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日本モーツァルト協会コミュの好きなもの 永井路子

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好きなもの  永井路子  平成20年7月7日毎日新聞

?「にもかかわらず」という言葉
 早起きしようと思っていた「にもかかわらず」寝坊してしまったとか、
身辺にまつわりついて離れない、「いやな言葉」なのだが。
しかし歴史ものを書いていると、この言葉、別の輝きを放つ。
一プラス一はニである「にもかかわらず」歴史の中では五になったりマイナス八になったり。
「うん、そなたの言うとおりじゃ」と、ついこの言葉にウインクしてしまう私なの
だ。

?モーツァルトのミサ曲KV337 ハ長調・ミサ・ソレムニス(荘厳ミサ)
最高の傑作。彼の芸境の極致の一つをしめす。
まばたきもできずに聴く。
なのに未完のレクイエム626ほど注目されない。
626にはさすがに彼の衰えが感じられて苦しい。が、未完の絶筆というモノガタリの故に人気が集まるらしい。モノガタリを書く私だが歌とモノガタリは切り離すべきではないか。
「歌は歌をして歌わしめよ」である。シロートが何を、とおっしやるか。左様。が「好き」勝手を言えるのもシロートの特権ではござらぬか。
モーツァルト生誕250年に、リカルド・ムーティは、ザルツブルグで337をとりあげたとか。マエストロに乾杯!

?与謝蕪村「北寿老仙をいたむ」
君あしたに去りぬ夕べの心千々に
何ぞはるかなる
君をおもうて岡のべに行きつ遊ぶ
をかのべ何ぞかくかなしき(以下略)
先輩 晋我(しんが)の死を悼むこの詩で、彼は俳句を超えた別の世界を拓く。
その前では明治の新体詩は顔色を失うであろう。
以前から「春風馬堤曲」には興味があつたが、あるとき歴史学者青木和夫氏の示教を受け心を震わせた。
安永6(1777)年頃の作といわれるから、蕪村とモーツァルトは、実は同時代人なのだ。
蕪村がかなり年上ではあるが、かの626に先立って書きあげたこの一篇は、日本の詩人のレクイエムというべきか。

永井路子さんは日本モーツァルト協会が設立された時からの会員です。


 

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