原題：飛虎精英之人間有情(The Best of The Best)
香港 ギャラクシー･フィルムズ作品 92年 97分 カラー 日本劇場未公開(ビデオ→DVD→ＴＶ)
製作：スティーヴン･シン／リョン･ホンワー 監督：ハーマン･ヨウ 脚本：リョン･ホンワー／ジェームズ･フン 撮影：ン･キン･マン アクション指導：ベンツ･コン／トニー･プーン 音楽：リチャード･ロー 美術：ダニー･ユエン
出演：ジャッキー･チュン／ン･マンタ／サミー･チェン／ポール･チン(チョン･プイ)／キャリー･ン
−解説−
香港警察の特殊部隊に所属しながら暗黒街のボスの娘と恋に落ちた青年。ボスに父を死へ追いやられた青年の復讐とその末路を描いたアクション･ドラマ。出演は『ベルベット･レイン』(2004年)などのジャッキー･チュン(張學友)､『ファイティングラブ』(2001年)などのサミー･チェン(鄭秀文)､『少林サッカー』(2001年)などのン･マンタ(吳孟達)､『復讐のプレリュード』(95年)などのポール･チン(チョン･プイ=秦沛)､『カップルズ』(96年)などのキャリー･ン(吳家麗)ほか。『ロンリーウルフ』(96年)などのハーマン･ヨウ(邱禮濤)監督､92年作。
−物語−
制服警官のポー(吳孟達)は､２人の息子と出掛けた映画館でダフ屋とトラブルになり長男を死なせてしまう。残された次男ディー(張學友)はポーに複雑な想いを抱きつつ､成長し警察特殊部隊の一員となった。ポーは愛人ホン(吳家麗)をママにしてナイトクラブのオーナーに納まっている。ディーはデパートでの強盗事件で人質だった女性ヘイディ(鄭秀文)と親しくなるが､彼女の父親は刑事くずれの組長でポーとも因縁があるクワン(秦沛)だった。マカオへ逃避行した２人をポーは助けようとするが､交際に反対するクワンの子分が襲撃しディーの前で無惨な死を遂げる。怒りと哀しみのなかディーはクワンへの復讐を決意した…。
香港 ギャラクシー･フィルムズ作品 92年 97分 カラー 日本劇場未公開(ビデオ→DVD→ＴＶ)
製作：スティーヴン･シン／リョン･ホンワー 監督：ハーマン･ヨウ 脚本：リョン･ホンワー／ジェームズ･フン 撮影：ン･キン･マン アクション指導：ベンツ･コン／トニー･プーン 音楽：リチャード･ロー 美術：ダニー･ユエン
出演：ジャッキー･チュン／ン･マンタ／サミー･チェン／ポール･チン(チョン･プイ)／キャリー･ン
−解説−
香港警察の特殊部隊に所属しながら暗黒街のボスの娘と恋に落ちた青年。ボスに父を死へ追いやられた青年の復讐とその末路を描いたアクション･ドラマ。出演は『ベルベット･レイン』(2004年)などのジャッキー･チュン(張學友)､『ファイティングラブ』(2001年)などのサミー･チェン(鄭秀文)､『少林サッカー』(2001年)などのン･マンタ(吳孟達)､『復讐のプレリュード』(95年)などのポール･チン(チョン･プイ=秦沛)､『カップルズ』(96年)などのキャリー･ン(吳家麗)ほか。『ロンリーウルフ』(96年)などのハーマン･ヨウ(邱禮濤)監督､92年作。
−物語−
制服警官のポー(吳孟達)は､２人の息子と出掛けた映画館でダフ屋とトラブルになり長男を死なせてしまう。残された次男ディー(張學友)はポーに複雑な想いを抱きつつ､成長し警察特殊部隊の一員となった。ポーは愛人ホン(吳家麗)をママにしてナイトクラブのオーナーに納まっている。ディーはデパートでの強盗事件で人質だった女性ヘイディ(鄭秀文)と親しくなるが､彼女の父親は刑事くずれの組長でポーとも因縁があるクワン(秦沛)だった。マカオへ逃避行した２人をポーは助けようとするが､交際に反対するクワンの子分が襲撃しディーの前で無惨な死を遂げる。怒りと哀しみのなかディーはクワンへの復讐を決意した…。
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コメント(2)
92年制作の"香港ノワール映画"といえばジョン･ウー(吳宇森)監督作『ハード･ボイルド 新･男たちの挽歌』(92年)が代表的ですが､それに次ぐ重要な作品といえば｢新･愛と復讐の挽歌｣２部作(92〜93年)ではないでしょうか(何故そう言えるかは各作品トピでお伝えします)。
本作はその２部作の間に公開された１作で､主演のジャッキー･チュン(張學友)や監督のハーマン･ヨウ(邱禮濤､｢新･愛と復讐の挽歌｣２部作では撮影を担当)などが重複しています。当然２部作と物語に繋がりはないのですが､実は原題にもある｢飛虎(隊)｣というのが､"香港ノワール映画"として非常に扱いにくいテーマなんですね。なぜ扱いにくいかを管理人の"香港ノワール映画"観や当コミュで取上げる作品の基準なども交えて､まずは言及して参りたいと思います。
｢飛虎(隊)｣というのは､香港警察特殊任務部隊(SDU)の別称で､英国陸軍特殊部隊(SAS)や日本の警察にある特殊急襲部隊(SAT)と似たような組織と捉えて頂いて結構です。要は対テロ､密輸･密貿易･麻薬の取締りと摘発､人質救出､銃器犯罪の鎮圧を目的とした精鋭部隊です。覆面(ガスマスク)と防弾チョッキ､銃火器を重装備し任務を遂行します。香港のポリス･アクションによく登場するCID(刑事捜査課)とは別セクションになります。
｢飛虎(隊)｣を映画で取上げた作品というと､85年にシネマ･シティ(新藝城)が制作した『香港スワット 野獣たちの陰謀』(ソフトのみ､画像左)が最初だと思われます。コレは当時のシネマ･シティらしいアクション･青春ドラマ･コメディーが混在したノンジャンル娯楽作というべき１作でした。その後本作を経てゴードン･チャン(陳嘉上)監督､マイケル･ウォン(王敏��)主演の『ファイナル･オプション ―香港最終指令―』(94年､ビデオのみ。画像中)と『FIRST OPTION 飛虎』(96年､DVDのみ)の２作が好評で､21世紀に入って『重装警察』(2001年)を皮切りに､ゴードン･チャン製作､クラレンス･フォ(霍耀良)監督､マイケル･ウォン主演の｢飛虎(ニュー･オプション)｣シリーズが､連作されることになります。
当コミュでは『香港スワット 野獣たちの陰謀』と『ファイナル･オプション ―香港最終指令―』については取上げていません(『FIRST OPTION 飛虎』は未見)。なぜかというと警察の精鋭=エリート部隊という設定自体が､"香港ノワール映画"の世界観とあまり合わないのと､｢飛虎(隊)｣の様な部隊をメインに据える場合､特性上純然たる｢アクション映画｣として描かざるを得ない側面があるからです。でもここで入会者の皆様からすると｢え､そもそも"香港ノワール"ってアクション映画じゃないの？｣という疑問が出て来るかと思います。しかし､管理人からの回答は｢NO｣です。"香港ノワール"には激しい銃撃戦がよく登場しますが､メインはあくまで黒社会で生きる人間(ヤクザや密入国者)たちの生き様や葛藤､あるいは市井で泥と埃にまみれながら地道な捜査で犯罪に立向かう警官たちの｢ドラマ｣です。銃撃戦や格闘はあくまでその｢ドラマ｣を印象付けるための副次的な産物です。対して｢アクション映画｣はその名の通り､銃撃戦(とそこで使う銃火器や装備その物)や爆破､格闘などの殺陣などを見せることが主題で､ドラマはそれを引立たせる役割を担うのみです。そういう意味で『ファイナル･オプション〜』などは"香港ノワール"的な要素が無くはないものの､｢アクション映画｣に分類せざるを得ないんですね。
そういうことで銃撃戦が有り黒社会･警察を舞台としても｢アクション映画(に近い内容)｣と判断したものは､当コミュには掲載していません。過去の一例で言うと､ジャッキー･チェン(成龍)の｢ポリス･ストーリー｣シリーズや､ムーン･リー(李賽鳳)主演の｢天使行動｣３部作(87〜89年)や『レディ･ハード』(85年､画像右)を始めとするＤ＆Ｂ(��寶)制作の｢皇家師姐｣系列といった"アクション女優ブーム"の際に撮られたヒロインアクション､80年後半〜90年代のドニー･イェン(甄子丹)出演作等です。また『男たちの挽歌』(86年)と同時期に日本公開されたブランドン･リー(李國豪)主演『ファイアー･ドラゴン』(86年)は､男同士の友情や裏切り､復讐劇､そしてハードな銃撃戦など『男たちの挽歌』(86年)との共通候があるのですが､演出は明らかにハリウッド志向で､当時の"香港ノワール"からは逸脱していた為､当コミュへは挙げませんでした。
そして､本作『ラヴ＆デス』。原題に｢飛虎｣とあるのに､何故"香港ノワール"たり得たのか。次項以降にて､ご案内して参りたいと存じます…。
本作はその２部作の間に公開された１作で､主演のジャッキー･チュン(張學友)や監督のハーマン･ヨウ(邱禮濤､｢新･愛と復讐の挽歌｣２部作では撮影を担当)などが重複しています。当然２部作と物語に繋がりはないのですが､実は原題にもある｢飛虎(隊)｣というのが､"香港ノワール映画"として非常に扱いにくいテーマなんですね。なぜ扱いにくいかを管理人の"香港ノワール映画"観や当コミュで取上げる作品の基準なども交えて､まずは言及して参りたいと思います。
｢飛虎(隊)｣というのは､香港警察特殊任務部隊(SDU)の別称で､英国陸軍特殊部隊(SAS)や日本の警察にある特殊急襲部隊(SAT)と似たような組織と捉えて頂いて結構です。要は対テロ､密輸･密貿易･麻薬の取締りと摘発､人質救出､銃器犯罪の鎮圧を目的とした精鋭部隊です。覆面(ガスマスク)と防弾チョッキ､銃火器を重装備し任務を遂行します。香港のポリス･アクションによく登場するCID(刑事捜査課)とは別セクションになります。
｢飛虎(隊)｣を映画で取上げた作品というと､85年にシネマ･シティ(新藝城)が制作した『香港スワット 野獣たちの陰謀』(ソフトのみ､画像左)が最初だと思われます。コレは当時のシネマ･シティらしいアクション･青春ドラマ･コメディーが混在したノンジャンル娯楽作というべき１作でした。その後本作を経てゴードン･チャン(陳嘉上)監督､マイケル･ウォン(王敏��)主演の『ファイナル･オプション ―香港最終指令―』(94年､ビデオのみ。画像中)と『FIRST OPTION 飛虎』(96年､DVDのみ)の２作が好評で､21世紀に入って『重装警察』(2001年)を皮切りに､ゴードン･チャン製作､クラレンス･フォ(霍耀良)監督､マイケル･ウォン主演の｢飛虎(ニュー･オプション)｣シリーズが､連作されることになります。
当コミュでは『香港スワット 野獣たちの陰謀』と『ファイナル･オプション ―香港最終指令―』については取上げていません(『FIRST OPTION 飛虎』は未見)。なぜかというと警察の精鋭=エリート部隊という設定自体が､"香港ノワール映画"の世界観とあまり合わないのと､｢飛虎(隊)｣の様な部隊をメインに据える場合､特性上純然たる｢アクション映画｣として描かざるを得ない側面があるからです。でもここで入会者の皆様からすると｢え､そもそも"香港ノワール"ってアクション映画じゃないの？｣という疑問が出て来るかと思います。しかし､管理人からの回答は｢NO｣です。"香港ノワール"には激しい銃撃戦がよく登場しますが､メインはあくまで黒社会で生きる人間(ヤクザや密入国者)たちの生き様や葛藤､あるいは市井で泥と埃にまみれながら地道な捜査で犯罪に立向かう警官たちの｢ドラマ｣です。銃撃戦や格闘はあくまでその｢ドラマ｣を印象付けるための副次的な産物です。対して｢アクション映画｣はその名の通り､銃撃戦(とそこで使う銃火器や装備その物)や爆破､格闘などの殺陣などを見せることが主題で､ドラマはそれを引立たせる役割を担うのみです。そういう意味で『ファイナル･オプション〜』などは"香港ノワール"的な要素が無くはないものの､｢アクション映画｣に分類せざるを得ないんですね。
そういうことで銃撃戦が有り黒社会･警察を舞台としても｢アクション映画(に近い内容)｣と判断したものは､当コミュには掲載していません。過去の一例で言うと､ジャッキー･チェン(成龍)の｢ポリス･ストーリー｣シリーズや､ムーン･リー(李賽鳳)主演の｢天使行動｣３部作(87〜89年)や『レディ･ハード』(85年､画像右)を始めとするＤ＆Ｂ(��寶)制作の｢皇家師姐｣系列といった"アクション女優ブーム"の際に撮られたヒロインアクション､80年後半〜90年代のドニー･イェン(甄子丹)出演作等です。また『男たちの挽歌』(86年)と同時期に日本公開されたブランドン･リー(李國豪)主演『ファイアー･ドラゴン』(86年)は､男同士の友情や裏切り､復讐劇､そしてハードな銃撃戦など『男たちの挽歌』(86年)との共通候があるのですが､演出は明らかにハリウッド志向で､当時の"香港ノワール"からは逸脱していた為､当コミュへは挙げませんでした。
そして､本作『ラヴ＆デス』。原題に｢飛虎｣とあるのに､何故"香港ノワール"たり得たのか。次項以降にて､ご案内して参りたいと存じます…。
本作では主演のジャッキー･チュン(張學友､画像左)が､SDU=｢飛虎(隊)｣の隊員に扮しています。前項でお伝えしたように､｢飛虎(隊)｣の存在というか設定自体は､"香港ノワール映画"とは喰合せがよくないとお伝えしました。前項で伝え切れなかったことを補足すると､｢飛虎(隊)｣は実在する警察の精鋭部隊です。それをメインに置く場合､彼らが｢負けて終わり｣というのは描けません。彼らはある意味警察にとっては最終手段､最後の砦というべき位置にあります。つまり彼らは｢負けられない｣のです。勝つことが大前提=ゴールのため､やはりストレートなアクション映画にならざるを得ないんですね。対して"香港ノワール"には｢滅びの美学｣的な側面があります。つまり持たざる者=非エリートだったり､実社会から脱落したヤクザ者だったり､不様に負けを晒す者たちの姿をメインに描くことが多いのです。それでも何故"香港ノワール"が英雄片と称されるかといえば､登場人物が単純にカッコ良い､強いというのみならず､勝負けを超えたところで彼らが独自の"美学"をもって行動するからこそ､彼らは"英雄"として光り輝くんですね。例えば､黒社会というアンダーグラウンドな世界に身を置きながら仲間同士の義理人情､筋を通そうとする人々だったり､市民から煙たがられながら､それでも正義と信念の下犯罪者に立向かい､時には凶弾に倒れる無名の警官たちだったりするワケです。また一方で､彼らとは逆に"美学"をもたず犯罪の渦に呑込まれ､自分の存在理由すら理解できないまま無惨に屍を晒す者たちをリアリティをもって描写する面もあります。
本作でジャッキー･チュン演じるSDU隊員が､"香港ノワール"の主人公たり得たのは､彼のキャラクターを設定が持つリアリティから解き放った点にあります。覆面で顔を隠すなど隠密行動が主たるSDUの隊員が人質の女性と親しくなったり､親族が黒社会の出入も多いナイトクラブの経営者というのは､本来ならばあり得ない設定です。でもそこをあえてリアルにしないことで､"香港ノワール"の世界観にハマるキャラへ落し込んでるんですね。勿論繊細さと狂気を併せ持つジャッキー･チュンの演技だからこそ成立した面も大きいです。
本作で映画デビューを果たしたサミー･チェン(鄭秀文､画像中)がヒロインなのも非常にフレッシュなキャスティングです。彼女は元々歌手として芸能界入りしており､本作の後しばらくは映画から離れますが､96年頃からラブ･コメディーの話題作にお呼びが掛るようになり､2000年のジョニー･トー(杜��峯)監督､アンディ･ラウ(劉��華)共演の『Needing You』が大ヒットし､映画女優として"ラブコメの女王"的存在となりますが､"香港ノワール"との縁が切れたワケではなく､｢インファナル･アフェア｣３部作のパート１と３に登場するほか､『大捜査の女』(2008年､DVDのみ)といったポリス･アクションや､『Needing You』と同じ布陣の『名探偵ゴッド･アイ』(2013年)に参加しています。
主人公とヒロイン､それぞれの父親役であるン･マンタ(吳孟達)とポール･チン(チョン･プイ=秦沛)は､当コミュニティでもご紹介済の｢リー･ロック伝｣２部作(91年)からの影響を強く受けた印象ですね。ポール･チン(チョン･プイ)は､汚職刑事から黒社会へ転じた顔役で､揺るぎ無い｢悪｣でありながら､娘に関しては普通の父親として接しようとする複雑な役であり､一方のン･マンタはヒラの制服警官からナイトクラブの支配人へ転身した男です。やはり善人とは言えなかった警官時代に引起こした取返しのつかない過ちで息子のジャッキー･チュンに後ろめたさを感じつつも､誕生日のプレゼントを用意するなそ誠実であろうとする父親を好演しています。
そんな複雑な影を背負った男たちが､皮肉な運命から激突し合うクライマックスは､これぞ"香港ノワール"というべき壮絶さにあふれています。
本作でジャッキー･チュン演じるSDU隊員が､"香港ノワール"の主人公たり得たのは､彼のキャラクターを設定が持つリアリティから解き放った点にあります。覆面で顔を隠すなど隠密行動が主たるSDUの隊員が人質の女性と親しくなったり､親族が黒社会の出入も多いナイトクラブの経営者というのは､本来ならばあり得ない設定です。でもそこをあえてリアルにしないことで､"香港ノワール"の世界観にハマるキャラへ落し込んでるんですね。勿論繊細さと狂気を併せ持つジャッキー･チュンの演技だからこそ成立した面も大きいです。
本作で映画デビューを果たしたサミー･チェン(鄭秀文､画像中)がヒロインなのも非常にフレッシュなキャスティングです。彼女は元々歌手として芸能界入りしており､本作の後しばらくは映画から離れますが､96年頃からラブ･コメディーの話題作にお呼びが掛るようになり､2000年のジョニー･トー(杜��峯)監督､アンディ･ラウ(劉��華)共演の『Needing You』が大ヒットし､映画女優として"ラブコメの女王"的存在となりますが､"香港ノワール"との縁が切れたワケではなく､｢インファナル･アフェア｣３部作のパート１と３に登場するほか､『大捜査の女』(2008年､DVDのみ)といったポリス･アクションや､『Needing You』と同じ布陣の『名探偵ゴッド･アイ』(2013年)に参加しています。
主人公とヒロイン､それぞれの父親役であるン･マンタ(吳孟達)とポール･チン(チョン･プイ=秦沛)は､当コミュニティでもご紹介済の｢リー･ロック伝｣２部作(91年)からの影響を強く受けた印象ですね。ポール･チン(チョン･プイ)は､汚職刑事から黒社会へ転じた顔役で､揺るぎ無い｢悪｣でありながら､娘に関しては普通の父親として接しようとする複雑な役であり､一方のン･マンタはヒラの制服警官からナイトクラブの支配人へ転身した男です。やはり善人とは言えなかった警官時代に引起こした取返しのつかない過ちで息子のジャッキー･チュンに後ろめたさを感じつつも､誕生日のプレゼントを用意するなそ誠実であろうとする父親を好演しています。
そんな複雑な影を背負った男たちが､皮肉な運命から激突し合うクライマックスは､これぞ"香港ノワール"というべき壮絶さにあふれています。
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