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モーラムコミュのモーラムがワールドミュージックになれないわけ

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インド音楽、トルコ音楽、インドネシアのダンドゥッドなどなど、アジアの様々な音楽がワールドミュージックまたはエキゾ音楽として取り上げられ、紹介されるようになって久しい。だが、残念なことにタイの音楽(ポップスやルークトゥン・モーラム全て)が、これらの紹介記事に取り上げられることは皆無と言っていい。
コレは一体どうしてなのか?
タイの音楽を愛し、広く知ってもらいたい身としては以前からずっと疑問に思って来た。

先日、この疑問が少しだけわかることがあった。

マイミクさんとの酒の席ではあったが、元々彼は長唄を奏じた経験を持つ。
わたしが長唄はわからないけど、津軽三味線には興味があるというと津軽三味線のほうが簡単だからと言いきったのだ。あの超絶テクを簡単と言い切るとは、どうしてと聞くと、誰でもある程度、3ヶ月くらい練習すればリズムとノリで引けるようになるけど、長唄は何十年やってもコレで善しというという域に達しない。それは、例えればブルースを歌うときに歌い込めば歌い込むほどに、味が出て来るのに似ているが、もっと奥が深いし、決して単純なビートやリズムには乗っていないのだという。

そこで思い当たったのが、タイのモーラム。
ワールドミュージックで取り上げられているのは、はっきりしたリズムとビートに裏打ちされたものが中心なのは、気がついていた。
対して、モーラムはリズムこそあるのだが、ビートという点では弱いのだ。
簡単に言えば、明らかにタテノリではない。
横に斜めにうねるような、弾むようなリズムがあるだけで、ビートはないのだ。そして、モーラムを歌うにはかなりの修養を要する。だからこそ、吟じる(ラム)師範(モー)と呼ばれる。

そういえば、かつてリンゴ追分がタイ語にカバーされて流行った事もあった。
歌ったのはかのプムプアン・ドゥアンチャン。
タイの音楽に、こういう無小節なものがしっくり来るのはそういうわけなのかもしれない。


わたしはモーラムはもっと世界的に知名度が上がって然るべき音楽だと思っているのだが、今ひとつ決定打を持てなかったのは、こういうコトなのかもしれない。
何種類もの太鼓や打楽器でビートをウチならずサンバやダンドゥッドなどと比べてしまうと印象は弱くなってしまうのだろう。


そして、モーラムの持っているもう一つの大きな特徴。
歌詞だ。
ブルースがアフリカ系民族の魂の叫びであり、嘆きであったように
モーラムには、タイ・ラオ民族の詩が欠かせない。
歴史上の苦悩や日々の暮らしの嘆きをリズムに乗せて、陽気に踊って溜まったストレスを発散させるのが今のモーラム。
これを世界的に紹介するには、言葉を切り離さなくてはならない。
リズムだけでモーラム足り得るのか?
それとも、かつてサンバからボサノバが生まれたように、これから新しいものが生まれて来るのを待つしか無いのか?

いずれにしてもこれらのことは、当事者であるタイ人、ラオス人では恐らく気がつかないだろうし、その価値さえも卑下されてしまっている現状では尚更だ。


数少ない伝統的なモーラム歌手 チャウィワン・カムヌン女史

ヤソートンで行われたロケット花火祭りでの公演。
ほとんどアドリブで当日の祭りについて歌って(吟じて)いる。

イサーンに住む老人の中には、これを簡単にやってのける人がまだかろうじているのだが、遠くない将来消えて行ってしまうのかも知れない。
このチャウィワン女史は、保存継承のために大学で講義もしている。
一度でいいから、その講義を受けたいと思っているのだが・・・



こちらはちゃんとレコーディングされた(と思われる)貴重な音源。


チャウィワン女史のこれらに比べると今流通しているモーラムは、すでに別のジャンルと言っていいほどに変化してしまっているのがわかる。
その意味で、新しい胎動はずっと以前から起きているのかもしれない。


※本記事はブログ「ルークトゥン・タイランド!」より転載しております。

コメント(5)

古代から伝えられているんですね。その時の、心情を歌っているのでしょうか?
一度、実際に聞いてみたいです。
今度 10月18日 豊島公会堂で津軽三味線コンサートが有ります。ムード
読売新聞豊島支部 03−3265−9933
初めまして。
コメ入れ失礼します。
日本の演歌が世界に出ないのと似ているのではないでしょうか?
モーラムにしても演歌にしても、独特の旋律ゆえ海外、特に白人メディアでは馴染まないのだと私は考えます。
♪うしわかまるさん♪

そうです。
きょう、この良き日にどこどこの誰かれがアーしてコーして・・・という感じですね。
さらにペアになって男女の卑猥な会話みたいなものもあったり、
言葉がわかるともっと面白いのですが、外国人にはかなり高いハードルです。
津軽三味線、機会があれば見たい。というよりもやってみたいんですよね。
今回は無理ですが、機会があればみたいです。
♪クルワイやすさん♪

>日本の演歌が世界に出ないのと似ているのではないでしょうか?

そうかも知れませんね。
でも、外国人に馴染まないのは旋律ではなく、
歌詞が重要だという点でしょう。
独特の旋律に適度のリズムがあれば、外国ではかなり評価されています。
実際、ルークトゥンをアレンジした曲を収めた久保田麻琴氏のホテルバンコクは、
BBCにおいて2003ベストワールドミュージックアルバムに選定されていますし。

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