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思考交換所コミュのPart 5 (final)

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シーン 16(少女と少年)

 毅が電話に出ると彼女は泣いていた。ただ「ごめんなさい」とだけ言って、それ以上は何も言わなかった。ようやく、いる場所を聞き出し、毅は家を飛び出した。10分ぐらいで、毅はそこに到着した。彼女はベンチに座り一人うずくまり泣いていた、毅は分けも分からず、ただ話しを無理やりには聞かず、傍で優しく彼女が泣き止むのを待った。泣き止んだ彼女が話しを始めた。彼がとても好きなこと、頼って欲しかったこと、好きでいてもらえてるのか不安だったこと。だから、喧嘩してしまったこと。それで、ふてくされて今日あったばかりの男のたちと遊んだこと、毅の気持ちが分かったこと。そんな自分が情けなくて泣いたこと。そして、毅がやっぱり大好きで別れたくないこと。
 毅はまだ残っている彼女の涙を指で優しくふき取り、そのまま手を優しく握った。
「ごめんね、色々考えてたんだね」
いつもより、更に優しく笑った。
「俺が、あんまり自分のことをしゃべらないのは多分、俺も嫌われるのが怖かったんだと思う。俺ね、両親離婚してるでしょ?だからお母さんの前でお父さんの話したことがなかったんだ。お父さん家出てった後、何となくだけどお父さんの話をしちゃいけないって思って。それ以来、話さないようにしてたから何となく怖かったんだよね、喋るの。」
彼女はまた泣きそうだった、今度は安心したから。でも泣くのをこらえて言った。
「無理して話すことないよ、話せるまで待つ」
毅は彼女の頭を優しくなでた。
「でも、もう大丈夫なんだ」
不思議そうな顔をしている、彼女にやっぱり優しく笑って今日の話を始めた。
「今日ね、お母さんと出かけたんだ・・・・・・・・


純粋な気持ちは最後には分かり合える、そうであって欲しい・・・・・・


シーン 17(ビール)

 もう、時刻は11時を回っていた。崇と父はすっかり酔っ払ったみたいで、10時を回ると、寝てしまった。由希も母も、最後の一時間くらいは崇と父と一緒に話をしたりしたが、2人はお酒は飲まずに酔っ払い二人のわけのわからない話の相手をした。由希と母は片づけをようやく終え、居間へと腰掛けた。
「ねえ、ビール飲まない?」
そうゆうと、母は返事も聞かないで、ビールを取りに行った。母は缶ビールを2本持って来ていった
「行きましょ?」
「えっ?どこへ?」
お母さんは、何も答えずに由希の手を引っ張って、ベランダへと連れてった。
「今日は月が綺麗よ。」
由希もわけがわからない様子ではあったがうなづいた。
父と未来の旦那が眠ってしまったその家のベランダで、綺麗な月を見ながら母と娘が乾杯をした。
「お父さんね、由希から電話あるといつも気になってたみたいよ。素直じゃないからね、自分から何の電話かってなかなか聞けないみたいだけど。崇さんのことも、前から結構気にしてたみたいで、前、由希、崇さんと沖縄に旅行に行ったときあるでしょ?その話したらお父さん、結婚するのか?っていきなり聞いてきて、なんかお母さん笑っちゃって。」
由希も無邪気に笑った
「そうなんだ」
「だから、由希。お父さんはいつも由希のこと心配してるし、大切に思ってるんだから、あんたも少しは素直になりなさいよ」
由希は照れながら「うん」と言った。
母も安心して笑った。
「それにしてもあれよね、男の人はいいわね、お酒飲むと直ぐ仲良くなっちゃって・・・・・

月が綺麗な夜、昼に比べて心地よい風が吹くそのベランダで母と娘は、久しぶりに親子らしい会話をした。でも、月が綺麗なのも風が心地いいのも、本当は二人が一日を終えやっと安心したからなのかもしれない・・・・


シーン 18〈希望の朝〉

 いつものようになる携帯のアラーム、薄暗い部屋。それでも俊次はその薄暗さよりも、わずかに差し込む光を感じていた。昨日久しぶりに母と長電話をした、そのまま電話を切ると、疲れが出たかのように眠りについた。でも、こんな目覚めのいい朝はどれぐらいぶりだろうか、別に未来が開かれたわけでも、幸せの片鱗が顔を覗かせたわけじゃない、何も変わってない、何一つ。そんな、なにも変わらない朝に希望があふれてた。

俊次はこれから先、何を見つけられるだろうか・・・・・・


シーン 19〈予備校〉

   日曜なのに朝、めずらしく早起きをしてきた毅に母は驚いていた。昨日の夜帰りが
遅かったことも知っていたし、何の用事もないことも。毅は、何も言わずに出かける仕度をして、家から出る直前に母に照れくさそうに言った。
「予備校の申し込みしてくる。やりたいことないから、とりあえず大学行く」
言い終えて、振り返ることもなく、そのまま毅は家を出た。息子が出てった家の玄関で紀子は一人で微笑んだ。

息子は母が思うよりも成長していた・・・・・・・


シーン 20〈おめでとう〉

   崇と由希は、朝ごはんを食べると、直ぐに家に帰ることにした。玄関先に見送りに来た、父と母、頭を下げる崇と由希、玄関を出ようとした由希たちに父は一言だけ力強く言った。
「おめでとう」
振り返って、崇はもう一度頭を下げた。由希は、あのクリスマスの日にお子様ランチを食べたときみたいに、無邪気に笑った。



END

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