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Readers Digest ぐれふるコミュの裏ぐれふる

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皆さん こんにちは。
クソ暑い中、いかがお過ごしでしょうか。

マリネラは雨季ゆえ、日中は曇りの日も多く、
雨が降れば寒いほどで エアコンいらずです。

さてそんな中、このようなコミュがありつつも、
長文日記を書かずに申し訳ございません m(_)m

日記を書かない・書けない理由はまああったりなかったりなんですが、そのうちまた爆発的に書くと思いますので、
生ぬるく見守っていてください。

さて某所にて、ある短編みたいなものを書きました。
生ぬるくお暇な方は、ぐれ日記がわりに読んでください。

コメント(18)

場所:全寮制の学校(高校)の誰も居ない学生食堂

登場人物: 英国留学から戻ったばかりの男子学生
      (大変小柄)
      食堂のおねえさん


《第一夜》

…おや これは……
いつもの安物の紅茶じゃないですね(笑
おねいさんの休憩用のとっておきの紅茶なんでしょう?
これは……ヌワラエリヤですね。暑い時期にぴったりだ。
ありがとう。

うん、そうですね。イギリスはやっぱり、何かといえばティーですよ。
本場だから、スーパーの量産品でも格段においしいです。
英国は夏場でもこんな風に暑くなる日は数えるほどですから、
紅茶は基本、熱いままです。
ボクの居た学校は、古城のような造りで、石造りの古い建物ですから、
冬場は本当に寒く、ヒーターをかけても隙間風が通り抜けますから、
温かい紅茶を飲んで過ごすんです。
寮はこの学校とは違って、ボクの学年では4人部屋でした。
寒さ対策ってこともあって、長い冬の夜はどこかの部屋に集まって、
みんなで雑談したりチェスの手を考えたり、宿題をやったりするんですね。
静かに本を読んでるやつも、どんなにうるさくても人の集まる部屋にいますね。
人いきれで温かくなるからでしょう。
イギリスでは16歳から喫煙できますから、部屋は紅茶と煙草の煙で一杯。
消灯時間を過ぎると天井の明りは消えますから、
ベッドサイドの明りと、机の上の小さな明りのみ。
高い天井の奥までは光もろくに届きません。

そのせいかも知れませんが、イギリスでは冬場のこんな時間の方が、
怪談話になる事が多いんです。
ある時、部屋に集まった全員が一人一人順番に怪談を披露することなりました。
どこかで聞いたような、他愛のない話ばかりなんですが、
こういうのは皆でひたすら怖い話をする事に意義があるわけですから、
みんな神妙な顔をして真面目に怖がっていましたよ。

段々と話がすすみ、いよいよ最後の一人になりました。
それは何かと、所謂パシリに使われやすいある学生で、
その時もまた、紅茶の補充に給湯室に行っていたんです。
温かい紅茶の入ったポットを抱えて戻った彼に、みんなが彼の番である、と告げました。
「おまえで最後だぞ」
「そうさ、10人目だ」
その言葉を聴いた彼は、怪訝な顔をしてこう言ったんです。
「何かの間違いじゃない?カップを用意したのボクなんだけど、
11人のはずだよ、全部で」

最初は彼が数え間違えたのだろう、という事になりました。
だけどボクら一人一人が、最初の紅茶のカップを渡しあったので、
最初に数え間違えたのならば、その時にカップが余ったことがわかるはずなんです。
皆で集まって以来、部屋を出て行ったのはパシリの彼だけ。
そして全員がカップを手にしていました。

そもそも初めに用意したのが10個のカップだったのでは?という話が出た時、
「…おい、あれ見ろよ」
ある学生がそう指差す方を見て、僕たちはゾッとしました。
窓際の、出窓の部分においてあるチェスボード。
その脇に、11個目のカップがあったからです。

部屋に集まったみんなはベッドや椅子に腰掛けていました。
将棋や碁と同じく、チェスも定石や、それを破る手を熟考するゲームです。
なので誰かが気が向いた時に手を考えて、駒を動かすようになっています。
そのチェス盤は、チェスの選手権にも出たことのある先輩による
非常に難しい手が置かれていて、誰もそれを破る事ができなかったので、
半ば忘れ去られるように置き去りにされていました。

「しかもな、見ろよ」
さっきの学生が言いました。
「チェックメイトだ」



…おや、おねいさん、なんだか顔が青いですよ……?

嫌だなぁ。おねいさんも幽霊が出た、って思うんですか?
多分ボクらが話に夢中になっていただけで、
誰かが出て行ったのに気付かなかっただけですよ、多分……

まあ確かに古い学校ですから、お化けくらい出てもおかしくないですがね…

ちなみにこの話には、後日談があるんです。
自信の一手を破られた先輩が意地になって色々調べたところ、
非常に古い文献に、この手の例があったそうです。

そしてその手を考えたのは、ある弁護士で、
ボクたちの学校の出身だったそうです……

《第二夜》

……え? あの話が怖くて食堂で一人でいるのが怖かった……?

フフフ おねいさんも可愛いとこあるんですね。
いやむしろ、可愛いとこだらけですか。

幽霊が存在するのかどうかは、ボクにもわかりません。
だけどこう考えてみたらどうでしょう。

問題のパシリの生徒、彼が考えたトリックだったとしたら……?


彼は言ってたではありませんか、
” 最初に皆にカップを配ったのはボク ”
だと。
そして初めに11人居たと主張するのも彼一人であり、
その証拠となったのは現実に11個配られたカップでした。

彼は気弱で目立たない生徒なのかもしれませんし、
ただ単に気が利いてマメな性格なのかもしれませんから、
どちらの場合でも他の生徒にとって、彼が紅茶をサービスする姿は
到ってアタリマエの背景の一部でしかなく、
誰も気にする人はいなかったでしょう。
そんな彼がこっそりと薄暗い一角にあるチェスボードの脇にカップを置く事くらい、たやすい事だったんじゃないでしょうか……。

チェックメイトの件……?
そう、もしかしてボクと同じような事を思った生徒もいたかもしれないんですが、
最も彼の仕業であるとする説の弱い点がチェスの手の事です。
彼はチェスの何たるかくらいは知っていたでしょうが、
普段ロクにチェスボードに触った事もなかったんですからね。

うちの学校はチェスが伝統的に強い事で有名ですから、チェスの腕前が並以上だという生徒は珍しくありませんでした。
その先輩が考えた手は、本当に難しくて、それをチェックメイトで返す手がある事はチェス部の顧問の先生でないとわからなかったんですよ。
また素人がでたらめに動かした駒が偶然チェックメイトというのも考え辛いです。

…でもね、ボクは知っているんですよ。
彼の家は先祖代々、男子は同じ学校で学んでいる事を。
そして彼の祖父と問題の弁護士は同学年の同級生、
しかもチェス部に在席していたんです。

彼はチェスはやりませんでしたが、ルールなどは概ね理解していました。
それは彼の祖父が同じように、常にチェスボードを置いて熟考する事を楽しむ人だったからなんです。つまり彼にチェスの手ほどきをしたのは彼の祖父なんですよ。
そして彼の祖父と弁護士が一騎打ちした際、彼の祖父が先輩と同じ手を考案し、弁護士がそれを破った事は、彼の祖父にとって忘れられない出来事、人生の中で悔しいながらも名勝負だったはずで、孫である彼に何度も語って聞かせたことでしょうね。


トリックがわかってしまうと、どうってことない話なんですよ。
世の中に不思議な事など、何一つないんです。

……ま、ボクの推測にすぎませんので、幽霊はやはりいるのかもしれませんね。フフフ……




……でもね、ボクは思うんです。
幽霊話ではなく、彼のトリックだった方がずっと怖いなって。

快くみんなの雑用を引き受けていたかのように見えた彼が、こんな事を考え実行した気持ちの事を言ってるんです。
内心面白くなく感じていて、皆に復讐したのだとしたら……?

その出来事の前も後も、彼はいつもニコニコと機嫌よさそうにしていて、誰からも気のいい奴だと思われていました。
人と争うこともなく、なにかにつけ自分が引くタイプの彼……
そんな彼が悪戯の成果を思い出してはニヤリと笑っている、
または皆の恐怖の表情を思い出して心の底からすっきりした思いを味わっているとしたら。

……ボクは生きている人間の方が、ずっと怖いと思いますね。


アハハ、なんですか そんな妙な顔してしまって。
折角の美貌が台無しですよ……?

まあ意外とその”彼”ってボクのことかもしれませんよ……?
ボクの家でも祖父の代から同じ学校に留学していますから。
そう、ボクをとても可愛がってくれたあのお爺ちゃんです。
祖父もチェスは大好きでした。

ボクは見ての通りのチビですから、体格の良いイギリス人の学生に
いいように使い走りにされてたかもしれませんし、
英国人とは言えお坊ちゃんばかりですから、自分でロクに紅茶も淹れた事のないやつが淹れた不味い紅茶を飲むくらいならと、進んで紅茶係を引き受けたかもしれませんよ……?

でもそうですね、もしボクが”彼”ならば……

悪戯の動機は”みんなとボクの一生の暇つぶしのため”ですね。
そのまま幽霊話と解釈するにせよ、トリックではないかと考察するにせよ、一生忘れられないエピソードになったでしょうから。


…そしてそう、ちょうどこんな時に、少しお話するのに調度いい話じゃないですか…?

今頃彼らの中の誰かも、食堂のやさしいおねいさんに同じ話をしているかもしれませんね。

やっぱり、世の中に不思議な事なんて、なにひとつないのですよ、きっと。
ぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれ


えっと この一夜二夜の構成を見ておわかりのように、
一夜の話をベースに、5パターンくらいの、
”実はこうだった”
という話を書こうと思ったんですが、
これを書いた場所の性質から、差しさわりがあると判断、
三夜までで中断しました。

私は大体辻褄があう構成を考えられれば、あとは勢いで書くのと、同じく場所の特殊な性質(あるゲームの中のお遊びとして書いたものです)から、細かい矛盾は三夜にしてやや出てきているのですがw  まあそこは笑って目をつぶってやってください。

書いてしまってる三夜まではうpしようと思いますが、
その後は思いついたら書く、みたいな勢いで。

今のところ、三つはすべて、怖い話系にしているのですが、
既に三夜が二夜とやや似ているなど限界気味であること、
おねいさんが怖がってしまったので、話をそらす方向であることなどから、この後思いついてるのはちょっと違う傾向で、お笑いネタまであるほどなんで、このまま放置するかもしれません。てへ。

ぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれ
淡々とした大人びた高校生の語り口がより一層不思議感を醸す、仄かな紅茶のフレーバーの物語。
《第三夜》

……え?
まだあの紅茶の話が怖いんですか?
ボクも余計な事いっちゃいましたよね、全く。

いいですよ。面白くもなんともないけど、本当の事教えましょう。


紅茶を淹れてたのはボク、理由は他のヤツラにまかせておくと薄かったり濃すぎたり適温でなかったりして、非常にイライラするからです。

トリックというか、要するに怪談話をしているという皆の心理状況と、ボクの思い違いを利用した、ちょっとした悪戯なんです。

いいですか? 部屋に居たのが何人にしろ、ボクが紅茶を淹れに行って戻ったとするなら、部屋にはボクのカップも無くてはならない。
だけど持ち主不在のカップは、チェスボードの前にしかありませんでした。
ここ、大事なんです。

紅茶を淹れて戻った僕は、”10人目でオマエが最後”と言われ、11人じゃなかったかな?と思ったのでそう言ったけど、実は最後にカウントしなおして10人しか居ない事を確かめたのを思い出したんです。カップは当然10個しか用意してません。

だけど良い具合にみんなはそれぞれに思い違いをして騒ぎ出した。
そこでとっさに、このまま皆を脅かしてやれ、と思ったんですね。
チェスボードの脇に置かれていたカップは、ボクが部屋を出る時そこに置いたんです。
それまで近くのベッドに寝そべって本を読み、ずっとカップをサイドボードにおいてましたから、みんなも思い違いしちゃったんですね。
当然のことながら、ボクのカップは給湯室だってことにしましたよ。

チェスボードの件? もちろんボクですよ。
さっき架空の”彼”についてお話しましたね。
そう、伝説の一手に破れた祖父を持つ”彼”の話です。
ボクの祖父はね…… 
その二人と同時期に居て、その名勝負を実際に見ていた人なんですよ。
そしてまたボクの祖父もチェス愛好家で、当然孫のボクにも手ほどきしてくれました。

皆で集まっていた部屋、その部屋はボクの部屋ではありませんでした。
みんなに紅茶を配る合間にちらっと見たチェスボードの一手、
それはまさしく祖父から繰り返し聞かされていたものでした。
伝説の一手でこっそりチェックメイトにしたのはボクです。

ボクね、こう見えてもチェスは結構得意なんですよ。
小さい頃から祖父に教えられてきましたからね。
だけど英国に来てからは”チェスはできない”という事にしていたんです。

お話したとおり、ボクの学校は大変チェスが盛んな学校で、
教室やカフェにもチェスボードがあるくらいなんです。
当然のことながら、昼休みや放課後もチェス、
学内・寮内でしょっちゅう練習試合がありますし、
本場ですから公式試合も頻繁に行われます。

ボクはね、一年という短期間で、英語を完全にマスターし、
なおかつ高校生としての本来の勉強もしなくてはならなかった。
たまの休みは街をふらふらしたり、
美しい英国の森を馬に乗って散歩したりしたいわけですよ。
チェスに時間をとられるわけにはいきませんからね。


……なんです、なんだかつまらなそうな顔をして?
世の中の不思議な話なんて、得てしてこんなものですよ。

もうやだなぁ。 
怖い話がイヤだっていうから、ネタバレしてあげたのに……?



…だけど時々思うんですよね、ボク。
どうしてそもそも11人と勘違いしたのかな?って。
部屋には全員で10人、その中にはボクも含まれるわけなんですが、
人数を確認した時、ボクは果たして、きちんとボク自身も数に入れていたのでしょうか……?

先ほど”実は最後にカウントしなおして10人しか居ない事を確かめた”って言いましたよね?
今でも覚えてますが、それって給湯室での事なんです。
ボクは自分を入れて10人だったか、部屋に10人いたのか、はっきりしなくなって、
部屋にいたクラスメイト達の顔を一人一人思い浮かべて数えなおしたんです。
ボクが思い出せる限り、部屋にはボクを入れて10人しかいませんでした。
そしてカップは実際10客で足りたわけなんですが……


本当にそれであっているんでしょうか。
ヨソのクラスの寮生ならば顔見知り程度でも同じ部屋に来てましたから、
確実に全員を知っていたわけじゃないんです。

部屋の人数を数えた時、見知らぬ人が一人いたのでは……?
外国人で、留学して数ヶ月しかたたないボクが、
果たして正しく全員の顔を認識できていたのでしょうか?
同じ”巻き毛の栗毛に青い目”というだけで、
顔見知りの誰かと見知らぬ誰かを混同してしまったのでは……?

だとしたらそれはいったい、誰だったんでしょうね……(笑
《第四夜》

え? なんですって?
やっぱり本当は幽霊が居たに違いない?
かつて城に幽閉されていた王子の霊がさまよう……
しかもその謎を僕たち生徒が解決ですか……?

アハハハハ  おねいさんは夏目漱石の倫敦塔か、
例のベストセラーの魔法使い学校のお話がお好きなのでは?
正直なところ、ボクの話よりもずっと夢があって楽しそうですよ。

そうですね、ボクがこのお話を楽しくするとするなら……
ボクは弟と組んで何か仕掛けていたかもしれませんね。
ボクの弟はボクより一つ年下で今年17歳になるんですが、ボクと入れ替わりに同じ学校に留学する事になっていたんです。

弟とボクは、まるで一卵性双生児のようにそっくりなんですね。
ボクはボクと入れ違いに弟が来ることは、まだ寮の友達に知らせていませんでしたから、弟の紹介も兼ねて、ちょっと悪戯を企んで見るんです。

そうですね、例えばこんなのはどうでしょうか?

まず最初に、部屋にはボクが行きます。そして適当なところで給湯室で弟と入れ替わる。
弟は9番目のスピーカーとして何か話をした後、目立たない部屋の隅に移動し、10番目のスピーカーの話が佳境になった頃を見計らい、弟はこっそりベッドの下に隠れる。
10番目のスピーカーが話し終わり、怪談の余韻が残っている間に、温かい紅茶のポットを持ったボクが、陰気な音をさせてドアを開いてこう言うんです。
『おや、いよいよボクの番かな?』

給湯室は結構遠い場所にあり、紅茶を人数分淹れる手間も考えれば、10番目の怪談が語られている間に行って戻ってくるのは少し難しいです。
漱石が出たから芥川、と言うわけではありませんが、ドッペルケンガーというわけですね。
みんなの注目がボクに集まっている間にそっとベッドの下から抜け出した弟がこう叫ぶのもいいですね。
『みんなそいつは偽者だ!』
みんなが呆気にとられている中、ボクはこう言うんです。
『だまされるな! そいつこそ偽者だ!』

……さて、どうやって話を締めくくりましょうかね。
弟とボク、二人揃って他の学生に取り押さえられ、袋叩きにされないといいのですが。
まあ、どちらかは本物なんですから、お手柔らかに願いたいものです。

チェスボードの件?
ああ、彼らは大雑把ですから、そんな目立つイベントがあれば誰も気づかないでしょう。
きっとボクは気づくでしょうから、弟を部屋へ送る道すがら、その事に触れてみるかもしれません。
すると弟がこう言ったりするとどうでしょうね。
『ボク、ベッドの下から誰かチェスボードの側に行くのを見たよ。
多分あの人がチェスの駒を動かしたんだ。
黒い革靴を履いて、グレーのフラノのズボンを履いた人だった』
きっとボクは少し変な顔をするでしょうが、何事もなかったようにふうん、と言うでしょう。

ねえ、おねいさん。
確かに学校は、古城を改築した古めかしい学校で、100年以上の伝統がある学校です。
ですがその中で学ぶボクたちは、今という時代を生きる現代っ子なんですよ。
ボクたちはみんな、こざっぱりした格好をしていましたが、自宅でもある寮でくつろいでいる時間です。
ほぼ全員がジーンズ、またはチノパンなどのカジュアルな服装でしたから、足元はまず、スニーカーでしょう。
ズボラな奴は制服の靴をそのまま履いてきたかもしれませんが、ボクらの学校指定の靴は、茶色のローファー、ちなみに制服のズボンは茶色です。
外国の学校にまだ慣れていなくて、しかも慣れない英語でのスピーチを控えている、更には悪戯な兄の企てに加担することになっていた弟はとても緊張していて、まわりなんか目に入っていなかったのでしょうが、当日そんな服装をしていた人物は、一人もいませんでした。

ですがボクはこの学校において、全員がそういう格好をしていた時代があったのを、つまり今とは全く違う、グレーフラノのズボンに紐つきの黒革靴を着用した時代を知っています。
そう、おじいちゃんが留学していた時代なんですよ。

ボクという先輩が居た弟にとって、学校の様子を聞いたり相談したりする相手はボクでしたが、一族からひさしぶりに留学する長男のボクに色々と学校の様子を教えてくれたのは、忙しい父ではなく祖父でした。
祖父のアルバムに残る生徒たちの影は、全員グレーのズボンに黒い革靴でした。
もちろん、あの伝説のチェスの名勝負で対戦した二人もそうだったのです。
…フフフ、意外とそんなお話だったのかもしれませんよ……?
残念ながら、おねいさんの期待する囚われのプリンスは登場しませんでしたがね。
王子はきっと、いつか優しくて勇敢な食堂のおねいさんが自分を救ってくれるのを、今も待っているのでしょう、きっと。

まあ取りあえず、いつか助けに行く王子には、夢の中ででもお会い頂くとして、目の前のボクにもう一杯、紅茶をご馳走してもらえなでしょうか……?
ぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれ


らぶれすくんはいつも生暖かく見守ってくれて
まことに感謝なのだ。
いつか紅茶をおごってあげよう。


ぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれ
「おまえで最後だぞ」
「そうさ、10人目だ」
その言葉を聴いた彼は、怪訝な顔をしてこう言ったんです。
「何かの間違いじゃない?カップを用意したのボクなんだけど、 11人のはずだよ、全部で」

↑この発言が、彼が話した最短の「怪談」だったのかしら・・・。
自分の順番が来てて、請われるままにさらっと話した怪談だとしたら、すごい効果的っ!
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=20&id=1054650
土浦9人殺傷事件判決


『見ろ、俺の勝ちだ・・・! 世間を俺の思い通りに動かしてやったんだ』

遺族のすすり泣きがひそやかに響く法廷は、暖房が効いているにも関わらず、隙間風に首筋をなでられるような気味の悪い寒さがあり、居合わせた裁判官以下の役人や傍聴人の中にはぶるっ、と身を震わせた者もすくなくなかったが、Kの心は高揚し、興奮で熱かった。

そんなKを見て舌打ちをせんばかりの弁護士のむこうで、事件後マスコミに対し真摯な謝罪をした父親が、じっとこちらを見ていた。

『しけた親父ともオサラバだぜ』

Kはおどけて敬礼でもしてやろうかと思ったが、面倒になってやめた。

「被告の望みどおりになるということがわかっていても、ほんの少しでも
 社会に戻ってくる可能性がある刑は嫌だし、怖い」
夫をKに殺された老婦人は、肩をふるわせてそう証言したが、
その言葉を聞いた時、Kはあっけなく死んでしまった老人を殺した時よりも興奮した。

絶対的な力。
俺はついにそれを手にいれ、このくだらない世界と縁を切るのだ。

自分の命が寿命を前に絶たれるというのに、Kはまるで、
楽しい遠足の予定をつげられた子供のように興奮し、
またゲームなどでは得られないほどの勝利感を味わっていた。



その後、Kは控訴せず、刑が確定した。
両親は流石に嘆き、Kを思う手紙を送ってよこしたが、Kはロクに見もせず、拘置所のゴミ箱に捨てた。



ついにKは処刑された。
Kの死刑判決を巡り、世論はさまざまだったが、死刑確定から日も浅いうちに刑が実行された。
耐え難い汚物を一刻も早く取り除きたいという世の思い・遺族の願いを反映したかのような異例の早さだった。

Kは暗闇の中で目を覚ました。
『ここは・・・どこだ? あの世ってやつなのか』

「ふん、目が覚めたか」
暗闇の中で声がした。
「誰だ?おまえは・・・ここは地獄ってやつなのか?」
「誰だって関係ねーだろ。地獄・・・だって?」
そういうと男はクスクス笑い出し、やがて大笑いしだした。

「おまえみたいな犬チクショウ以下を受け入れてくれるところがあると思ってんのか?つくづく甘い奴だよ おまえは。
いいか、地獄ってのはな、てめえよりずっと現世で頑張った奴しか受け入れてくれないんだよ。
一生懸命生きたつもりだが、心が弱かったり、バカだったから結果的にうまく生きられなかった奴を反省させてレベルアップさせる場所なんだよ。
おめえは生前、生きてたけど生きちゃいなかった。
自分が死体みたいなもんなのに、一生懸命生きてる人を巻き添えにしないと死ねない、自殺すらできないクソ野郎、それがてめえだったんだ。
生きてない人間が死んでから行く場所なんてねえよ」

「じゃあ俺は、一体どこへいくんだ?」

「決まってるだろ。もう一度、死に直しやがれってこった。
 以下三択で選べ」

声が提示した三択とは、

一、内戦の国で親に売られ、四肢をなくし乞食となって一生生きる
二、親から虐待された上捨てられ、とても苦労するが自力で学び、医者となってたくさんの人の命を救う
三、現世に戻って事件前からやり直し

この三つだった。

「おい、早く選べよ。ここは天国でもなければ地獄でもない無の世界だが
てめーみたいなバカをいつまでも置いてやれるほど優しい場所じゃないんだぜ」

その言葉が終わるか終わらないかのうちに、Kの体に激痛が走り、Kは情けない悲鳴をあげた。

「おっといい忘れてたがな、てめえみたいなウジ虫には、ウジ虫がよってくるようになってんだ、この無の世界でもな。
痛いだろう? 普通のウジ虫の何倍も痛いらしいぜ。だが食われた場所はほんの少しだし、こいつに体の半分以上を食われても死んで楽になれるってことはないからな?
だっておめえ、もう死んでるんだものな」

そういうと男はまた、狂ったように笑い出した。

その傷はなんとも形容できない、深く強い痛みだった。一撃で既に耐えられないほどの痛みで、Kはのたうちまわったが、地獄のウジ虫どもはさらに数を増してKの体に這い登ってくる。
そんなことあるわけないだろ?てめえのまんま、人生やり直すに決まってるだろうが、このバカが!」

そう叫ぶとまた男は狂ったように笑い出した。

「い、医者になれなかったらどうなるんだ・・・?」
「決まってるだろ。またここに戻ってやり直しだ。
 あれだな、てめーみたいな甘ちゃんはよ、多分両親に虐待された段階で
 アウトだろうな。即座にここに戻ってくんのが目に見えるようだよ、ギャハハハハハ」

俺は途方にくれた。
四肢を切り落とされて地面を這い蹲る乞食などもっての他だ。
だが両親に愛されて、良い環境を与えてもらっても勉強などする気が起こらなかった俺に、二は難易度が高すぎる。
では三はどうだ?あの事件を起こさなければ、振り出しに戻るはずだ。またあのくだらない世の中に戻るのかと思うとウンザリしたが、限界まで両親の金を食いつぶして野垂れ死にするほうがずっとマシに見えた。

「さ、三・・・」

まだクスクス笑っていた男がぴたりと笑うのをやめた。
男がいなくなったのだろうか?と思うほど長い間があって、ようやく男の声がした。

「三、か。 まあおまえにははなっから期待なんかしちゃいなかったけどな。
 だが、おまえが思ってるほど甘くはねえぜ」


今度は妙に乾いた声で笑うんだな、と思っているうちに、気がつくとKはあの老人の家の前にいた。
あの日のようにコートに隠した刃物を握っていたが、今度はあの老人を刺すわけにはいかないのだ。地獄のウジ虫が与える耐え難い痛みの記憶が蘇ってきて、Kはぶるっ、と身を震わせた。
あの老人が玄関から出てきた。うららかな春の太陽をあおぐように、暢気に空など見上げている。
ジジイ、命拾いしたな。 Kはそんな風に思った。
老人はKに気がつき、不審な顔をした。

と、次の瞬間信じられないことが起こった。
Kの足は地面を蹴り、老人にとびかかると、ポケットの中のナイフを老人につきたてたのだ。

胸を押さえて崩れ落ちる老人を見て、Kは夢中で駆け出した。

なぜだ・・・? 俺は殺すつもりなんてなかったのに。
・・でも、まだ今なら間に合うんじゃないか?
被害が一人だけなら、死刑になんかならないはずだ。
そうすればきっと・・・

だが疾走しながら角を曲がったKは愕然とした。
そこはKが血に染めたA駅だった。

A駅にだけは、いってはならない。

Kは方向転換しようとしたが、Kの足はまるでそれが意思を持っているかのように、あの日と同じ高揚感に突き動かされるようにして信じられないほど早く軽く、どんどんA駅へと近づいていく。Kの手が、A駅での最初の犠牲者をつかんだ。

やめろ・・・・・・・! Kは目をつむった。
倒れる被害者、悲鳴。
そしてついにKは、Kが命を奪った若者の前に立ち、あの日のように刺した。

若者は今風の服装をしたイケメンで、携帯を握っていた。
なにやらかわいらしいストラップは、彼女からのプレゼントかもしれない。
携帯にメールが来たらしい着信音がする。

あおむけに倒れた若者は、恐怖よりも驚きに近い顔をしてKを見上げていたのだった。
今もまた、そんな顔をしてKを見上げている。

もうだめだ。そう思ったKは情けなく泣き出した。

「・・・きみはほんとうに、ダメな奴だねえ」

倒れていた若者があきれたような顔をしてKを見上げている。
血まみれで、どんどん血の気がひいて若者の顔は紙のように白くなっていったが、
彼は平然と続ける。

「まあ、何千回やりなおしてもダメなんだろうね、キミのような人は。
 死刑というのは良い選択だったよ。君が本当に自分のダメさに気づけるとしたら、
 きっとこれしかなかっただろうしね」

そういうと、ニヤリと若者は笑った。
その途端、Kは足元からまた闇の中へと落ちていった。



かさかさと、Kに忍び寄ってくるウジ虫どもの気配がする。
その数は、先ほどとは比べ物にはならないほど増えているようだ。
恐怖で動けないKの喉元に這い上がったウジ虫が、最初の一撃を加える。
Kは叫び声をあげた・・・・



ぎゅっとつぶった目をあけると、そこはまた老人の家だった。

がらがらと玄関があき、うららかな初春の太陽をまぶしそうにみあげて・・・

Kに気づくと、ちょっと不審げな顔をして・・・

Kの手が勝手に、ポケットの刃物を握り締めて、そして・・・




「はははっ どうしたんだい?
 ずいぶんと情けねえじゃねえか」

男の声がした。
気がつくと今度はまた、闇の世界にいる。

「わかった、もうほんとにわかったから!
 ゆ、ゆるしてくれッ・・・・!」

男の笑い声がぴたりとやむ。

「わかっただと・・・? 
 いいやおまえは何もわかっちゃいないね。
 そのことは俺が一番知っている。だって俺は・・・」

ぼうっと、暗闇の中に青白い顔が浮かびあがる

「おまえ自身だからさ」

にやり、と笑ったKそっくりの男の口は、この闇と同じくらい真っ暗で、底がみえなかった。


「・・・・・・・・・・・・ッ!」
気がつくと、独房の中だった。

なんだ、夢だったのか。
全身に冷たい汗をかいたKは、ぶるっと身震いして、早朝の光がぼんやりと明るい窓をみあげた。

今まで悪い事をした、申し訳ないなどとまったく思わなかったが、
俺は心のどこかで弱気になっているのだろうか?
だからこんな夢を見たのだろうか?

いや違う。俺は勝ったんだ。
このくだらない世界に、勝ったはずなんだ・・・・


その窓から、ぽとり、となにかが落ちた。

それは、白いウジ虫だった。
ウジ虫は、まっすぐにKにむかってくる。

Kは今度こそ、悲鳴をあげた。
一度あげた悲鳴はとまらず、何度も何度も叫んだ。

他の囚人が怒ってドアをけったりしている中、看守が駆けつけてくる。

「K,静かにしないか!なにを騒いでいる!」

Kは鉄格子を握り締め、看守に訴えた。

「こ、控訴します・・・!弁護士を、弁護士を呼んでくださいッ!!」

看守は冷たくKを見下ろすと、ため息をついて言った。

「おまえ何いってんだ? 死刑はオマエが望んだことなんだろ?
 それに」

警棒を掌にうちつけながら、看守はどこか楽しげに言う。

「忘れたのか? 今日はお楽しみの死刑執行の日だぞ
 もう今更控訴もなにもないだろうが」


Kは鉄格子を握り締めたまま、また叫んだ。
その叫びは声にならず、喉からひゅーっという音を立てるだけだった。


ぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれ



ついカッとなって書いた。

ひさびさの休みになにしてるんだろう。

真のさばきはある、と信じてないと、いろいろやってられん事件です。

輪廻転生があるとしたら、Kくんはウジ虫からではなく、
このあたりからやり直してもらいたいと思います。
 


ぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれぐれ
ぐれ姐テラオソロシス・・・・・今日夢で見る・・・・
あぶねぇ・・・三を選んでしまった・・・

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