初めて書いたミステリは、ロスアンジェルスを訪問中に思い
ついたもので、身内に愉しんでもらうための話だった。
１９６９年、母は年寄りのありがちな不眠に悩まされるよう
になっていた。子供の頃、私はあまりミステリを読まなかっ
のだが、１９６９年当時私が結婚していたイギリス人女性は、
高校の英語教師にこう言われたという。どうせ駄本を読むな
ら、優れた駄本を読め。その教師は彼女にレイモンド・チャ
ンドラーを勧め、その趣味は彼女から私へと受け継がれた。
１９６５年、スクーターで海岸に向かう道すがら、後部座席
で彼女が大声で『かわいい女』を読んでくれた夏の日々が
懐かしく思い出される。・・・
（〜リューイン短編集『探偵学入門』巻頭言「はじめに物語ありき･･･」より）
この作品は、編集者から依頼されたもので、身内の愉しみに
なればよいと引き受けたという。
しかし、作品はロスアンジェルスを引き上げる頃になっても
完成せず、ニューヨークに持ち帰って書くことに･･･。
執筆は利用資格のないコロンビア大学の図書室を利用。
お気に入りは哲学科の図書室だったとか。
図書室で書かれたこの作品･･･。
リューイン好きの皆さんなら、もうおわかりですね。
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