた。

(5) 結 語
 珍名・難読名をつける親や、つけられた子は頭が悪いことを実証するデータはない。珍名・難読名は印象に残りやすいので、その中で能力のない人だけが特に記憶に残るという確証バイアスや、派手な名前の人に対する評価基準が無意識に高くなっている可能性がある。命名トレンドが時代によって異なることには、注意すべきである。ただし珍名・難読名が生じる原因として、国語力のない親がある程度いることは確かで、学力に乏しい親の経済力が子に影響する可能性については、考慮する必要がありそうだ。

コメント(2)

http://gigazine.net/news/20090707_odd_name/
最近、日本でも名前に当て字や難読漢字などを用いることが多くなり、中には「光宙(ぴかちゅう)」や「愛富(あとむ)」など一見しただけでは読み方や性別が分かりにくいものが増えてきているそうです。
これらの名前については賛否両論でありしばしばネット上で議論になっていますが、アメリカで「奇妙とされる名前」をつけられた子どもの統計をとると興味深い結果が現れたそうです。
詳細は以下。
Odd first names linked to criminality - Washington Times
http://www.washingtontimes.com/news/2009/jan/29/study-links-unusual-surnames-to-criminality/
Do odd names make boys go bad? - OrlandoSentinel.com
(リンク切れ)
フィラデルフィア州シッペンズパーグ大学のデービッド・カリスト教授がSocial Science Quarterlyに発表したところによると、あまり一般的でなかったり、異性的な名前を付けられた子どもほど、人種に関係なく少年犯罪に関わる傾向が強いということが明らかになったそうです
調査ではアメリカで見られる15000の名前について知名度を設定。例えばMichael(マイケル)の知名度を100とした場合David(デイビッド)では50、Alec(アレック)、Ernest(アーネスト)、Malcolm(マルコム)、Tyrell(タイレル)では1となったそうです。そしてこの知名度が10%上がると4%犯罪率が低下するということが分かりました。
もちろん、名前と犯罪率の関連についての統計をとる際には様々なバイアスも考えられ、例えば交通検問の警官が珍しい名前ほど車内検査を行う率が高いために犯罪を見つける率も上がってしまうということも考えられます。またFBIが指名手配している凶悪犯のリストにも一般的な名前が並んでいます。
カリスト教授は「名前が犯罪傾向の直接の原因というわけではなく、つけるべきではない名前のリストを作るのは統計的には問題がある」としながらも「例えば劣悪な家庭環境であったり、経済的不遇であったり、両親が離婚していることなど、あまり一般的でない名前の付け方と犯罪の要因となるような社会的環境には何らかのつながりがあるようだ」と語っています。
https://headlines.yahoo.co.jp/cm/main?d=20190414-00010517-toushin-life&s=lost_points&o=desc&t=t&p=2
>日本人は肌の色も瞳の色も髪の色も同じで、一瞥しただけではどういう人かわからないのに、なぜか底辺の人々は、自ら進んで下層アピールする。
>髪を変な色に染め、タトゥーを見せ、ご丁寧に鼻に金属輪までして、牛の真似してる人までいる。おかげで、ブルジョア層としては近寄ってはいけない人々をある程度外見で判断できるから助かる面がある。
>そして究極の外見的判断がお名前。本人に罪がないとはいえ、キラキラネーム見ただけで、ある程度、その方の家柄や育ちがわかり、縁談の際などは、きわめて有効な情報となる。


命名も服装と同様、文化であるということだ。
カエルは一般に、緑色や茶色の保護色をしているが、毒のあるカエルでは黄色と黒の斑模様のように、わざと目立つ色をして「毒があるから食べないで下さい」と警戒信号を発しているものがある。

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