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日常感情劇場 on mixiコミュの均(なら)されていく街の姿

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東京ではじめて住んだ街は、三軒茶屋のすぐ近く、世田谷区三宿だった。三宿という街はその当時はまだ今のようなおしゃれな街ではなく、三軒茶屋からちょっと離れた隠れ家的な街だった。

その直前には札幌に住んでいて、それより以前は九州をうろうろしていた。私の実家は地図にも載っていないような田舎の村で、スーパーマーケットすら隣町に行かないとないような場所だった。学生時代の大半を福岡県久留米市で過ごし、テレビによく出るファーストフードの店などが街中(まちなか)に普通にある事に異様に高揚していた。

札幌の家は、南区真駒内本町にあった。
歩いていける範疇にはローソンぐらいしかなかったが、ホクレンショップやセイコーマート(北海道のローカルコンビニ)やパルティよねながといったローカル色の強い店がそろっていて、何の不自由もなくすごしていた。

はじめて三軒茶屋で暮らしてから15年が過ぎた。
久しぶりにちょっとゆっくりと三軒茶屋交差点のあたりを歩いてみたら、目抜きのビルの中にガラス張りのティップネスが入っていてたいそう驚いた。今年の春先に三茶に来る機会が何回かあったのだけれど、精神を病んでいたためかあまり周りを見回す余裕はなく、いつからあのビルにティップネスが入っていたのかわからない。

最近、首都圏には、あちこちにティップネスができている。
私が今暮らしている街にも、駅前にティップネスがある。

三軒茶屋の駅前にも、私の最寄の駅前にも、ティップネスがあり、スーパーが複数あり、ブックオフがあり、マクドナルドがあり、モスバーガーがある。首都圏はどこの駅前にも多分ティップネス以外のこれらはほとんどそろっているだろう。
他には、コンビニやTSUTAYAや松屋、KFC、ミスタードーナツ、CoCo一番屋や各種ファミレスなどは、駅前には欠かせない感じがする。

しかし、ちょっと考えてみてほしい。
どこの駅前にもこれらがそろっている必要はあるのだろうか?

自分が何線の何駅を利用するのかについては結構重要な問題である。職場や学校まで楽に行けるルートが存在するかどうかという問題もあるが、それ以上に住む気を高めるのが駅近くにある商業施設の充実度である。

その、商業施設の充実度を考えるとき、私たちの頭の中で、無意識に「どこにでもあるはずのショップブランドの店があるかどうか」に変換していないだろうか。

「お、TSUTAYAがある、ここで借りられるな」
「モスがあるのはちょっとうれしいかもなぁ」
「ケンタが反対の南口側にあるのがちょっと不便」

確かに、どこでも同じものやサービスが受けられるというのは、生活から考えると非常に便利なものである。しかし、受けられるサービスは、別にその店である必要はない。TSUTAYAはどこかの店で発行された会員証が全国の店で使えるし、モスやケンタはどこで買おうが同じ味のはずである。

どこの駅前でも同じサービスが受けられる体勢というのは、どこの駅前でも同じサービス「しか」受けられない、と同義ではないかという気がするのだが、いかがだろうか。

東京都内はどこに行っても、たいていのチェーン店の支店が存在する。英会話学校までもが駅前に複数存在する。

それが普通の状態なのだろうか。
だとしたら、その普通はとても恐ろしい何かを孕んでいるように思えてならないのだが、それは気のせいなのだろうか。

コンビニの弁当で食生活を済ませる人も少なくないと思う。
その、コンビニの弁当を主食にしている人たちは、自分の体のほとんどの素材の出自を、コンビニに託してしまっているのである。

コンビニに限らずとも、ある一定のチェーン店の中をぐるぐるしているだけという人は、決して珍しい人でもなんでもない。その一定のチェーン店が、どこの駅前にもどこの住宅密集地にも普通に存在している。だからこそたちが悪い。このままではいずれそれらチェーン店が日本そのものを支配していくような気がしてならず、多分おそらくそれらチェーン店のトップである人たちも、そこまでの問題として認識はしていないように思えてならない。

5年前に店を閉じた道頓堀の老舗のおでんやさんが、根強いファンが再開を望み、5年ぶりに再開店した、というニュースを見た。
5年前に閉店したのは、道頓堀に新しい店や東京から来たチェーン展開される××屋が台頭し、老舗のおでんやに来るような客層がごっそり街からいなくなったというような理由であったらしい。

地方都市の中心地には、東京では駅前に作られているものと同じチェーン展開の店が、堂々と営業している。地方で暮らすことが多かった私にとって、東京でチェーン展開している店がここにもあるということが、どれだけの都市であるのかを示す指標に見えてならなかった。

しかし、実際に今東京都内の駅前は、どこに行っても同じ店の支店がこれでもかと目に入る。そういう店が地方にできた途端に、この地方も東京に並んだ、と錯覚する。

そんなに、個性のない都内の駅前と同じレベルになりたいのか、地方よ。

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