香港ノワール映画－英雄片－コミュの【香港ノワール／過渡期】香港デラックス

原題：千王情人/賊頭賊腦賊世界(Lover of the Swindler)
香港　リーガル･フィルムズ／イメージ･フィルム＆エンターテインメント作品　93年　91分　カラー　日本劇場未公開(ビデオ)

監督：ジャッキー･パン　脚本：シー･ウー　撮影：イム･ワイロン　音楽：リチャード･ロー
出演：レオン･カーフェイ／カリーナ･ラウ／ヴィンセント･ワン／ケネス･ツァン／ポーリン･ウォン／チャーリン･チャン

―解説―
凄腕のペテン師を愛してしまったホステスの女性が､ペテン師グループの仲間割れに巻き込まれる姿を描いたサスペンス･アクション。出演は『南京の基督』(95年)などのレオン･カーフェイ(梁家輝)､『月夜の願い』(93年)などのカリーナ･ラウ(劉嘉玲)､『ポリス･ストーリー３』(92年)などのケネス･ツァン(曾江)､『愛と復讐の挽歌』(87年)などのポーリン･ウォン(王小鳳)､『反逆の絆』(91年､ビデオのみ)のヴィンセント･ワン(尹揚明)､『開心楽園』(85年､映画祭のみ)などのチャーリン･チャン(陳加玲)ほか。ジャッキー･パン(彭綺華)監督､93年作。

―物語―
母親がナイトクラブの清掃係だったリン(劉嘉玲)は､幼いころからホステスに憧れて成長し､働き始めて２年でトップになった。ある夜友達のホステスの借金を肩代わりをする為訪れたプールバーで､リンはプロの詐欺師と名乗るマイケル(梁家輝)と出逢う。仲間と鮮やかな手口を見せ付けるマイケルに､リンは強く惹かれた。一方香港警察のウォン警部(王小鳳)は､妹の自殺の真相を追ってマイケル逮捕へ執念を燃やす。追撃を逃れリンを連れて新たな詐欺に挑むマイケルだが､実はカモにする標的はリンだった…。

コメント(1)

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[1] mixiユーザー 03月29日 01:03

ジョン･ウー(吳宇森)監督の『ハード･ボイルド新･男たちの挽歌』(92年)が公開された後､空前の"香港ノワール映画"ブームは一段落し､翌93年からは新たな潮流を模索する過渡期に入るワケですが､この年制作された"香港ノワール映画"に最も出演していた女優は､カリーナ･ラウ(劉嘉玲､画像左)かもしれません。
別項でもお伝えしているように､カリーナ･ラウはウォン･カーウァイ(王家衞)監督作『欲望の翼』(90年)で大きな注目を集めますが､その後伸び悩みが続いていました。当コミュニティでご紹介している93年制作分でも『愛と復讐の挽歌殺しの掟』や｢上海キング｣２部作の３本に出演していますが､いずれもメインのヒロイン役ではありません。そんな彼女が同じ年に『大英雄』(ソフトのみ)や『月夜の願い』と言った話題作でも顔を合せるレオン･カーフェイ(梁家輝)とダブル主演した作品が本作なのです。日本ではビデオ発売されたのみで､現在インターネット上にもあまり情報が挙がっていません。邦題はやはり詐欺師の一家を描いた『平成無責任一家東京デラックス』(95年､画像中)をモジッていますね。
本作ではカリーナ扮する売れっ子ホステスが働く｢水商売の世界｣と､レオン･カーフェイが棲む｢裏の世界｣を取上げてますが､そのものズバリの"ヤクザ"ではなく､ギャンブルも含めた詐欺師の集団を描いてるのが異色です。なので系統としては｢男たちの挽歌｣シリーズではなく｢ゴッド･ギャンブラー｣シリーズにインスパイアされた１作であり､加えてデビュー作『黒薔薇VS黒薔薇Ⅱ』(93年､DVDのみ)でもレオン･カーフェイとカリーナと組んだ女流監督のジャッキー･パン(彭綺華)の作風でもあるのでしょうか､どこか少女マンガ的で軽快かつロマンチックな雰囲気が強いです。ただホステスたちの群像劇を描いた前半から一転して､レオン･カーフェイ属する詐欺師グループの内紛が表面化する中盤以降は派手な銃撃戦や格闘が連続し､この時点で｢あ､実は"香港ノワール"だったのか｣と気付かされるんですね。このように展開にひねりを加えているので､この手の映画としては珍しく明快なハッピーエンドを迎えるのもうなずけるところです。
正直お金のかかった大作ではないですけど､大人の色気にあふれ演技力も高いカリーナ･ラウとレオン･カーフェイを囲み､ケネス･ツァン(曾江)､ポーリン･ウォン(王小鳳)､ヴィンセント･ワン(尹揚明)などキャストは豪華かつ実力派の俳優陣を揃えています。そしてジャッキー･パン監督は本作の後に撮った『キング･オブ･ギャンブラー』(94年､ビデオのみ。画像右)の後ウォン･カーウァイ監督の代表作となる『恋する惑星』(94年)や『天使の涙』(95年)のプロデュースを手掛け､一時代を築くこととなります。

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