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アイヌと世界先住民に学ぶ会コミュのアイヌの日々の暮らしから見えてくる自然への敬いを語り継ぐ、88の好評連載。編集する削除する

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第1回、mysharona
アイヌ長老の教え 第1回 イランカラㇷ゚テ(こんにちは)

http://waccamedia.com/local/128
アイヌ語の「こんにちは」という言葉は、一般的には「イランカラㇷ゚テ」を一語ごとに区切っていくと、「あなたの心に触れさせてください」となります。さらに細かく区切ると、kaとは表面でrapとは鳥の羽。ですから「あなたの心にそっと触れさせてね」という意味になります。

ただこの言葉をしょっちゅう使っていたのかというと、決してそうではなくて日常的には用いませんでした。

挨拶とは、行為の重さや尊さに関わっています。挨拶をする相手で、いつも一番近くにいるのが家族です。ひとつ屋根の下で暮らす夫婦や親子という関係。家を一歩外に出て発生するのが、コタン(村)のなかの隣人です。家族間やコタンのなかで、普段からちょくちょく出会っている人に「イランカラㇷ゚テ」とは言いません。もっとも身近な人に対しては、むしろ何も口に出しません。言葉として発しません。これが原則です。目礼が重要視されます。つまり、目を見ればすべてが分かる。とにかく朝起きたら夫婦でも子供達でも目を見るのです。愛する人の目を見ることで、良く寝られたかな、顔色はどうかなということを察知する。これが家族の思いやりなんですね。村のなかでは、今の時代で言えば、学校や会社という場所もそこに含まれるんでしょうけれど、家族からひと回り広がった世界での挨拶は「飯食ったか」でした。顔は知っているけれど、時々しか会わない間柄では「元気だったか」。「元気だったか」をアイヌ語では「エイワンケヤ」。「イランカラㇷ゚テ」とは遠くからの客、いわゆる来賓の人に対して使う言葉なのです(最近では、やたら使いすぎのようです)。

アイヌ語の挨拶は、日本語や英語やフランス語の挨拶のように朝昼晩とは何の関係もありません。誰と会うのか、どんな時なのかの方が重要なことなのです。「飯食ったか」という問いかけこそが、人間として日々生きているうえで最も大切な食事をとったかとらないかっていう言葉かけこそが、親しい人、身近な人に対する挨拶となったのです。もっと親しいのは家族の場合、飯食ったかどうかっていうのは当たり前のことですから、目を見て判断した。

近代社会になって、交通の便が良くなりました。通信手段が発達しました。貿易が盛んになりました。人と人との行き来が、中世くらいまでの人類社会とまったく違うものになりました。激しい人の移動が、時代を重ねることによってどんどんどんどん加速していきました。それに付随するかのように、挨拶言葉が本来のものから少しずつ離れていって、時間を表現するための言葉になっていったのだと思います。日本語の「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」という言葉は、明治以降に使われるようになった言葉です。

「イランカラㇷ゚テ」や「エイワンケヤ」という挨拶の言葉とそのなかに含まれる意味、そして何よりも目礼、目を見て相手に対するということの大切さをエカシ(長老)から教わりました。

もうひとつエカシから教わったことは、挨拶とは危険な行為だということ。考えてみれば、挨拶の種類は言葉、お辞儀、握手、そしてハグハグ(抱き合う)とあります。言葉以外は目線を外し、身体的に触れ合うことです。相手に隙を与えることであり、危害を与えられる可能性があることなのです。つまり挨拶とは、危害を危害を与えられる可能性のある行為なのです。昔は、今の時代のように情報がたくさんあったわけではありません。知らない人に会うことは珍しいことであり、場合によってはわけのわからない人の場合だってあり得ました。危険な行為を受ける可能性のある人に対しての挨拶が「あなたの心にそっと触れさせてください」だったのです。

もっとも核となる人間関係が家族です。家族の挨拶こそが原始的なものであり、それは目礼でした。目礼が挨拶の基本です。「飯食ったか」と言う場合にも「エイワンケヤ」と言う場合でも、「イランカラㇷ゚テ」と言う場合でも、相手を敬う気持ちとともに相手の目を見てきちんと対しなければならないのです。

  i    ram   karap   te
 それ   心 触れる  〜させて
(あなた)

あなたの心にそっと触れさせてね。
(略:最終文に記載)

第2回、mysharona
アイヌ長老の教え 第2回 ヤィラィケレ(ありがとう)

http://waccamedia.com/local/129

第3回、mysharona
アイヌ長老の教え 第3回 アイヌレヘ(人の名前)

http://waccamedia.com/local/130

第4回、mysharona
アイヌ長老の教え 第4回 食物をいただく

http://waccamedia.com/local/131

第5回、mysharona
アイヌ長老の教え 第5回 キムンカムイ(熊─山の神)

http://waccamedia.com/local/132

第6回、mysharona
アイヌ長老の教え 第6回 口承物文芸

http://waccamedia.com/local/133

第7回、mysharona
アイヌ長老の教え 第7回 赤ちゃん

http://waccamedia.com/local/134

第8回、mysharona
アイヌ長老の教え 第8回 太陽と月

http://waccamedia.com/local/135

第9回、mysharona
アイヌ長老の教え 第9回 チセ(家)

http://waccamedia.com/local/136

第10回、アイヌ長老の教え 第10回 <キキリカムイ>虫の神様

http://waccamedia.com/local/137

前回は<チセ>家のことをお話しました。今回は<チセ>を建てるための教え、そして<チセ>を巡る環境についてお話します。

<チセ>の<チ>は「自分たち」という意味です。<セ>は「巣」のことを言います。<チセ>とは「私たちの巣」、つまり家(いえ)ということになります。

アイヌでは土地を所有することはありません。では土地は誰のものか。土地は誰の物でもないのです。<チセ>をある場所に建てるとします。カムイがご覧になっているからその土地のカムイに尋ねなさい、そのカムイに許可を求めなさい、と教えられます。

どんなふうに許可を求めるか。このくらいの広さの家をここに建てたいという場所を決めたら、その真ん中になる囲炉裏が掘られる場所に、小さな<ケントゥンニ>を作って焚き火をします。そこに炉鈎状のものを下げて、「ここに家の囲炉裏を作りたい。火の神様、ここで火を焚きますから、この土地を使わせてもらっていいですか」とお祈りします。そしておよそ1週間、夢見を見るのです。夢見で悪いことがなければカムイがよろしいと仰っている、と考えます。1週間というのは、月の周期で新月や満月からならばちょうど半月になるまでの期間。自然界のなかで、そのくらいの日数がひとつの区切りだということです。また人間が家を建てることへの準備や気持ちの置き方が、その日数のなかでほぼ固めることができる時間ということです。その間に不幸があったりおかしなことがあったりすれば、人間は夢を見る。その場所を借りることが許されたのかどうか、その夢見で決めるのです。

家の間取りを決めるために計測します。その距離を計ることを<チキリエパカリ>と言います。<チキリ>は「膝」、つまり足のことです。<パカリ>は「計り」。<パカリ>も日本語の語源かもしれません。間取りを決めることは、歩幅で計るということです。

いよいよ家を建てるという段階になって、村中の人が1軒の家を建てるために素材を山へ行って採ってきます。決して無駄になるような採り方はしません。必要な本数について、みんながきちんとわかっているのです。必要なだけ採って来て、皮を剥いて、タルキ材など全て整えてみんなで一斉に建てる。<チセ>は3日程度で建ったそうです。

住まうということは、それぞれの季節を通りながら、様々な自然界の先例を享受しながらその場所で生きていくことです。そして新築祝が行われます。新築祝を<チセノミ>と言います。<チセノミ>では供物を用意して先祖供養をします。供物は、家の周りのかなり広い範囲に散らします。それはその土地に住んでいた小さな虫や生き物を寄せて家を建てるわけですから、その小さな生き物たちに感謝の食べ物を差し上げるために行われます。

例えば山へ行って、シャケや鹿を獲る。そのときにも、穫ったものの一部を「きつねの神様に、これはカラスの神様に」と小動物に分け与えます。それと同じように、家を建てる際には小さな虫たちに分け与える。小さな虫たちのことを<キキリカムイ>と言います。<キキリカムイ>にも供物を差し上げるのです。

その土地を使わせてもらうことへの心遣いとともに、自分たち人間へ言い聞かせるための儀式だったのかもしれません。目には見えないような虫たちにも供物を差し上げるという行為は、関わっている人間の気持ちを落ち着かせる意味も含まれていたように思います。

アイヌのこうした儀式は、そこでの行為が具体的に何のためなのかがはっきりしています。ですから、家に対する愛着と責任が出てくるのです。


profile 秋辺得平
1943年、千島ウルプ島生まれ。アイヌの人権問題に広くかかわるとともに、文化継承にも力を入れ、釧路アイヌ民芸企業組合をベースに精力的に活動を続ける。

コメント(1)

裏付けが確り取れれば・・・拡散問題と思いますが。
メールの友人よりコピー開始「アイヌ差別問題の勉強会で、「10数年前、ロシア政府関係者から『国後と択捉の一部をアイヌに(日本に、ではない)返還する』という打診があった」という衝撃の事実が!結局実現しなかったが、北方領土はアイヌの自治区とするのが一番いいでしょうね。和人に返還したところで環境を破壊しまくるだろうし。
さらにです
【追記】ロシアはアイヌに北方領土を一部返還することで、北方領土問題に幕を引きたかったようです。 コピー終わり

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