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フルート・ポイントコミュのミュンヘンでコンクール

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ARD Musikwettbewerb。ミュンヘンのコンクールと書かせてもらいますが、今年はフルート部門があり、明日から予選が始まります。
今回は「楽器メインテナンスのお助けマン」として主催者からの依頼があり、この私がコンクールの開催中、会場にいることになりました。
こんなわけで、このコンクールについて、「書いてもよい」と思われることだけ、レポートしていきたいと思います。
何か知りたいことなどがありましたら、答えられる範囲内で書こうと思いますので、ご質問ください。

さて、ホームページを見ると、参加者は53名。内訳は以下の通り。
イタリア4名、ドイツ6名、ロシア5名、韓国8名!、ニッポン2名、フランス、3名、ウクライナ2名、オーストラリア1名、イスラエル1名、ラトヴィア1名、台湾1名、オーストリア4名、フィンランド1名、チェコ2名、中国3名、ニュージーランド1名、スロヴェニア1名、アルゼンチン1名、ハンガリー4名、スイス2名
この中で、私が注目するのはLoic SchneiderさんとDaniela Kochさん、そしてJulia Haberschussさんか。

いっぽう、審査員の顔触れはというと、今年は大変若返って・・
George Caird/Englang-審査委員長、Andras Adorjan, Sharon Bezaly, Philip Boucly, Benoit Fromanger, Abbie de Quant, Wolfgang Schulz
4年前はニコレの元、峰岸先生や金昌国先生、ベネットさん、ジェラールさん、バクストレッサーさんなどが参加されていたが、今年はだいぶ変わった。

ということで、まずはご挨拶まで。

コメント(10)

予選が終わり、昨日から二次予選が始まりました。
修理のために聞くことのできる人が限られてしまいましたが、その中で気がついたことを・・。
二人の日本人は、残念ながら二次には進めませんでした。この二人を、私は聞くことができたのですが、二人目のTakeyama Aiさんは、どうしたわけか、課題であったはずの暗譜の用意ができてなく失格。これはTakeyamaさんはもちろん、見ている人もショックを受けました。舞台の上で、三曲目の選択曲を吹こうと楽譜を用意したTakeyamaさんにストップのアナウンス。「楽譜は見てはいけないという約束である。」とのこと。これに対して「それでは吹けない。」「だめです。これは決まりです。あなたは参加規約を読んでいなかったのですか。」ということで、楽譜が無ければ演奏できないということで、彼女は舞台を降りてしまいました。
こんなことが起きるとは!
Moriokaさんは、とてもよく吹けていました。Takeyamaさんもそうでしたが、音楽性、演奏の質が大変高かったと思います。ただ、なぜ二次に進めなかったのかは、私の見たところ、他の人たちに比べて、表現が平たんに聞こえていたかもしれません。「なぜ平たんに聞こえてしまうのか」という問題は、これは私なりに考えていることがあるのですが、これは、また折を見て書かせてください。

そのほかでは、私が聞いたHabenschussさんは、堂々とした情熱的、且つ、良く抑制された素晴らしい演奏。Kisslingさんは、「これぞドイツのクラシック!」という演奏スタイルで、圧倒的な完ぺきな演奏。Schneiderさんは、吸う、吐くという呼吸法がほとんどパユで、聞いている人をのめり込ませてしまう素晴らしい音楽性の人。さわやかな愛くるしさを漂わせるKochさんは、柔らかで透明感のある音と、繊細な音楽性を完ぺきに表現できる人という印象でした。

以下、二次に進んだ方々です。(21名)
Grot, Alexandra, ロシア、Weng, Sibei, 中国、Ternay, Ivanna, ウクライナ、Habenschuss, Julia, オーストリア、Munoz, Maria Cecilia, アルゼンチン、Kissling, Andreas, ドイツ、Schneider, Loic, フランス、Koch, Daniela,オーストリア、Dubleva, Livia,ハンガリー、Romach, Tamar, イスラエル、Nah, Sangah, 韓国、Lee, Eun Hye, 韓国、Zempléni, Anita, ハンガリー、Pittau, Simona, イタリア、
Loesch, Kathrin Anna, オーストリア、Klie, Anna, ドイツ、Dunder, Josefiina, フィンランド、Morzenti, Alice, イタリア、Acsai, Timea, ハンガリー、Kossmann, Evgeniya, ロシア、Kim, Sooyun, アメリカ・韓国(二重国籍者)

総じて、今回は先回よりも参加者の質がたいへん高いように思われます。
「二次に残った方々は、もう全員セミファイナルに参加できるほどの腕前と音楽性、表現力を身につけている」とは、アドリアン氏の言葉です。
興味深く拝見しております。
竹山さん、どうしちゃったのでしょうね。周りにアドバイスしてくれる人はいなかったのでしょうか。
竹山さんのこと。私にも不思議でしょうがありません。
さて、気管支炎になってしまって、一昨日の午後から寝込んでいます。そのせいで二次予選も限られた人しか聴くことができませんでした。
結局、23人の二次予選通過者からセミファイナルに選ばれたのはたった!6人。
以下の方々がセミファイナリストです。
Ternay, Ivanna, ウクライナ、Schneider, Loic, フランス、Koch, Daniela, オーストリア、Dubleva, Livia, ハンガリー、Acsai, Timea, ハンガリー、Kim, Sooyun, アメリカ/韓国
この中では、やはり神戸で1,2位を得たSchneiderさんとKochさんが注目されますが、どうなるでしょうか。
今日の16時からが楽しみです。(今日はだいぶセキが止んだので、聴きに行けると思います。)
心配していた気管支炎が嘘のように大人しくなって、あれほどひどかった咳が治まった。(ばんざい!)
というわけで、泊りに来ているルクセンブルクのフルートセクションの二人と一緒に聴きに行ってきた。

まず初めはこのコンクールのための委嘱曲、Bruno Mantovani氏の „Quatre mélodies arméniennes“ アルメニアの4つのメロディー を、3人が続けて演奏した。
この曲はイサンユンの曲かと思うほどの激しい熱情を込めた曲だけれど、繊細な曲でもある。(演奏時間は12‐3分か)
演奏順は Lívia Duleba、Timea Acsai、Ivanna Ternay
初めの二人は、この曲をあまりうまく把握、表現できていないように感じた。ウクライナの人は金の楽器の特性をうまく生かして、より上手に聴かせてくれた。

続いて恒例のモーツァルト・コンツェルト。初めの二人がG-Dur.三人目がD-Durで、これは室内合奏団付き。
モーツァルトはテクニック的には優しい曲だろうけれど、音楽的には難しいことを思い知らされる。
銀のフルートを使用している最初の二人は、オケの音と溶け合ってしまうことがあって、演奏の質、音楽性は高いであろうに、良く聞こえてこない。聴衆にはアピールせず、どちらかと言うと退屈な演奏に響いた。三人目の人は金の楽器がこれほどオケの中で生き生きと響くものかと(私には)また思い知らされるが、メリハリがあって聴衆にアピールし、三度の拍手による呼び出しがあった。

そして注目の後半。
Daniela Koch、Sooyun Kim、Loic Schneider。
コッホは、委嘱作品がこんな曲だったのかと、聴いている人たちに、おどろくほど鮮明に聴かせてくれた。何という素晴らしい曲、演奏だったろうか。
続いて、これも注目のアメリカと韓国の二重国籍を持つKimさん。真っ赤なドレスで魅せてくれ、乗りに乗った演奏ぶりでこれも素晴らしかったが、私には彼女の演奏は韓国風・アジア風であったように感じた。
そしてこれも優勝候補のSchneider。さすがというドラマチック、情熱的な演奏で、パフォーマンスも完ぺき。しかし、私にはこの曲をこういうように演奏するのも良いけれど、どちらかというと、正統クラッシック且つ生き生きいきとしたKochさんの方に共感した。

最後のモーツァルト。三人ともD-Dur。オケは疲れるだろうな・・。
Kochさんは銀のフルートだけど、純度の高い銀だから、オケに隠れてしまうことはない。ハツラツとした、しかしクラッシックのモーツァルトを見事に演じた。
Kimさんは、例によって乗りに乗った演奏で、アメリカ風のパフォーマンスぶりだったが、その見た目と同じように音楽性がしっかりしてて、彼女の演奏には驚かされる。これも素晴らしい演奏だった。トリのSchneiderさん。Kimさんもそうだが、金のフルートの特性を良く生かしている。ピアノ、ピアニシモにしても聴衆に良く聞こえていることを良く知っている。最後はオケと一緒になるところをを間違えていたが、これはご愛嬌。熱演であった。

結果は、ファイナルに残ったのは二人のハンガリー人を除いた四人で Ternay, Ivanna,ウクライナ、Schneider, Loic, フランス、Koch, Daniela, オーストリア、Kim, Sooyun, USA / 韓国だが、聞いていた誰もが納得した結果であったろうか。

私には、コンクールで使用する楽器は、出場者、全員が同じメーカーの同じ材質、同じモデルで作られたものを使用するのが最も公平だと思うのだが、ファイナルに行けなかった人、いや、一次や二次に落ちた人でも、楽器の性能のために損をした人がたくさんいることを知っている。
今回、私の耳に最も素晴らしく響いた楽器はSchneiderさんの楽器。そしてKochさんの楽器だ。この楽器があって、彼らの演奏の幅が広がり、聴衆にも音楽を届けることが可能になったと感じている。
ともすれば、というか、ほとんどの音楽家は自分の音がどういう風に会場に響き、聴衆に聞こえているかということを良く分かっていないのではないかと私は思っている。
表現芸術としての音楽ということを考えるのであれば、自分の行為(演奏)がどのように聴こえ、感じられているかということは大きなテーマ・関心事ではないか。
・・などと、これは私の職業上からくる偏見と独断。どうかお許しあれ。

さあ、日曜日のファイナルが楽しみだ。
結果出てますね。

Schneider, Loic, Frankreich - 1. Preis + Publikumspreis
Koch, Daniela, Österreich - 2. Preis
Kim, Sooyun, USA / Korea - 3. Preis
Ternay, Ivanna, Ukraine


http://www.br-online.de/br-klassik/ard-musikwettbewerb/teilnehmer-floete-2010-ID1277991796494.xml
ファイナルが終わって4日目。いちろうさん、みなさん。レポートが遅れてごめんなさい。
毎日、夜遅くまでコンクール関係で忙しく、なかなかレポートを書けませんでした。
いったい何が忙しかったのかって?まあそれはコンクールとは関係ないので・・。

さて、ファイナルが始まる前に、アナウンサーからIvannaさんは順位決定の対象に入れないことが告げられました。ファイナルでの演奏は暗譜という規定を守れないからとのこと。(彼女はファイナルでの演奏を想定していなかったのか。)しかし、審査員たちからの意見で、ファイナルまで選ばれたことを考慮し、演奏は楽譜を見てもよいから(最後に。4番目に)してもらうことにして、審査員からの特別賞を贈呈するとのことだ。これには会場から拍手が起こった。

それでソユン・キムさんのペンデレツキ。どうしたわけか、これまでのはつらつさ、生きの良いテンポ感がない。沈んだ、くすぶった音・・。理解に苦しむ演奏だった。(暗譜での演奏ということで、この難曲に、とても緊張してしまったそうだ。)

続いてロドリーゴのロイクさん。ソユンさんの演奏の後ということもあってか、彼の演奏は際立ってよかった。彼の音楽センスの良さが光った名演奏だった。

3人目はフェルトのダニエラさん。ロイクさんのきらびやかな音、演奏の後を受けて、フェルトの派手なオケの音の中で、彼女の音がが少し隠れてしまった観があるけれど、立派なというか、堂々としたフェルトだった。しかし、こんな難しい曲、よく暗譜で演奏するものだ。(彼女の、この曲の演奏は昨夜も聴いた。受賞者の記念演奏会で、昨夜はファイナルの時の演奏より、もっとのびやかに、情熱的に演奏していた。昨日は彼女の21歳の誕生日だったが、演奏前のアナウンスによって聴衆からHappy Birthdayの歌が沸き起こった。)

最後は受賞資格を失ったイワナさん。「こういう曲は、楽譜を見たほうがよい演奏ができる」という見本みたいで、しっかりとしたペンデレツキ演奏だった。演奏だけを聴けば、彼女は3位入賞だったろうか。

この後、審査のための休憩があり、誰が1位になるか、というよりも、1位はダニエラさんか、ロイクさんか、どちらか?ということに注目が集まった。

後で審査員から聞いたのだが、ファイナルでの順位は、これまでの点数は全く考慮されず、あくまでもファイナルにおける点数だけで判断したとのこと。
結局、ロイクさんが1位、2位がダニエラさん。3位はもちろんソユンさん。
1位、2位は神戸のコンクールの裏返しとなった。

この二人は予選からずっと聴いてきたが、他の人たちとは明らかにレヴェルが違っていた。この順位がファイナルの演奏だけでの結果であるなら、私も納得だ。

ということで、まずは遅まきながらファイナルの結果報告まで。
続いて、今回のコンクールの個人的感傷、雑感など。

審査員。
審査員の顔ぶれが選考に大きな影響が出るのは、これは仕方がないことだと思いますが、今回はフランス系とドイツ系がほどよくミックスした感じで、なかなか良い顔ぶれだと思いました。これが、どちらかに少し傾くと、全く違った結果になるでしょう。点数制だから議論の余地なしということもあって、ここの審査員には、折々に選考結果に対する不満はあったようですが、これはしょうがないでしょう。
審査員は、今回審査にあたっては、演奏者について何も知らされず、何の資料ももらえなかったそうで。これは素晴らしいことではないでしょうか。

楽器。
これは秘密ではないので(本人たちもそう思っている)公開しましょう。ロイクさんはブランネンの14金。ダニエラさんは、ご存じのようにパールの970銀SRハンドメイド。ソユンさんは古いパウエルの14金SR。イワナさんはパールの18金。
いずれも聴衆を前にして演奏をするとき、彼らを大いに助けていました。
*ちなみに、ロイクさんとダニエラさんの楽器は、私の店で購入されたものなので、私もつい彼らの応援に力が入りました。(苦笑)

受賞者。
Loic Schneiderさん。
童顔だった彼ももう29歳。舞台における堂々とした立ち居振る舞い、そして呼吸法はエマヌエル・パユを想起させますが、大変音楽的な、センスの良い、それでいて大きな演奏をします。すでにスイス・ロマンドの首席。今後どんな活躍をしてくれるのか、大変楽しみです。

Daniela Kochさん。
彼女も童顔でしたが、21歳になり(昨日!)とてもチャーミングなさわやかな女性になりました。笑顔を絶やさず、いつも人に気を使う優しい女性です。演奏法ではいろいろと試行錯誤をしているようですが、それでか、コンクール中も少し不安定になったか?それにしても、彼女は実に大きな才能を持っいます。これからのドイツ・クラッシック音楽におけるフルート界の宝になるでしょう。

Sooyun Kimさん
韓国人の両親を持ち、アメリカで育った彼女は、明るくオープンで、見た目にアメリカナイズされた印象がありますが、しかし、音楽は実にしっかりしている。今回、ミュンヘンのコンクールに入賞して、アメリカで、そして韓国で報道されて大きな話題になっているそうです。
日本にもこういうスケールの大きなフルーティストが育てばよいですが・・。

コンクールの次の日にロイクさんとソユンさんが私の店に来てくれ、次の日はダニエラさんも一緒に3人で来てくれて、いろいろと親しくお話ししました。
私が、「セミファイナルでも、ファイナルでも、それぞれがみな違った音楽性を聴かせてくれ、とても楽しむことができた。それにしても、皆大変高い音楽性を持っていて、これは素晴らしかった。」と伝えると、ロイクさんは「それは大変うれしい言葉だ。神戸では音楽性を評価してもらえなかったので(審査委員長がそういう発言をした?)、大変残念に思っていた。」とのことでした。
これはきっと、音楽の多様性に関わることだと思いますが、音楽家がそれぞれ、自分の固定した音楽観を持って人を見、判断してしまうのは、ある程度しょうがないかも。今回、ミュンヘンではフランスやドイツ、アメリカなどの音楽性が、それぞれ認められたということが、これは素晴らしいことだと思います。

最後に、これまで私のつたないレポートにお付き合いくださった皆さんに、私の店で撮った三人の写真を公開しましょう!(撮影日、2010年9月7日)
丁寧なレポートありがとうございます。
入賞者3人ともお知り合いというのもすごいですね。

日本ではこれから日本音楽コンクールのフルート部門が始まります。
最近、どうも似たような音色の、似たような音楽をする人たちばかりが
上位入賞するようにも感じますが、
ずばぬけて輝く個性が、ここからも現れて欲しいものです。

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