香港ノワール映画－英雄片－コミュの【香港ノワール／新時代】欲望の街･純愛篇紅い疾風

原題：古惑女之決戰江湖/豪放天使之雄霸一方(Sexy and Dangerous/Sexy Undercover Angels)
香港　ジンズ･プロダクション作品　96年　92分　カラー　彩プロ配給

製作：ウォン･ジン　監督：ビリー･タン　脚本：フィリップ･クォック　原作：カウ･マン
出演：ロレッタ･リー／カレン･モク／フランシス･ン(ン･ジャンユー)／マイケル･トン／マイケル･ラム／シン･フイ･オン／ラム･ソーンイー

－解説－
『欲望の街古惑仔Ｉ銅鑼湾の疾風』(96年)のヒットを受けて製作された姉妹編的作品。香港裏社会の抗争に巻込まれた不良少女たちの姿を描く。出演は『孔雀王アシュラ伝説』(90年)などのロレッタ･リー(李麗珍)､『食神』(96年)などのカレン･モク(莫文蔚)､『OVER SUMMER』(99年)などのフランシス･ン(ン･ジャンユー=吳鎮宇)､『野獣の瞳』(96年)などのマイケル･トン(唐文龍)､『白髪魔女伝２』(93年､ビデオのみ)などのリリー･チャン(鍾淑慧)､『復讐のプレリュード』(95年)などのベン･ン(吳毅將)ほか。『ドラゴンファイト』(89年､テレビ放送)などのビリー･タン(鄧衍成)監督､96年作。

－物語－
香港･銅鑼湾。"ゲームセンターの女王"と呼ばれるマーブル(李麗珍)は､ある夜バイクレースゲームに挑戦してきたバン(莫文蔚)と意気投合する。居合せたチンピラのジョージ(吳鎮宇)もマーブルに一目惚れしまとわり付いてきた。マーブルはハン組のワン親分(唐文龍)とかつて恋仲で､彼を庇い刑務所入りした際アイジー(鍾淑慧)との因縁が生まれる。ジョージやバンたち仲間との賑やかな日々のなか､出所したアイジーがマーブルへの報復で襲い掛って来た。ジョージが救出に入り難を逃れたものの､ワンを敵視するラウ(吳毅將)と組んだアイジーの魔手は仲間にも及び､マーブルは否応なく抗争に巻込まれていく。

コメント(3)

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[2] mixiユーザー 08月22日 22:22

TOPの解説や別項でもご案内しているように『欲望の街古惑仔Ｉ銅鑼湾の疾風』(96年)は香港で大ヒットを記録し､続編は勿論派生作品や亜流映画が多数制作されました。本作はそのなかでも本家シリーズのプロデューサーであるヒットメーカーのウォン･ジン(王晶)を中心としたスタッフで､本家シリーズ同様カウ･マン(牛佬)コミック｢古惑女｣(画像左)を原作とするなど､『欲望の街古惑仔Ｉ銅鑼湾の疾風』の流れをダイレクトに汲んだ姉妹編的作品としていち早く撮影された1本です。
本作が日本での初封切り作となった監督のビリー･タン(鄧衍成､画像中)は､80年代香港やシンガポールで数多くのTVドラマの演出やプロデュースを手がけた後､88年に香港ニューウェーヴの旗手で後に『不夜城』(98年､後刻当コミュ紹介予定)を撮るリー･チーガイ(李志毅)との共同監督作で映画界デビュー。2作目の『ドラゴンファイト』(89年､テレビ放送)は､ジェット･リー(李連杰)を主演に迎えアメリカロケを敢行。後にジェットの夫人となるニナ･リー(利智)､そして無名の若手だったチャウ･シンチー(周星馳)との共演が話題を集めました。
90年代に入ると､当時の香港映画界でトレンドとなっていた｢Ⅲ級片(成人映画)｣を多数監督。『香港人肉厨房』(92年､ビデオのみ)や『実録幼女丸焼き事件』(93年､ビデオのみ)といった話題作を手掛け､迫真のドラマ演出と過激なアクション描写で職人監督としての地位を確立しました。本作の翌年には人気俳優トニー･レオン(梁朝偉)の主演で｢Ⅲ級片(成人映画)｣の要素を織り交ぜた『ミッドナイト･エクスプレス』(97年､ソフトのみ。画像右)を発表しています。
21世紀に入ってからは､主に中国大陸で映画やTVドラマを撮り続けていましたが､病に倒れ2020年7月1日､惜しまれつつもこの世を去りました。

[3] mixiユーザー 10月10日 11:51

主演はロレッタ･リー(李麗珍､画像左)。10代後半に"香港ニューウェーブ"系の映画でデビューし､｢香港の薬師丸ひろ子｣と称され､当時の香港映画界では珍しいアイドル路線を歩んできた彼女も90年代初めのヌード写真集発売とⅢ級片(成人映画)3本への出演を経て､本作撮影時には30歳直前を迎えており､芸歴も10年を超えて女優としてベテランの域に達しつつありました。既に90年代初めの時点で本作のような不良少女役を複数の出演作で演じてきてはいたので､本作がそうした役どころの集大成になった側面もあると感じます。実際劇中でのロレッタは､ヒットメーカー､ウォン･ジン組での大役もおそらく初めてながら､80～90年代のアイドル的な愛らしさはそのままに､主演女優としての重みや風格､そして哀愁もちゃんと備えていて印象的でした。
ロレッタに挑戦した後無二の相棒となるバン役には､当時女優･歌手として香港のショービジネス界で台頭著しかったカレン･モク(莫文蔚､画像中)。ウォン･カーウァイ(王家衞)監督作『天使の涙』(95年)や複数にわたるチャウ･シンチー(周星馳)との共演作で強烈な個性を発揮し､一躍注目を集めました。本作でカレン･モクの髪型がベリーショートなのは､前年にやはりシンチーと共演した『ゴーストバスター』(95年､映画祭のみ)の撮影で彼女が剃髪した時の名残なのです。本作の後カレン･モクは『新･欲望の街Ⅰ/古惑仔疾風､再び』(96年)にて､本家シリーズにも参加することになります。
そしてロレッタに一目ぼれしまとわり付くチンピラのジョージ役は､フランシス･ン(ン･ジャンユー=吳鎮宇､画像右)。『欲望の街古惑仔Ｉ銅鑼湾の疾風』での悪役とは一転､三枚目のハンパ者ながら､キメる時はキメるユニークなキャラを好演しています。ちなみに『欲望の街古惑仔Ｉ銅鑼湾の疾風』と並んで"古惑仔"ブームを牽引したと言われながら日本では未公開に終ったフランシスの主演作｢旺角渣Fit人/Once Upon a Time in Triad Society｣(96年)では､ロレッタ･リーがヒロインに扮しています。

内容自体は"青春群像劇"の色合いが強く､アクションシーンがないワケではありませんが『欲望の街古惑仔Ｉ銅鑼湾の疾風』よりもまったりしたムードで全編描かれています。
日本では小規模での劇場公開となり､ビデオ･DVD化された際には『不夜街危険な天使たち』→『セクシー&デンジャラス～欲望の街･女古惑仔～』と邦題を替えてリリースされました。

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