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アジア系アメリカ人研究会コミュのケオ・ウールフォード

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 肉体が美しい。
 ハワイ出身のフラダンサー、ケオ・ウールフォードの踊りを見た人は皆そう思うだろう。

 3月21日から4月8日まで、LAのイースト・ウェスト・プレーヤーズ(EWP)で、ケオは、I Land(アイ・ランド)というソロ・パフォーマンスを上演した。フラダンスに出会い、そしてヒップホップにも強い影響を受けた。ハワイから本土に移り、嘲笑の対象となったこともある。そんな自らの半生を、踊りと語りで表現した。

 ビジュアル的な演出も楽しめた。最初はTシャツとジーンズ、その後は上半身裸になり、最後はフラの衣装で圧巻の踊り。フラダンスに着替えるときは少し時間がかかるが、そのときは、舞台後方のスクリーンに、ハワイの伝統文化に関する言葉が映し出される。
「伝統的なハワイでは男がスカートをはいて全然おかしくない」
 そうだよなあ。
「伝統的なハワイでは、ダイエットなどする必要はない。ネイティブハワイアンの雑誌のカバーには大きな体の女性がグラビアを飾るだろう」
 これには、観客から大きな拍手が沸き起こった。観客を飽きさせないうまい演出だ。

 私は初日の21日に見たけれど、240席は満席。終演後のリセプションでは、EWPのディレクターであるティム・ダンや、ビジュアル・コミュニケーションズのエイミー・カトウと久しぶりに会うことができ、また、脚本家のティム・トヤマらと話ができて実に楽しかった。ケオ本人とは残念ながら話す機会がなかったが。

 ケオの師匠はハワイフラダンス界のカリスマ、ロバート・カジメロである。ケオがフラダンスを始めたのは高校生の時。1999年、彼はカジメロが率いる男性だけのフラカンパニー、ハラウ・ナ・カマレイの団員となり、全米だけでなく、日本でも公演している。役者としても活躍しており、2002年のロンドン公演では「王様と私」で王様役を演じている。

 「フラは単なる腰振りダンスではない。フラには言葉と音楽による詩がなくてならない」と、ケオはいう。エルビス・プレスリーらが「ブルーハワイ」で植えつけたステレオタイプとは違うのだ、と。
 私たちも昨年、映画「フラガール」でそれを学んだ。フラダンスって手話なんです、という平山まどか(松雪泰子)の言葉がケオの言葉と響きあう。

 1950年代から60年代にかけて、言語的にも文化的にも、ハワイの伝統文化は失われつつあった。だが、70年代になり、カジメロがハワイの音楽と文化の復活のために、精力的な活動を始める。30年間で32枚のアルバムを世に送った。ケオは、まさにそんな空気を持った時代の中で育ったのである。
 アイ・ランドのテーマは何ですか、と問われ、ケオはこう述べている。
「自分をみつけることです。ポスト現代の世界のなかで、伝統とは何かを問うことです」

 この一人芝居の火付け役は日系演出家のロバータ・ウノだった。自分の物語など興味を持たれるはずがない、というケオを説き伏せた。
 1979年にニューヨークでニューワールドシアターを立ち上げ、そこで非白人の芝居を20年以上演出してきたロバータ・ウノにとって、芝居とは、常に政治的なものであった。辺境に追いやられているイメージを払拭し、新しいイメージをつくりあげていく舞台。それは政治的活動である。踏みにじられたネイティブハワイアンの文化の中でアイデンティティを確認していくこと、本当の文化とは何かを問うこと、白人社会の中で男性らしさ(男性性)を奪われてしまっているアジア系男性の男らしさを見直すこと。
 ウノがこのパフォーマンスを通していいたいことは山ほどあるだろう。その思いを、ケオはダンスとユーモアで包み込んでは表現した。鍛え上げられた肉体とともにその表現力は確かなものである。
 
 写真はもちろんケオ。今、彼は男性フラダンサーについての映画の脚本を書いているという。

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