香港ノワール映画－英雄片－コミュの【香港ノワール／新時代】ロンゲストナイト

原題：暗花(The Longest Nite)
香港　ミルキーウェイ･イメージ作品　98年　85分　カラー　オンリー･ハーツ配給

製作総指揮：ダニエル･ラム／ダニー･ワング　製作：ジョニー･トー／ワイ･カーファイ　監督：パトリック･ヤウ　脚本：ゼトー･カムユン／ヤウ･ナイホイ　撮影：コ･チュイ･ラム　編集：アンディ･チャン
出演：トニー･レオン／ラウ･チンワン／マギー･シュウ／マーク･チェン

―解説―
マカオを舞台に､ギャングの覇権争いに関わり追い詰められていく悪徳刑事の苦闘と末路を描いたサスペンス･アクション。出演は『シクロ』(95年)などのトニー･レオン(梁朝偉)､『男たちの挽歌４』(94年)などのラウ･チンワン(劉青雲)､『黒薔薇VS黒薔薇』(92年)などのマギー･シュウ(邵美琪)､『カジノ･レイダース』(89年)などのロン･フォン(龍方)､『ガッツ･フィスト魔宮拳』(79年)などのロー･ホイ･パン(盧海鵬)､『ブルー･エンカウンター』(2002年)などのマーク･チェン(鄭浩南)ほか。『パラダイス!』(97年)のパトリック･ヤウ(游達志)監督､98年作。

―物語―
黒社会の暗闘が続くマカオ。ボスのケイが和解した敵対勢力のボス･ジョージ(龍方)に賞金を懸けた噂が流れ､ケイは悪徳刑事サム(梁朝偉)へ噂を流した黒幕を探すよう命じた。捜査現場にスキンヘッドの謎めいた男イウトン(劉青雲)が現れ､サムの部屋から掌に数字が記された首無し死体が発見される。さらにナイトクラブでイウトンとケイの息子ウィン(鄭浩南)が口論となった直後支配人ロー(盧海鵬)が殺された。裏取引の末ウィンを追うサムは､目撃者のホステス･フォン(邵美琪)に偽証させイウトンを逮捕し口を割らせようとする。そこへ黒幕はサムとチンピラが証言したと連絡が入り､サムは自分が陥れられたことを知った…。

オリジナル予告編動画↓

コメント(1)

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[1] mixiユーザー 07月17日 10:32

ジョニー･トー(杜琪峰)監督が主宰した｢ミルキーウェイ･イメージ｣が､香港映画の枠を超えて国際的な注目を集める契機となったのが､”ダーク･トリロジー”と称される３本の”香港ノワール映画”です。
本作はその第１作目にあたるワケですが､既に後発の作品群につながる萌芽が垣間見られます。監督は『パラダイス!』(97年)でデビューしたパトリック･ヤウ(游達志)で､全く雰囲気の異なる正調フィルムノワール的な作品にもかかわらず､その才気を存分に披露しています。ネタバレになるかもですが､クライマックスで”髪型”をポイントに置いているところは『パラダイス!』からの影響を感じます。
女性ファンの支持も高いトニー･レオン(梁朝偉､画像左)のやさぐれ感満載のダーティーコップぶりに注目が集まりがちですが､不気味さを醸し出すスキンヘッドが強烈なラウ･チンワン(劉青雲､画像中)の存在感も強烈なインパクトを残します。『つきせぬ想い』(93年)で注目を集めた頃は気のいいお兄さん風だったラウ･チンワンも､本作では何を考えてるかわからない表情で狂気を発散する演技を見せていました。その到達点がジョニー･トー監督自ら手掛けた『ＭＡＤ探偵 7人の容疑者』(2007年)ですが､本作にはその源流がはっきり見て取れます。
ストーリー自体はトニー･レオンとラウ･チンワンのふたりを中心に､マカオの黒社会二大勢力と警察､三つ巴の暗闘を､エピソードを積み重ねながら群像劇的に描いており､他のキャストも後年｢ＰＴＵ｣シリーズ(2003年～)に参加するマギー･シュウ(邵美琪､画像右)始め､ユニークなキャストが顔を揃えており､個々の出番は多くないものの､印象に残る演技を見せていました。
世紀をまたいでからも”香港ノワール映画”を中心に幅広い活躍を続けていくジョニー･トー(杜琪峰)監督一派の原点を感じさせる､見ておくべき１作と確信します。

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