香港ノワール映画－英雄片－コミュの【香港ノワール／過渡期】野獣特捜隊

原題：重案實錄O記/O記重案實錄(Organized Crime ＆ Triad Bureau)
香港　マグナム･フィルムズ作品　94年　92分　カラー　アミューズビデオ配給

製作総指揮：ヤン･タンクェイ／ダニー･リー　製作：ダニー･リー／カーク･ウォン　監督：カーク･ウォン　脚本：ロー･ビン　撮影：ジョー･チャン／ウォン･ウィン･ハン　音楽：ダニー･チャン

出演：(３点リーダー以降の人名は日本語吹替版ビデオのキャスト)
ダニー･リー(李修賢)=リー警部…山寺宏一
アンソニー･ウォン(黃秋生)=トン…大塚芳忠
セシリア･イップ/イップ･トン(葉童)=シンディ…島本須美
ロイ･チョン(張耀揚)=チウ警部
エリザベス･リー(李美鳳)=アンナ…佐藤しのぶ
パークマン･ウォン(黃柏文)=フー
リッキー･イー(伊凡威)=ラム…田中正彦
ルイス･ファン(樊少皇)

―解説―
武装強盗団逮捕に執念を燃やす警部が率いる香港警察特捜隊の壮絶な戦いを描いたバイオレンス･アクション。出演は『友は風の彼方に』(87年)などのダニー･リー(李修賢)､『エボラ･シンドローム』(96年)などのアンソニー･ウォン(黃秋生)､『風の輝く朝に』(84年)などのセシリア･イップ(イップ･トン=葉童)､『暗黒英雄伝』(91年)などのロイ･チョン(張耀揚)､『蜘蛛に抱かれた女』(89年)などのエリザベス･リー(李美鳳)ほか。『新ポリス･ストーリー』(93年)などのカーク･ウォン(黃志強)監督､94年作。

―物語―
リー警部(李修賢)率いる特捜隊は､トン(黃秋生)とその情婦シンディ(葉童)率いる武装強盗団のアジトを急襲した。警部を目の敵にする監察局の介入をかわし､リー警部たちは離島に逃込んだ強盗団を強硬手段をも使い追詰めるが､結局トンだけ捕まる。過酷な取調べで一味の犯罪が明らかになるなか､再度監察局が乱入し入院を要求するトンを連れ出した。病院でトンは人質を取って手術室に籠城するが､患者が重体の少年と知り投降する。その頃シンディは､銃を入手しトン奪還を計画､しかもリーの恋人アンナ(李美鳳)を奪ったチウ警部(張耀揚)がトンと内通していたのだった…。

オリジナル予告編動画↓

コメント(2)

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[1] mixiユーザー 05月05日 09:30

ジャッキー･チェン(成龍)と組んだ監督作『新ポリス･ストーリー』(93年)は香港で大ヒットを飛ばしたものの､実際には主演のジャッキーと現場で衝突し途中降板する恰好となったカーク･ウォン(黃志強)監督。忸怩たる想いを抱えながら､彼は翌年"リベンジ"へと動き出します。ジャッキー以外にポリス･アクションで主役を張れる俳優と言えば…香港中の警官から"李Sir"と慕われるダニー･リー(李修賢､画像左)以外には考えられません。以前から警官を異様なまでに英雄と持上げ､アクション描写重視で物語性の浅薄なジャッキーのポリス･アクションに疑問を抱いていたダニー･リーは､カーク監督のオファーを受入れ､『愛と銃弾の掟』(88年､テレビ放送)や『ナイトライダー車神』(91年､DVDのみ)といった自身の出演作で扱った｢男女2人組の犯罪者｣を物語に取入れ､自分たちが本当にやりたかった"実録(犯罪)映画"を作り上げようと撮影を開始しました。
そして出来上がった本作は､ダニー扮する警部が率いる特捜隊と｢男女2人組の犯罪者｣率いる武装強盗団が真っ向からぶつかり合う文字通りスーパーハードなポリス･アクションに仕上がったのです。
特にカーク監督は､前作『新ポリス･ストーリー』で充分にやり切れなかった悪人側のドラマを描くため､それを表現できるキャストとして､前年ダニー･リーがプロデュースした"実録モノ"のⅢ級片(成人映画)『八仙飯店之人肉饅頭』(画像中)で香港電影金像奨最優秀主演男優賞を獲得したアンソニー･ウォン(黃秋生)と､香港映画界きっての演技派女優セシリア･イップ(イップ･トン=葉童､画像右)を起用。犯罪の背後にある男女の｢純愛｣を時間を取ってロマンチックに描きました。特にセシリア･イップ(イップ･トン)は､ノースリーブでマイクロミニのボディコンワンピースを着たままアンソニーと全力疾走したり､警察相手の市街戦では先頭を切ってショットガンをぶっ放すなど､文字通り身体を張った熱演を見せています。

90年代にCS局｢スタープラス｣で放送された本作のメイキングとセシリア･イップ(イップ･トン)のインタビュー動画。日本語字幕付の貴重な映像です↓

ダニーの役どころも『新ポリス･ストーリー』のジャッキーよりさらに苛烈で､腕利きですが強引な捜査と上司にも公然と噛付く為､チームごと警察内では完全に浮いた存在､嫌われ者として扱われています。恋人もロイ･チョン(張耀揚)扮するライバルの警部に奪われ､しかも彼がアンソニーとも内通していたという､踏んだり蹴ったりの状態です。それでもダニーのチームは脅迫犯を逮捕するという一念だけで､アンソニーの一味を追い続けます。その部下たちもダニー･リー組の常連であるパークマン･ウォン(黃柏文)を始めに､当時まだ若手だったルイス･ファン(樊少皇)や中国表演武術を体得し武術指導もこなす女優レイ･ファイ(李暉)といったアクション巧者を集め､骨太なアクション描写の構築に腐心しています。またOPクレジットにも出ているように本作はルイス･クー(古天樂)の映画デビュー作とされていますが､どこに出ているかはよくわかりませんでした。