あの4枚組ライヴ、ぼくも持っています。ぼくの最高の宝物です。
あれの中でベストの演奏は、演奏途中でテープが切れてしまって、
前半部分と、クライマックスの部分のみになってしまった、
The Law of Maximum Distress part One & part Two だと勝手に思っています。
あの異常なテンションは Providence と同等か、それ以上ではないかと。
あの曲の完全版を聴けた、74年6月24日、トロントのマッセィ・ホールのオーディエンスは、
ほんとうに幸せ者だと思います。
あと、「アースバウンド」の 21st Century Schizoid Man と Groon を聴けたオーディエンスも。
ライヴの Starless の収録日は74年の4月29日と6月30日
(あの“Red”に入っていた Providence と同じ晩の録音です)とあります。
ジョン・ウェットンが30年以上前に来日したとき、それは80年頃だったと思いますが、
Starless は、アルバム“Starless and Bible Black”に
収録する予定だったらしいですが、その時は没になったようですね。
Fracture のようにライヴで収録するつもりだったのかもしれません。
Starless and Bible Black は8曲中5曲が完全ライヴで、
The Night Watch だけ、イントロがライヴですものね。
当時はそんな情報入ってこなかったから、すべてスタジオだと思っていましたが。
その Starless のライヴ演奏が上手くなかったから、収録を諦めたのでしょう。
スタジオ録音になった Starless も4枚組ベストでは前半部分のみの収録。
あの名演が Abridged! ファンには信じがたいことでした。
ロバート・フリップは、もしかすると、もっと良くなるはずだと思っていたのではないでしょうか。
ぼくたちにはクリムゾンの最高作に聴こえるものも、彼には不満だった。
そう思えてならないのです。
彼の耳には、ベスト演奏の Starless の、幻のファイナル・ヴァージョンがずっと
聴こえているのですよ。きっと。ぼくはそう思っているのです。
Great Deceiver
イントロの強烈なリフに圧倒される。心筋梗塞の発作を起こしそうなほどの凄まじさである。それが終わると、変拍子の演奏に早変わりする。リズムに弱いぼくは未だにこのベースとドラムスが何拍子で演奏しているのか判らない。どこにリズムのノリをもってきて聴いたらいいのか判らない。と、思っていたら見る間にコーラスの部分に来る。そしてまたあの強烈なリフの再登場。そこからフリップ独特の奇怪なギターに導かれて、ヴァースが変奏され、コーラスに絡んでくるフリップの二本重ねたハードなギター。そして演奏はギターだけになり、突然終わる。斬新この上ない一曲。