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映画を追跡コミュの「硫黄島からの手紙」鑑賞記

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<イントロダクション>
「父親たちの星条旗」に続く硫黄島2部作完結編。クリント・イーストウッド監督作品。今回は硫黄島の戦いを日本側からの視点から描きます。指揮官栗林忠道の書簡を原案として日系2世のアイリス・ヤマシタが脚本執筆しました。ポール・ハギスは今回は"screenplay"ではなく"story"並びに製作総指揮としての参加でした。アメリカを代表する映画監督イーストウッドが日本人キャストで日本語という外国語を使って映画を撮るわけですから、その苦労は並大抵のものではなかったと推測されます。

<感想>
「父親たちの星条旗」には大変感銘を受けました。それまでは恥ずかしながら私は「戦勝国のアメリカが太平洋戦争のことを軽々しく語ってほしくないものだ」くらいの認識でした。しかし、映画を見ていてそんな自分が恥ずかしいと思いました。戦争というものは単純な敵味方の二元論で論じるものではなく、時間が経った後何度も何度もあの戦争で何が行われたのかを検証して過去から学んでいくものだという事実をイーストウッドから突きつけられた気がしたのです。加えて、「ミリオンダラー・ベイビー」や「クラッシュ」に負けず劣らずの優れた脚本を提供するポール・ハギスの才能にも脱帽したのでした。ハギスの魅力−これをどう表したらいいのか未だにわからないのですけれど、登場人物を俯瞰的に見下ろす視線をいつも用意している人だなあと感心して台詞にいつも聞きほれてしまいます。

それで、今回の「硫黄島からの手紙」です。
実は私自身は、この作品は「父親たちの星条旗」ほど胸を打たれませんでした。

理由はいくつかあります。
?私自身が「父親たちの星条旗」でアメリカ兵、しかも無名戦士たちの慟哭を初めて知った。

?ポール・ハギスは世界で一番優れた脚本家だと思い込んでいる。

?栗林忠道の話など、日本兵の話はある程度知っているので、今更衝撃を受けなかった。

?今回の脚本は「日本語に通じている」ということでハギスが指名した日系人女性だが、この脚本が格段優れているとは感じませんでした。栗林の手紙の文体は「散るぞ悲しき」など当然当時の軍人なら使いこなしていたであろう文語調です。文語文には文語文しかない美しさがあって、その美しさを際立たせる術をこの脚本家は知らないのです。渡辺謙が自分の手紙を朗読するシーンがいくつかありますが、聞き取れません。栗林の生きた証で長らく公開されなかったものです。もっと日本人観客に聞き取れるように工夫してほしかった。

?同じことはすべてのキャストの台詞回しに言えること。アメリカ人は字幕を見て映画を愉しむでしょうからいいのですが、日本人としてはきちんと役者陣の日本語を聞き取りたいものです。ましてや手紙が残っているんです。だから彼らの届かなかった声も検閲を掻い潜って届いた声もきちんと観客に届けて欲しかった。

ということを感じた次第です。

二宮和也は西郷を演じるには少々若い気がしますが、あのような若い青年が散っていった戦争ですから、このキャスティングでもいいのでしょう。演出家蜷川幸雄に絶賛するほどの凄みはまだ私には感じ取れませんが、彼の演技は光っていました。ただ、もう少し年上の俳優にやらせたほうがよかったのではないか、という疑念も拭い切れません。一児の父親にはとても見えなかったからです。

ただ、西郷はこの若さで地獄を見る。映画の冒頭と終盤を思い出せばわかることですが、この映画を通して西郷は成長しているのですね。栗林ではなくパン屋のこの西郷こそ、この映画の主役なのかもしれません。この人物設定は実にいい。成功していると思います。

言及しておきたいのは加瀬亮。憲兵出身の役なのですが、極限状態での人間の弱さを上手く表現できていたと思います。

渡辺謙、伊原剛志、中村獅童そして懐かしい祐木奈江も出ていました。

彼らも悪くないのだけれど、栗林にしても、バロン西にしても実在の人物なのになんだか人物像の掘り下げ方が甘いのか、一体どんな人間だったのかがもうひとつ伝わってこない。若手の二宮、加瀬の両氏の検討が光る映画だったのではないでしょうか。

(私は「父親たちの星条旗」の方を推しますが)

(★★★★)

コメント(6)

若くして綺麗に書けるしげさんの文章に比べると、すごくボキャ貧の私ですがコメントしてみようかな・・・。

私も同感で実在した人物の描き方が足りないなぁと、もったいない!と思いました。手紙も残っているし本にもなっているぐらいのだから紹介してほしかったよぅ。

そして、日本語の台詞は特に栗林のが聞き取りにくいところがありました(→私は、耳がよくないのか昔の日本映画だと、日本語なのに、こういうことよくあるんだス)監督がアメリカ人だから聞き取りにくい部分に気が付かないのかな。ここも、もったいない!と思った。

二宮君は赤紙がきたときの部屋着の着物姿など、似合っていませんでした。他の戦場兵士のなかでも、一人だけ少年兵というかんじで。蜷川さんが撮った青いなんとかっという映画は観ましたが、あれは高校生役だったからよかったのかな。

全体にそこここに、ほんの少しずつ足りないかんじがして残念でした。でもいい映画でした。

話は変わりますがアカデミーショー授賞式をWOWOWで見たの。司会者はすかさず、アメリカンジョークを言いつづけていてすごいなぁ。
>エットーネさん
書き込みありがとうございます。
ご覧になったのですね!

私も古い日本映画の声は聞き取れないことがたくさんあります。
欲を申せばもう少し手紙を効果的に使って欲しかったんですよね。戦場シーンの緊迫感に手紙が負けているといいますか。栗林さんの人柄が伝わっているようで伝わってこなかったです。が、イーストウッドというアメリカ人が外国語で撮ったんですから大したものですよね。

WOWOW入ってらっしゃるんですか、いいなあ・・・。
ダイジェストしか見たことが無くて。あれはショーとして見てたのしめますよね。日本アカデミー賞はつまらないです。
「父親達・・」のほうが人物のひととなりがよく伝わってきたなぁと思います。でも、日本人ではなく、かのイーストウッドが撮ってくてたということが、うれしいです。

WOWOWは映画放映が充実していていいです。色々録画して時間がある時に一人で観ています。
ちょっと話がずれるけど「硫黄島からの手紙」は夫も観たいと希望したので一緒行きました。チケットを買うのに「”字幕”の観やすい席がいいからさ、このへんかな?」とか指差して画面指定していました→(映画は日本語なのに)・・・ハハハ
>エットーネさん
わたしも「父親たちの星条旗」の方が話しに奥行きがあって好みです。

WOWOW入ろうかなーと思い続けて10年以上です・・・。
いつの日にか入るかもしれません。

旦那さん面白いですねー。
でも日本語の台詞聞き取りづらくて字幕があってもよかったかも!

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