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藤富保男コミュの藤富保男さん『詩の窓』第18回―着想の巧みな詩についてー殿岡秀秋筆

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藤富保男さん『詩の窓』第18回―着想の巧みな詩についてー殿岡秀秋筆

藤富保男さん『詩の窓』第18回――

藤富保男『詩の窓』(思潮社2011年12月25日発行)より
引用は特にことわりのないかぎり本書からです。

藤富保男さん『詩の窓』第18回――3−4「詩の呼吸器について」より

★着想の巧みな詩について

「思うと想うはどのぐらいの違いがあるのか。想うちうことは想像することであらねばいけない。一般的に人は誰でも空想したり無想したりする。このときの心はある一定の距離を持続する。時に階段をのぼるように跳ね上がって、その距離に振幅を作るわけである。
「想」という文字と意味にこだわって、「連想」「着想」そしてもう一つ「奇想」という状態の思いについて改めて考察し、その詩の例証を挙げてみよう」(145頁)

アリ 
                      下村光枝
どこを伝わって来たのか
アリが一匹 また一匹
わたしの影を早くも知って逃げ出したが
台所の空間を過ぎた一瞬
家具の間へ身を隠すことで
生きのびているが
いつその場を逃げ出すか

運という字はハコブとも読むが
ハコブことに専念するアリは
何かをハコブために
必ず家具のすき間から出てくるだろう

目白押に 出てきた 出てきた
体を動かしながら信号を送っている
運命について
話し合っているのだろう
(2001年12月)(147―148頁)


☆comment

 家の中に主婦が蟻を見つけました。それもぞろぞろ出てきます。戸建住宅ではよくある光景です。作者(主婦)は蟻が家の中でどこを出入り口するかを特定しました。家具の隙間です。そこで退治すれば日常生活そのものです。作者ももちろん退治したでしょうが、もう一つ詩への飛躍も試みました。
 蟻はよく白いものを運んでいます。この運ぶという動作に作者は注目しました。そして運ぶという文字に想いがつながっていきました。直観がひらめいたのです。
 実際の蟻は知らないでしょうが、家の中の蟻の行列は人に気づかれたら最後退治される運命にあるのです。運ぶから同じ漢字をつかった運命へ作者の連想が起こりました。
 蟻が必ず出てくると待つ、作者のもとへ、蟻たちが出てきました。蟻たちは運ぶことだけに専念しているのですが、すでに退治することを決めている作者からみると、蟻たちは自分たちの運、すなわち運命について信号を送りながら話しているように見えたのです。
 これは思いつき、すなわち、「着想」の素晴らしい詩です。
 ぼくの発想とどこが違うのでしょうか。思いつきからもうひとつ、命のあり方へはいっていきたいのがぼくの目指す「思考する詩」です。

 しかし、童話を書いていると、着想の大事さを痛感させられます。
 着想の巧みさは、もちろん、詩の構成要素の大切なひとつであると想います。この詩はこれでいいのだ、とぼくは想います。

(この項つづく)

(メールマガジン「詩を作る楽しみ」2012年6月1日号よりhttp://www.mag2.com/m/0000163957.html)

(http://blogs.dion.ne.jp/poem_and_fantasy/=詩とファンタジーのレシピ)

(http://plaza.rakuten.co.jp/poetry2005/=詩を作る楽しみ)




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