香港ノワール映画－英雄片－コミュの【香港ノワール／新時代】欲望の街･外伝ロンリーウルフ

原題：洪興仔之江湖大風暴/英雄不敗之江湖大風暴(War of the Under World)
香港　BoB ＆パートナーズ･カンパニー作品　96年　95分　カラー　彩プロ配給

製作総指揮：アンドリュー･ラウ／マンフレッド･ウォン　製作：ウォン･ジン　監督：ハーマン･ヨウ　脚本：ウォン･ジン／キャンディー･チャン　原作：カウ･マン　アクション指導：ユン･ブン

出演：トニー･レオン／ジョーダン･チャン(チャン･シウチョン)／カルメン･リー／ン･チーホン／ラム･ソーンイー／サイモン･ルイ

―解説―
96年に香港で若者を中心に圧倒的な支持を集めた大ヒット作｢欲望の街｣シリーズの番外編的作品。同シリーズとは別の世界観の下､黒社会の抗争に揺れる街で組織に属さず活躍する男の姿を描く。出演は『裏街の聖者』(95年)などのトニー･レオン(梁朝偉)､『ダウンタウン･シャドー』(97年)などのジョーダン･チャンことチャン･シウチョン(陳小春)､『パラダイス!』(97年)などのカルメン･リー(李若彤)､『バレット･オブ･ラブ』(2001年)などのン･チーホン(吳志雄)､『狼たちの伝説』(2000年)などのラム･ソーンイー(林尚義)ほか。『エボラ･シンドローム』(96年)などのハーマン･ヨウ(邱禮濤)監督､96年作。

―物語―
洪興社のチンピラ･チュン(陳小春)は敵対する東星社の跡継ぎバウとモメたのを通り掛った洪興社のボス･シェイの息子フェイ(梁朝偉)に救われた。チュンは幹部のＢ(吳志雄)からフェイを捜すよう命じられ､雑誌記者の妹トン(李若彤)と深夜の違法レース会場へ向かう。そこでフェイのマシンに同乗したトンは彼に魅せられた。シェイの引退式に現れたフェイは､挑発する東星社を追返しその場を去るが､直後屋敷に先祖の墓石を送付けられたシェイは発作で入院する。半身不随のシェイと和解したフェイは､父を襲い銅鑼湾を荒らす東星社に立向うが､思わぬ大敵が彼を待受けていた。

コメント(1)

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[1] mixiユーザー 10月03日 20:24

他項でも述べていますが『欲望の街古惑仔Ⅰ 銅鑼湾(コーズウェイベイ)の疾風』(96年)の大ヒットは､続編や亜流映画は勿論本編に登場するキャラクターによる別の物語を描いた｢スピンオフ｣作品を多数生み出しました。本作は本家シリーズと同じくアンドリュー･ラウ(劉偉強)とウォン･ジン(王晶)がプロデュースに入った正統な派生作品なんですが､前述した｢スピンオフ｣ではないんです。元の作品の｢パラレルワールド｣とでもいうべき世界観で描かれてるんですね。どうパラレルかというと"映画『欲望の街古惑仔Ⅰ 銅鑼湾(コーズウェイベイ)の疾風』が大ヒットしている香港･銅鑼湾(コーズウェイベイ)の街"というある種のメタフィクション的な舞台設定になってるんですね。とはいえメタ構造といっても本作の舞台が実際の香港に即した"実録"的な作りかといえばそうではなく､むしろ｢男たちの挽歌｣(86～89年)シリーズに始まるベーシックな"香港ノワール映画"に仕上がってます。
主演はマーベルコミックの映画化作品『シャン･チー/テン･リングスの伝説』(2021年)で満を持してハリウッド進出を果たしたトニー･レオン(梁朝偉､画像左)。ひたすらクールでスタイリッシュ､それでいて血の通った人間味も感じさせる主人公を好演しています。本家シリーズにも出演しているジョーダン･チャン(チャン･シウチョン=陳小春､画像中)は｢『欲望の街古惑仔Ⅰ 銅鑼湾(コーズウェイベイ)の疾風』のサンカイにあこがれる洪興社のチンピラ｣という､まさに本作のメタ構造を体現した役どころで､元ネタのチャラ男ぶりよりもコミカルな面が強調されています。ヒロインは当時女優として上り調子だったカルメン･リー(李若彤､画像右)。男たちの抗争を見守りそして見届ける雑誌記者の女性を､過去の"香港ノワール"のヒロイン像をある種のパロディも込め抑え目の芝居で魅了してくれます。
監督はカメラマン出身で『八仙飯店之人肉饅頭』(93年)などⅢ級片(成人映画)の話題作を手掛け､気鋭として注目を浴びていたハーマン･ヨウ(邱禮濤)。舞台となる銅鑼湾の夜の風景の美しさや疾走感あふれるアクション描写など､エンターテインメントのツボを抑えた演出を披露しています。
日本では小規模での上映後ビデオ化され､その後DVDもリリースされたものの､現在は廃盤となり入手が困難になっています。

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