原題：野獸刑警(Beastcops)
香港 ピープルズ･プロダクション作品 98年 110分 カラー 日本劇場未公開(DVD)
製作：ジョン･チョン／ゴードン･チャン 監督：ゴードン･チャン／ダンテ･ラム 脚本：チャン･ヒンカイ／ゴードン･チャン アクション監督：リチャード･ユン
出演：マイケル･ウォン／アンソニー･ウォン／タム･ユウマン／ロイ･チョン／キャシー･チャウ
−解説−
暗黒街の幹部が突然街を去ったのを見計らい､街へ麻薬を持込み暴走するチンピラとその配下に､壮絶な闘いを挑むはみ出し刑事の姿を描いたバイオレンス･アクション。出演は『マッドモンク』(93年)などのアンソニー･ウォン(黃秋生)､『世界の涯てに』(96年)などのマイケル･ウォン(王敏��)､『パープルストーム』(99年)などのタム･ユウマン(譚耀文)､『ジェネックス･コップ』(99年)などのサム･リー(李燦森)､『黒社会』(89年)などのロイ･チョン(張耀揚)､『不夜城』(98年)などのキャシー･チャウ(周海媚)ほか。監督は『デッドヒート』(95年)などのゴードン･チャン(陳嘉上)とダンテ･ラム(林超賢)の共同､98年作。
−物語−
黒社会の大物･ファイ(張耀揚)が抗争のもつれから逃亡を図った直後､彼と兄弟分で街の顔役的存在の刑事トン(黃秋生)の管轄にＳＤＵ上がりで｢殺人王｣と呼ばれるチョン警部(ウォン)が上司として着任する。チョンは規律を重んじていたが､トンと行動を共にするうち友情を深め､街の実情を知りファイの元情婦でクラブのママ･ヨーヨー(チャウ)とも恋仲になった。その頃ファイの舎弟だったワー(譚耀文)が街に麻薬を流し始め､チョンが襲撃される。そしてファイが戻り落し前を付けようとワーに迫るが､返り討ちに遭い殺された。怒りに震えるトンは､ワーが潜む地下カジノへ乗込んで行く…!
オリジナル予告編動画↓
香港 ピープルズ･プロダクション作品 98年 110分 カラー 日本劇場未公開(DVD)
製作：ジョン･チョン／ゴードン･チャン 監督：ゴードン･チャン／ダンテ･ラム 脚本：チャン･ヒンカイ／ゴードン･チャン アクション監督：リチャード･ユン
出演：マイケル･ウォン／アンソニー･ウォン／タム･ユウマン／ロイ･チョン／キャシー･チャウ
−解説−
暗黒街の幹部が突然街を去ったのを見計らい､街へ麻薬を持込み暴走するチンピラとその配下に､壮絶な闘いを挑むはみ出し刑事の姿を描いたバイオレンス･アクション。出演は『マッドモンク』(93年)などのアンソニー･ウォン(黃秋生)､『世界の涯てに』(96年)などのマイケル･ウォン(王敏��)､『パープルストーム』(99年)などのタム･ユウマン(譚耀文)､『ジェネックス･コップ』(99年)などのサム･リー(李燦森)､『黒社会』(89年)などのロイ･チョン(張耀揚)､『不夜城』(98年)などのキャシー･チャウ(周海媚)ほか。監督は『デッドヒート』(95年)などのゴードン･チャン(陳嘉上)とダンテ･ラム(林超賢)の共同､98年作。
−物語−
黒社会の大物･ファイ(張耀揚)が抗争のもつれから逃亡を図った直後､彼と兄弟分で街の顔役的存在の刑事トン(黃秋生)の管轄にＳＤＵ上がりで｢殺人王｣と呼ばれるチョン警部(ウォン)が上司として着任する。チョンは規律を重んじていたが､トンと行動を共にするうち友情を深め､街の実情を知りファイの元情婦でクラブのママ･ヨーヨー(チャウ)とも恋仲になった。その頃ファイの舎弟だったワー(譚耀文)が街に麻薬を流し始め､チョンが襲撃される。そしてファイが戻り落し前を付けようとワーに迫るが､返り討ちに遭い殺された。怒りに震えるトンは､ワーが潜む地下カジノへ乗込んで行く…!
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コメント(3)
当コミュでもご紹介済のジャッキー･チェン(成龍)主演作『新ポリス･ストーリー』(93年)の原型となったジェット･リー(李連杰)主演映画企画時の原題｢野獸刑警｣を受継いだ格好となった本作は､第22回香港国際映画祭のオープニングを飾り(画像左)､第18回香港電影金像獎では５部門(最優秀作品､最優秀監督､最優秀脚本､最優秀主演男優､最優秀助演男優)を授賞しました。特に最優秀主演男優賞を獲得したアンソニー･ウォン(黃秋生､画像中)は､第５回香港電影評論学会大奨､第４回香港電影金紫荊獎でも最優秀主演男優賞を獲得。前回の授賞が殺人･暴力描写が全篇を占める�卦虔�(成人映画)『八仙飯店之人肉饅頭』(93年)というアンソニー自身にとって不本意極まりない形であったため､本作で香港映画界の賞レースを総ナメにしたことで､５年に渡る鬱積と周囲からの偏見を一挙に払拭する結果となりました。
ではコレだけの映画賞を授与されたのならさぞかし格調の高い雰囲気の”名作”か？…と言われたら､全くそんなことはありません。極めて通俗的な娯楽映画であり､何なら予算も決して高くはないかもしれないです。日本のファンのなかには｢こんな映画に最優秀作品賞を与えるなんて､香港映画も終わったな…｣との感想をブログに書いた人もチラホラいたとかいなかったとか…。まぁそもそも香港映画は日本の観客に向けて作ってるワケじゃないですからね。何より香港の観客からの一定の支持を受けていたからこそなのは当然で､実際本作の物語自体は当時香港映画のトレンドを抑えていたからに他ならなかったのです。
前回レビューを挙げました『デッドポイント �郤厥鯀楮裟�』(97年､ソフトのみ)でも触れてますが､この時期の”香港ノワール”映画､特に警察が舞台あるいは警官が主役の作品に関しては､単に犯罪者との攻防を描くのみならず､同僚や家族との交流､そして恋愛模様を香港の街自体の描写含めロマンチックかつセンチメンタルに描いた作品が主流となっていました。『デッドポイント �郤厥鯀楮裟�』がその嚆矢ともいえ､本作や当コミュでレビューをアップ予定の『OVER SUMMER』(99年)などは､その流れの完成形､到達点とも言えます。
90年代前中半の｢実録犯罪路線｣､96年以降の｢古惑仔｣シリーズに代わる新しい流れの基礎を作ったのが､本作の共同監督でもあるゴードン･チャン(陳嘉上)とダンテ･ラム(林超賢)のふたりです。ゴードン･チャンが94年に手掛けた『ファイナル･オプション ―香港最終指令―』(94年､ビデオのみ)でも香港警察の特殊精鋭部隊員たちのプライベート描写に時間を割いてますし､その続編ともいえる『FIRST OPTION 飛虎』(96年､DVDのみ)やダンテ･ラムが手掛けた『Ｇ４特工/オプション･ゼロ』(97年､テレビ放送。画像右)といったアクション作でも群像劇のなかに青春ドラマやラヴロマンスの要素を織り込んでいます。本作はそこから更に一歩踏込み､よりアダルティかつダーティな側面を加えているのが大きな見どころです。
ではコレだけの映画賞を授与されたのならさぞかし格調の高い雰囲気の”名作”か？…と言われたら､全くそんなことはありません。極めて通俗的な娯楽映画であり､何なら予算も決して高くはないかもしれないです。日本のファンのなかには｢こんな映画に最優秀作品賞を与えるなんて､香港映画も終わったな…｣との感想をブログに書いた人もチラホラいたとかいなかったとか…。まぁそもそも香港映画は日本の観客に向けて作ってるワケじゃないですからね。何より香港の観客からの一定の支持を受けていたからこそなのは当然で､実際本作の物語自体は当時香港映画のトレンドを抑えていたからに他ならなかったのです。
前回レビューを挙げました『デッドポイント �郤厥鯀楮裟�』(97年､ソフトのみ)でも触れてますが､この時期の”香港ノワール”映画､特に警察が舞台あるいは警官が主役の作品に関しては､単に犯罪者との攻防を描くのみならず､同僚や家族との交流､そして恋愛模様を香港の街自体の描写含めロマンチックかつセンチメンタルに描いた作品が主流となっていました。『デッドポイント �郤厥鯀楮裟�』がその嚆矢ともいえ､本作や当コミュでレビューをアップ予定の『OVER SUMMER』(99年)などは､その流れの完成形､到達点とも言えます。
90年代前中半の｢実録犯罪路線｣､96年以降の｢古惑仔｣シリーズに代わる新しい流れの基礎を作ったのが､本作の共同監督でもあるゴードン･チャン(陳嘉上)とダンテ･ラム(林超賢)のふたりです。ゴードン･チャンが94年に手掛けた『ファイナル･オプション ―香港最終指令―』(94年､ビデオのみ)でも香港警察の特殊精鋭部隊員たちのプライベート描写に時間を割いてますし､その続編ともいえる『FIRST OPTION 飛虎』(96年､DVDのみ)やダンテ･ラムが手掛けた『Ｇ４特工/オプション･ゼロ』(97年､テレビ放送。画像右)といったアクション作でも群像劇のなかに青春ドラマやラヴロマンスの要素を織り込んでいます。本作はそこから更に一歩踏込み､よりアダルティかつダーティな側面を加えているのが大きな見どころです。
本作では､中国への返還に揺れる香港の街並が内包している猥雑さやいかがわしさとを臆面もなく正面から描き切っているのが非常に印象的です。登場人物は主役始め皆非常に人間臭く､清潔感やスタイリッシュさの欠片もありません。夜の街中では警官と黒社会の区別も付かない状況です。やくざの幹部と兄弟分である警官アンソニーもナイトクラブでは職権を濫用し放題､賭場では借金を重ねています。
そんなアンソニーが仕切る街に上司としてマイケル･ウォン(王敏��､画像左)が赴任してきますが､ＳＤＵ出身というのは彼の代表作となっていた｢飛虎｣シリーズのオマージュ､あるいはセルフパロディといってよいでしょう。しかし役どころは｢飛虎｣シリーズとは一味も二味も異なっています。最初こそ規範を持出し堅物的に振舞ってはいますが､次第にアンソニーのペースに乗せられて､ドンドン俗物キャラになっていきます。コレは今までの彼が演じたキャラクターのなかでもかなり異質ですね。
そのマイケル･ウォンに気に入られ､男女関係となってしまうナイトクラブのママを演じているのが､キャシー･チャウ(周海媚､画像中)。おそらく本作の前に撮っていたであろう日本ロケの『不夜城』(98年)と同様に水商売の女性役なのですが､イメージは全く違います。髪をアップにしたクールビューティーだった『不夜城』に対し､本作ではボサ付いた茶髪のショートカットにルーズな着こなしのいかにもガサツな外見で登場します。でもおしゃべりで愛嬌があり､ちゃんと可愛げのあるキャラクターなんですね。
そして､本作のクライマックスで､アンソニーと死闘を繰り広げるのがタム･ユウマン(譚耀文､画像右)。当コミュでもご紹介済の『銃弾に追われた街』(90年､テレビ放送)で映画デビューを果たしましたが､彼の本業は歌手で俳優活動はTVドラマをメインにしており､８年ぶりに出演をはやした映画が本作なのです。本作での鬼気迫る演技で､彼は第18回香港電影金像獎にて最優秀助演男優賞を授賞します。
そんなアンソニーが仕切る街に上司としてマイケル･ウォン(王敏��､画像左)が赴任してきますが､ＳＤＵ出身というのは彼の代表作となっていた｢飛虎｣シリーズのオマージュ､あるいはセルフパロディといってよいでしょう。しかし役どころは｢飛虎｣シリーズとは一味も二味も異なっています。最初こそ規範を持出し堅物的に振舞ってはいますが､次第にアンソニーのペースに乗せられて､ドンドン俗物キャラになっていきます。コレは今までの彼が演じたキャラクターのなかでもかなり異質ですね。
そのマイケル･ウォンに気に入られ､男女関係となってしまうナイトクラブのママを演じているのが､キャシー･チャウ(周海媚､画像中)。おそらく本作の前に撮っていたであろう日本ロケの『不夜城』(98年)と同様に水商売の女性役なのですが､イメージは全く違います。髪をアップにしたクールビューティーだった『不夜城』に対し､本作ではボサ付いた茶髪のショートカットにルーズな着こなしのいかにもガサツな外見で登場します。でもおしゃべりで愛嬌があり､ちゃんと可愛げのあるキャラクターなんですね。
そして､本作のクライマックスで､アンソニーと死闘を繰り広げるのがタム･ユウマン(譚耀文､画像右)。当コミュでもご紹介済の『銃弾に追われた街』(90年､テレビ放送)で映画デビューを果たしましたが､彼の本業は歌手で俳優活動はTVドラマをメインにしており､８年ぶりに出演をはやした映画が本作なのです。本作での鬼気迫る演技で､彼は第18回香港電影金像獎にて最優秀助演男優賞を授賞します。
本作で暗黒街のボス役として登場するロイ･チョン(張耀揚､画像左)は､コレまでの凶暴なイメージは抑え気味で､短髪で精悍な―メージです。暴力的ではない分渋みも感じさせます。出番は多くないですが､壮絶な最期までやはり印象を残します。
本編のメインビジュアルではアンソニー･ウォンやマイケル･ウォンと並んでポーズを取っていた後輩刑事サム･リー(李燦森､画像中)ですが､実際はそれほど大きな役ではなく､文字通りの脇役です。ただ先輩のアンソニーにタメ口をきいたり､カメラ目線で独白するシーンに｢、デビュー間もない彼のコミカルなトッポさがあふれて出ていて憎めないなぁと感じさせられます。
またアンソニーの愛人として突然現れ鮮烈な印象を残していくのが､本作が映画デビューとなった香港の歌手ステファニー･チェー(車婉婉､画像右)。ショートボブと黒い下着姿が独特の色香を醸し出していました。
他の傑作に負けず劣らず､脇の役も非常に充実していますね。
本編のメインビジュアルではアンソニー･ウォンやマイケル･ウォンと並んでポーズを取っていた後輩刑事サム･リー(李燦森､画像中)ですが､実際はそれほど大きな役ではなく､文字通りの脇役です。ただ先輩のアンソニーにタメ口をきいたり､カメラ目線で独白するシーンに｢、デビュー間もない彼のコミカルなトッポさがあふれて出ていて憎めないなぁと感じさせられます。
またアンソニーの愛人として突然現れ鮮烈な印象を残していくのが､本作が映画デビューとなった香港の歌手ステファニー･チェー(車婉婉､画像右)。ショートボブと黒い下着姿が独特の色香を醸し出していました。
他の傑作に負けず劣らず､脇の役も非常に充実していますね。
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