Musashi Ninja Clanコミュの忍士

忍士団の師範は、武術の師範ではなく、他の分野が専門の師範が多くいます。
それはまず、忍士団が武術の団体ではなく、忍術を使う忍士の団体だからです。
忍術は武術ではありません。諜報活動のための戦略的な技術です。

忍士団にはシンクタンクとドゥ―タンクがあり、シンクタンクでは情報収集と報告や歴史の調査とその結果発表などが行われます。

シンクタンクのスローガンは「一人一人が繁栄できる住みやすいコミュニティーを作る。」事です。これを使命とすると、組織は武術の技術を磨くことを中心に据えているのではないことが分かります。武術を極めても人は忍びにはならず、武術家になるだけです。自己研鑽にはあらゆる道があります。戦国時代の忍士と江戸時代の忍士は違います。忍士は時代に即して適応するため、江戸時代と明治、明治と現代の忍士も違っています。変わらないのは、人知れず情報を収集するために忍術を使うことと、忍びの誓いと和心です。

忍びの忍びたる所以は、無事に情報収集し、報告ができることにあります。戦国時代の祖先は実際の戦いで勝つために生死の間で活動をしていましたが、江戸時代以後はそのような活動は非常に少なくなりました。

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江戸時代の先祖たちは侍ですから武芸の鍛錬はしていましたが、学問を非常に大切にしていました。そして道教や儒教や古代の東洋思想を取り入れた忍びの宇宙観を作り上げてきました。それが忍士道の基盤になっています。

まず、インドの空（くう）の概念が糸口になります。

何も見えないがすべてが調和して存在する空があり、理（現実に即した在り方）がります。そこから気が発せられ、陰陽が生まれ、更に五行（火水木金土）のエレメントが生じている。空は絶対であり普遍。そこには価値の違いも、戦いも存在しません。他方、和は相対であるので揺れ動くことがある。このような状態を空に近づけるには人は共鳴し、自他を融和する努力を積み重ねていくことになります。

これを忍びの立場に当てはめてみると次のようになります。
この世においての忍びの役割は、世に知られず観察して調和を図るための道具・手段だととらえます。

これを天秤を使った、バランスのとり方のイメージで見てみます。
秤が片方に傾きすぎたとき、他方に重りを加えたり、減らしたりしてバランスを取ることができます。

忍びに関して言うと、この重りが忍術になります。
置く方法は大きく二つに分けられます。暗殺、陰謀、盗みなどのネガティブな方法と、教育、協調、賛成を得るなどのポジティブな方法です。

忍士団の前身の武蔵一族では大正から昭和にかけて一族内にキリスト教の思想が入り、パラダイムシフトが起こりました。物事のバランスをとるのに使う手段はポジティブなやり方だけと決まったのです。

また、天秤の支点を中心に固定しておくだけではなく、必要に応じて左右に動かすこともできるという考え方が基準として採用されています。共に生きて相互に依存をしていくには互いの価値判断を尊重する、そのためにはいろいろな観点から物を見ることができると良い、という考え方です。

現在の忍士道では、忍びは人知られずに観察し、必要があると判断すれば忍術を使って、介入し共鳴を起こし調和と取ることを目指します。このために忍びは感応を高める修行を積まなければなりません。客観的な判断を下すためには公平無私になり雑念を無くしていく修行をする。瞑想、武術、芸事、祈りなど方法はいろいろありますが、武蔵流ではそれらを、カリキュラムに組んでみしました。
「術より法に至り、理を知り道に達すれば、和となる。」という考えに基づいたシステマティックなメソッドです。

何もない零の状態の空から気が出て、陰陽になり五行になり、更に物が細分化していく。そのプロセスを反対から空（くう）に向けて進んでいくわけです。

共鳴水鏡
忍術を使う忍びの心の在り方を示すのに水鏡の例えがあります。無私で心が落ち着いていれば、全てを反映することができる鏡です

ます、五輪忍法を学び術を使うときの規範を習い、五徳について学びます。しかし、これらを知っただけでは忍士と呼べません。忠道の誓いをたてた後には忍耐と集中力を鍛える、各自の修行が待っています。

忍びは五車や五行の術のいくつかを使って人に心に介入します。忍びは無私になり和をもたらす手段となります。その術を用いる時に自身が共鳴を体現できれば最高の忍びです。